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5、翌朝、金谷に顔を知られていない、石塚、野崎、滝が金谷を張り込むことになった。だが、金谷はわざと、途中の駅で降りて、3人が刑事であることを見破ってしまう。
誰がマークしても、金谷は同じように刑事であることを見破るだろう。それからも、翌朝も、その次の朝も空しい張り込みが続いた。
刑事たちにも機会(チャンス)はあった。朝の通勤時ばかりに目を向けて、いた刑事たちの中で山村だけは夕方の退社時にも目を向けた。刑事の執拗の張り込みによって、この数日、金谷はカミソリを使えず、苛立っていたのである。
山村の睨んだ通り、金谷はカミソリを取り出した。だが、すんでのところで、山村を知っている乗客が山村に話しかけたために、金谷は逃げられてしまう。
そして、その夜、全く別の路線で金谷はカミソリを使った。
カミソリ魔のような犯行は現行犯で捕まえるしかない。だが、毎朝夕、金谷を張り込み続けることは、他の事件との兼ね合いからも難しかった。考え込んでしまう刑事たち。新しい発見といえば、金谷が老人にひどく優しいということだけだった。

6、昭は思う。コネで入ったことにこだわる余りに、悪いほうへ、悪い方へ、と落ちていった金谷。裏口で入ったことにこだわらず、努力して、立派な医師となり、愛まで獲得した根室。裏口で入ったことにこだわり、自分で新しい道を選んだ昭。
出発点は同じでも、3人の行き方には大きな違いがあった。だが、自分もあのまま大学に残っていたら、あるいは金谷と同じようにコンプレックスのかたまりにになっていたかもしれない。
その晩、例のスナックに立ち寄った昭は、思いがけず、和美と再会する。そこで昭は意外な事実を知った。和美が故郷へ帰ったのは、昭に失恋したためだったのだ。
当時、自分の恋心を昭に直接告げる勇気をもてなかった和美はその仲立ちを根室に頼んだのである。根室は和美に、昭の返事を持ってきた。それは、昭に別の恋人がいるというものだった。
昭には全てが判った。和美が突然帰省したわけも。以来、根室が自分から離れて行ったわけも。根室は和美の思いを昭に伝えなかったのだ。何故なら、根室も和美が好きだったからである。

7、愕然とする昭。昭の心の中に根室に対する怒りがこみ上げる。だが、根室の策略を知らず、根室との婚約で幸福そうな和美を見て、昭は何もいえなかった。根室が親友である自分を裏切ってまで、和美との愛を得ようとしたのは、逆にいえば、それだけ和美を愛していたからだ。彼女にとってはそれだけで充分であり、裏に何があったのかを知らせる必要はない。全てはもう手遅れなのだ。根室の生き方は正しいかもしれない。だが、自分にはできない。親友を騙してまで、愛を勝ち取ろうとする真似は・・・・・。
その時、昭の中にひらめくものがあった。

8、翌朝、創と潤が金谷を張り込んでいた。途中の駅で金谷は降りる。創と潤はわざとおりそびれたフリをする。前夜、昭に言われていた通りである。
駅には、白髪の老人がひとりだけ、ポツンとベンチに腰掛けていた。電車が来る。金谷は足の不自由な老人の手を引いて、乗り込む。座っていた若者を立たせて、老人えを座らせる金谷。注意深く車内を見回す。刑事の姿はどこにもない。
カミソリを取り出した時、その手を座っていた筈の老人が掴む。変装した昭だった。
苦し紛れにカミソリを振り回す金谷。逃げ惑う乗客たち。車内は混乱。次の駅で飛び降りる金谷を、昭が追いかける。
やっとの思いで金谷を捕まえる昭。
金谷は叫ぶ…..汚いぞ、騙しやがって!
捜査なんてものは、犯人との騙しあいなんだ。―――と昭は思う。もしかしたら、人生も同じなのかもしれない。
それでも根室は間違っている。いつか、親友一人を失った代償の大きさに気がつく時が来る。その時、自分は暖かく迎えることができるだろうか。
今の昭には、その答えを出すことができなかった。(終わり)
                      

