外国語学習で語彙の習得率をグッと上げ、現場で使えるようになるためのポイント2つ | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

外国語学習で語彙の習得率をグッと上げ、現場で使えるようになるためのポイント2つ

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先日、「20:80のルール」(20対80の法則)について少しお話しました。

 

外国語を習得するときにも応用できる考え方で、「言語の全体の2割の語彙が会話や書かれていることの8割を占める」ということ。

 

先日の記事をまだお読みでない方は、こちらからお読みください↓

 

文法は完璧、語彙力があるのにしゃべれないのはなぜ?(全単語の〇〇%が分かれば話せる)

 

 

 

ある語学系ユーチューバーも、外国語の習得をテーマとした動画の中で「20:80のルール」について話していたのでご紹介します。

 

とはいえ、その動画はカタルーニャ語の動画なので、その内容自体を理解できる人は少ないかもしれませんが・・・

 

とにかく、このユーチューバーの方はマルクさんといって、カタルーニャ語やスペイン語(カスティーリャ語)の先生をやっている方のようです。

 

語学の先生がおっしゃっていることなので、この「20:80のルール」はやはり重要だ(確かなこと)ということだと思います。

 

ちなみに、その動画はこちら↓

 

 

「20:80のルール」について話しているクダリは、動画の27分42秒くらいからです。

 

このカタルーニャ語の先生がここで話している内容をかいつまんでご紹介すると・・・

 

El 80%, 20%, que més o menys el que diu és que el 20% del vocabulari apareix el 80% del temps i el 80% del vocabulari apareix el 20% del temps.

 

「20:80のルール」とは、大まかに言うと、語彙の20%が全体の80%に登場するということで、つまり語彙の80%は20%でしか出てこないということ。

 

また、私の別の記事(外国語習得で文法学習や暗記はどれくらい意味があるか?(外国語教育者必見の動画をご紹介))でもお話したように、外国語を学習するときに大事なことは、だいたいの内容が理解できる文章(会話)の中でないと、なかなか新しい単語は身につかないということ。

 

この記事でご紹介した言語学の先生は、80~90%理解できている状況で出てくる新しい単語は頭の中に残りやすいけれど、5割くらいしか理解できない文章で覚えようとするのは、とても無理があるという考え方を紹介していました。

 

つまり、半分も理解できないような内容をただ聞いていても、なかなか外国語の習得には結びつかないというのです。

 

ということは、どういうことかというと・・・

 

自分のレベルに合った文章を読まないと、語彙を覚えたり語学を身につけたりすることはできないということです。

 

半分以上理解できない文章をいくら聞いていても、習得の効率が上がらないのです。

 

逆に、80~90%理解できるような文章で勉強してれば、その中に出てくる知らない単語(新出の語彙)が覚えやすくなるということ。

 

端的に言えば、外国語を勉強するときに、いくら自然な言語、生の言語を身につけたいからといって、半分も理解できないような映画や小説を使っていくら一生懸命に勉強しても、なかなか身につかないというわけです。

 

逆に言えば、自分が80~90%ほど理解できるような教材を使う必要があるということです。

 

ハチハチハチ

 

そして、今日ご紹介したカタルーニャ語の動画でも言っていましたが、大事なことは、頻出の20%の語彙に焦点を当てて集中的に習得すること。

 

この20%の単語は、どのようなテーマでも共通して頻出の語彙なわけで、逆に言うと、その他の80%の単語は、全体の20%にしか登場しない単語で、内容も専門的であったり、あまり汎用的ではない単語ということができます。

 

そして、あまり出てこない単語(繰り返しっ出てこない単語)なので、身につく(覚える)のも遅くなるわけです。

 

ですから、外国語の語彙をより効率的に習得しようとすれば、その80%の単語に焦点を当てるのではなく、まずは頻出の20%の語彙に集中する、そうすれば80%が理解できるようになり、結果的に残りの20%の語彙も覚えやすくなるという理屈になります。

 

そう考えると、外国語の学習段階では、特に初級者のうちは、あまり専門的な内容や、狭いテーマが題材のものを教材にするよりは、初心者用の、できれば基本の20%の語彙に焦点を絞った教材を使うことが望ましいと言えます。

 

最近は、YouTubeやTik Tokなどで、ネイティブの人や海外経験者が日常的に使えるフレーズや題材を使って外国語学習の動画を公開しているをよく見かけますが、その多くは、確かに実用的で役に立つ言葉を紹介してくれているのですが、それでも外国語習得の見地からすると、この20%の語彙が身についていない人が見ても、あまり実用的には身につかないものが多い気がします。

 

