音楽偏遊 -3ページ目

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

はや9月。時がたつのは早いものです。

9月4日は楽しみにしていた荒牧リョウのワンマンライブ……だったのだが、急遽出張で行けなくなってしまった。先月、同じパターンでまささんが来れなかったのを人事のように「残念だねえ」と話していたら、まさか自分が同じ轍を踏むことになるとは。

人生、一寸先は闇です闇闇闇


そんなこんなで9月上旬はほとんどライブい行けなかったな。せめて先月書いた川口千里とたをやめオルケスタが出演した東京JAZZ FESTIVALには行きたかったのだが、それも果たせず。うーん、悲しいぜ。

しかし、10日にはライブハウスに復帰(客としてだけどw)クラッカー

それも今注目の若手女性シンガーソングライターが集まった渋谷gee-geの4周年イベントで。こいつは間違いなく見られてラッキーなイベントだよ!!NIKIIE、小南泰葉、ヒグチアイ、杉恵ゆりか、コレサワ、さゆりまで付いてきて(笑)皆メジャーか、メジャーに最も近いアーティスト。これだけの顔ぶれが一堂に会すことなんて、今後、めったにないのではないかな。

21日も諫山実生や高田梢枝が出ちゃうんだから。これは聞きにいくしかないじゃないか。

なぜO-EASTでもQUATTROでもZEPPでもNHKホールでもない、客席100ほどのライブハウスgee-geで実現できたか。それは彼女たちの無名時代から目をかけ、活躍の舞台を提供し、助言し励ましてきたブッキングの鉄平さんがいたからこそ節分お笑い芸人としては知らないが、「日本一の女性シンガーソングライターおたく」という自称に嘘はない。少しでも実力がありライブ活動しているインディーズの女性シンガーソングライターなら、知らない存在はないのではないか?

アイドルは対象外というところも素敵!信用できる。すでにメジャーのNIKKIEも、小南泰葉も、そのほかも鉄平さんを恩人と言う。これから活躍したいという女性シンガーソングライターの卵たちも、噂を聞きつけて鉄平さんのところを続々尋ねてくる。

こうして渋谷gee-geでは4年前から毎月10本以上の鉄平さん企画イベントが開かれ、毎回4~7人程度の卵たちが自らの歌を披露している。その中からヒグチアイやコレサワや杉恵ゆりかが巣立ってきたのだ。gee-ge以前も、7th floorを中心に何年にもわたって同様のイベントを大量開催してきた実績は強いよね。

ちなみにぶっこみアクトで登場したさゆりの歌力と潜在力は素晴らしい!間違いなく若手の中で大きく頭角を現すだろう逸材だ。もしかしたらMiwaの跡を継ぐのは、彼女かもしれないから要チェック!!


しかしこのイベント、個人的にはトリの小南泰葉を見ずに離脱。毎月恒例のMidweek Burlesqueのイベントへ流れたのだけどねフラメンコ こないだも書いたけど、バーレスクの妖しさ、魅惑される踊り、エンターテイメント性はなまじっかのアーティストよりはるかにインパクト強いので、これを見ずにはいられないのです。

9月はやはりMiwa RockとEvaさんの演目が、特に目を惹いたねー。安定の実力!



さて今月はほかにも、こんなライブをみてきたぞ。

     音譜     音譜     音譜


1日(月)おつぼねと呼ばないで@関内BBstreet
Kayo、保刈あかね

10日(水)『鉄ロックフェスティバル特別編!!!』~渋谷ジージ4周年記念スペシャル~@渋谷gee-ge
NIKIIE、小南泰葉、ヒグチアイ、杉恵ゆりか、コレサワ 【ぶっこみアクト】さユり
     ダウン     ダウン     ダウン
MIDWEEK BURLESQUE vol.14 –Harvest Moon-@渋谷7th floor
Miwa Rock、Rice the Frogmama、Gummo、Dolly Tartan (from Scotland)、Violet Eva (紫ベビードール) 【Drag Queen】Scarlet

11日(木)Lady Madonna !!@代々木Zher The Zoo
野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ、RIS、浜田マロン
     ダウン     ダウン     ダウン
good night garden@原宿 strobe cafe
郁彩、VOLMUSIKS、コレサワ

