ホーストダンスのブログ

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シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』を読みました。

ブロンテ3姉妹の長女として有名な著者の代表作です。15年以上前、妹のエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を読み、その時に姉シャーロットのこの作品も読んでみようと考えていた記憶はあるのですが、長い間手を伸ばさずにいました。


作品は全体で文庫本1,000ページ近くになる大作で、幼い時に孤児となり、義理の叔母の家に引き取られた少女が逞しく成長し、最後には幸せを掴むというストーリーです。

物心もつかない時に両親を亡くした主人公ジェイン・エアは叔父家に引き取られますが、血の繋がった叔父が亡くなると、義理の叔母と、その子どもたちと暮らすようになります。この叔母は典型的な意地悪オバさんとして描かれており、実の子どもたちは溺愛する一方、血の繋がりがなく、夫との約束(というより世間体)を気にしてやむなく預かることになったジェインには虐待に近いような仕打ちを繰り返します。

やがてジェインが10歳になった頃、出入りしていた薬剤師から「学校」の存在を知り、寄宿学校に入学します。学ぶことの楽しさを知ったジェインは親友もでき、優れた成績を収めるようになりますが、この学校は運営費が極端に切り詰められており、生徒は栄養不足と環境の悪さに悩まされ、ジェインの親友を含む多くの生徒がチフスに罹患して命を落とすことになります。(この学校の管理者であり牧師でもある男は、自身の家族は贅沢な暮らしをしながら学校には倹約を強いているという、こちらも典型的な悪人として描かれています)


寄宿学校を優秀な成績で卒業したジェインはそのまま教師となって学校を残りますが、2年ほどして、学校の外の世界を見るため、ある裕福な家の女の子の住み込み家庭教師となります。(その女の子は当主ロチェスターの実子ではなく、ロチェスターが一時付き合っていたフランスの踊り子の連れ子なのでした)

家庭教師先の家ではしばしばパーティーなどが催され、たくさんの上流階級の人間が出入りしますが、ジェインはそうした人々の振る舞いを注意深く観察する中で、財力や権力ではない、人間の真の魅力を見抜く能力を身につけていきます。

そんな中、周囲からはロチェスターがまもなくある若い美人令嬢と結婚するだろうと思われていて、ジェインもそう信じていたところ、突然、ジェインはロチェスターから求婚されることになります。当主からの思いもよらぬ申し出に困惑したジェインですが、もともとロチェスターに好意を抱き、尊敬の念を持っていたこともあり、その申し出を受け入れ結婚を決意します。

しかし、結婚式の当日、じつはロチェスターには気が狂った妻がいて、その妻は館の中に幽閉されているという事実が明らかになります。結婚式は中止となり、混乱し傷心となったジェインは次の日の朝早く、ほぼ無一文の状態でロチェスターの家を出ます。


たどり着いた小さな町で、食べるものもなく死にかけていたジェインは、牧師セント・ジョンとその妹二人に助けられ、彼らの家で暮らし始めます。やがてその牧師から新しく作る学校の校長の職をもらい、ジェインは新しい生活を始めます。心優しい三人に支えられ、学校長として地域の人々からの信頼も得るようになったジェインですが、宣教師となってインドに行くというセント・ジョンに、自分の妻となって一緒にインドに行ってほしい、と求められ、大いに困惑します。

セント・ジョンの有無を言わせぬ強い求婚に折れ、結婚に傾きかけたジェインですが、インドに行く前にロチェスターの消息を確認するため、かつて家庭教師として住み込んでいた館を訪ねます。しかしそこは既に廃墟となっており、ジェインは自分が去った後しばらくして館で火事が起こり、ロチェスターの妻が死んだこと、火事のためにロチェスターも失明し、左腕を失う大怪我をしたことなどを知ります。

ロチェスターがひっそりと生活する屋敷を訪ねたジェインは、変わり果てたロチェスターと再会し、彼との相思相愛の関係を再確認し、彼と結婚することを決意します。


この小説自体は、ロチェスターと結婚してから十年後、ジェインが自分の半生を振り返るという形式で書かれており、物語の最後ではロチェスターとの間に男子を授かり、失明したロチェスターも右目の視力が少しだけ回復した様子が描かれています。


作品は女性の青春小説ともいうべきもので、まだ自立した女性の存在が珍しかった時代にあって、主人公ジェインのように不遇な環境を耐え抜いて最後には幸せを手にするというサクセスストーリーは多くの人の感動を呼んだのでしょう。

出版当時は『嵐が丘』よりこちらの作品の評価が高く、『嵐が丘』が評価されるようになったのは作者の死後であったようです。

文学作品として人間の業というものを深く掘り下げて表現している点では『嵐が丘』の方をやや上に挙げたいと思いますが、ストーリーのわかりやすさ、テーマの明快さ、そしてハッピーエンドという物語の展開からこちらの『ジェイン・エア』にも十分な魅力があります。

特に中高生年代の女子におすすめしたい作品です。