音楽の話ではないんだけど今月、数年ぶりに映画を2本立てで見た。いやー、どっちも面白かった!
1本目は「ホドロフスキーのDUNE」。
これはチリ出身の映画監督、アレハンドロ・ホドルフスキーが1975年に作り始めながら、公開できずに終わった超大作SF映画「DUNE」を巡るノンフィクション。自ら企画し、壮大な脚本や構成を紡ぎ、出演者としてミック・ジャガーやサルバドール・ダリなど超大物を次々と口説き落とし、ピンク・フロイドに音楽を任せ、気鋭のクリエーター、デザイナーらを結集。歴史的SF大作「Star Wars」より何年も前に制作しながら、そのスケールは「Star Wars」をはるかにしのぐものだった。
この記録映画のなかで、徐々にホドロフスキーの映画の様々な構想が一つひとつ明らかになるにつれ、しかもそれが彼の超人的な執着で一歩一歩実現していく過程は、本当に興奮もの。大きなことを成す人間とは、大風呂敷と破格の行動力と信念を持つ者だと身にしみる。
そして2本目は「グランド・ブダペスト・ホテル」
ウェス・アンダーソン監督の代表作であり、その粋で華麗な映像が素晴らしい!東欧のかつては栄華を誇っただろう高級ホテルを基点に、事件に巻き込まれたコンシェルジュがヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走するミステリー。洒脱で、ウィットに富み、古きよきヨーロッパの魅力満載。見るべし!
さらに8日にはルポ映画「小川プロ訪問記」も見た。
自分が最も好きな映画作品のひとつが小川紳介監督の「1000年刻みの日時計 牧野村物語」。それは壮大な、民俗学的な叙事詩だ。小川監督とその仲間たちは山形県の山奥に住み着き、自ら手がける稲作の様子や寒村の人々の語りを何年間にも渡ってフィルムに収録、制作に13年間を費やした。その中から自然と稲作と共に千年を超す歴史を刻んできた日本と日本人を解き明かすという壮大な試みが結実した傑作だ。
その小川監督と仲間たちを、当時、ヌーベルバーグの旗手と呼ばれていた大島渚氏が訪ねる大重潤一郎監督のルポ映画が「小川プロ訪問記」だ。まさに牧野村物語を撮影していた小川紳介らにその狙いや映画のあり方、撮影手法などを忌憚なく問いかけていく。それに能弁な小川が延々と映画論を語っていく。それは娯楽重視のハリウッドやテレビ局主導映画へのアンチであり、権力者によって語られる歴史への懐疑であり、そして科学的アプローチと民俗学の融合なのだ。そのことがありありと語られていく。ドキュメンタリーなので落ちもドラマもないが、痛快だった。
傑作映画たちも良かったが、もちろん音楽ライブがなければ自分じゃない。NO MUSIC, NO LIFE!
今月、一番多くステージを見たアーティストは、3回の荒牧リョウとILU GRACE、愛実。2回は菅田紗江、斉藤麻里、そして「紫ベビードール」だ。けっこうバラバラ。紫ベビードールに至っては、バーレスクダンスチームだしね。
いやー、それにしても最近、バーレスクにはまってまして(汗)
7月は5,9,17,19日がバーレスクナイト。まあ19日は音楽バンド「野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ」企画イベントでしたが、ゲストがまたまた紫ベビードール(藁)
それに9日のバーレスクイベントに出演した「Tassels」は、メンバー全員がバーレスクダンサーといえ、れっきとしたロックバンド。エロックバンドです(笑)ああ、Tasselsも2回見ているなー。
「Burlesque」の世界って、クリスティナ・アギレラ主演で2010年に公開した格好良いアメリカ映画で初めて見たという人が多いかもしれない。いや一度も見た事なくてただのエロいショウと先入観持っている人の方が多いだろう。だけれども、これはれっきとしたエンターテイメント。すべては脱がず、ダンスや衣装、仕草、音楽、脱ぎ方の妙で構成される、とことんセクシーさと美しさを追求している芸術なのだ。
勿論、過去には単なるストリップショウと入り乱れ境界線が不明確になる時代が一度ならずあったらしい。その都度、生き残るのはストリップの方。バーレスクはストリップに吸収され存在意義が見出せなくなり下火となってきた。
それが映画公開の頃から再び、世界的に人気が広がりつつあるという。米国を中心にネオバーレスクとも呼ばれるムーブメントだ。
芸術と一言で言っても欧州と米国では、少し違う。アメリカはハリウッド、ラスベガス、ブロードウェーを誇るエンターテイメント王国。今回も必ずしも完全に脱がないことでストリップと一線を画す。だがそのステージは扇情的でセクシーだ。
対する欧州は、ムーラン・ルージュやクレイジー・ホース、オペラの地であり、アーティスティックであることが最優先。女性の裸も芸術的であれば認める。逆に下手に隠すことの不自然さを嫌う傾向もある。その代わり、最高峰のステージに立つ女性たちの姿は神々しいほど美しく芸術的。すべて脱ぎ去るのに逆にエロくない。
そんな欧米に送れて今、日本でもBurlesque Danceは着実に地歩を築きつつある。先日、東京新聞が裏1面で大きく「紫ベビードール」を取り上げたが、その主見出しは「女性に酔う女性たち」(←ここ後日書き足しました。新聞掲載は2015年2月)
そうなんです。いまやバーレスクショウの客の半数以上は女性なんだよね。男100%のストリップとどれだけ違うかが分かろうというもの。そして、日本バーレスク界の先輩たちが開くバーレスクのワークショップや教室には、今や沢山の女性たちが通っている現状。
男だけでなく、女性にこそいまバーレスクを見に来て欲しいね。特に紫ベビードールはメンバーを入れ替えながらも日本のバーレスク界を牽引する一方の雄といっても差し支えない存在感。現在は8人組の彼女たちのチームダンスは無茶苦茶楽しいから