14日(日)TKCスキャンダルvol.3~ヒグラシー赤木は夜に鳴く!夜明けのブレスレットイットビー!!~@渋谷7th floor
歌劇団タンゴアカシアーノ / 世田谷ボーイズ / イヌスターヅ / Meshibe / 紫ベビードール / 南国ペヤング

19日(金)『鉄ロックフェスティバル!!! vol.169』~九州万歳スペシャル~@gee-ge

石原有輝香/ILU GRACE/健太康太/yuri/ななみ【ぶっこみアクト】HALCAN

21日(日)『鉄ロックフェスティバル!!! vol.169・9』~ジージ4周年記念スペシャル~@諫山実生/高田梢枝/松室政哉/さゆり/村上紗由里/healah

22日(月)essence@渋谷 LOOP annex
野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ/仮谷せいら/SAWA/さいとうまりな/The Drugstore

24日(水)SunShine@代官山 LOOP
琵奈子/畑崎大樹/boogiebabys/SENGEN./晴れたらサスペンダーズ

27日(土)TarO&JirO ワンマンライブ-Landing in the city of Tokyo-@下北沢 GARDEN

30日(火)circle@代官山 LOOP
VOLOMUSIKS/ユラリ/嘘とカメレオン/WELBECK/i nou vory


     音譜     音譜     音譜


さてさて今月見たライブで一番インパクトがあったのは、やはり「TarO&JirO」のワンマンだ。

タロジロ。犬の名前みたいだから聞かずに誤解している人、多いと思うけど、彼らの音楽は激熱ロックだ!!しかも超ストイック。兄弟のツインアコースティックギターだけなのに、圧倒的なビート、密度の濃い楽曲、引き込むボーカルとステージング、その攻撃性で熱くならずにいられない。

去年、2013年のインディーズバンド世界大会の日本予選で優勝、そして12月にメジャーデビュー。2012年に路上で彼らと遭遇し、その少し後に偶然ライブハウスで見かけてから、一発で惚れたバンドのひとつ。少し聞いただけで、その圧倒的な実力、パフォーマンス、緊迫感、衝動に心をもってかれてしまった。

この日がメジャーデビュー後、初の東京ワンマンだった。逃す手はないだろう。

彼らの音楽活動のスタートは日本国内ではない。音楽をやろうと決めた兄弟は一路海を超え、欧米で路上しまくった。最初からロックの本場で勝負を挑んだのだ。耳の肥えた客に磨かれ、破天荒に様々な難題にも正面からぶちあたり、そして欧米のフェスなどに呼ばれるようになるなど自力だけで昇ってきた。日本には逆輸入なのだ。

なぜ彼らが日本に帰国したのか分からない。ただ本場で磨いた自分たちの音楽が、日本の音楽シーンにどう位置づけられるか確認したかったのかもしれない。

間違いなく、かなり上位に位置づけられたといえるだろう。あれだけ隙がなく攻撃性に満ちたロックは、日本のバンドからはめったに聞けないのだから。


この日のライブはのっけから攻めまくる。スタンディングで埋まった観客をあおり、高揚感を高めるかのように。TarOのギターとJirOのアコギ&キックドラムが、激しくぶつかり合い火花を散らす。

二人の声が重なり、はもり、掛け合い、再びユニゾンで激しく攻め立てる。一瞬の緩みもなく、聞くものに緊張を強いる。そしてはじける。

「ペロリナ・レボリューション」などの楽曲では、コール&レスポンスで客席の歌声と一体になってサビメロをリピート。路上で昔よく歌っていたという「Cube」には鳥肌が。初めて彼らを聞いて惚れた曲がこれだからねー。今でもこの曲の格好良さは色褪せない。

もの凄い盛り上がりで幕を閉じたワンマン。圧倒的なパワーに興奮冷めやらず、余韻の長さも半端なかった。

     カラオケ     カラオケ     カラオケ

さて、今月はこれくらいで。

ちなみに今月一押しニューフェース、女性シンガーソングライターは「ななみ」。19日にまたまたgee-geで見た九州万歳スペシャルイベントで、その絶唱を堪能したけど、彼女のボーカルはすごいよー。

