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外国語習得で文法学習や暗記はどれくらい意味があるか?(外国語教育者必見の動画をご紹介)
今日は、昨日お約束した動画のご紹介です。
とても興味深い動画なので、特に外国語教育に関係している方はご覧いただいたらよいのではないかと思います。
英語(外国語)がなかなか話せるようにならない
文法をすべて理解して語彙もたくさん知っているのに話せないのはなぜ?
単語帳で単語を覚えるのは意味があるの?
子供が言語を習得するように学習する方法は意味があるの?
外国語の習得には、これ以外にもたくさんの悩みがあり、その解決方法(語学習得法)もたくさん提唱されています。
時代時代に「効果的」といわれるメソッドが登場し、スクールが登場し、アプリが登場し・・・
でもなかなかできるようにならないですよね。
多くの人の悩みだと思います。
私も、人は勉強をしてもなぜなかなか話せるようにならないのか?知識を身につけているのにどうしてできるようにならないのか?と、ずっと不思議に思っていました。
でも、それに対するある程度の答えを出してくれている人を見つけました。
そして、外国語をどう勉強していけばよいのか、その道筋を明るく照らしてくれる先生を見つけたのです。
私自身、今までの考えがかなり変わりました。そして、私の外国語の学習方法を少なからず変えてしまいそうです。
今日はその先生を紹介したいと思います。
昨日の記事もよろしければお読みください。
↓
文法は完璧、語彙力があるのにしゃべれないのはなぜ?(全単語の〇〇%が分かれば話せる)
先日、YouTubeの(語学系)動画をあさっていたところ、偶然この動画を見つけて「目から鱗」といいますか、とても納得のいくお話を聞けたので、みなさんと共有させていただきたいと思います。
ただ、アメブロのYouTube共有機能が今の時点で故障しているようで使えないので、YouTube動画のリンクを貼る形で共有させていただきたいと思います。
いずれ機能が直ったら、あらためてこのブログに貼り付けたいと思います。
その動画は、語学系ユーチューバー(とお呼びして良いのでしょうか・・・) Matt Brooks-Greenさんのチャンネルでアップされていたものです。
ジェフ・マクィラン(Jeff McQuillan)博士という、応用言語学の先生にインタビューした動画でした。
Ex-Professor Reveals Way to REALLY Learn Languages (according to science)
インタビューの内容は
・研究に基づく人々の外国語習得方法
・文法や語彙に関して我々が犯しがちな最大の間違い
・外国語学習者へのアドバイス
動画は下のリンク(サムネイル)からご覧いただけると思いますので、英語ですが、興味のあるかたはご覧ください。英語が分かるかたは是非ご覧ください。本当に納得がいきます。
尚、(殴り書きで、とっても雑ですが)自分の学習用にノートを取りましたので(日本語で)、よろしければご覧ください。
誤解している部分や理解の浅いところもあるかもしれませんが、参考までにこちらを読みながら動画を視聴していただければ、少しはみなさんの理解のお役に立てるのではないかと思います(要所要所、動画の時間も記録しておきました)。
(動画)
(まとめノート)
1:00 大人の言語習得と子供の言語習得の違い
・「メッセージを理解する」ことで習得していく
・脳が言語を学ぶ2つのプロセス:※これキーポイント
①Learning: Conscious knowledge
②Acquiring (Acquisition): Unconscious (subconsciou) knowledge
→言語を学ぶ際、どっちがより大事?どっちに重点を置くべき?
3:50 新たに言語を学ぶ際、どんな学習から始めるべき?
商業的な教材のデメリット→言語の暗記的な、シンプルな側面に焦点を当てがち(内容の濃い豊かな言語を扱うものは少ない)
マクィラン博士が言語の学習教材に求めるもの
①自分で内容を理解できるもの、自分で理解できるように手助けをしてくれるツール(単なる翻訳ではなく)
(訳語を見ているだけでは理解に繋がらない)
②視覚的に伝えられている情報を理解できる教材
6:10 無意識の部分で理解をしていくという学習方法において「文法」はどのような位置づけになる?
・文法は意識的な学習(conscious learning)の部分
現実には「実際に話すときに思い出せるのか?その知識を現場でとっさに使えるか?」が問題になる
文法は、膨大で複雑な言語体系を説明するほんのわずかな部分でしかない
文法をすべて覚えて語彙力を十分に持っていても、そのルールを実際に使えるようになるまで時間がかかる(7:05)
どんなに深く理解している人でも、日が浅いうちは実際に本を読むときや話すとき、ルールや語彙を思いだすのに少し立ち止まって考えなければならない
・人は話すときに「ルール」を考えるのではなく「意味」を考える。脳は自然と「意味」に焦点を当ててしまう
・脳は二つの事を同時に考えられず、「意味」か「ルール」かどちらか一方しか考えられない
だから、学習をするときに文法の細かいところに集中するのは時間の無駄になる。人間は「意味」に焦点を当ててコミュニケーションをするから(8:00)
Learning does not result in acquisition.
文法や語彙など学習をすればいずれ身につくのでは?→必ずしもそうはならない。学習したことが(consciou knowledge)実践(Acquisition)に結びつくとは限らない。
8:30 意識的に学習したこと(consicous knowledge)はどう役に立つのか?文法などのLearningにはどんなメリットがある?(それとも、Acquisitionに絞って学習するべきか?)
