初代ゲームボーイ(Nintendo DMG-01 GAME BOY)の音響測定を考える | 音響・映像・電気設備が好き

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作業備忘録記事です。

 

以前、初代ゲームボーイ(Nintendo DMG-01 GAME BOY)をレストアするという記事を書いていますがこの関連記事です。なぜゲームボーイなのか?の解説はこちらに書いてありますので今回省きます。

 

今回は初代ゲームボーイ(Nintendo DMG-01 GAME BOY)の音響測定を考える記事です。

と言っても、ゲーム機ですので基準音源が出せるわけではありません。シンセサイザーソフトウェアのLSDjから何かしらの決まった法則で音を出し、それをNTi XL2とRME Babyface Proで測定をし、なんとなくの基準を設け今後に生かそう、というのが主旨です。

 

 

計測風景

 

 

 

・クロストーク、出力レベル測定

 

計測用基準信号を下記の設定にした

PULSE
WAVE 3(4つあるうちの左から3番目)
UNLIM
C6 1043Hz
矩形波の為THD+Nは計測不可能


LRのクロストーク(プロサウンド化)
約60dB

(通常のヘッドフォンは未計測)

 

出力レベル
別途出力(プロサウンド化)
-10dBV

通常(ヘッドフォン出力)
-23.2dBV

※約13dBプロサウンド化の方がレベルが高い
ノイズフロアは25~30dBほどの差がある

 

計測結果のまとめ

 

解説:

赤がヘッドフォン出力、緑がプロサウンド化、青がI/Fのノイズフロア。

上記表はヘッドフォン出力とプロサウンド化出力の比較で、出力波形を合わせ、ノイズフロアの比較をしたものです。ヘッドフォン出力とプロサウンド化出力を同様のレベルになるまで持ち上げた際の比較と考えてください。

下記表は決めた基準信号でのヘッドフォン出力とプロサウンド化出力の比較でこちらも同様です。

 

 

クロストークはゲームボーイの仕組み上疑似的なステレオですので正直気にしても仕方がありませんが、60dBは確保できておりなかなか優秀ではないでしょうか?

プロサウンド化の改造に関しては、ノイズフロアがかなり下がるのでシンセイサイザーとして扱う上では推奨されている様です。初めて比較してみましたが、音源を鳴らさない状態では両者のノイズフロアは25~30dBの差があることが分かりました。これはかなりの差があります。

※但し、発音している時はさほど変わりません。

 

それぞれの出力レベルですが、プロサウンド化の方がヘッドフォン出力より音が大きい、とは実感はしていましたが13dBの差がありました。これはかなりの差で、ノイズフロアと併せてプロサウンド化を選択しない手はないですね。

 

 

周波数再生帯域を計測してみます。LSDjで曲を作る事は筆者はできませんのでこの鳴らし方が正解なのか分かりませんが、今回気が付いたことの一つに、パルス波がBAの32.765kHzまで出力できるという異常な機能があります。

 

 

BA 32.765kHzまで鳴る

 

 

もちろん可聴域外です。一体何の意味が・・・・・・また、ローパスフィルタを通っていないことも驚きです。

 

 

周波数帯域
PULSE
C2 70.3Hz
BA 32.765kHz

(周波数がスケールと合っていない気もするが可聴域外なので問題ない)

WAVE
C1 35.2Hz
B9 16.382kHz

 

 

PULSEで32kまで音が伸びるということはホワイトノイズを生成してもそこまで周波数帯域が伸びるということです。NOISE C2で出力したホワイトノイズをFFTしたものが以下。

 


NOISE C2で出力したホワイトノイズをFFTしたスペクトル

 

 

96kHzサンプリング周波数でのFFTですので(折り返し歪み対策のローパスは無視するとして)大体48kHzくらいまで計測可能と考えてもこの出力の仕方は凄いですね。

チップチューンのライブに何度か行っていますが、実機の出力は聴いてなんとなく判別が可能です。この辺りの周波数の伸びが関係あるのかもしれません。(デジタルミキサは48kHz駆動でしょうが、アナログ卓の会場も沢山あります)

ゲームボーイチップチューンをやられている方は是非、96kHzで記録をして楽曲販売をしていただきたいです。ノイズに差が出ます。

 

 

以上、初代ゲームボーイ(Nintendo DMG-01 GAME BOY)の音響測定を考える話でした。