最終的には人間翻訳なのかAI翻訳なのか区別がつかなくなる。それでも人間翻訳者はいなくならないのは | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

最終的には人間翻訳なのかAI翻訳なのか区別がつかなくなる。それでも人間翻訳者はいなくならないのは

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機械翻訳とかAIって、(今のところ)人間が翻訳するように指示を出さなければ翻訳をしないわけですよね。

 

(自動的に更新してくれるAIやシステムがあるけれど、それもそもそもは人間の指示)

 

上手か下手か、使える翻訳か使えない翻訳かはさておき、「ここを翻訳したい」「ここはいらない」ということを、発注する人間が決めているわけで、その人間が「この翻訳者(あるいは機械)に頼めば間違いない」と信頼できる人(あるいは機械)に翻訳をしてもらえるようにならない限り、必ず誰かしらの「人間」の存在が必要になってくるわけです。

 

要するに、責任を取ってもらえる人が必要なのです。

 

昨日お話したように、いくら技術が発達して、どんなに素晴らしい文章を書いてくる翻訳機やAIが登場しても、100%正しい翻訳をしてもらえるという「信用」がない限り、人間の翻訳者の仕事はなくならないと思うのです(詳しくは昨日の記事をお読みください)。

 

確かに、内容がざっくり分かれば良いという程度のものであれば、エラーは含まれている可能性があっても、「とりあえずやってみる」ベースで翻訳機にかけることはあるでしょう(実際に、すでにそういう使い方をしているひとは多いはず)。

 

今までは、そんな翻訳でさえ、翻訳者が(安く)引き受けてきました。

 

これからは、そういう(お気楽な)仕事はなくなっていくでしょう。

 

そういう意味で、「翻訳者」という仕事自体、これからはますます「専門化」が進み、難度が上がっていくということも言えるかもしれません。

 

今までは、「ちょっとしたデータ入力」感覚で、翻訳で稼いでいた人もいるかもしれません。

 

あるいは、専門知識がほとんど必要のない、お手紙程度の文章を翻訳していた人もいたかもしれません。

 

(どちらも、私が経験者ですww)

 

そういう「機械でもできる仕事」はなくなっていくでしょう。

 

駅員さんの仕事から、切符の販売や改札の仕事がなくなったように。

 

翻訳の業界の話で言えば、多少の間違いがあっても良い(と思われる)ものは、完全に機械に任せても良いという人が出てくる分野もあるかもしれません。

 

最近では、ChatGPTがストーリーを書いたり小説を書いたりするようですが、仮にChatGPTが外国の小説を翻訳したとして、その翻訳を読んだ人が「面白い!」と思ってその訳書がバカ売れすれば、それはそれで万々歳なような気もします。

 

そういうことは、機械翻訳(AI)でも十分にできるのではないかと思います。

 

契約書や金融商品の報告書の内容に間違いや誤訳があっては困るわけで、そういう部分では「信頼」が最も重要な要素であり、よってそこでは人間翻訳者が介入しなくなるということはあり得ないかもしれません。

 

しかし、小説などの世界では、もしかしたらChatGPTなんかが翻訳して、ミリオンセラーを出すような時代が来るのかもしれません。

 

あるいは、それを人間が翻訳したか機械が翻訳したか、判別することは極めて難しくなりますよね。

 

でも、そこに必ずあるのは、人間の存在です。

 

機械に翻訳をやらせたとしても、必ず人間がやらせているわけです。

 

で、その介在した人に問いただしてみれば、人間が翻訳したのか、機械が翻訳したのかは判明するでしょう。

 

でも、特にフィクションを扱うような分野であれば、それはもはや重要ではなくなるような気がします。

 

ハチハチハチ

 

要は、誰がそのお金(対価)を受け取るかの問題なわけです。

 

機械やAI自身は、(おそらく)対価や報酬を欲しいとは言わないでしょう。

 

お金が欲しいのは人間です。

 

翻訳という仕事も、対価の授受があるから成り立っているわけで、今まではその対価の一部が翻訳の作業を実際にやった翻訳者の手に渡っていたわけです。

 