まあ今さら取り上げるのも何なんですが、10月8日にメジャーデビュー決まりました!おめでとうクラッカーパチパチパチ拍手♪

このドキュメンタリーを見ると、彼女の背景がよく分かるよ。
https://youtu.be/gf-5OwFObtM

こうした才能が次々と出てくるから、ライブハウスでの宝探しが止められないんだよね。ななみの将来が楽しみだ。ガンバレー。
暑い!晴れ晴れ晴れ晴れ晴れ

そう夏はこうでないと、いけない。

たをやめオルケスタが、猛暑の新宿で紺碧レジーナの衣装でゲリラ路上をしてるというのに、へばってる場合ではない。

いや、彼女たちだってへばってる。そりゃあ、真夏のギラギラ太陽の下で晴れ野外ステージですよ。錦糸町やら浦安?やらで隊列そろえて、買い物途中のおばさんたちにだって愛想振りまき、お子さんを喜ばせ、付いて回るおっさんをいじり倒し。女将も大汗ものでしょう。

でも、彼女たちには新しく出したアルバムの楽曲を、ぜひ多くの人に聞いてもらいたいという野望がある。お客さんが一緒にのってくれることが最高の報酬なのだ。何より彼女たち自身が、仲間と音楽をやれることで喜びにあふれている。

彼女たちは、女18人のビッグバンド「たをやめオルケスタ」を、部活のように楽しんでいる。みんな社会人だったり、アルバイト生活だったり、音楽の先生だったりとバラバラ。だけどたをやめのためなら何か犠牲にしても結集する。ライブやっている時の彼女たちの顔といったら、楽しくて仕方ないって感じ。

うらやましいぞ!たをやメイツ!大人になっても、こうやって楽しめることを持っている、仲間がいるって素晴らしいぞ。

それに、ビッグバンドってのがまたいいね~。

サクソフォーン5人、トロンボーン4人、トランペット4人、キーボード、ベース、ドラム、パーカッションにボーカル。計18人。その音圧のすごさといったら、もう体中に音がびんびん染み渡り、その快感が嬉しくてにやけ顔が止まらんですよ。あー、カイカンっ!!

たをやめオルケスタ、これは見るべし!OLさん、あなたの気持ちを痛いほど分かってくれる歌を歌ってます。失恋して落ち込んでる?それなら間違いなく元気をくれます。3分の2くらいはボーカル曲だから、インストはちょっとという人も問題なし。ブラバンやオケ経験者なら、一度手放した楽器をまたやりたくなること必定。たをやめオルケスタは、悩めるもののレッドブルだ!


   トランペット    makovv    トランペット


そんなこんなで8月。休みやら何やらあってライブはあまり行けなかったなあ。

そんな暑い8月に一番多く見たアーティストは………なんと、大森靖子だー!!

我ながらびっくり。毎月、何人かのアーティストを3回ずつぐらい見ているのだが、今月はいつも見ているアーティストが遠征ツアーに出てたり、僕が夏休みだったりで、ほかに3回以上見たアーティストがいなかったのだね。

よく見ているといのは、斉藤麻里や荒牧リョウ、坂本麗衣、ヒグチアイ、その他の面々のことですが。最近、確かにあまり行ってないなあ。

一方で大森靖子やアカシック、Oh!Sharelsといった、一癖もふた癖もある濃いアーティストたちにはまる今日この頃。それだけ心を掴まれる音楽を聞かせてくれるということ。麻薬度が高いんだよねー^^


取り敢えず、8月に見たライブはこんな感じだ!


     音譜     音譜     音譜

1日(金)ハリネコ 1st Full Album「roOt.」release ParTyYY!!@渋谷 O-nest
白波多カミン+ハジメタル(exミドリ)、来来来チームにマモル(nhhmbase)と畠山健嗣(H mountains)、大森靖子&THEピンクトカレフ、ハリネコ

2日(土)郁彩、riry mona ツーマン 「Open sesame!」@渋谷gee-ge

3日(日)菅田紗江ワンマン「僕の私の好きなもの紹介します。~「売名行為2」解放ワンマンライブ!!~」 @代官山ノマド

10日(日)小田聡美ワンマン @飯田橋Glee

11日(月)「ココロという反響する空洞のカーニバル」@渋谷CLUB QUATTRO
Avaivartika、GLASSTOP、IN THE MILK!、空~SORA~、西中葵、WORKS

