---------------------------------------------------------------
「Mix UP!!vol.35」@渋谷eggman
出演:BLY →BeepSpree →家入レオ →KANAHA →Avaivartika →Vrana・Vrani
---------------------------------------------------------------
またまた来ましたAvaivartikaライブ!
最近、彼らのライブが一番興奮する。その音楽の世界観、その迫力、一つ一つの楽器が奏でるリズムと旋律、ボーカル愛ちゃんのカリスマ。Avaivartikaのステージの始まりで、宇宙を感じさせるような前奏が鳴り始めると、期待に胸が膨らみ、もう体が弾む準備を始めてしまう。
そして登場曲が一点に収束し始め、その頂点でプツっと切れた瞬間から、生のAvaivartikaの豪勢の音のフルコースが一気に会場の空気を変え、お客さんを興奮へ連れて行く。言葉では伝えられない昂ぶりに、心と体がふるえるのだ。
<セットリスト>
1)止まない拍手のraining
2)ノンフィクション
3)イブリース
4)NS
5)終末のconductor
最近、歌い始めた新曲「イブリース」。初めてライブでやった時は、まだ見せ方が消化不良のような気がしていたが、今夜のステージでは、激しいギター生本直毅のリフが響き渡り、興奮を十分に高めたところで、抑えたモノトーンの愛ちゃんのAメロから、徐々にテンションを上げていき、サビでは彼女がやはりすばらしいグルーヴに乗って、格好よいボーカルを聞かせる。ぐるぐる回って、回って、うーん、いい曲に育ってきたね。
そして、定番の分かりやすくのりやすい「NS」を経て、Avaivartikaここにあり、というとてつもない大きな存在を感じさせる「終末のconductor」で興奮のステージを終えた。
今夜は、少々、愛ちゃんの衣装が最後まで気になってしまったが、彼女がその細い体をつかって、咆哮のようにしぼりだす世界観は壮大。神の世界を描かんとしている気にさえなってしまう。それを、4人の熟練のバンドメンバー達がすばらしい音を紡ぎ支える。大人のロック好きの鑑賞に十分耐えうる、いいバンドなのです。絶品です!
さて今夜のeggmanでは、家入レオからAvaivartikaの3組を見たが、やはりダントツにAvaivartikaが好きだし、その音楽のクオリティの高さは圧倒的だった。ところが集客面では、ライブまだ3回目という17歳の家入レオに何十人という大人たちが押し寄せていた。
入り口で招待されたその大人たちが大手レコード会社や某音楽事務所の名を名乗るのを漏れ聞くにつけ、各地のライブハウスで度々繰り返されるニュースター発掘の儀式を思わずにはいられない。ちなみに彼女の場合はすでに研音とビクターエンタテインメント所属が決まっているとのこと。
彼女の前には、すでにレールが敷かれているのだ。人との出会いと、自分自身の努力があったからこそ、という点は全く否定しないが、彼女が福岡でVOICE塾に乳塾してその中で西尾プロデューサーの目に留まってから先は、大人の領分の話がどこかで進みレールが敷かれていったのだ。
全国で似たような出会いが繰り返され、毎年100人を超す新人歌手が一応「メジャー」デビューしていく。ただ、世間に名前が知られ、それなりの収入を自分自身と事務所とレコード会社が分け合えるようになるのは、その中のほんの一握り。自ずとそんな宝の山を求めて、次々と新人が放り込まれ、使い捨てのように大量の歌手が1、2年で契約を切られていく。これも経済原則から、あまりにも当然の必然。そのことについて異見はあっても、現実は受け止める。
チャンスを掴み、その一握りになれるかは、周囲の大人次第の部分が相当大きいのだが、本人の運、そして実力も当然問われる。PVを作り、宣伝活動し、ラジオで流し、着メロを配信してもらっても、リクエストが来ない限り、あるいは実際に音源が売れない限り、次はないのだから。その声やルックス、訴えかける力が無ければ話にならない。
