2011/11/15 いつか、タリエ、ヒグチアイ@strobe cafe | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「中村皓presents Green Fields Forever」@北参道strobe cafe
出演:<メインアクト>いつかヒグチアイタリエ丸谷マナブ (その他飛び入り多数)
<ミュージシャン>中村皓(Dr)、平田崇 (Gt)、濱田織人 (Ba)、清野雄翔 (Pf)、
禹貴惠 (Vl)、庸蔵 (Sax)
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今夜、このライブを見た皆様、お疲れ様ー。内容があまりに濃くて、終演後に心地よい疲労感に包まれたのはきっと僕だけではないだろう。最初から最後までみた感想は「極上カオスの濃縮スープを3リッター飲んだような満腹感」。とにかく、暖かくて内容充実ビックリマーク中村皓くんの人柄が出たのだろうハートウオーミングなライブでした。ありがとう音譜

この企画、告知の段階から、メインアクトに惹かれた。自分が大好きな女性ボーカリスト3人が勢ぞろいするという豪華さ。いつかヒグチアイ、タリエ。持ち味はそれぞれ違うが、いずれ劣らぬ実力の持ち主で甲乙つけがたし。当ブログでもずっと注目してきた、最高のシンガーばかり。この3人に絞った中村皓の見識と嗜好、尊敬します(自分と同じ好みだw)

その3人は、それぞれ3曲ずつしか歌わず、そのうち1曲はカバーという贅沢さ。さらに、5人のシンガーに1曲ずつ、これぞという決め歌で飛び入り。計9人の歌い手が入れ替わり立ち替わり、ステージを盛り上げた。満腹にならない方がおかしい。

しかも、彼らをサポートするのが、中村皓率いる手練れのミュージシャンばかり。このバンドサポートの音が分厚く、気が利いていて、どのアーティストが出てきても無茶苦茶楽しいのだ。特に中村君、自分の好みで招いたゲストばかりだから、そのドラムを叩けるのが嬉しくて仕方ないって様子。彼を見てるだけで、楽しくなってくる。

演奏の陣容も6人という多さだから、strobeのさほど大きくないステージ上は通勤電車のような混み具合。向かって左手にグランドピアノ、中央後方にドラムセットが鎮座し、右手後方にベース、右手前方にキーボード、グランドピアノのカーブが凹むところにギター。かろうじて中央に、歌い手のスペースを残すだけ(笑)さらに、曲によって出てくるsaxがキーボード手前、バイオリンがグランドピアノ手前の僅かなスペースに。これだけでもカオスだが、それで終わらない。

第2部は、中央のゲストアーティストの狭いスペースに2ndドラムセットを設置!!ギター弾き語りの飛び入りゲスト諏訪大介くん、一歩も足を動かせない状態で演奏してた(笑)
彼以外はピアノ弾き語りとドラムボーカルだから、何とかなってたが。

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さて、おしゃれなインストで始まったライブは、1番手の「いつか」の登場でぐっと華やかな空間に。彼女の声は天使のように柔らかく、小悪魔のように魅力的な歌唱力で、お客さんを惹き付けていく。

スティービーのカバーではそれほどでも無かったが、オリジナルの2曲では、Aメロからサビへと進むにつれその実力を全開。強弱明暗を巧みに表現し、歌にドラマを、心に感動を広げる。



お嬢なシックなスカート姿も麗しいいつかが柔なら、2番手のヒグチアイは剛か。長めの白シャツのすそをパンツの上にヒラヒラ出して、上からジャケットというマニッシュな出で立ち。ただ、手にカエルカエル人形という不可解さ(笑)さすがヒグチアイにひひ

冒頭、いきなりビートルズカバーで「Oh Darling」を炸裂。めったにカバーやらない彼女だが、その強い声が、出だしが重要なこの曲にぴったり。黒人女性シンガーのような芯の通った太い声にゾクゾクする。しかも、英語の処理も巧み。さすが学校でジャズ専攻してただけある。

続いて2曲目は出ましたハンドマイクビックリマーク弾き語りのステージしかしてない彼女が、ピアノを離れステージ中央に立つ姿は極めて珍しい。案の定、戸惑ったような彼女がポケットに突っこんだカエルに中村君から突っこみ。何でも今日はミドリを衣装に取り込まなければいけないそうで、彼女はカエルを持ってきたらしい。「なぜカエル?」という質問に答えるのが面倒だったのか、「じゃ、いらない」とカエル君を客席に放り投げる。子供だなあ(笑)