初心者の段階では、頻出の20%の語彙を集中的に身につけて、それからそれ以外の80%の語彙を身につけていく方が効果的だと思います。

 

その点で、やはり外国語教授法の研究を裏付けに作成された教材は、よくできているのだと思います。

 

20%の語彙の観点からお勧めの教材は、今の段階ではまだ(私の勉強不足で)ここでご紹介することはできないのですが、たとえばNHKの語学講座(テレビやラジオ)は、わりとその点ではお勧めできると思います。

 

ただ、最近の語学講座を視聴をしていて感じるのは、NHKの講座も、以前とは違って、最近はそういう教授法に基づいていない、要するに一般受けするような、内容の薄い講座が増えてきているように思います。

 

NHKは受信料を取っているのに、なんとなく最近は「視聴率」を気にしているような気がします。

 

まあ、確かに「つまらない」番組では、私自身も視聴を辞めてしまうかもしれませんが、それでも、ある程度つまらなくても、きちんと外国語教授法に則った講座を放送してほしいなぁと思うところもあります。

 

 

UnsplashKenny Eliasonが撮影した写真

 

 

今回紹介したカタルーニャ語の動画は、カタルーニャ語に限らず、外国語の習得がテーマなのですが、最後に外国語の語彙の習得について、とても重要なことを話していました。

 

動画では、29:59あたりからです。

 

I l'altra cosa que també és molt important és que tingueu en compte, que és plenament normal, que aquest procés d'incorporació de vocabulari no és lineal.

 

「もう1つ覚えておかなければいけないとても重要な点は、(当たり前のことですが)語彙の習得は "直線的" なプロセスではないということです」

 

つまり、一度覚えた単語でも、頻繁に使わない単語などは、しばらく使っていないと忘れてしまい、後日その単語に再び遭遇することで、徐々に身についていくものであり、一方で頻出の単語は苦労なく覚え、使えるようになるのです。

 

語彙の習得はこのような複雑なプロセスを経るものであり、一度覚えた単語であってもすぐに思い出せなかったリ、ましてや使いこなすことができないということもよくあることです。

 

ですから、語彙を覚える際にも、たとえばフラッシュカードのようなもので直線的に覚えるよりは、他の単語や概念、コンテキストの中で「組織的」に覚えていくことが有効であると言えます。

 

その結果、さまざまなコンテキストでその語彙を実用することができるようになるというわけです。

 

先日紹介した動画(上のリンクのブログ記事)でジェフ・マクィラン(Jeff McQuillan)博士も話していましたが、語彙を身につけるには、フラッシュカードなどで一義的(直線的)に単語を覚えるよりも、さまざまなコンテキストの中で覚えた方が、結果的に有効だということです。

 

確かに、フラシュカードや単語法などを使って単語を集中的に暗記したほうが効率的そうですし、結果が目に見えやすいですが、一方でコンテキスト重視の教材では、なかなか単語単語はすぐに覚えられないし、遠回りのような気もします。

 

しかし、結果的にはコンテキストのある教材で背景情報も一緒に身につけていった方が記憶に定着しやすいのです。

 

しかも、一義的(直線的)に習得した単語は、実践の場ではなかなかパッと思い出せなかったリ、すぐに使えなかったりしますが、コンテキストで身につけた単語は、現場で思い出しやすいし、的確に使うこともできます。

 

そちらのほうが実践的だということができるでしょう。

 

以上、今回ご紹介した(カタルーニャ語の)外国語習得に関する動画で話されていた内容のポイントをまとめると・・・

 

①外国語の語彙を習得する際は、まずは80%をカバーする20%の語彙から集中的に習得すること

 

②語彙の取得は直線的にはいかないので、(遠回りなようでも)コンテキストのある教材で有機的に身につけること

 

この2点に集約できると思います。

 

この2つの点で間違って学習している人が多いかもしれません。

 

つまり、①については、いくら実用的な教材だからといって、半分も理解できないような映画やNetflixで勉強しても、特に初心者の段階ではあまり実効性がないということ。

 

②については、確かにテスト用の単語集やフラッシュカードで語彙を効率的に覚えれば「やった感」が出るのですが、実際に単語の意味は覚えても実用する段階でとっさに使えないのであまり意味がなく、実践的に身につけるためには「直線的」ではなく「有機的」に覚える必要があるということ。

 

外国語学習で、特に初心者のうちは「結果」を早く出したいがために「実用性」や「効率性」を求めがちなのですが(フラシュカードで暗記するとやった気になるので、そういうメソッドの初心者には受けが良い)、そこはぐっと我慢して、遠回りなようでもしっかりと語彙の種類(20%)を絞り、コンテキストのある教材でじっくりと学習することが大事ということです。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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