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『センチメンタルドック』のプロットはアップします。どうぞ、お楽しみください。
『禁じられた怒り』は勿論、『スリ学入門』『ドックとボギー』『ドックのうわごと』『死因』『12年目の真実』など、あらゆるドック編の原型になっているエピソードです。プロット全文掲載です。

太陽にほえろ!プロット(復刻版)
『センチメンタルドック』作、古内一成

1、新宿行きの通勤電車にカミソリ魔が現れ、4日続きで若いOLが被害に合った。七曲署捜査一係が捜査に乗り出す。中でも西條昭(ドック)は、前々から目をつけていたOL(4人目の被害者)にカミソリ魔呼ばわりされ、汚名返上とばかりにいつになく張り切っていた。カミソリ魔の現れる電車は、ラッシュのピークを過ぎた時刻の急行電車と快速電車に限られていた。そこで翌朝から、先発の急行に石塚、野崎、滝が、後発の快速に昭、創、潤が、それぞれ乗り込むことになった。

2、翌朝、滝がスリを、創と潤が痴漢を捕らえ、野崎が貧血で倒れた予備校生を保護した
が、肝心のカミソリ魔は現れなかった。
その日の午後、街で偶然、昭は学生時代の親友、根室(大門正明)に3年ぶりに再会した。
当時、二人には看護学校に通っている桐田和美(水原ゆう紀)という共通のガールフレンドがいた。
互いに牽制しあって、その仲が進展しないうちに昭は大学を中退し、警察学校に通い出した。そして、昭が本庁配属になった頃、看護学校を卒業した和美は、突然、昭にも根室にも黙って、故郷へ帰ってしまったのだ。連絡を取りたくても、故郷は分からず、結局、帰省の理由が分からないまま、3年の月日が流れてしまった。それ以来、昭は何故か、根室とも付き合いがなくなってしまった。その間に根室は大学を卒業し、今では父親の経営する病院で若先生として活躍していた。

3、夜、根室の誘いで昭は、学生時代常連だったスナックに顔を出した。そこで昭は、根室が和美と婚約して、来春結婚式を挙げることを知る。少なからず、ショックを受ける昭。根室は和美が帰省した後、あらゆうる手を尽くして、和美の故郷を調べ出し、それから3年間、プロポーズをし続けて、、ようやく、婚約までこぎつけたのだった。
心にわだかまりを残しながらも、話がはずむ昭と根室。酔った勢いで、根室は大学をやめた昭を非難する。二人は共に一浪の末、親の裏からの金で医学部に入学できた者同士であった。
昭は親の敷いたレールを拒絶して、途中から、他のレールに乗り換えた。だが、根室はレールに乗って終着駅まで到着したのである。
根室は言う。『お前は逃げたんだ。なんだかもっともらしい理由を並べているが、結局は6年間の辛い勉強から逃げ出したんじゃないか。たとえ入った時は裏口でも、6年間一生懸命勉強すれば、国家試験に通って医者になれるんだ。それで医者になれば、病院を継いで親孝行にもなるし、地域住民のためにもなる。お前は親不孝だ。勝手に大学をやめたために、西條医院では後継者に困っているじゃないか。』
昭は反論しなかった。根室の言っていることは違うとは思いながら、親不孝しているのは確かだ。
その夜は和美のことも合わせて、珍しくセンチな思いになる昭だった。

4、翌朝、快速電車の中で昭はカミソリ魔を発見する。だが、現行犯で捕まえ、最寄の駅で降ろしたとき、男の身体にはカミソリはなかった。車内にもなかった。
男は金谷という昭と同年輩の一流会社のサラリーマンだった。証拠がないことから、金谷は開き直り、逆に名誉毀損で訴えると息まいた。
昭は気づく。捕まえる寸前に、電車がカーブで大きく揺れたことを。その時、金谷は、開いていた、窓から咄嗟にカミソリを投げ捨てたに違いない。
昭、創、潤はカーブ付近を徹底的に捜索する。その間に他の刑事たちが、金谷の身辺を洗う。
金谷は一流会社に勤めながらも、コンプレックスのかたまりのような男だった。仕事に対しても、同僚に対しても、果ては、女性に対しても卑屈だった。それは入社時に自分がコネで入ったことに起因していた。
元々、正直でまっすぐな性格だったために、コネで入ったことをいつまでも割り切れず、なにかにつけて、被害妄想気味になってしまうのである。
夜になって、ようやく、ドブの中からカミソリが見つかった。だが、頼みの指紋は検出されなかった。

