音楽偏遊 -18ページ目

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

-------------------------------------------------------------------
「下北沢CAVE-BE 10周年感謝祭 EP.1 IN 渋谷O-WEST」
出演:ECCHU →HOCCO →ザ・クレーター →BANANA CLUTCH →ヒグチアイ →CLUB No.6
-------------------------------------------------------------------
下北沢のライブハウスCAVE-BEが開業10周年。自分たちで企画制作からPAまで担い、記念ライブをO-WESTで開いた(CAVE-BEでも同時開催)

わざわざ、渋谷の大箱を使ったのは、CAVE-BE常連の中にいる大キャパに相応しい出演者たちに是非、ビッグなステージに立ってもらいたいという親心であり、アピールでもあったろう。スタッフ自身も大きな箱でやってみたかったに違いない。

500人規模の箱は未体験という出演者も多く、そのステージに立てることに緊張と喜びを素直に表していた。ただ大きな箱で効果的な音をどう作るか、PAは不慣れだったのか少し残念だったが、それでも出演バンドに実力があり、感謝祭は大いに盛り上がった。成功だったのではないか。

特に男性スリーピースバンドのBANANA CLUTCHは若さに溢れ、演奏力もあり、アメリカンロックなテイストたっぷり。はじけていてノリノリ。ボーカルが帰国子女なのか、英語の歌詞の曲もよく、発音も様になっていて、格好よかった。若いが、今夜出たバンドの中で1番気に入った。

総合的には、大人のステージで、シンセ音を効果的に使ったクラブミュージックで縦横無尽に盛り上げたCLUB No.6がさすが。ボーカルの煽りやステージングも上手く、多くのファンが彼ら目当てに駆けつけ、会場も沸いていた。

そんなバンド達に挟まれる違和感と、初めての500人級の大箱に挑む気負いがあったかどうか、分からないが、ヒグチアイも魅せてくれた。

他のバンドに負けず、まずはバンドでがつんと行くかと思いきや、意表をついた一人弾き語りの「さっちゃん」から。ところが不幸なことに、接触の問題か、向かって左のスピーカーの音が切れ、彼女のボーカルがよく伝わらない。

「さっちゃん」は一遍のストーリー。最初から歌詞を追っていないと、終盤の「正ちゃん、あなたが初恋~」というくだりの感動が分からない。終盤になって、ブチっといって、スピーカーの音が聞こえるようになり、ようやくヒグチアイらしい声が聞けるようになったが、ストーリーが聞いている人に伝わっただろうか。

彼女自身の歌い方にも迷いがあった感じ。天井が高く、幅も広いO-WESTのステージから見た会場は、きっと広いことだろう。大きな声を出さないと届かないのではないか、と思ってしまう。ロックバンドなら、最初から力任せに全開で歌えばいいのだろうが、表現で聞かせる弾き語りには、大きな箱は難しいだろう。力任せでは台無しだが、かといって抑えた声で十分行き渡るのか心配にもなる。そこはPAが信じられるかにも懸かってくる訳だが、このステージで十分なリハを積み、信頼も醸成できていたのかな。慣れぬ会場で、歌手もPAも戸惑いが残ったのではないか。

それでも続けて一人で弾き語りした「黒い影」では、ヒグチアイの歌力を存分に見せ付け、客席が息をのんで聞き入っていたのが、肌を通して伝わってきた。歌は粗かったが、ギターやドラムなしにその声と鍵盤だけで、あそこまでの緊迫感をお客さんに感じさせられるアーティストはそういないだろう。

貰った機会に、弾き語りが大箱に通用するかのテスト、彼女自身はどう捕らえたろう。きょう強弱の表現や声の持っていき方などなど、沢山学んだに違いない。次のステップへそれをどう生かすかだ。

3曲目にはバンドを入れて「ココロジェリーフィッシュ」。前奏でピアノの高音のアルペジオのようなくだりから始まると、ぞくっとくる。そこからボーカルが入り、そしてギターやドラム、ベースが入ってくるのだが、ギターの音が大きすぎてバランスが悪い!最初の抑えたボーカルの入りから、ドンとバンドが入ってぐんと迫力を増すところが、ヒグチアイのバンドライブの楽しみなのだが、ギターが大きすぎてヒグチアイの声が相対的によく聞こえない。