12日(火)満月と夜たち6日目「さよならの正体」@月見る君想フ
大森靖子、小谷美紗子

13日(水)MIDWEEK BURLESQUE vol.13 –Southbound excursion-@渋谷7th floor
Bee TinyTot、Maria Luna、愛(ファイ from BuriCama)、Gilbert de Moccos (紫ベビードール)、Violet Eva (紫ベビードール)

14日(木)Sherry...presents 風船唐綿の実Vol.14~静夏Birthday Fes' 14~ @渋谷eggman
anco band、WBCバンド、 HoneyBee DISCO BAND、アカシック、タキザワユキヒト、Sherry...

17日(日)川口千里 2ndアルバム「Buena Vista」発売記念ツアー@目黒 Blues Alley
川口千里バンド guest: 八神純子

22日(金)@渋谷O-WEST
大森靖子とピンクトカレフ、真空ホロウ、LUNKHEAD

27日(水)Shinjuku ReNY Pre-Open Special Show-Time「JUICY BROADWAY」@新宿 ReNY
野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ、美和ロック、Oh!Sharels、Juicy Circus、MR&B、STYLE PAINTS

28日(木)Tiny Sun @西新宿navicafe

29日(金)いつかワンマン @原宿ラドンナ


     音譜     音譜     音譜

毎日のように見ていたと思ったら、ぷつっと1週間見てなかったりと、まあいつ夏休みとっていたのか推測しやすいライブ観戦スケジュールですね(笑)

で、大森靖子だが、彼女の凄さはまたいつか書く。一言で言えば、天才!その攻撃性も、ぶっとび具合も、すべてが彼女の無意識のバランス感覚と芸術性により、その他大勢のぶっとびアーティスト達と完全に一線を画す。説得力も凄みもあるよ~。

アカシックの理姫ちゃんも、目の離せない存在。そのセンスはファンを選ぶかもしれないけど、パワフルなステージは楽しいぜ。



そんな、激暑なアーティストのパフォーマンスと比べてみても、見劣りしないどころかより峻烈なのが菅田紗江だ。

今月一番印象に残ったライブこそ、3日に見た菅田紗江ワンマンだったのだ。

ギター一本引っさげて、そりゃあ素朴なフォークスタイル。それなのにその音楽の厳しさ、歌詞の攻撃性、緊張感ある目力、太く響く声、圧倒的な歌唱力。ちっちゃいけど、その存在感の大きさといったら。

音符広がる空に夢をばらまいて
何もしてくれないと
何もしていないその口がいう
情けないとばかりに空は晴れるおんぷ。(青天白日)

突きつけられる槍先の鋭さに、思わずひるんでしまう。だらしなく怠惰に生きている自分の姿勢を恥ずかしく思わずにいられないほど。

代官山ノマドという箱は、彼女の実力に比べたら小さすぎる箱だ。ただここが彼女のホームであることを知らないファンはいない。彼女の厳しすぎる歌にも熱い声援をおくり、一体感あるライブ空間がかもし出される。

彼女の歌に緩みがないから、緊張の糸も途切れない。

記憶に訴えかける忘れられないフレーズたち。

一度聞いたら、また聞きたくなる。珠玉のライブがそこにある。


     波     波     波

今月はほかにも、個人的に思い出に残ったライブが。

川口千里のBuena Vista発売記念ツアー@目黒Blues Alleyだ。


かわぐち・せんり……… えっ、知らないの?


シンガーソングライターを中心に書いているブログだから
シンガーソングライターかと思うでしょ。

違うんだなー。

彼女は天才女子高生ドラマー。

しかもジャズ、というよりフュージョンの世界を代表するドラマーだ。その演奏を見ていると、体ががーっと熱くなり、鳥肌がたつ。凄いプレーヤーなのだ!!