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この回も何故、ビデオ化しなかったのであろうか。不思議である。
 
 この他にも、古内のお気に入りの回に553話「ドックとマミー」がある。
 マミー(長谷直美)転勤したジプシーの後任として殉職した夫ロッキーの意志をついで刑事になった令子。とともに聞き込みをしていたドックは迷子の幼児ちえみを保護する。だが少女の父親は5百万騙しとられた結婚サギの女を追って逆に殺されていた。何も知らないちえみの為にドックは犯人を追う。犯人は結婚サギ師の女の愛人だった。
 事件を解決したドックは、なついてくるちえみが可愛くてたまらず、引き取ると宣言。だが。マミーに「子供はペットじゃない」と言われて思いなおす。ラストシーンで懸命にちえみに嫌われようとするドックに涙を誘われた。
「あれは5本の指に入るくらい大好きな作品ですね。最初の原題は「赤ずきんちゃん」だったけどマミーのキャラクターが出来上がる時期だったんでこうなりました。
小川英さんと一緒に見たんだけど、小川さん、オンエアで泣いてましたね。滅多に泣かない人だからびっくりしました。神田は長谷直美のことを妹のように思っているから兄妹みたいな話になりました。あの話でドックロリコン説がでたんだよね。」(古内談)
 古内は語る。後に古内は神田の希望によりアクション編603話「陽炎の街」ドックが犯人の少年を射殺するシリアス編614話「17歳」。電車マニアのゆがんだ犯人と対決させる625話「4色の電車」
研究熱心な医師たちの人体密売組織に命賭けで挑戦する633話「ホスピタル」などを書く。他に水上スキーを披露する507話「ドックと天使」スキューバダイビングの574話「冒険の海」
金庫破りのハコ師に弟子入りする541話「からくり」580話「名人」などに出演する。
 この頃には初期のドックに比べてかなりハードな話も多く、531話「マグナム44」621話「決闘」683話「獲物は狩人を誘う」など、マカロニ、ジーパン時代を思わせる大アクション編も見られる。
 また、648話「検視官ドック」では、検視の神様と言われる、ベテラン検視官の検視ミスを見事に指摘する。この頃になると、ヤブといわれていた頃の面影はなく、キレ味鋭いベテラン刑事となっていく。
 ゴリさん殉職後、そのポジションについたドックは新人教育係となり、時には若手を殴ることも出てきた。仲間たちの次々の殉職により、人間的にも成長していったのである。
 後期はスーツ姿にイメージチェンジして、派手な服はあまり着なくなる。
 ドックは一貫して髪型は真中分けでつらぬいていたが、終期になると、7・3分けなど変えていくこともあった。あと、当初は医大出ということもあって黒ぶち眼鏡をかけていたが、後期はサングラスをかけることが多くなる。
670話「ドック潜入!泥棒株式会社」では久々に入門シリーズが復活して、ハコ師の師匠が再登場。久々に黒ぶち眼鏡のドックスタイルが見れ、加えて、初期のBGMドック刑事のテーマⅠ,Ⅱが聞けて大変嬉しかったのを覚えている。
「殿下もゴリさんも逝き長さんも去って、否応なく、兄貴分に押し上げられた形のドックだが、そのキャラクターだけは決して失うことなく成長して欲しいと我々も願っている。
冗談大好き人間の大ベテラン刑事。……やがて完成されるであろう。その姿が今から楽しみである」
これは、故小川英が写真集に書いたメッセージだが、これは小川氏だけでなく、視聴者全ての願いではないだろうか。
 個人的に館ひろしがボスの『太陽にほえろ!』にも検視鋭い署内一のベテランとして、登場して欲しかった筆者である。
 ドックは私にとって人生の友ともいうべき存在なのである。