それが、機械翻訳になれば、翻訳者には渡らずに、翻訳をやらせた本人の手元に全額が残るというだけ。

 

いや、今度は機械翻訳を開発した技術者に行くのかもしれません。

 

いずれにしても、「仕事」としての翻訳は、結局は誰にいくらだけお金が回るかという話なのです。

 

結局、いずれお金が回ってこなくなる分野に参入しているのであれば、翻訳を仕事としていては稼げなくなる時代が来る。

 

しかし、翻訳という仕事自体は消えることはないわけで、形は変われど(昨日の記事でも話したように)人間が関わる部分は必ず残るわけです。

 

そこを見極めて、どういう翻訳の仕事をしていくかということを考えることも、長く翻訳者として仕事をしていくうえでは重要なポイントになってきます。

 

もちろん、機械ではとうていできない部分も翻訳にはあるわけで、そこに着目して自分も参入していくということが、翻訳をやりたいのであれば必要なことだと思います。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

ただ、翻訳という仕事(作業)の魅力を言わせていただくと、やはり「ものづくり」的な面白みがあるわけです(人それぞれだとは思いますが)。

 

 

その作業を楽しんで、その成果に対して対価をいただけるということは、とてもありがたいことで、翻訳者当事者としては、自分をいつまでも使ってもらえるように、「魅力的な」文章を産出していけるように、日々工夫と努力をしていくのみだと考えています。

 

スポーツの世界で考えると分かりやすいと思うのですが、いつの時代にも革新的な選手が現れてきて、そのスポーツの常識を変えてしまうということがあります。

 

その選手のせいで記録の常識が塗り替えられたり(たとえば、10秒台が常識だったのが、9秒台が当たり前になるとか)、ルールが変わったり、道具がすっかり変わったり、競技のスタイル自体が変わったり(スキーで言えば、脚をきれいにそろえるのが当たり前だったのが、少し開くのが普通になるとか)・・・

 

何か革新的なことが起こると、それまでのチャンピオンはあっという間に落ち目になってしまいます。

 

あるいは、そういう変化にいち早く対応し、あるいはそういう変化を自ら作り出す選手(業界をリードする存在)であれば、むしろ何年にもわたるディフェンディングチャンピオンとして名を残すわけです。

 

歴史に名を残すような選手って、トレンドを含め、そういう変化を自らが作りだして時代の先端にいる人だなぁと、特にスポーツ界を見ていて思います。

 

ついていけない人は、あっという間に落ちぶれて「古い人」になってしまう。

 

翻訳業界も、特にITの発達により、ある意味で時代の転換点に来ていると思います。

 

その変化の時代に、自分が昔取った杵柄を守るために必死にがんばるのか、次を見据えて長く活躍の場を切り開いていくのかは、人それぞれではありますが、やはり「仕事としてやっていく」という観点からは、とても重要な選択になるのではないかと思います。

 

 

UnsplashGuido Coppaが撮影した写真

 

 

翻訳といえども、仕事としてやっていく以上、商売なわけです。

 

商売は、人を相手にしてやるわけで、先ほど(あるいは昨日)も言ったように、人を相手に仕事をしていく以上、人が介在しない翻訳というものはあり得ないわけで、その人を相手にした商売をどう展開していくか、自分のスキルをいかに使ってもらえる相手を見つけるかが、長く翻訳を仕事としてやっていくポイントになると思います。

 

私は、その点で重要になるのが

 

・翻訳自体の追求(質の高い翻訳を提供すること)

 

・相手を知ること(自分の翻訳を売る相手に刺さる仕事をすること)

 

・翻訳という仕事を楽しむこと(翻訳の仕事の楽しさを見つけること)

 

この3つだと思います。

 

特に3つ目は、機械やAIにはできないことであり、これが唯一、機械と人間とを差別化するポイントだと思うので、ここが最も重要なとこだと思いますし、私自身、最も大切にしていることです。

 

要は、人間にしかできない仕事をすることが、最終的に翻訳の仕事でずっと食べていく方法だと思います。

 

 

参考:昨日の記事

人間の翻訳者の仕事がなくならない最大の理由(具体的な例を挙げて解説します) | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所 (ameblo.jp)

 

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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