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Tiny Sun &ナツメグ ツーマン@西新宿navicafe
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Tinysunは、もっとライブで聞きたいアーティスト。なのに最近は、月1回しかライブがない。つまり、1回見逃すと2か月ぶり、2回だと3か月ぶりになってしまう。前回行けなかったので、今夜は迷わずnavicafeへ。
早めに着いたせいか、意外と空いてる。ステージ寄りのカウンター席につき、レッドアイ飲みながら素敵な女性二人組「ナツメグ」の出番を待つ。今夜が初見だが、15分遅れでスタートするまで彼女たちが会場にいたので、魅力的な女性たちだなあと期待していた。
彼女たちが歌い始めた途端、おっ、と驚く。二人のコーラスワークが素晴らしいのだ。伴奏はしぶいオジサンギタリスト宮本氏に任せ、主旋律を浜田麻里に似た舞さんが、コーラスをSHUUBIに似た歩(あゆみ)さんが担当、綺麗に息のあったハモりで軽やかに歌い継いでいく。
二人は鹿児島出身の同じ年。1歳児からの幼なじみという。なるほど息が合うわけだ。ただMCはカミがち、話し出すタイミングが二人で合いすぎ、よくかぶる。トークは共に上手くはない(笑)二人の間では言葉を重ねなくても意志疎通できてしまうのだろう。
安らぐ彼女たちの音楽を聞いているうちに眠くなる。優しいミドルバラード中心の楽曲はeasy listeningだ。軽い睡魔と戦いながら、最後まで会場を満たした暖かい空気に癒された。
それは素敵だった。だが敢えて言えば、最後まで変化に乏しく少々物足りなさを感じた。ほぼ全ての曲で、舞さんが主旋律をずっと歌い、歩さんが同じようなコーラスをつけていく。このグループは舞さんボーカルのためのグループなのだろうか。Duoという形態を硬直的に捉えすぎてないか。それでいて、二人の個性がみえてこない。
1曲だけ「君と僕と太陽」の中に、コーラス歩さんがソロをとるパートがあった。しっかりした歌唱力と、歌のお姉さんのような優しさがあった。彼女がソロで歌えないから、常にコーラスしている訳では無さそうだ。そりゃそうだ。ハモる方が、主旋律歌うよりずっと難しいのだから。
とすると、ナツメグは二人でできる事の半分しかしてないことになる。曲の歌い出しやサビで迫力を出すために、敢えてユニゾンで歌うとか、AメロBメロでソロを交代して色合いの違いで曲を重層的に表現するとか、二人がかけあいをして曲中の切迫感を高めるとか。きっとduoだからできること、まだまだ沢山あると思う。それができる二人でしょう。
個人的に、もっと歩さんのボーカルを聞きたかった。
<セットリスト>
1)in the sky
2)?例えば鳥になっても
3)I'll Fly Away
4)初恋(カバー)
5)蛍
6)アイスクリーム
7)君と僕と太陽
8)永遠のうた
9)愛のうた
10)自転車に乗って
後半はTiny Sunのステージ。
Tiny Sunの2人とレギュラーサポートの舞子ちゃんの3人は、毎回衣装もテーマ決めているが、今夜は敢えて定めず、それぞれの秋色が出すということにした模様。
その結果、violinの舞子ちゃんはグリーンのピタッとしたシャツに黒のストールでベーシックな大人っぽさ。相変わらず魅力的。gt.(+バンジョー)&vocalのサエコ妹はアースカラー系(使える言葉だw)で裾がフワッと広がる柔らかい生地のパンツが目立つ。背が高いから、パンツに存在感があり70s風。vocal&keyのアユコ姉はショートカットの黒髪と、ジャンパースカート風の鮮やかなアウターがほんのりした色香が。似合ってる。
最近、カラーコーディネーターに、姉は原色系、妹はアース系の色がそれぞれ適していると診断されたそう。それが、これまでの二人のイメージと逆だったのが面白い。子供のような無邪気なファッションだったサエちゃんだが、長身で縦にスラッとした体に大人の落ち着きある服をまとえば、確かに格好良い。
アユちゃんは、姉貴らしい落ち着きのせいで控え目に見られがちなだけに、ステージ人として原色で存在感をアピールするのは大賛成。隠しがちな彼女の秘めた強さや華やかさの部分は、そろそろ自分の魅力として、もっと表に出してよい年頃だ。内面がキレイな彼女だけに、そこを見せることで一段とアトラクティブな女性になると思う。
ファッションの変化は、Tiny Sunの脱皮にも繋がる。舞ちゃんに負けず、姉妹がそれぞれ大人の魅力を前面に出していければ、南青山マンダラやJZBratのようなジャズクラブも似合うし、父親たちの立つステージでも、親父たちと対等に渡り合える。活動の幅が広がり、新たなファンも増えることだろう。
最近のTiny Sunは端境期にいると思う。無名の若い女性アーティストを応援する男性ファン層って意外と大きい。まあ形はどうあれ、自分の力で支えたいと思うのは男のサガだから。しかし実力を着けてきた彼女たちがターゲットとすべきは、もはやその層ではない。大人の魅力をもつ河村舞子との出会いは示唆的で、Tiny Sunは自覚的に一段、階段を昇る時期が到来しているのだ。
今夜もラス前に歌った「悲しい月」という曲が僕は大好きなのだが、女性duoの2色の声をソロとユニゾンとコーラスを上手く使い分け、サビの最後に印象的な声の共鳴音を響かせる構成は秀逸。舞ちゃんのバイオリンという3色目も、主旋律と絶妙に絡み合い、深い陰影ある月夜を描き出す。
これだけの曲を作り、表現できる所まで来たのだ。ミュージシャンとして脂がのってきたからこそ、これ迄よりずっと、進める選択肢は広がっている。彼女たち自身が、行き詰まっていると勘違いせず、一歩一歩世界をさらに世界を広げる努力を続ければ、時をおかずに報われる瞬間がきっとくる。
勿論、嗜好性の高い音楽であるほど、パイは小さくなる。そこをミュージシャンとして、どうとらえるか。また、女としてどう生きるか。色々考えていることだろう。そんな話は、美味な日本酒の熱燗でも飲みながら語りたいものだが。
さーて、全くライブレポでなくファッションレポになっているが(笑)、今夜のセットリストはこんな感じ。
1)退屈な日々
2)ドリフター
3)なんてことない二人
4)本当はね
5)ストーリー(新曲)
6)さようなら、ありがとう
7)戦いの日々
8)Hard Traveling
9)悲しい月
10)Music Life
en)今日の日はさようなら
3)4)でほんわかし、新曲で語りを聞かせ、6)で切なく、7)8)で盛り上げ、9)で芸術性を感じた。
最後は彼女たち自身のテーマソングで締めくくったライブは、やっぱり来て良かった。
ほんと、もっとライブをやってよ。日本酒でも用意しておくからさ(笑)