せっかく翻訳してもお金の無駄になってしまう翻訳とは? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

せっかく翻訳してもお金の無駄になってしまう翻訳とは?

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昨日、あるオンライン予約サイトの「誤訳」についてお話をしましたが、私が気になるのは「誤訳」だけではありません。

 

(昨日の記事はこちらから⇒ある有名なオンライン予約サイトに学ぶ、有能な翻訳者が「誤訳」をしてしまう理由

 

今日は、翻訳(特に多言語展開に関すること)でいつも気になっていることについてお話したいと思います。

 

たとえばこれです。

 

 

 

昨日お話したサイトの日本語ページです。

 

この「おかえりなさい!」という文。

 

こういうの、すごく気になるのです。

 

気になりませんか?

 

こういう言い方、日本(語)ではあまりしないと思うのですよね。

 

違和感があるというか・・・

 

恐らく、「Welcome back!」の直訳だと思うのですが・・・

 

と思って、英語ページを見てみたら、案の定でした。

 

 

ついでに言うと、このラインでファーストネームでお客様に呼び掛けるという・・・

 

欧米では、お客様に呼び掛けるときに親しみを込めてファーストネームを付けて呼びかけます。

 

しかし、日本ではこういう習慣はあまりなく、違和感を覚えたり、場面によってはちょっと失礼になったりします。

 

要するに、それぞれの文化圏における習慣によっては、その表現が適切ではないということが、これがかなりの確率であります。

 

最近は、一つの会社がグローバルにサービスを提供し、多言語展開をすることがよくあります。

 

ですのでこういう事例が増えているのですが、特に日本語に訳すとき、原文をそのまま訳しても、場面によってはそれを言うこと自体が不適切な場合もあります。

 

それは、仮に自然でこなれた日本語にしたとしてもです。

 

そういう文言を表示すること自体が、適切ではない場面ってあるのです。

 

それは、言語だけが分かればよいというわけではなく、やはりそれぞれの文化圏での習慣がありますし、また、その文化圏の中でも、業界特有の言語習慣があったりして、それに応じて訳してあげないと、翻訳した文章の目的が適切に達成できないということになりかねません。

 

ハチハチハチ

 

それを特に強く感じるのが、ビジネスレターなど商談に関わるような文章や、公的な書類(証明書など)の文言の翻訳です。

 

私たち翻訳者は、原文をいただいて、それを日本語に訳すように求められます(あるいはその逆の言語)。

 

しかし、そのまま言葉や文言を置き換えたとしても(かりにこなれていたとしても)、それがそのまま役に立たない場合があります。

 

ビジネスレターなんてのが特に良い例で・・・

 

特にアメリカのビジネスレターは、要件を端的に述べて、目的を伝えることが第一。

 

一方、日本語でそれをやると、あまり良い印象のビジネスレターにはなりません。

 

形式の違いがあるのはもちろんですが、ビジネスレターに盛り込む内容自体、両文化圏で大きく違ったりするのです。

 

もっと言えば、ビジネスレターという書簡自体の役目が、両文化圏でちょっと違う・・・

 

要するにプロセスが違うわけで、違うプロセスなのに、それぞれ各自のプロセスをそのまま外国語に訳したとしても、相手に行っている内容は伝わるけれども、伝えたい意図が上手く伝わらないということになってしまいます。

 

「翻訳」とは、実は、単に言葉の内容を伝えることではなく、伝えたい内容を伝ええた上で「期待する結果を出す」ということころが実は大事なのです。

 

求める結果が出せないようでは、訳した意味がないわけです。

 

冒頭の例では、おそらくそこまで大袈裟なことにはならないかもしれません。

 

ただ、この違和感バリバリの文章(その文化ではあまりなじみのない文言)で、どれだけそのサイトが結果を出せるかを考えたとき、やはり単に原文をターゲット言語に訳しただけでは、翻訳する意味が半減してしまうような気がします。

 

翻訳とは、「きれいに翻訳すればいい」とうい単純な話ではないのです。

 

ちなみに、私は良い返事がもらえるビジネスレターを書き(翻訳し)ますし、成約するプレゼン資料を作り(翻訳し)ます。

 

結果を出すことが翻訳者の仕事だと思ってやっています。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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