なんだかんだいってヒグチアイのステージは、やはりボーカルが主役でなければいけない。きっとPAも慣れぬ会場ということもあり、どういう音を作れば、彼女の歌をもっとも効果的に聞かせられるか試行錯誤だったのだとは思うが。

それでも「東京」は、やはり彼女のの思い入れが違うのか、詩の言葉一つ一つから鮮明なイメージが伝わってくる。惜しいのは、Aメロで抑えて抑えて歌っているときの叙情性が、今夜は上手く伝わらない。なぜか「持っているのは320円~」辺りで十分に引き込まれないのだ。でも、サビにくると、この曲を血肉にしているだけあって、彼女の想いが表現できていたと思う。

最後は「メグルキオク」。彼女の持ち歌のなかで、バンドに一番合っている曲だと思う。ただ、この曲は歌い方が難しく、うまく声帯の力を抜かないと、きれいに歌いきれない。大きなステージで、なおさら力が入り勝ちで、彼女の声もたびたび割れる。気持ちを入れつつも、うまく制御しないとね。

ただ迫力は十分。今夜のお客さんにも、そのポテンシャルはしっかり伝わったのではないか。堂々としたステージで今夜も楽しませてもらった。

彼女が近い将来、O-WESTクラスのライブハウスの常連になるだろうことは間違いないのでは。いや、そうならなければいけない。本人だって絶対その気だ。そのためにも今夜の体験を良い予行練習なればよい。期待しています。

【セットリスト】
1)さっちゃん
2)黒い影
3)ココロジェリーフィッシュ
4)東京
5)メグルキオク
-------------------------------------
「Valentine Kiss」@北参道strobe cafe
出演:小貫諒 →玉城ちはる →佐藤ひろこ
-------------------------------------



今日はバレンタインデー。となれば、やはり玉城ちはる、でしょう。って、違うか。うん、多分違う気がする。バレンタインというと、相手はかわいい女の子のイメージだから、ねー。って姐さんもかわいい女性ですが……おいおい、自分のブログで何を言い訳してんだか(笑)

でもやはり、玉城ちはるがバレンタインの企画ライブをやるって、ちょっと違和感ある!それもそのはず。仕掛けたのは、佐藤ひろこ&strobe cafe。玉城姐さんはダチのひろこの誘いなら、と話に乗ったわけだ。これに坂本麗衣とか加わったら、それはそれは素晴らしすぎるトリオになったのだが。

しかし、それでも、玉城ちはるに負けず劣らず元気なひろこ姉さんとのマッチアップ。今夜は出演者を見た時から、2人だけでも爆笑の波状攻撃で楽しい夜になることは必定。で、やっぱりそうなった、笑 笑 藁 笑


1番手の小貫諒は、すらっと細身の長身イケメンシンガーだ。ギター弾き語りで、2曲目からパーカッション、3曲目からベースを加わり、徐々に大きな編成に。強い、というよりきれいな声で、優しく歌う。女の子ならファンになっちゃうなあ。


2番手は玉城ちはる。

今夜は明治チョコレートのような赤色のワンピースに黒タイツ。真っ白なstroeの壁に囲まれて、しっかり目立ってる(笑)すかさず「明治のCM狙ってまーす」とアピールするところはさすが。

そこにチェロの吉良都ちゃん――いつもかわいい!――、ギターの菅大介&パーカッションの3人にサポートされ、存分に動き回りながらのステージ。そのハイテンションぶりっといったら(笑)小貫くんがしっとりしていただけに、お客さんはついていくのが大変!というか、ついていけません(笑)。まさに草食系男子と肉食系男子のよう。

それでも、バレンタインらしく1曲目に「好きだよ」。ところが今夜のこの曲は、いつもの優しい歌い方ではなく、とても悲しそうに歌う。期待していたものを裏切られたような、新しいような、なんか、やられた(笑)

