あれもこれもUSB Type-Cな世の中になってきました・・・HDMI出力端子がついていないデバイスから映像を出力したい・・・そんな要求があっても、そのUSB Type-Cがそもそもどのような仕組みで映像を出力できるのか?あいまいなまま普及が進んでおり、使用者はおろか設備導入を行う施工側の人間ですら理解が怪しい為、困った事になっています。
機器を製造するメーカも、その仕組みが向こう何年続くのか?バージョンが変わり仕組みそのものが変わってしまわないのか?先行きが分からないまま、コンシューマの仕組みだけが先に進んでいるのが実情です。
そんな中、IDKがこのUSB Type-Cだけに機能を絞ったUSB-C to HDMIコンバータを発表しました。それもコンバータだけではなく、USB Type-C & HDMIの2入力の1 HDMI出力のスイッチング機能を有しています。これは、既存の設備にUSB Type-C(AltモードのDP)を追加できる為、現時点でのUSB Type-Cでの映像対応としては良策であると思えます。
IDK IFC-V21U USB-C to HDMIコンバータ
USB Type-C & HDMIの2入力の1 HDMI出力のスイッチング機能を有している。切り替えは手動でもできるし、USB Type-Cのシンクが外れたら自動で切り替わる動作(デフォルト)も可能。但し切り替えに時間はかかるので任意のスイッチングには向かない
USB電源供給能力
USB PD DC 5V 3A(15W)
USB Type-C入力
DisplayPort Alternate Mode on USB Type-C、DisplayPort 1.2
※ただしHDCP非対応
Type-C、HDMI共通で4K60P対応
InterBEE 2023で話を聞いたところ、USB Type-CのPD対応は悩み、5V3Aに落ち着いたとの事でした。上を見るときりがなく、要求を聞けば100W対応が求められ、結局間を取ったところでしょう。
USB Type-Cを実際に使ってみると分かるのですが、USB Type-Cケーブルは「100Wの充電能力」と「高速通信」はほぼ両立しません。例外として、パーフェクトなケーブルがありますが、どう見てもコネクタが巨大なので取り回しが悪いです。
従って、「充電能力に全振りしたケーブル」と「高速通信に特化したケーブル」この2種類が存在すると思ってください。
「充電能力に全振りしたケーブル」を高速通信用途に使うと詰みますし、「高速通信に特化したケーブル」を高速充電用途に使うと詰みます。仕組みとしては、「充電能力に全振りしたケーブル」は内部の線が太くE-MARKEDでその旨を機器に知らせる事ができ、「高速通信に特化したケーブル」はフルピン結線です。なのでこれらを両立しようとするとコネクタの部分が肥大化してしまうのです。そしてケーブルも太くなります。そして今回紹介している機器はDisplayPort Alternate Mode対応ですのでフルピン結線のケーブルが必要です。
※従来のDisplayLinkのチップを使用したUSBからの映像出力とは異なる仕組みです。
仕様だけでも複雑なのに、ケーブルも含まれるだなんて・・・ちょっと求められる知識の量が多いなぁ・・・と思ってしまいますね。下記リンクのテストツールがないと仕事としては成り立ちません。
Blog内参考リンク:
EDIDなどの設定は前面のDIPスイッチで行う。USB Type-CとHDMIの切り替えは前面のINPUT SELECTから手動で切り替えが可能。EDIDもリレーから内部と設定が可能だが、出力側のシンク機器が接続されていないと信号は保持できない(シンク機器が外れるとUSB Type-C側も見失う)
小型で場所を取らない
基板写真
USB Type-C DP入力
ITE IT6263FN: Single Chip De-SSC LVDS to HDMI Converter
USB Type-Cコネクタ直近でLVDSなため、ピンアサインの別レーンで直接映像が出力されている事がわかる
HDMIスイッチ
ITE IT66323: 2 IN to 1 OUT HDMI2.0 18Gb/s Switch with ARC RX with Audio In/Out
バックアップ用のHDMI入力もあり、ホールや学校教室なんかはこのコンバータで事足りると思いますね。