しかし、「手をどうしたらいいか困る」と話して歌いだした「東京」はやはり圧巻。その歌詞が、彼女の声にのって迫ってくる。清野君の繊細なキーボードもなかなかいい。



手の置き場よりさらに、ヒグチアイが困ってたのは手より目のやり場だったよう。いつもはピアノに向かってるから、時おり客席に視線を走らせるだけで済むが、ハンドマイクで客席と相対すると1人ひとりが目に入ってしまい、慣れないと曲に集中できないもの。で、ヒグちゃんは虚空を見つめたり、下向いたり、目をつぶったり(笑)

最後、ピアノに戻ってほっとしたのか、それはそれは弾んだ演奏で「ココロジェリーフィッシュ」を熱唱。場を圧倒した。さすが!!

ここで第1部は終了。10分の休憩に。後ろを振り返れば、超満員のstrobe cafe。もう立ち見のスペースさえない様子。休憩中に「後から来た人が入れないので、みなさん座席を少しずつ前に動かしてもらえますか」とのアナウンス。最後列の後ろに立ち見スペースを作って、なおぎゅうぎゅう。これも中村君の人徳!?

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第2部は、飛び入りゲストコーナー。アーティストが1曲ずつ歌っていくという、楽しい時間。

転換の間にただでさえ狭いステージの中央に新たにセットされたカホン&タム&バスドラのセット。後ろにフルのドラムセットがあるのに、さすがこだわりのドラマーだ(笑)

そこに座して、まず迎え入れたのが「青柳舞」。手には耳付きカチューシャが二つ。ひとつは自分、もう一つは中村君につけさせて、歌う曲は当然「Pretty Dog」。わんわん彼女の明るいキャラクターそのままの明るいステージ。

続いておしゃれなハットで決めた「アラカキヒロコ」on piano。中村君にバイオリンとサックスが加わり、アッパーな曲調の「震える息吹」をソウルっぽく歌いあげた。

お次は、今夜初めての男性アーティストで「諏訪大介」from Sleepyhead Jaimie だ。うっほっほ。すげえ楽しいそ、彼。軽快なトークで自分がいかにハンバーガー好きか訴えて、自分たちのバンド、というか男女ユニットのスリーピーで昨年出した「Hamburger Song」をみんなで歌おうと、客席まきこんでまず練習。のりやすく、楽しいカリフォルニアンロックなメロディー&歌詞にすぐ客席もノリノリ。

音譜ケチャップ&トマト(ケチャップ&トマト) もっとくれますか(もっとくれますか) Everyone sing(Everyone Sing) このHamburger Song(ハンバーガーソング!)音譜の大合唱で盛り上がる、盛り上がる。たった1曲でみんなをご機嫌にしてくれたよ。

ちなみに彼らは、このHamburger Songのリリースに合わせて、全国18か所のハンバーガーショップで歌うLIVEツアーを昨年敢行。その模様を毎回YouTubeにアップしている。これ、見てるとみんなHappyになるよ~クラッカーハンバーガー食べたくなった。

一気にテンションが上がった飛び入りコーナー、お次のUちゃんfrom オードリーシューズも楽しいステージに。Uは言わずと知れたドラムボーカル。中村君が奥、Uちゃんが手前のドラムセットに座って、ツインドラムでオードリーの中でも一番にぎやかという「Colorful」を、バスドラやタムのシャッフル感たっぷりに演奏。Wow!!

それにしても、Uちゃんは一見、女子高生くらいにしか見えないのだが、叩かせたら激しいメラメラ笑顔はかわいいが、ビートにのって歌いだせば、とっても格好いい。楽曲もボーカルも才能がきらめいていて、いいねえ。

飛び入りステージのラストはオガワマユ。ステージに上がっても「今のツインドラム最高。やっぱ、私ツインドラム好きだー。いいよね、ツインドラムー」とずっと言ってるので、中村君が「じゃあ、Uちゃんにも叩いてもらおうか?」。予定の曲を、実はUちゃんも叩いたことあったので「トゲトゲだよね」と二つ返事で参加。オガワマユ&ツインドラムで「愛と雨」がノリで実現してしまった。

ここでも、Uちゃんが決めてくれたー。ドラム叩きながら、しっかりコーラスも着けて、オガワマユの歌を見事に膨らませてくれた。みんなが、演奏しながら視線を交わし、楽しげ。見ているこっちも嬉しくなってくる。8月にやったクアトロワンマンでキーボード弾いていた清野君も、自在に音を絡ませていて、音楽ってこれだから楽しいんだよねー、というステージに。盛り上がったね。