家入レオは、この年齢層の中では歌が上手いとは思う。明るく、人から好かれるかわいらしさもあった。最後に歌ったチョコレートの曲は、やさしく丁寧に歌いアイドル性も感じた。ただ、その前に歌った「サブリナ」というロックな曲では、ちょっと首をかしげた。ここからちょっと、厳しいことを書くから、気に入らなければパスしてください。
本人は「この曲を歌うとすごく元気になる。大切な曲です」と話していたが、そりゃ、これだけアッパーな曲を歌えば、アドレナリンも沢山出ようというもの。聞いているお客さんだって、バックのバンドの演奏さえ良ければ(あるいは打ち込みのBGMでも、ビートが利いていれば)、その場ではノる。だが、サビで何度も繰り返す「サブリナ、サブリナ、サブリナ、サブリナ…」を聞いていて、何も感じなかった。彼女自身が「サブリナ」という言葉で、何かを伝えようとしているとは、これっぽっちも思えなかった。とっても空虚な感じがして、つまらなくなった。
そして、彼女のVOICE塾の先輩であるMARIAのデビュー曲「Getaway」が、頭の中で色濃く重なった。あの曲と同じなのだ。リズム感とか構成とか。昔、小室哲也の作った曲がみな似ていたが、結局はまた一人、VOICE塾の音を歌う若手が出てきただけなのかな、と感じずにはいられなかった。
MARIAはたまたま、彼女のデビュー前夜に渋谷DESEOでライブを見る機会があり、「忘れたくなくて」や「終われない夏」というバラードがとても泣けてファンになった。「Getaway」はそれほど印象に残らず、どちらかというと彼女の良さを出せてない気がしたものだ。デビュー後に色々なところでPV映像が流れていたが、商業路線に乗っている気がして「損してるな~」と思いながら見た。その後も度々、MARIAのライブに行ってるが、やはり商業路線の楽曲より、彼女自身の声と感性で歌っているバラードなどの方が心に沁みてくる。
初めてMARIAを見た夜の衝撃と、今夜のライブを比べると、家入レオはあまりに普通のアイドルの卵っぽくて食指が動かなかった。しかし、商業主義の大人たちが敷いたレールの上を走る以上は、そういう歌をうたわないといけないのだろう。それは、AKB48みたいな覚悟で乗るなら本人も納得だろうが、レオちゃんが求める音楽が商業主義の先にあるのかは、ちょっと疑問。まあ、本人に聞いてみなければ(それも5年、10年先の彼女にだが)分からないだろうが。
つらつら、そんな事を考えていたら、スガシカオの事務所独立の発表が目に留まった。是非、一読して欲しい。もちろん、彼ほど知名度もファンも着いてからの独立だから、セルフマネージメントでライブ活動などをやっていっても経済的には問題なかろう。ただ、彼ほどの歌手にしても商業主義の中では、彼自身が考える「伝えるべき言葉」を詰め込んだ楽曲を作れないと決断したのだ。その意味するところは大きい。
さて、もう一つ聞けたガールズバンドが「KANAHA」。ボーカル&ギターの森夏南波という奄美出身大阪育ちの天然に明るい女の子が中心になって結成したバンド。そのバンドの音楽もステージングも、彼女の性格そのもので明るく正統なガールズポップロック。彼女が作詞作曲を担当してボーカルやっているのだから、それも当然か。
特に後半の3曲「くつひも」「ドミノ」「ハロー」は、かなり聞かせるいい楽曲だった。音源欲しいほど。ぜひ、またどこかで彼女たちのライブには遭遇したいものだ。
今夜のeggmanは、実は最後のVranaVraniなるバンドが、業界的には一番注目を集めている様子。なんでもそれぞれが別々のバンドで活躍していたイケメンメンバー達が、あるコンテストに出ていたところ引き抜かれ、主催者側の誰かの企みで新しいバンドを結成することに。しっかり、デビューへのお膳立てを整えられて、こうして動き出しているらしい。
ちょっと興味はあったのだが、実は今夜、gee-geのトリでヒグチアイがバンドライブをするとの情報もあり、eggmanを抜け出してそちらへ向かうことに。個人的にはAvaivartikaを聞けただけで十分。今のAvaivartikaにはそれだけの価値がある。聞かなきゃ損だよ(笑)
Android携帯からの投稿