まあ知らない人が多いのも致し方ない。でも知らなきゃ損する世界的ミュージシャンの一人。若干18歳ながら、その実力は折り紙つき。きゃしゃで小柄な体ながら、物凄い超絶技巧かつパワフルなドラムを叩くのだ。一度は見なきゃ。

まずはチェック You Tube!https://youtu.be/_NZImxGQEFY
あるいはこんなものも入門編として。



彼女の育ったジャンルはフュージョン。フュージョンって変態じゃないですか、リズムが(笑)エイトビートとか4拍子とか、そういう単純な世界じゃない。8分の7拍子で始まり、そこから16分の15拍子に転じるとか気が狂いそうな変拍子の嵐。客が手拍子を一緒にたたけるような曲はあまり、というかほとんどない。

一体どんなリズム感覚を持っているのか凡人には想像もつかない脅威のティーンミュージシャン。話すと普通の素朴でかわいい女子高生(2015年4月から大学生)なのだけどね(笑)

17日はロサンジェルスで収録したメジャー第2弾アルバム「Buena Vista」の発売ツアー東京編。ブルースアレイが満員御礼で立ち見も沢山。客はほぼ全員、千里ちゃんより年上だが、そんなおじさんお姉さんたちの大声援に包まれて、2時間余りのライブを飽きさせるどころか鳥肌を立たせまくりながら叩ききった。あの華奢な体のどこにそれほどのパワーが。すばらしかった。


     波     波     波

この他にも特筆すべきステージを見せてくれた「郁彩」や、大人の雰囲気のなか美声と素晴らしい歌唱力でムードを作り上げた「いつか」のワンマンも素敵だった。

そしてsherry静夏ちゃん、誕生日おめでとう!たくさんの仲間たちに囲まれて、出ずっぱりでコーラスに歌、キーボード、そのほか大活躍で目立ちまくった静夏を見ていると、本当に楽しい気分になる。アカシックのサポートは卒業し、Lady The Bitchは解散してしまったけど、sherryは応援し続けたいバンドだね。がんばれ!   





夏が来たぞ、7月だ。

音楽の話ではないんだけど今月、数年ぶりに映画を2本立てで見た。いやー、どっちも面白かった!

1本目は「ホドロフスキーのDUNE」。

これはチリ出身の映画監督、アレハンドロ・ホドルフスキーが1975年に作り始めながら、公開できずに終わった超大作SF映画「DUNE」を巡るノンフィクション。自ら企画し、壮大な脚本や構成を紡ぎ、出演者としてミック・ジャガーやサルバドール・ダリなど超大物を次々と口説き落とし、ピンク・フロイドに音楽を任せ、気鋭のクリエーター、デザイナーらを結集。歴史的SF大作「Star Wars」より何年も前に制作しながら、そのスケールは「Star Wars」をはるかにしのぐものだった。

この記録映画のなかで、徐々にホドロフスキーの映画の様々な構想が一つひとつ明らかになるにつれ、しかもそれが彼の超人的な執着で一歩一歩実現していく過程は、本当に興奮もの。大きなことを成す人間とは、大風呂敷と破格の行動力と信念を持つ者だと身にしみる。

そして2本目は「グランド・ブダペスト・ホテル」
ウェス・アンダーソン監督の代表作であり、その粋で華麗な映像が素晴らしい!東欧のかつては栄華を誇っただろう高級ホテルを基点に、事件に巻き込まれたコンシェルジュがヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走するミステリー。洒脱で、ウィットに富み、古きよきヨーロッパの魅力満載。見るべし!

さらに8日にはルポ映画「小川プロ訪問記」も見た。
自分が最も好きな映画作品のひとつが小川紳介監督の「1000年刻みの日時計 牧野村物語」。それは壮大な、民俗学的な叙事詩だ。小川監督とその仲間たちは山形県の山奥に住み着き、自ら手がける稲作の様子や寒村の人々の語りを何年間にも渡ってフィルムに収録、制作に13年間を費やした。その中から自然と稲作と共に千年を超す歴史を刻んできた日本と日本人を解き明かすという壮大な試みが結実した傑作だ。

その小川監督と仲間たちを、当時、ヌーベルバーグの旗手と呼ばれていた大島渚氏が訪ねる大重潤一郎監督のルポ映画が「小川プロ訪問記」だ。まさに牧野村物語を撮影していた小川紳介らにその狙いや映画のあり方、撮影手法などを忌憚なく問いかけていく。それに能弁な小川が延々と映画論を語っていく。それは娯楽重視のハリウッドやテレビ局主導映画へのアンチであり、権力者によって語られる歴史への懐疑であり、そして科学的アプローチと民俗学の融合なのだ。そのことがありありと語られていく。ドキュメンタリーなので落ちもドラマもないが、痛快だった。



傑作映画たちも良かったが、もちろん音楽ライブがなければ自分じゃない。NO MUSIC, NO LIFE!