菅さんのアレンジって、この意外感がいい。それが最も現れたのが「EMILY」だ。今夜は玉城ちはるがstrobe初出演ということで、ここの名物でもあるRHODESピアノを使ってEMILYをやると予想。ところが、今夜の編成は弦とパーカスのみ。誰も鍵盤いないじゃん!やらないのかと諦めてた。

3曲目の前奏はパーカッションと、弦を叩くピッツィカートのみ。メロディラインが分からず、何が始まるのだろうと注意していたら、音譜揺らめいた悲しみに~音譜

EMILYじゃん!またしても、やられた!その斬新なアレンジ、さすがだー。しかも、けっこうタイトな曲調。バレンタインなのに、スイートじゃないアレンジって、あえてすかしたな。それでいて、曲間は爆笑トーク。曲中はハイテンションな動きで激しい。

お客さんを幻惑させながら、びしっと決めるところは決める曲も。「LOVE」だ!よく、CMなどで使われるジャズスタンダード。この甘い曲を選ぶかー。しかも、全編英語の詞で、それをジャズシンガーばりのボーカルで。上手いじゃないですか(笑)

さらに、「私には7人の子供がいてね。説明は省きますが…」ってトーク。最近、省きますね。さらに書籍出版の話。大物が参加するレコーディングの件。きっと、今夜初めて玉城ちはるを見たお客さんがいたら、すごく困惑したことだろうと思う。音楽も、トークも、真面目なのか、おちゃらけてるのか、ハードなのか、スイートなのか。一つに像が結ばなくなったんじゃ?

あれ、楽しんでやってるね。Sだね。

そんな玉城ちはるのステージが好きな自分はMなのか?笑

とにかく盛り上がった楽しいライブでした。

【セットリスト】
1)好きだよ
2)アマリネ
3)EMILY
4)?
5)LOVE (カバー)
6)ひだまり


さあ、トリは企画者の佐藤ひろこの登場だ。

その彼女だけ、一人きりのステージ。しかし、それはそれで十分に惹きつけるものにしてしまうところが流石。前の2人に引けを取るところなし。曲によってギターとピアノを弾きわけ、シリアスだったり、イロモノだったり、アッパーだったり、様々な表情の佐藤ひろこを楽しませてくれた。

その笑いをまぶすトーク、その自然な素朴さから滲み出す人間力、激しくも繊細なギターテク。彼女はやはり実力派のステージ達人だ。

最初の「元気の源」で一気にお客さんをのせて、暑い手拍子でお客さんも参加させて、つかみはOK!すぐに彼女のペースだ。

「私だけ忘れて」「一等星」でじっくり聞かせて、お客さんの集中を高めたら、再び「イロモノ」路線の「かんぴょうのうた」。でも、すごい、歌いやすいいい曲。さすが、栃木県壬生町のかんぴょう大使!音譜かーんぴょう!音譜ってサビが頭にこびりつく。

ラストは、元気よく「RUN」。この疾走感もまた、佐藤ひろこの魅力だよね。さすが空手家、芯がしっかりしていて、強さがある。頼もしいんだよね。

【セットリスト】
1)元気の源
2)私だけ忘れて
3)一等星(pf)
4)かんぴょうのうた
5)キセキ
6)RUN
en1) small world~はじまりのうた~

<出演者が全員ステージに>
プレゼントタイム 出演者3人が用意したスペシャルなチョコ菓子争奪のじゃんけん大会
en2)バレンタイン・キッス(3人で国生さゆりカバー)

最後は上記の通り。ひろこ&ちはるのアラサー女子トークが炸裂し、小貫君はたじたじ。「もっと上手く突っ込みなよ」とか言われていたが、そりゃ一般男子には難しいって。お笑い芸人なら、逆にうまく料理してくれるのだろうけど。

だって、最後のバレンタインデーキスで、おにゃんこ時代のぶりぶりな国生さゆりの物真似で歌ってしまう玉城ちはるなのだから。ちなみに企画者の佐藤ひろこが、このコラボ曲を出演者に覚えてもらうために作った音源に写真をつけて、自分でyoutubeにあげてます。ぜひご覧くださいませ(笑)

