音楽偏遊 -26ページ目

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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大島圭太presents “情熱音泉劇場”年末SP!!『第一回!!規制のない紅白歌合戦2011』@新宿Naked Loft
出演:荒牧リョウ →代々木原シゲル →めおと楽団ジキジキ →井上卓 →アサダマオ →モアリズム →木製の椅子 →大島圭太
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2011年も数多くのライブを見てきたが、実質的な見納めとなったのが、この「規制のない紅白歌合戦」。いやー、かなり濃厚な、ディープなイベントで、そのサブカル度の高さに慄き震えたね。

この夜、gee-geではチャンベビやRihwa、小柳ゆかり、杉恵ゆりからが競演しており、Star Loungeのイベントも行きたかったのだが、それでも今夜ここを選んだのは、荒牧リョウが久々に登場するからだ。それに、代々木原シゲルやアサダマオもいて、youtubeで見た「めおと楽団ジキジキ」が面白すぎた。ここに来たのは、ある意味大正解だったね。

オープニングセレモニー&開会宣言からしてぶっ飛んだ。

「マグナムひろき」という、まるでカルト宗教の一員のような自称、歌う哲学者が登場。上半身裸で叫ぶように、世の中への怒りをぶつける歌?を絶叫。「死にたきゃ死ね、生きたきゃ死んだ気で生きろ!」という彼の絶句で開会を宣言した。

映画監督の西川美和さん、歌謡ボイスなんとかの面影春夫(who?)、Naked Loftの小林タケオの3人を審査員に紅組、白組が交互に歌っていくのだが、その歌は絶叫からブルーズ、ジャズ、ロックとまったく統一感なし。出演者も戸惑うほどの振れ幅で、まさに一夜のカオスだった。


そのなかで、1番手に登場したのが荒牧リョウだ。

明らかに前より痩せているが、試合に臨むボクサーのように引き締まっている。うん、思ったほど弱ってない。後で聞いた話では、ジムでかなり鍛えているらしい。筋肉は間違いなく前よりついている。

ただ、こんなお祭りイベントに登場したのにもかかわらず、相変わらずトークは一切なし。張り詰めた表情のまま、歌うことに専念。あのラストライブの姿を思い出す。

歌い出せば彼女のビートの利いたロックな声は、やはり健在。ただ今夜の客は、誰を見に来たかによって一人ひとり違うものを求めている様子で、会場のベクトルをステージに向けさせるのはかなり難しい。そんな状況で、歌うのも久々の彼女の力を込めた歌も、どこか空転ぎみ。

これが全盛期なら、そのグルーヴとパンチで、ガーッと注目を集めて客をのせてしまうのだが。そんな彼女のステージを何度も見ているだけに、歯がゆい。彼女自身も、心の整理がつかない中で歌っている様子が透けてみえる。

ただ、歌っていく内に、段々と調子が上がってくるのがわかる。一番最後に歌った「I Just Say」は、魂もこもっていた。そして、「I just say Good-bye」というサビのフレーズには思わず泣けてくる。このフレーズに今の彼女がこめた万感の想いを想像し、あのラストライブの時の感傷も甦る。

1)タカラモノ
2)1,2,3,4
3)Winter Running
4)I Just Say

白組の対抗馬は代々木原シゲル。絶好調なときの荒牧リョウなら、この若手シンガーソングライターの若大将に引けを取らないのだが、この日に限ればやはり、代々木原シゲルに軍配があがるのは致し方なしか。

彼は熱く、ストレートにその想いをぶつけてくる。高らかに現在のJ-POPの軟弱さを風刺し、人の情を弾き語りのフォークで抉り出す。その歌には魂を揺さぶるパワーがみなぎる。いいアーティストなのだ。

第2回戦は「めおと楽団ジギジギ」対「井上卓」だ。

めおと楽団ジギジギは、浅草の演芸界のベテラン。そのつかみや笑いを取る技は、普通の音楽だけやってるアーティストでは全く太刀打ちできるものではない。今夜もその音楽技芸で、会場を一瞬にして笑いの場に変えた。しかも、実は歌唱力や声量でも圧倒的な実力の持ち主だからすごい。