今月、一番多くステージを見たアーティストは、3回の荒牧リョウとILU GRACE、愛実。2回は菅田紗江、斉藤麻里、そして「紫ベビードール」だ。けっこうバラバラ。紫ベビードールに至っては、バーレスクダンスチームだしね。

いやー、それにしても最近、バーレスクにはまってまして(汗)

7月は5,9,17,19日がバーレスクナイト。まあ19日は音楽バンド「野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ」企画イベントでしたが、ゲストがまたまた紫ベビードール(藁)

それに9日のバーレスクイベントに出演した「Tassels」は、メンバー全員がバーレスクダンサーといえ、れっきとしたロックバンド。エロックバンドです(笑)ああ、Tasselsも2回見ているなー。


「Burlesque」の世界って、クリスティナ・アギレラ主演で2010年に公開した格好良いアメリカ映画で初めて見たという人が多いかもしれない。いや一度も見た事なくてただのエロいショウと先入観持っている人の方が多いだろう。だけれども、これはれっきとしたエンターテイメント。すべては脱がず、ダンスや衣装、仕草、音楽、脱ぎ方の妙で構成される、とことんセクシーさと美しさを追求している芸術なのだ。

勿論、過去には単なるストリップショウと入り乱れ境界線が不明確になる時代が一度ならずあったらしい。その都度、生き残るのはストリップの方。バーレスクはストリップに吸収され存在意義が見出せなくなり下火となってきた。

それが映画公開の頃から再び、世界的に人気が広がりつつあるという。米国を中心にネオバーレスクとも呼ばれるムーブメントだ。

芸術と一言で言っても欧州と米国では、少し違う。アメリカはハリウッド、ラスベガス、ブロードウェーを誇るエンターテイメント王国。今回も必ずしも完全に脱がないことでストリップと一線を画す。だがそのステージは扇情的でセクシーだ。

対する欧州は、ムーラン・ルージュやクレイジー・ホース、オペラの地であり、アーティスティックであることが最優先。女性の裸も芸術的であれば認める。逆に下手に隠すことの不自然さを嫌う傾向もある。その代わり、最高峰のステージに立つ女性たちの姿は神々しいほど美しく芸術的。すべて脱ぎ去るのに逆にエロくない。

そんな欧米に送れて今、日本でもBurlesque Danceは着実に地歩を築きつつある。先日、東京新聞が裏1面で大きく「紫ベビードール」を取り上げたが、その主見出しは「女性に酔う女性たち」(←ここ後日書き足しました。新聞掲載は2015年2月)

そうなんです。いまやバーレスクショウの客の半数以上は女性なんだよね。男100%のストリップとどれだけ違うかが分かろうというもの。そして、日本バーレスク界の先輩たちが開くバーレスクのワークショップや教室には、今や沢山の女性たちが通っている現状。

男だけでなく、女性にこそいまバーレスクを見に来て欲しいね。特に紫ベビードールはメンバーを入れ替えながらも日本のバーレスク界を牽引する一方の雄といっても差し支えない存在感。現在は8人組の彼女たちのチームダンスは無茶苦茶楽しいから!!


おっと、今月は大きく音楽ライブブログを逸脱してますねー。たまには、こういうのもありでしょう。ではでは今月見た他のライブをおさらいして見よう。


   音譜   音譜   音譜

2日(水)<映画>「ホドロフスキーのDUNE」~「グランド・ブタペスト・ホテル」

3日(木)たをやめオルケスタ「紺碧レジーナ」レコ発ワンマン@六本木morph

4日(金)ROCK THE NIGHT AWAY vol.6 @下北沢 Mosaic
荒牧リョウ / 菅田紗江(転換アクト) / ペペサーレ / M'sh / Chelsy /シュガーパレード /

5日(土)ネクラロマンチカ ~写真室の誘惑~ 第5幕@吉祥寺 Star Pines Cafe
GAYA、紫ベビードール、Safi、タカダアキコ、TIDA、あさみ、Rice the frog mama、チャリーズ、E-chan

