小さいけれど伝わる思いやり

パソコンのフォルダを整理していたら、関西で介護のお仕事をしていた時のメモがたくさん出てきました。

介護職は、大切なことを高齢者の方から多く学ばせてもらえるお仕事です。

メモの中にセツコさんのお話があったので、久しぶりにセツコさんのことをちょっと書こうと思います。

セツコさんのことはもうずいぶん前に書いたので、ご存じない方がいらっしゃると思います。

過去の記事を貼っておきますので、よかったら読んでみて下さい。

セツコさんの素晴らしいお人柄がおわかりになると思いますし、楽しい笑い話は心が癒されます。

人間ができている高齢者さんから学んだありがたいお話

https://ameblo.jp/holypurewhite/entry-11957398804.html

それもそのはず、セツコさんの人生はこのようなものでしたというお話

https://ameblo.jp/holypurewhite/entry-11912636593.html

セツコさんの少女のような純粋さと可愛らしさにほっこりしたお話

https://ameblo.jp/holypurewhite/entry-11899167980.html

気が弱いセツコさんが病院で抗議をした!?　という笑い話

https://ameblo.jp/holypurewhite/entry-12016167335.html

死んでいたらどうしよう！　と取り乱したことを喜ぶセツコさんの笑い話

https://ameblo.jp/holypurewhite/entry-12042149308.html

その日はセツコさんちの冷蔵庫に、生のサンマが一尾、入っていました。

「識子さん、今日はサンマ、焼いてな～」と言うので、

「このまま半分に切って焼けばいいんですよね？」と確認をすると、

「お腹、出してな～」とセツコさんが言います。

お腹を出す……。

魚はパックでしか買わない、という私はうろたえました。

「ええーっ！　ど、どうやってですか？　セツコさん、私、魚をさばいたことがないんです！」

そう言うと、セツコさんは大げさではなく、本当にたっぷりと１５秒はポカンと口を開けたまま、私を見つめていました。

その年で？

主婦をしてきたのに？

最初の結婚は専業主婦って言ってたよな？

息子さん1人育ててはるよな？

魚料理してこなかったん？

え？　じゃあ、魚、どうやって食べてきたん？

と、まあ、いろいろな思考が頭を駆け巡っていたようでした。（不思議と手に取るようにわかりました）

しかし、セツコさんはどの言葉もすべて飲みこみました。

そして最終的に口から出た言葉は、「私がするわ～」でした。

にっこりしつつ言う、という思いやりも忘れていません。

きっと、どの言葉も口から出すと、私がいい気がしないだろうと思ったのだと思います。

傷つけてしまうかもしれないと考えたのかもしれません。

たとえば、たったひとこと「えー？」と言ったとしても、その短い言葉の中に見下されたとか、馬鹿にされたとか、言われた方は感じるかもしれない……そこまで考えて、黙っていたように思います。

否定につながる言葉を不用意に口から出さない、ということは大切だなと思いました。

相手が大事な人なら、なおさらです。

この時の私のように、言われる側はなんとなくでもわかるわけです、今「え？」って思ったな～、と。

けれど、そこで相手が何も言わなければ、その人が自分をどれくらい大切に思ってくれているのかがわかります。

その人の良い人柄も伝わってきます。

小さな出来事でしたが、ああ、こういうところは気をつけたほうがいいな、という気づきをもらえました。

メモを見つけて、セツコさん、お元気かな～、お元気だといいな、お会いしたいな〜、と久しぶりに思い出したのでちょっと書いてみました。

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