うーん、百聞は一見にしかず。以下が今夜も歌った「ウラワー」などのyou tube映像だ。


ちなみに、今夜の最後には、得意歌メドレー(トルコ行進曲~寅さんの主題歌~ビューティフルサンデー~笑点)でピアニカ頭弾きの絶技も飛び出し、会場は大うけ。ぎゅうぎゅうの客席の中をぐるぐる回り、見事に注目を集めた。

一方の井上卓は、絶叫し原発問題への批判を叫び、鬼ごろしの焼酎をあおり、観客席に飛び込み、ハチャメチャ。ある意味で凄いが、個人的には聞き苦しい。


3回戦はブルース対決ということで「アサダマオ」対「中村(モアリズム)」が対決。

いつもはあれほどの爆発力を持つアサダマオだが、今夜は借りてきた猫のように大人しい。どうしたアサダマオ!昔むかーし、結婚するずっと前に大阪のライブハウスで、井上卓と出会いずっと憧れていたとかステージで告ってたが、そのせいか(笑)

一方のモアリズムのボーカルのソロライブは、格好よく大人の雰囲気を醸し出して、女性ファンをはじめ多くの客を魅了していた。個人的には伊太刀山伝兵衛さんや、龍之介、木村充輝とかのブルースの方が好きではあるが。


4回戦のトリ対決で紅組から出てきた「木製の椅子」は、とてもスタイリッシュでジャジー。素敵な女性ボーカルが奏でる大人のムーディな空間は、いつまでも浸っていたくなる。荒牧リョウを除くと、今夜、一番気に入ったグループだ。

そしてオオトリは大島圭太。熱く、そして彼なりのスタイルで、音楽をお客さんと一緒に楽しもう、というサービス精神にあふれている。繊細さはないですが(笑)

最後は「ビール片手に」を、お客さんと一緒ににぎやかに歌って、大いに盛り上がる。歌の中でに「ビール片手に、おーっ!」と客席と一緒に盛り上がる。

最後は出演者全員をステージに上げて、賑やかに終演。うーん、濃いイベントだったなあ。

その後はカオスな打ち上げ飲み会に突入。リョウちゃんや、青森から来た彼女のファンの方などといろいろ話す。まだまだ大変な様子。彼女の怒りややるせなさ、交差する絶望と希望に、完全復活が簡単ではないと改めて認識する。彼女自身もどこに進めるか、まだ予断を許さない状況なのだ。

ただ、霧が晴れさえすれば、彼女は動き出すだろうことは分かった。そのための体制も整えているのだと思われた。早くその日がくることを、僕は祈ってやまない。





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「月刊ノマド2011ファイナル」@代官山NOMAD
出演:安里麻紀 →すとう舞 →高橋あすか →キョロザワールド
→ひなたなほこ →ヒグチアイ →斉藤麻里
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3月から始まった2011年度の月刊ノマドも、いよいよ本日がファイナル。エントリーしたこの7人のシンガーソングライター達は、毎月ノマドに1度は出演して新曲を披露しなければならないという苦行?いやチャレンジに挑んでき。そしてついに、今夜がその最後。

色々と感想はあるけれど、やはり最後の2人には圧倒されたね。ヒグチアイは、これっぽっちも立ち止まる気はなく突き進む姿勢を見せ、斉藤麻里は堂々と盛り上げ、今夜のクライマックスを演出してフィナーレを飾った。素晴らしかった。

ほかの5人も個性を存分に発揮、1年の集大成を見せていたと思う。特にキョロザワールドの曲はスケールの大きさとその豊かな世界観に戦慄した。

これだけのタレントが揃い、しかもその軌跡を追っかけてきたファンにとっても見逃せないファイナルとあって、お客さんの数も半端ない多さ。それを見越して、店もテーブルをすべて下げ、ぎっしりと椅子を約60席並べたが、軽く埋まって10人以上の立ち見客も。お客さんも入れ替わりで出入りしていたので、のべ100人近くは来場したのではないかな。開場前、お客さんの列は3階から1階にまで続き、その先も折り返し伸びていったとか。

むんむんの熱気の中、1番手の安里麻紀からライブはスタート。それぞれ5曲程度ずつ歌い継いでいく。安里は、やや幼い声ながら、どこか脆さを感じさせる大人の魅力もある。その歌は、声が伸びやかで、広がりがあって結構好きだ。