おっと、今月は大きく音楽ライブブログを逸脱してますねー。たまには、こういうのもありでしょう。ではでは今月見た他のライブをおさらいして見よう。



2日(水)<映画>「ホドロフスキーのDUNE」~「グランド・ブタペスト・ホテル」
3日(木)たをやめオルケスタ「紺碧レジーナ」レコ発ワンマン@六本木morph
4日(金)ROCK THE NIGHT AWAY vol.6 @下北沢 Mosaic
荒牧リョウ / 菅田紗江(転換アクト) / ペペサーレ / M'sh / Chelsy /シュガーパレード /
5日(土)ネクラロマンチカ ~写真室の誘惑~ 第5幕@吉祥寺 Star Pines Cafe
GAYA、紫ベビードール、Safi、タカダアキコ、TIDA、あさみ、Rice the frog mama、チャリーズ、E-chan
8日(火)<映画>「小川プロ訪問記」@渋谷ユーロスペース
9日(水)MIDWEEK BURLESQUE vol.12@渋谷 7th floor
The Tassels (日本初のバーレスクバンド)、奥野ヤスミン (エキゾチックダンサー)、Coco Flame、無花果姉妹、Violet Eva (紫ベビードール)
10日(木)ストロボカフェ5周年記念イベント@原宿 strobe cafe
保刈あかね / Asumi / オガワマユ / 文月メイ/
11日(金)ストロボカフェ5周年記念イベント#2@原宿 strobe cafe
郁彩 / ILU GRACE / keseran pasaran. / VOLOMUSIKS /
14日(月)SOUL FLOWER @代官山LOOP
ILU GRACE、湯澤かよこ、 Chihiro
15日(火)Welcome K3@池袋RUIDO K3
1845愛実 / esolagoto/Garden Curtain/HALVERT/monocloful



斉藤麻里・荒牧リョウ 合同路上ライブ@新宿駅南口
17日(木)Life is Beautiful@代官山・晴れたら空に豆まいて
小玉哲也 / 1940優河 / 市川ミコル / 井上理香子



Burlesque Restaurant@渋谷 Guinguette by MOJA
TASSELS (美和ロック、Be Tiny Tot、CoCo Flame、Rune Glitter)
18日(金)BEAT on the SPACE!! Vol.5 @渋谷eggman
Avaivartika / LAST MAY JAGUAR / Sugar on the Palette. / MUSIQUA
19日(土)ボリショイsuzumiki@六本木・新世界



真夜中のヴァレンタイン・サマー@新宿LOFT
野佐怜奈とブルーヴァレンタインズ、紫ベビードール、RIS
20日(日)いかついじょしかいすりーまんらいぶ☆@渋谷gee-ge
荒牧リョウ、菅田紗江、斉藤麻里
23日(水)Song of Journey vol.29 @赤坂Graffiti
愛実、あべさとえ、Selpico、世武
24日(木)岡林健勝企画~僕の命日~@高田馬場・四谷天窓
愛実 / ヒグチアイ / 岡林健勝 / あすか
26日(土)サザンビーチフェスタ2014@茅ヶ崎サザンビーチ
蘭華、工藤江里菜、ヤノヨシヤ、Sスパイシー、カロケ・メレメレフラスタジオ・トカリガ
28日(月)vagabond@南青山 MANDALA
Tiny Sun、けんたい!、中山真一
30日(水)vivivid voice vol.1 @渋谷gee-ge
琵奈子、ILU GRACE、健太康太、hal、The POO



何ともバラエティに富んだラインアップだったなあ。
特筆ものは、まずはアルバム「紺碧レジーナ」を完成させた「たをやめオルケスタ」のレコ発ワンマン。いやー、アルバムが素晴らしいのは勿論なのだが、やはり女18人のビッグバンドのど迫力満点な演奏!女性だけとあなどることなかれ。ブラスが13本吹き鳴らされるステージから吹いてくるのは台風だ。あまりの激しさに心が沸き立ち、躍りたくなる。そんな音楽の祝祭空間を女だけで作り上げているのだから、もう嬉しくて、堪りません(笑)
それから、「いかついじょしすりーまん」

あと、今月初めて見て気に入ったアーティストが一組。11日に見た「VOLOMUSIKS」だ。バンドだが、思わず立ち上がってステージに近づいて踊ってしまったほど。格好いい音楽センス、グルーヴ、半端ないね。今後が楽しみ。