エドガー・アラン・ポーの短編集『黒猫・アッシャー家の崩壊』を読みました。
ポーの作品は、昔、『黄金虫』を読んだ記憶があるのですが、かなり久しぶりに彼の作品を読みました。
ポーの作品といえば怪奇的小説の代表格で、我が国の江戸川乱歩をはじめ多くの作家が強い影響を受けたことで知られます。
この短編集に収められた作品もいずれも幻想的な雰囲気の舞台設定の下で怪奇的な事件が綴られており、読者はその独特な世界観に引き込まれます。
作品の多くが「死者の復活」や「死者の呪い」を扱っており、超現実的なストーリーなのですが、どこかで現実に起こりそうな出来事を描いているようにも感じられます。
表題作『黒猫』は妻を殺してしまった主人公が、飼っていた黒猫とともに遺体を家の壁に塗り込んで証拠隠滅を図り、警察の捜索からもうまく逃れることができたと思われたところ、ラストの場面で崩れ落ちた壁の中から主人公の殺した妻と黒猫が現れて彼の殺人が露見してしまうという話です。
もう一つの表題作『アッシャー家の崩壊』は、ともに死期の近い双子の兄妹のうち妹が先に亡くなり、兄が妹を埋葬しますが、じつは妹は生きており、ある晩、棺から生き帰った妹が兄を殺してアッシャー家が崩壊を迎えるという話です。
筋立ての奇抜さや秀逸さだけでなく、登場人物の微妙な心理描写や作品中に散りばめられた詩の美しさなど高度な文学性も備えているところがポーの作品の魅力でしょう。
ところで、恥ずかしながら私は今までポーはフランスの作家だと誤解していました。彼の影響を受けたフランス文学者が多かったことも理由でしょうが、彼の作品の世界が中世ヨーロッパを思い起こさせるからではないかと思われます。
短編集ながら、いずれも読み応えのある作品ばかりでした。