さて、ここで再び休憩。転換でセカンドドラムセットはお片づけ。後方を見ると、それは沢山のアーティストたち。飛び入りした青柳舞やU、オガワマユらだけではない。大関麻子of Mint Julep、前田絢子、ほしばかなえ、昨日の郁彩サポートもしていた村岡俊介などなど、etc. 中村皓君や清野君ら今宵出演のミュージシャンらの友達らが続々と駆け付けたのだ。そのつながり、とてもいいね。

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さあ第3部。すぐタリエちゃん出てくるのかと思いきや、なーんと、中村君が1曲歌うではないですか(笑)しかも、細野晴臣の「東京ラッシュ」で音譜ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ音譜しちゃって、なんかかわいい(笑)

そこに颯爽とステージに現れたタリエ from Harmonick Hammock。やっぱ、彼女は格好いい!3人の女性シンガーの中では一番、大人の風情が漂う。そして、そのボーカルも草原に吹き寄せる南風のように、すーっと心地よく、心を浮き立たせる。やはり、彼女の声は大好きだあ。

Harmonick Hammockは、今夜のキーボード清野君がリーダーを務め、バイオリンの禹貴惠もメンバーの7人組?バンド。その音楽はおしゃれで、心地良くて、すごくクオリティが高い。そのCDはいつまで聞いていても聞きあきないのだ。特にやはり、タリエちゃんのボーカルに惚れ惚れしてしまうのです。

さて、今夜の彼女の1曲目はなんとスピッツカバー「運命の人」。あれ、知ってるなあ、この曲とか思いながら聞いていたら、途中ではっきりスピッツと分かる。タリエちゃんがあたかも自分の曲のように、うまく歌うからすぐ分からなかった。しかし、もう彼女自身の曲のようにわがものにしている。さすがやなー。
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そして、今夜唯一、ただ一人だけこの企画のためにオリジナルソングを用意してきたと「ほっぺたふわり」。もともとはお気楽な「たこやきソング」というのを作っていたが、リハとか皆がまじめにやってるのでお願いして、おふざけでない曲に作り替えたとか。その結果、NHKのみんなのうたとかに丁度良いかんじの、ふわふわして優しい曲になった。彼女のやわらかい歌声にぴったりはまった。

ラストはハモハモのオリジナル「ハローとグッバイ」。転換のときもBGMに流れてたねー。やはり、オリジナルが最高。彼女の持ち味をたっぷり堪能できる。タリエちゃんの声、本当に癒されるな。美しい声だー。

さあ、そしてメインアクトのラストを務めるのが、これもまた格好良いギター弾き語り「丸谷マナブ」だ。

力まず素敵な歌唱力で聞かせるその歌はメジャーな風格。最後をきっちりしめてくれた。

きみのいろいろでは、お客さんもコーラスで音譜ラーララーラーラー音譜と共に歌って、会場に一体感を生み出す。

そして、しっとりとしたバラードを歌って、最後は明るく「ハレルヤ」。ケイオティックな今夜の素晴らしいイベントも、いよいよ大団円へと収束させるような1曲。今夜はみんな幸せだったね、と歌ってるようだった。


アンコールでは、メインアクトの4人のボーカルが勢ぞろい。あの福耳の名曲「星のかけらを探しにいこう」を格好よく決めてくれた。しかし、4人ともさすが、と唸らされる歌唱力。いやー、本当にいいライブでした。楽しかったー。

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セットリスト
□第1部□
1)フュージョンのインスト
………いつか……………
2)Ribbon in The Sky (Stevie Wonder カバー)
3)変わらないもの
4)Dear My Friend
………ヒグチアイ………
5)Oh Darling (Beatles カバー)
6)東京 (ハンドマイクで)
7)ココロジェリーフィッシュ

□第2部~飛び入りゲストタイム~□
8)Pretty Dog(青柳舞)
9)震える息吹(アラカキヒロコ)
10)ハンバーガーsong(諏訪大介)
11)Colorful(U fromオードリーシューズ)
12)愛と雨(オガワマユ supported by twin drums U&中村)

□第3部□
13)東京ラッシュ song by 中村(細野晴臣カバー)
………タリエ(from Harmonick Hammock)……………
14)運命の人(スピッツカバー)
15)ほっぺたふわり(original for today, exたこやきソング)
16)ハローとグッバイ
………丸谷マナブ…………
17)きみといろいろ
18)プラネタリウム?
19)ハレルヤ

en.星のかけらを探しにいこう(福耳カバー) by メインアクト全員

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(一部写真は中村皓ブログからお借りしました)