「かばん語」は初耳! Wikipediaをちょっといじります
昨日、
crowdfunding
という言葉について
説明しました
まだ読んでない方は
是非こちらから↓
この言葉は
crowdsoucing
という言葉を基に
生まれました
Wikipediaでは
「crowdsourcingが、crowd と sourcing の portmanteau だ」
という説明がなされています
このように
2つの言葉をつなげた単語のことを
portmanteau
と英語では言います
と説明されています
ただ、
Wikipediaの説明は
ちょっと違うかな
と思ったわけです
Portmanteauとは
「旅行かばん」
のことです
(英語では)
フランス語っぽいですが
フランス語は
portemanteau
ちょっとだけスペルが違います
でもportmanteauの語源は
フランス語のportemanteau
現代のフランス語では
「かばん」の意味ではなく
「コート掛け」のことを
指します
中世では
外套とかを入れる
両開きの旅行鞄を
フランス語でも
こう呼んだそうです
Photo by sue hughes on Unsplash
さて、
語源はさておき
crowdsourcing
みたいな言葉を
なぜ
「portmanteau」
と言うのかというと・・・
(厳密にはcrowdsourcing は
portmanteauではないのですが、
その説明をしていきます)
その起源は
ルイス・キャロル作『Through the Looking-Glass』
(鏡の国のアリス)
なのだそうです
ハンプティダンプティが
「slithy」と「mimsy」という言葉が
2つの単語の意味が1語に込められている
という状況を例えるのに
「portmanteau」
つまり
両開きの旅行かばんのようなものだ
とアリスに説明するのです
で
このような作りの造語のことが
portmaneau words
と呼ばれるようになったのだということです
その日本語訳は
「かばん語」
なのだそうです
この用語は初耳でした!
他に
このような成り立ちの言葉を指す用語が
なかったっけ??
造語
ではないですが・・・
複合語?
合成語??
かばん語は
厳密に言うと
複合語(合成語)とは違うようです
合成語は複合語と同じ意味のようですが
「(compound word)二つ以上の単語が結びつき、別の新しい1語を形成したもの。」
(広辞苑第五版)
だそうです
「通勤電車」
「落ち着く」
「青臭い」
という用例が載っていました
英語では
greenhouse
backboard
など
これに対して
かばん語は
単語の一部同士を組み合わせた語
英語では
ハンプティダンプティの
slithyやmimsyのほか
smog = smoke + fog
spork = spoon + fork
brunch = breakfast + lunch
など
名詞でもたくさんあります
日本語だと
有名なところだと
カラオケ = 空 + オーケストラ
パソコン = パーソナル + コンピュータ
たまごっち = たまご + ウォッチ(時計)
などなど
かばん語と
複合語(合成語)の違いが
見えますか?
以上を踏まえると
crowdsourcing は
portmateau ではなく
compound (合成語)
ということになります
crowd + sourcing
どちらも
それぞれの単語を
そのままつなげて1語にしただけ
これは
複合語・合成語の定義です
「青臭い」
と同じ分類であり
「カラオケ」や「slithy」
とは違う分類です
とうことで
Wikpedia の説明(本文3文目)は
The word crowdsourcing itself is a portmanteau compound of crowd and outsourcing, and was coined in 2006.
と改めるのが
良いでしょう
(余計なお世話ですが!)
日本語は
かばん語が多い印象です
最近のナウい言葉にもあります
「メンブレ」
も、かばん語ですよね
メンタル + ブレイク
ネット用語の
「うぽつ」
なんてのも
ギリでかばん語でしょうか・・・
日本語は
昔から
かばん語が多そうですね
合成語を多用してきたので
派生させやすい言語なのかも
しれません
「貸し付ける」みたいに
スペイン語やポルトガル語など
確かに存在するのですが
がばん語があまり多くない言語もあるようです
英語では
こういうのを
1つの単語で表現したり
副詞を添えて表現したり
接頭辞をつけて表現したりすることが多いので
相対的に合成語が少ない気がします
だから
かばん語が
物語の中で
とても新鮮で面白い存在になったのだと
思います
これが
合成語が日常的に使われている
日本語の小説だったら・・・
かばん語をあそこで持ってきて
アリスに絡むという場面は
生まれなかったかもしれません
そう考えると
小説や物語の楽しみ方も
言語的バックグランドを持っている人と
持っていない人が読むのとでは
感じ取り方が
変わってくるのかと思い
面白いです
原語の知識と
その文化的背景を身につけて読む
醍醐味ともいえるでしょう
それにしても
「かばん語」
初耳でした
まだまだ
知らないことが
たくさん
勉強は発見の連続です。
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