ちなみに、終盤で「しゃらららら、素敵にキッス」というくだりを、お客さんを三つに分けてコーラスさせるという企画もあり、その際にステージからかける「OK」というくだりまで入っている辺りさすがです。まゆゆより好きだな(笑)

で、コーラスは上手くいったのかどうか。客席の真ん中にいると逆に分からないものです。

ああ、楽しかった。

個人的には、玉城ちはるのてづくりチョコと、じゃんけん大会で勝ち取った小貫君の超高級チョコもゲット。いやー、美味しかった。ご馳走様でした。それが冒頭の写真。BVLGARIのチョコは、大人の味わいでした(笑)
今夜はサルーキ=カフェへぶらりと立ち寄る。前回のカフェはチヨ君の誕生日で、祝いに行くつもりだったが仕事で伺えずじまい。今夜こそ

ちなみに、サルーキ=カフェとは、ロックバンド、サルーキ=の面々が神田にあるDecision Cafeを「のっとり」、料理やフロアまで全て引き受け、さらにミニライブを開いてしまうという不定期な企画。ほかのミュージシャンや俳優が一日店長になる日もあるんだよ。Decision Cafeはそんな楽しい空間なのだ。

ここはいわば、オーナーの画家、HIROさんのもとに幅広い分野の音楽家や芸術家、そして僕らのような一般の人も夜な夜な集う、素敵なサロン。残念なことに、この貴重なDecision Cafeは、3月末で閉店することになってしまった。きっとほとんど儲けもなかったろう。僕にとっては、会社の近くで寄り道の格好の場所だっただけに無くなるのは寂しい限り。あの大地震があった3月11日の夜も、ここで忘れ得ぬ夜を過ごした場所だ。

でも、HIROさんによると神田を離れても、別の場所で、もっと幅広い活動ができる拠点を開くということらしい。その日が来るのを、いまから楽しみにしているよ。Decision's Liaison Forever!だよ。

さて、今夜のサルーキ=カフェは、極めてインターナショナル。アメリカ、ノルウェー、カナダ、ドイツ、フィリピンなどからお客さんがご来店。HIROさんの友達たちで、このほど福島でボランティアに従事するため来日したのだ。



いい感じにお酒も入り、英語と日本語が飛び交い、見知らぬどうしもオープンマインドに仲よくなってきた頃合い、ミニライブがスタート。



サルーキ=が「愛と自由と平和への旅」で会場を盛り上げれば、今夜、アメリカからきたドイツ人の元ブンデスリーガのサッカー選手がブルーズを披露。フィリピン人女性がパーカッションでサポートだ。



サルーキ=はというと、その間、客の注文を受けて料理作ったり、ドリンク出したり(笑)

それでも最後は再登場して、「ハレルヤ」と「ロックへの憧れ、フォーキーなオレ」?で大いに会場を湧かせてる。みんなも大喜び。彼らの音楽魂に言語の壁はない。日本語知らなくても、海外のお客さんたちも一緒になって歌う。そうして、みんなが一体感に包み込まれていく。それがサルーキ=の何よりの魅力だ。

さきほどカホンを叩いていた彼女は、ブルースハープの即興でサルーキ=にも参戦。音楽できるって羨ましいね。ほんと、チャーミングな女の子でした。

楽しい夜にHIROさんもオーバードリンク状態(笑)おおいに盛り上がり、ロレツが回らず(笑)皆と抱き合い、神田を離れることを惜しんでいた。ちなみにひな祭りの3月3日がこの神田デシジョンカフェの最後の夜。皆で最後はパーティーナイトにする予定という。デシジョン仲間は集まれ!

また、昨年1月15日、渋谷O-EASTで1000人ワンマンを成功させたサルーキ=の面々は現在、今年9月8日に開く渋谷公会堂2000人ワンマンを目標に、懸命に音楽活動中。彼らのソウルフルでロック魂が炸裂するライブは必見だよ!ぜひぜひ、皆様、渋谷公会堂に集まろうぜ!