NTi XL2によるスピーカの極性(位相)測定 | 音響・映像・電気設備が好き

音響・映像・電気設備が好き

「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

NTi XL2によるスピーカの極性(位相)測定の話です。

NTi XL2は単純な極性試験だけでなく、詳細画面では8バンドの周波数別位相測定が行えます。今回はこの位相測定がSmaartと比べてどこまで近似するかの比較を行いました。

 

極性(ポラリティ)試験信号は20Hzのノコギリ波です。※DAWなどで生成しようとすると、生成後に極性をひっくり返す必要があります。

 

 

極性(ポラリティ)試験信号

 

 

こちらの信号をスピーカから出力し、NTi XL2の内蔵マイクまたは専用計測マイクで計測を行います。

 

 

Test Polarity

 

 

NTi-Audio-QuickGuide-Installed-Sound

How to Test Polarity

https://www.nti-audio.com/Portals/0/data/en/NTi-Audio-QuickGuide-Installed-Sound.pdf

 

 

簡易モードでは単に極性が表示されるだけですが、詳細モードでは下記の8バンドの周波数別位相が表示されます。

※簡易モードの結果はこの8バンド別の総合評価として算出されます。よって、3wayスピーカなど、位相が複雑になるケースでは、簡易測定では正確な極性が出ません。

 

 

Blog内参考リンク:

2wayスピーカのクロスオーバ位相が与える影響

 

 

 

 

 

8バンドの周波数別位相測定

 

 

果たしてこの表示、どこまで信頼して良いのか?20Hzのノコギリ波だけでそこまで分かる物なのか?・・・

 

 

Smaartでの測定結果

 

 

ここでSmaartで同条件の測定を行いました。ここで得られた位相測定結果を、リニア表示にします。

 

 

リニア表示をしたSmaartの位相測定結果

 

 

こちらの結果を重ね合わせてみます。

 

 

周波数を合致させた状態

 

 

Smaartの位相表示は、中央が0°、XL2の位相表示は最上部分が0°です。

若干のずれがあります。ここで結果と合致するように重なりをずらしてみます。

 

 

 

結果から合わせた状態

 

 

少しずらしてみると、ほぼ結果が一致しました。これは信頼に値すると言う事です。計測結果の保存・活用を考えるとSmaartの方が利便性が高いですが、手軽さで言えばXL2のみの方が上です。冒頭のスペクトログラフにあるように、インパスル信号に近いため、広い周波数帯域を持つ極性(ポラリティ)試験信号ですが、ほんの一瞬だけでここまで分かるものなのですね。

ちなみに、ML1にも極性試験機能は搭載されていますが、サブウーファとフルレンジの2パターンの測定のみで、XL2の様に8バンド別の表示は出来ません。

 

 

 

8バンド別に音量も表示している

 

 

実は位相だけでなく、周波数別にレベルも表示しています。上記のグレーの縦幅が音量の大小を表しています。ここまで可能なら、同様の機能がスマホや測定ソフトに組み込まれていても良さそうなものですが、同様のGUI表示のものを他に知りません。

 

 

結論ですが、NTi XL2の8バンドの周波数別位相測定は当てになると言う事でした。