特に今夜は、バラードの「アルタイル」が良かった。彼女も大切に歌っており、心がこもっていた。音譜夏の空を眺めていたの かける橋を渡る日を待ちながら たどり着けるように 光に祈りながら いつだってあなたを心から思っています音譜というサビで、たまらなく愛おしさを感じる。何に対してなのか、よく分からないが。

<セットリスト>
1)丸と四角
2)shine
3)アルタイル
4)ボーダーライン
5)恵み(新曲)

2番手のすとう舞と3番手の高橋あすかは、出番中ちょっと外に出ていて聞き逃す。

で、4番手のキョロザワールドから再び中へ。

キョロちゃんのすごいところは、語り出した途端に彼女の世界観で会場の彩りを一新してしまうところ。「歌う詩人」と呼ばれるだけあり、そのMCはまるで詩を読んでいるように、すてきな表現と軽やかな音韻に満ちている。そして、その歌は力強く、深く広い世界観に聞きほれてしまう。

彼女は一曲、一曲、歌う前に詩のような言葉をつぶやく。まるで、子ウサギのようにふわふわで小さくて繊細な言葉はまるで、アリスの魔法の世界へのトンネルのように、どこか懐かしい異次元の世界に連れ去られる。

それでいて歌は結構激しく、アップテンポで痺れる。この日も、冒頭の「君の望む世界」から音譜おーい、おーい、おーい音譜とコール&レスポンスでお客さんをのせて、いつのまにか彼女の世界にどっぷりとはまってしまった。それが心地よい。

そして2曲目の「それが愛なら」がまた、スケールが大きいのだ。始まりでは「愛」という身近なテーマを歌いながら、その壮大な情景描写や心に引っかかるメロディラインと詩が、頭の中に響き、世界と愛と恋人と自分が渾然と交じり合うような感覚にとらわれる。すごい。

その中でも今夜、7人のすべての曲の中で最も感動したのが、「夜は朝をつれてくる」だった。音譜夜は朝をつれてくる 朝は希望をつれてくる 願いは必ず届くから 光は届くから 信じることをやめないで~地球はまだ生きてる 僕らは生きてる 信じることをやめないで 僕が消えても 誰も気づかない そんなことはないよ 大丈夫 僕らは明日へ向かってる 肩を抱き合ってく 一人じゃない朝がくる音譜 彼女の熱唱に涙が出てくる。 

キョロザワールドはメロディも詩も素敵だから、CDで聞くのも良いが、やはり彼女という存在の質感を感じられるライブで聴くと、格段に感動するね。素晴らしいアーティストだ。

<セットリスト>
1)君の望む世界
2)それが愛なら
3)君のことを信じているだけさ(新曲)
4)夜は朝をつれてくる
~詩の朗読~「僕がうたを歌えるのはいつも君が~音楽は衝動だ!」
5)しるし

5番手は宴会部長(笑)のひなたなおこ。世界観という点では、キョロちゃんとは全く異次元の彼女にしか作れない空気を持っている。彼女がステージに上がると、途端に太陽の光が降り注いだような暖かさと幸せ感に包まれるのだ。彼女の笑顔を見ていると、何でも許してしまいたくなる。その愛らしい性格と、幸せに満ちた笑顔は、これをハッピーと言わず何をハッピーというんだ、とさえ思えてくるから不思議w

その上、彼女には秘密兵器がある。キーボードのいっくんだ。MJこと、もじゃもじゃ頭の彼の明るいノリと、実はすごい鍵盤プレイが、彼女の歌とステージをもり立てる。ひなっちゃんは歌というより、そのステージングこそが見もの。「ないない」とか、自分で仕掛けてお客さんに「ないない」と手でバッテンを作らせ、「落ち込むな~」とみせる笑顔がかわいいよね。

そのちょっとした表情、視線、手の動きで様々なシーンを描きだし、感情を伝えてくる。ほんと、アクターやなあ。いや実際、もともとは女優志願で舞台やっていたというし、今でも彼女の企画イベントは演劇的な要素が強いんだよね。歌を聞かせるというより、舞台で魅せる。その才能は素晴らしい。歌唱力だけ取り出したらイマイチ(ごめん)なんだけど、そのステージはすごく見たいと思わせるのだから。

