2011/10/18 吉村かおり、松岡里果@赤坂Graffiti | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「歌女-utaime- act.25」@赤坂Graffiti
出演:吉村かおり →石原由規奈 →松岡里果
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今夜は赤坂へ、吉村かおり松岡里果という、あるようで無かった対バンを見に。スリーマンなので時間も長め。楽しみ。

出番は毎月のようにグラフィティでライブしている松岡里果がトリ、2回目の吉村かおりぃが1番手。これがノマドだったら逆になるのだろうけどね。とまれ、今夜はホームの里果ちゃんが、どうアンコールまでもっていくかの構成も楽しみだ。

今夜の吉村かおりは黒地にキラキラの飾りをつけたズドンとしたドレス!?赤坂を意識したのかな。そして、相棒のまあびぃはテンガロンハットにひげ面の西部劇風。二人そろって、何か余所行きな感じ(笑)でもライブはいつもの通り、かおりぃらしい世界観。

ただ、多分聞くのは2回目の「夜よ明けるな」と、初めてかもしれない古い曲「涙」を聴けたのはラッキー。特に「夜よ~」はこれからの彼女のライブで定番となりそうな局だね。どこがと言えないが、何か今までよりさらに複雑な感じ。音の色が多彩というか。まあびぃのドラムも、タムやバスドラやシンバルの打ち方が技巧的なほか、その他様々な音を生み出していて、賑やかというか奥行きが深い。音譜目覚まし鳴らせば朝がくる~音譜という、彼女の曲の設定や題材に多く登場する「夢」が、この曲にもみられた。今度、もっとじっくり聞いてみよう。

また、「ネオ白昼夢」を聞いてはじめて、この曲は攻めてるなあと実感。かおりぃが二の矢、三の矢を繰り出して、独特のテンションを作り出しているところに感動。意外とアッパーだった「涙」も面白かった。

だが、やはり今夜一番だったのは「あなたの中で目が覚める」だな。この歌、けっこう好き。音譜イメージは無限大、もろくてまるい牙を剥く キラキラ放てよ あなたの街に飛んでゆこう音譜ってサビが。しかし、こうして書き出しても、意味が分からないイメージのおもちゃ箱的なところも(笑)

1)てっ辺
2)夜よ明けるな
3)ネオ白昼夢
4)においのかたち
5)涙
6)あなたの中で目が覚める


2番手はアニソン歌う21才のアイドル卵みたいな子。熱烈なファンの若者が多く、前の方の席を明け渡し、ここは一旦後衛に下がって、三井さんらと雑談など。

さあ、そして松岡里果ちゃんの出番だ。今夜のギターサポートは高田さんではなく、三井さんのみ。この週末、川崎で歌いまくった里果ちゃんをずっとサポートしていた高田さんは、今日は橋幸夫の演奏で札幌だ。と、思ったらひょっこり現れ、後ろの方で途中から聞いていた。札幌ライブ帰りに駆けつけたとか。さすがのフットワークの軽さ。

さて、里果ちゃんのライブは、まずは彼女のギター演奏から始まった。年初から始めて、途中で飽きて止めていたギターだが、最近また復活した模様。この日は冒頭2曲を自らもギターを弾きながらのステージだ。

最初にもってきたのは、ユーミンカバーの「優しさに包まれたなら」。それを、Aメロをほとんどアカペラで歌いだす。あの掠れた、それでいて親しみやすい声で歌うアカペラは、表情たっぷり。そこに、彼女自身のギターが入る。そして、三井さんのギターも加わって一気に曲調が盛り上がり、彼女の意外に強いボーカルで切々とユーミンを歌い上げる。




ところが途中で里果ちゃんのギターの音が出ないではないか。シールドか機材の接触の問題かと思いきや、曲が終わったところで「ああ、ギターの音量のスイッチ入ってなかった」……ガクっ(笑)

続いて「私はアーティストだから実は暗くて、生きている意味とかよく考えます」と前ふりして「生まれた理由」。アーティストだから暗いという論理は、必ずしも合ってない気がしますが、確かにシンガーソングライターは概して内にこもって考えるタイプが多いか。考えることが多いから、表現したい言葉がたまりにたまって、歌という形で放出しているのだろうね。

そんな思いをつづった曲を、ギターで弾き語る。もちろん、技巧的な三井さんのギターサポートがあるからだが、すごく頑張っている。前向きに取り組む里果の姿勢は好感度高いね。最後はギターを下げながら、フルートまで。独自のスタイルは、一度見たら忘れない。




実は新たにいいギターを買う予定で、いま使っているギターを売りたいとか。オークションで500円からと掛け声上げたが、誰も後が続かず(笑)昔、まだかわいかった頃やったオークションでは、はただのTシャツを1万7000円ほどで売れたのに…と嘆いていたw。

ギターからようやく「解放」されて、3曲目からは元気いっぱいに歌いだす。手拍子を受けて、間奏ではフルートを響かせ、ハンドマイクでステージ狭しと動き回り、客席とコミュニケーション。このおきゃくさんとのコミュニケーション能力の高さは彼女ならでは。

「向日葵」から「つながる空」へ、どんどん客席をあおり、自らもノリノリでテンポを上げていく。「つながる空」では、お決まりのラララララとお客さんにも歌わせ、前のアーティストのお客さんたちにも一緒に歌おうよと声をかける。会場全体を一体にしようと、いろいろ工夫していく彼女のひたむきなところが、とても愛らしい。みなに好かれるゆえんだ。

1)優しさに包まれたなら(荒井由実カバー)
2)生まれた理由
3)風とあなた
4)リプライ
5)向日葵
6)つながる空
en.水彩

ステージ降りる元気がなかったのと、盛大なアンコールの手拍子をステージ上で受けて、最後に「水彩」をしっとりと。里果ちゃんのステージっていつも、最後はほのぼのした気分になる。彼女の愛嬌に釣り込まれる。タレント性があるんだよね、彼女は。楽しいライブだった。