分かりやすい例はライティング(conscious knowledgeを活かす場面)
ルールを知っている人でも間違う(だからこそプルーフリードは誰にとっても難しい作業になる。完璧に仕上げても、誰かにチェックさせるとミスがたくさん見つかる)
プルーフリードがとても難しい理由→我々の脳はどうしても「意味」に集中してしまいがちで、「文法」や「ルール」から意識が離れてしまう
10:19 「意味」に集中しがちな人間の脳が、言語のルール(文法など)を習得するためには、どのレベルの言語(文章や会話など)を教材として使うべきか?高いレベル(あるいはさまざなレベル)の言語に浸り続けていれば、脳はいずれ自動的に文法や語法を吸収してくれるのか?
自分が現状でどのレベルにあるのかを知るのはほぼ不可能(人それぞれ違う)→だから「レベル」を考えて、何を勉強すべきかを考えるのはあまり意味がない
ただし、「自分がだいたい理解できる」というものを使用することが大事。理解できる内容からでも、習得すべき文法や語法の要素はたくさん見つかり、そこから学ぶことがたくさんある。
12:45 語彙力を上げる最も効果的な方法は?
語学は「学習」(learning)で身につくのではなく「習得」(acquisition)で身につくもの。
大事なポイントは、80~90%理解できるコンテキストの中で出てくる知らない単語→これがacquisitionのプロセスで身につく(leaningで意味を覚えても、使えるようにはならない)
理解できるコンテキストが80~90%はとても「高い」と感じるかもしれないが、この割合が下がると(70%、60%…)等比級数的に理解度が下がってしまい、辛くなる→理解度が急に下がる
お薦めは、内容的に楽に読めるレベルのモノを使う→脳が楽に「分からない」単語を拾ってくれる
語彙の習得は2つの「I」で起こる:Incidentally and Incrementally
① Incidently(偶発的):あまり意識していない隙に覚えている。
脳は語彙の暗記に集中しているときよりも、たとえば本を読んだり会話をしているときのほうが覚えやすい。
② Incrementally(漸増的):これがとても大事なポイント。
ある単語を、さまざまなコンテキストで見る回数が増えると、見るたびに脳に定着しやすくなっていく。無意識に起こる(1回目よりも10回目のほうが各段に覚えやすくなる)
17:00 フラッシュカードなどを使って単語を覚えるという方法についてどう思うか?初心者が語彙を習得するのには良い方法なのか?(意識的に語彙を覚える効能は?)
仮に子供に10語の意味を教えて、その10語が入っている文章を読ませたら?
理論的には単語の意味を理解しているはずだが、現実は・・・
この単語の「知識」は、理解を深めてくれる情報ではない(意味を知っていても理解につながらない)
単語の意味を「暗記する」という作業は「浅い」効果しかない。
これは研究でも明らかになっていて、だからこそ(学校での)外国語教授法が「暗記重視」から「理解・実践重視」にシフトした→でも、この問題は「時間がかかる」プロセスだということ(つまり、時間を効率的に使えない)
現実では、マーケットを見ると「暗記」をさせる教材であふれている。それは時間を「効率的」に使えているように思わせることができるから。
でも、研究ではそれでは効果的に単語を覚えられないことが証明されている。
※(丸山の個人的な見解)売れているアプリや語学のテストのようなものが「売れる」理由はここにあるのかもしれない。効果が上がる方法よりも、効率的に習得できるように思える(「暗記できた」とか「点数が取れた」とか)ものの方が売れやすい(満足度が高い)。(でも実際には効果が上がらないことが研究で証明されている)
暗記に費やした時間を、コンテキストのある教材で習得する時間に費やした方が、実はより効率的に覚えられているという事実(これは研究結果)。
The time efficiency argument is so against memorization and flash cards. (20:16) ←これ大事
確かに、あるメソッドでは10語を効率的に暗記できるという結果が出ているかもしれないが、その調査では翌週、翌月における単語の記憶への定着が考慮されていないなど。
フラッシュカードで暗記した場合、結果として得られるのは単語の意味のみ(語学の1要素か習得できない)。
一方、コンテキストのある教材で学べば、単語の意味以外にも文法や語法などの要素、知識など総合的に身につけることができる。
22:00 言語の習得効果をあげるためのアドバイスは?
Lower your expectations.
「子供は言語の習得がはやい」←これは実は間違い!
大人の目からすると、子供は言語の習得がはやいと思われがちだが、実際には子供はとてもゆっくりと習得している。
Language acquisition takes time.
以上、動画理解の役に立てば幸いです。
UnsplashのElement5 Digitalが撮影した写真
外国語を勉強している人、苦労している人には、マクィラン博士のおっしゃっていることがよくよく参考になると思います。
すばらしいお話をしてくださったジェフ・マクィラン博士に感謝です。今後、先生の著書なども読ませていただこうと思います。
そして、Matt Brooks-Greenさん、貴重なインタビューをありがとうございました。
個人的には、外国語学習の参考に大いになりました。
これからの自分の学習方法が大きく変わりそうです。
この動画に出会えたことは、私にとってとても貴重な機会だったと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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