<セットリスト>
1)Nai Nai
2)チェリーボーイとパスタさん
3)NO MAP(新曲)
4)0(ゼロ)
5)ドングリ

ちなみに彼女が月間のまどのために作った曲は、タイトルが先行。曲名の最初を、NOMADの5文字を左から右へ、そして右から左へと順番に決め手いったもの。1曲目は「Nai Nai」で、Dで「Dongri」やOを0(ゼロ)と歌ったり。そして10ヶ月目の最後に、「NOMAP」地図なき世界のNで見事彼女の月刊ノマドは完結したわけだ。

タイトル先決めという閃きで曲作りで少し楽をしたはずの彼女だが、それでも毎月新曲を披露しなければいけないことには結構苦労した、と独白してた。「もうやりたくない」と泣いたアーティストもいた。産みの苦しみって、自分の仕事を考えても大変なことなのだと分かる。それだけに今夜のファイナルで、最後の10曲目の発表に辿り着いた、充実感や解放感はひとしおだったろう。多くのアーティストの顔にそんな表情が浮かんでいて、ちょっと感動的だった。


ところが6番手で登場したヒグチアイは、他のみんなとかなり違う姿勢をみせつけた。

なんと今夜歌った全5曲すべてが新曲だった!(正確には、最初の曲は昨日初発表した曲だが)。ファイナルで皆が力尽きたと言っているところ、彼女はこれっぽっちじゃ物足りないわ、と言わんばかりに、ファイナルのこの日のために5曲も新曲を書いてきたのだ。すごい!

しかも、新曲の一つ一つが濃い!彼女の野太い歌唱と相まって、それぞれエッヂが立ったインパクトある曲に仕上がっているのだ。

先月のワンマンへ向けてこの1年間、身も心も傾けてきたばかり。年末にかけてライブの本数も無茶苦茶多いなか、少し気を抜いても良さそうなもの。新曲ノルマは1曲なんだから、それで十分と自分を甘やかしても、誰も文句はないはず。だが、彼女はけっして立ち止まる気などないぞという強い姿勢で望んでいた。前へ、前へ。今の彼女は、どこまでも進軍していかなければ、納得できないのだろう。昨日の自分はすでに過去、どれだけ高く評価されていても、明日の自分は常に前進しなければ勝ち得ないと思っているのだ。「永遠のウォーカー」として。

そんな彼女にも種々の悩みや壁があろう。それでも、ただひたすらに前進できる、それだけで天才といえるかもしれない。今夜は初めて、そう認識した。彼女は、単なる才能と声に恵まれた歌い手で終わる人間ではないのだ。

MCではこう語った。「月刊ノマド終わっても寂しくない。だって毎月曲を書いて、ファンの前で発表することは、当たり前にやるべきことだと思ってるから。最後とか気にすることはない。これからもノマドに出演するし、一緒にやってきた皆とも共演していくし、どんどん新曲を書いていくのだから」と。くぅー、なんか泣けるな。

<セットリスト>
1)くだらない歌と誰かの毎日
2)曲線と直線
3)2番目のボタン
4)ツンデレ
5)さっちゃん

そんな今夜の新曲オンパレードは、それぞれ特徴がある曲調で面白かった。1)は、「村田直樹と申します」の続編のようなポップさと、軽妙な歌詞で楽しい。2)は音譜愛してる、愛してる、巡る季節も1秒さえも音譜と切々と歌い上げる歌詞に、いまの彼女のテーマが表現れていた。3)は、2番目のボタンが無くなった、君にもらった大切にしていたセーターをもう着れない、とボタンに借りて、彼女の詞で頻出する「別れ」を強く印象づける佳作。

この後のトークからの展開が、また笑えた。ひなたなおこのステージの後だし「みんな盛り上がりたいのだろうに、私のステージでは盛り下げて申し訳ない」から、「みんなを盛り上げさせてあげたい」と作ったアッパーな曲を歌うと宣言。ヒグチアイ史上初めて?珍しく手拍子を求める。