8日(火)<映画>「小川プロ訪問記」@渋谷ユーロスペース

9日(水)MIDWEEK BURLESQUE vol.12@渋谷 7th floor
The Tassels (日本初のバーレスクバンド)、奥野ヤスミン (エキゾチックダンサー)、Coco Flame、無花果姉妹、Violet Eva (紫ベビードール)

10日(木)ストロボカフェ5周年記念イベント@原宿 strobe cafe
保刈あかね / Asumi / オガワマユ / 文月メイ/

11日(金)ストロボカフェ5周年記念イベント#2@原宿 strobe cafe
郁彩 / ILU GRACE / keseran pasaran. / VOLOMUSIKS /

14日(月)SOUL FLOWER @代官山LOOP
ILU GRACE、湯澤かよこ、 Chihiro

15日(火)Welcome K3@池袋RUIDO K3
1845愛実 / esolagoto/Garden Curtain/HALVERT/monocloful
ダウン ダウン ダウン
斉藤麻里・荒牧リョウ 合同路上ライブ@新宿駅南口

17日(木)Life is Beautiful@代官山・晴れたら空に豆まいて
小玉哲也 / 1940優河 / 市川ミコル / 井上理香子
ダウン ダウン ダウン
Burlesque Restaurant@渋谷 Guinguette by MOJA
TASSELS (美和ロック、Be Tiny Tot、CoCo Flame、Rune Glitter)

18日(金)BEAT on the SPACE!! Vol.5 @渋谷eggman
Avaivartika / LAST MAY JAGUAR / Sugar on the Palette. / MUSIQUA

19日(土)ボリショイsuzumiki@六本木・新世界
ダウン ダウン ダウン
真夜中のヴァレンタイン・サマー@新宿LOFT
野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ、紫ベビードール、RIS

20日(日)いかついじょしかいすりーまんらいぶ☆@渋谷gee-ge
荒牧リョウ、菅田紗江、斉藤麻里

23日(水)Song of Journey vol.29 @赤坂Graffiti
愛実、あべさとえ、Selpico、世武

24日(木)岡林健勝企画~僕の命日~@高田馬場・四谷天窓
愛実 / ヒグチアイ / 岡林健勝 / あすか

26日(土)サザンビーチフェスタ2014@茅ヶ崎サザンビーチ
蘭華、工藤江里菜、ヤノヨシヤ、Sスパイシー、カロケ・メレメレフラスタジオ・トカリガ

28日(月)vagabond@南青山 MANDALA
Tiny Sun、けんたい!、中山真一

30日(水)vivivid voice vol.1 @渋谷gee-ge
琵奈子、ILU GRACE、健太康太、hal、The POO


   音譜   音譜   音譜

何ともバラエティに富んだラインアップだったなあ。

特筆ものは、まずはアルバム「紺碧レジーナ」を完成させた「たをやめオルケスタ」のレコ発ワンマン。いやー、アルバムが素晴らしいのは勿論なのだが、やはり女18人のビッグバンドのど迫力満点な演奏!女性だけとあなどることなかれ。ブラスが13本吹き鳴らされるステージから吹いてくるのは台風だ。あまりの激しさに心が沸き立ち、躍りたくなる。そんな音楽の祝祭空間を女だけで作り上げているのだから、もう嬉しくて、堪りません(笑)

それから、「いかついじょしすりーまん」!! 斉藤麻里、荒牧リョウ、菅田紗江。すげー楽しい取り合わせだよね。ともに攻撃性の高いシンガーソングライターだが、その攻め方は三者三様。斉藤麻里が太陽のような熱気で皆を躍らせれば、荒牧リョウは北風のような力技でぐいぐいと迫ってくる。そして菅田紗江は心の中に手を突っ込んでかき回してくる…。紗江ちゃんが一番若輩らしいが、なぜかトリを押し付けられてぶつぶつ文句言いながら素晴らしいステージで締めくくり、3人でのアンコールへという流れが良かった(笑)

あと、今月初めて見て気に入ったアーティストが一組。11日に見た「VOLOMUSIKS」だ。バンドだが、思わず立ち上がってステージに近づいて踊ってしまったほど。格好いい音楽センス、グルーヴ、半端ないね。今後が楽しみ。