そして前奏で紹介した曲名が「ツンデレ」。会場から爆笑。この自虐的なところ、Mか(笑)彼女はテンションの低いトークとライブ中の仏頂面に定評?があり、しかも楽曲が激しく緊張感の高いマイナーコードが多いから「ツン」キャラとしてよく突っ込まれている。それだけに、自分から「デレ」もあるのよ、って歌うところが楽しい。

本人もこの曲を歌っている間ずっとニタニタしていて、この日、一番楽しげ。そうやって笑顔を浮かべているのも、いいよ。

新曲シリーズのラストは「さっちゃん」でまた笑いを誘う。前奏からして、♪さっちゃんはね、幸子っていうんだ本当はね~♪だから、一体こいつは何を歌い出すんだ?とお客さんの注意をひく。そこから、一気に自分のオリジナルの、しかも説得力ある歌にしてしまう辺りはさすがの力技。めきめきと、ステージを盛り上げる技を身に付けつつあるなあ。

新曲ばかり5曲だったが、中にクオリティの低い曲が混ざっていた訳ではなく、十分に金を取れるステージだった。プロ意識を持ちながら演奏する彼女は、すでに上のステージへ狙いを定めているのだろう。


そして、そんなヒグチを上回るエンターテイナー性で、10ヶ月の長きに渡った月刊ノマドの艦尾を見事に飾ったのが、トリの斉藤麻里だった。

ノマドが彼女にフィナーレを託したのも納得。むしろ、今夜の7人のうち、これだけの大団円を演出できるアーティストは彼女をおいていなかったろう。

今夜はいきなりの「ダイブ」で一気に高いテンションに。しょっぱなからのコール&レスポンスに、今夜のお客さんは当然のようにみんな大声でついていく。この日、このノマドに集まった面々は皆コアなファン層だからね。

そして月刊ノマドで作り、先日のバースデーワンマンで発売した一人でできたもん新アルバム「ひとり旅」にも収録した「モンスター」「魔法のバンドエイド」、月刊ノマドCDに収めた「また会いましょう」と歌い継いでいく。彼女の歌は熱いんだよね。声だけならヒグチの方が強いんだけど、斉藤麻里は全身全霊、すべてを歌にのせてくるような躍動感と力強さがある。それは持ち味の違いなのだが、麻里ちゃんはより一緒に歌いたいと思わせてくれる。そして歌わせてくれるのだ。

最後は今年の彼女を大きく飛躍させたといえる「メロディ」だ。この曲を通じて、今年何回、彼女と、そしてお客さんみんなと一体感を感じたことか。その興奮は、素晴らしい思い出として一つ一つが、聞くものそれぞれの中に刻み込まれたと思う。

今夜もサビはノマドにいる全てのお客さんが、一つになって大きな声で麻里ちゃんと歌った。音譜今、この瞬間に 世界のどこかで命が生まれる そうその産声は切なくて暖かなメロディ音譜と。

<セットリスト>
1)ダイブ
2)モンスター
3)魔法のバンドエイド
4)また会いましょう
5)メロディ
en.新曲(曲名は?)

大きな拍手に送られステージを降りた彼女(+ギターサポート三井真一、イェー)は、再び盛大なアンコールに応えて舞台に登場。「いやー、アンコールがなかったら月間ノマドの最後の新曲を発表できず、終わらないところだったよ」と笑いを誘って、アップテンポで高揚感のある最後の新曲に。タイトルは未定らしいが、テーマは「感謝」だ。

途中で、ノマドのスタッフひとりひとりの名前を呼び「ありがとう」という即興の歌詞も挟み、お客さんにも「ありがとう」と歌う。そして間奏で、出演者をみなステージに上げて、最後は全員で一緒に歌い上げる。今年の月刊ノマドを見てきたお客さんも気持ち良く10ヶ月を締めくくりたかったことだろう。そんなみんなの空気をよく読んだ(笑)、いい曲だった。

2011月刊ノマド出演のみなさま、ハレルヤ!!    


この10ヶ月に各々が発表した新曲の中から、録音バージョンとライブバージョンの各2曲、7人で計14曲を収めたコンピレーションアルバムも、今夜発売に。本日は入場料にそのCD込みで1500円という超お得料金。明日以降は500円で販売される。さっそく、何度も聞いています。とてもいいよ!

ちょっと時間できたので、ぶらり渋谷・七面鳥へ。今宵はチャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンだ!

ツーマンなので、たっぷり聞けるぞと期待に胸膨らませ、円山町の最もいかがわしい(笑)エリアに潜入。一組めが終わる前に扉を開くと、そこはほとんどステージ上。開けた目の前でベースが爆音演奏中。こ、これは入りずらい。躊躇してると、店長?が中へ導いてくれた。演奏の真横を人が入退店するレイアウトなのか。爆音ならいいが、アコースティックな出演者には迷惑このうえないね。

演奏してたのは、高校生バンドとして注目のヘンリーヘンリーズ。60-70年代風ロックで、とにかく勢いだけは凄い。無茶苦茶に跳ね返っていて荒削りだけど、ドントラストオーバー30!と叫び出しそう。高校の学園祭では受けるだろうなw

対してチャランボ。全くありえないようなツーマンの組合せで笑える。共通点はボーカルがどちらも18歳そこそこって所か。そう捕らえれば、今夜はフレッシャーズナイトなのか。ふむふむ。

そうこうしている内にチャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンの登場だ。ヘンリーズ目当ての若い女の子たちが何人か帰ったが、その3倍以上の、目の肥えた大人たちが次々と来店。七面鳥は超満員に。

今夜、問題があったとすれば、それはボーカルももちゃんがアレルギー性喘息になり、声が酒焼けで嗄れた
40代のようだったこと。大変な事態だ。先日までの名古屋~関西ツアーで移動に使った車が物凄く汚く、何日間も乗ってる間に吸い込んだカビやほこりが、原因にチガイナイ、と小春ちゃんも憤慨しきり。

だが、ももちゃんは凄かった。いつにも増して、素晴らしいエンターテイナーぶりを発揮。結果として、無茶苦茶たのしい、充実のライブになったのだから。

一曲歌う度に吸入器で強い消炎薬を吸い、水を飲みのみだったが、最後までしっかり歌い続けた。客席の中にまで度々進出し、お客さんをいじり、台にのり熱唱し、さらに客席のテーブルに足をかけ、聴衆の熱をこれでもか温め直す。その呼吸の見事なこと。ヘンリーズの煽りが高校生のものなら、ももちゃんのそれはまさにプロ魂だ。

多くのミュージシャンたちが、この日もお客さんできていた。沢山の大人の対バン相手からも、とても愛されている。それは単に彼女たちが若く面白いからってだけではない。日本でも指折りのアコーディオン奏者の小春と、若干18歳ながら大人びた昭和歌謡を見事に歌いあげるももちゃんを、レスペクトしてるのだ。その音楽と、周到に作り上げたパフォーマンス、そしてツボを心得たステージングの妙。一流のエンターテイナーと認めてるのだ。

映像は今夜のものではないけど、こんな感じ↓


また、今夜は久し振りにカンカンバルカン勢揃い。そのサックス2本とトランペットのブラスの勢いや、掛け合いの妙も楽しい~岡音譜P、とんちゃん、ごまちゃんの3人のフロントブラスと、チューバにドラムを加えて、チンドン屋のような音色からロシア民謡まで(て、想像つかないよな、笑)、実にワクワクしてくる。

今夜は「ダブルブッキング」などの新曲も発表。それって実話!メンバー一人一人が懺悔していく試みも楽しいぞ。「ムスタファ」は当然のごとく、大いに盛り上がり、あの曲ではお客さんに突っ込みまくり。ももちゃんにメガネとられて、頭なでられて、みんな嬉しそうw



最後は大きなアンコールの拍手もあり、メンバーみんなが存分にソロを吹いた後は、ブラス3人がずいずいと前に出てきてクライマックス。いやー、楽しかったでよ。

ほんと、いつもチャランポは期待以上のパフォーマンスで魅了してくれる。そんな彼女たちは年内まだ10本ほどライブをやる予定だ!連日連夜!!年末を楽しい気分で過ごしたいなら、チャランポはうってつけだよv

ももちゃん、あまり休めないようだけど、早くのどを治してね。