電源ディストリビュータがEMG表示で落ちる故障例 | 音響・映像・電気設備が好き

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電源ディストリビュータのEMG表示が点滅しているのですが・・・と連絡を受けました。

そんなの非常放送の緊急一斉放送が入っているか、非常放送架のカットリレ―用電源のEMG DC24Vのヒューズが飛んでいるかじゃん!(やや軽率)と思い、その旨伝えると、見当たらないのです、との返事です。

 

 

Panasonic WU-L61 電源ディストリビュータのEMG表示

 

 

下記リンクを参考にしていただきたいのですが、繰り返しになりますが、通常この手の電源ディストリビュータのEMG表示が点滅・点灯しているという事は、

 

・非常放送架の操作の間違い(動作としては正常動作)

・カットリレ―用電源のEMG DC24Vの不具合(ヒューズが飛んでいる、線が外れている)

 

しかありません。遊園地で働いていた時も、企業ホールでオペレータしていた時も時折、遭遇する不具合でした。

 

参考リンク:

非常放送・非常ベル作動時における音響機器の鳴動停止

 

 

現場に行き、確認すると確かにPanasonic WU-L61 電源ディストリビュータのEMG表示が点滅しています。しかし、非常放送架が見つかりません。

とりあえずラックをばらしてみると、なんと電源ディストリビュータのEMGに外線は接続されていませんでした。

どういう事だってばよ・・・(言葉が乱れます)と思われるかもしれませんが、EMG端子が最初からジャンパされているタイプの製品は内部でEMG DC24Vを生成し、それを自身に印加しているものがほとんどです。と言う事は、機器内部で生成されているはずのDC24Vが何らかの不具合で本体に印加出来ていない事が原因であろうと想像しました。

 

テスタで機器背面の端子台上のEMGの電圧を計ると、11Vになったり、2Vになったりとふらつく事が確認出来ました。実際に機器を使用する方々に聞いてみると、たまに使える時もある、との追加情報を得ました。11VですとLoHi検知の狭間でチャタリングを起こすかもしれません。

 

何度か電源を入り切りすると、チャタリングする現象が出ました。以下がその現象を撮影したものです(これが掲載したかった)。

 

 

Panasonic WU-L61がチャタリングする

 

 

内部写真

 

 

とりあえず、 蓋を開けて内部を確認。S1NB60ブリッジダイオードのアウトはDC24V出力していることが確認できましたが、これ以上は現場では追求せず打開案を考えました。

非常放送・非常ベル作動時における音響機器の鳴動停止でも書いていますが、電源ディストリビュータはDC24V断時EMG動作(ブレイク・一般的、線種指定なし)と有電圧接点制御(メイク・映画館等、要鉄管施工または耐熱電線)の2パターン選べます。 と言う事はメイクモードに切り替えてしまえば、正常動作になるのでは?と思い、切り替えた所、通常動作に復旧しました。

 

 


電源ディストリビュータはDC24V断(ブレイク)と接点制御(メイク)の2パターン選べる

 

 

とりあえずの一次対応はこれで終了としました。

 

本件の教訓は、電源ディストリビュータがEMG表示で落ちる故障例があった、と言う事でした。これ、オペレータ側だったら本当に困る事例ですね・・・・・

 

 

追記

 

その後の調査で、黒いカサカサした音を出して歩く扁平な虫が内部に入り込み、シャーシとDC24V間でショートし焼け死んだ事が原因と判明しました。基板も焼損していました。

 

 

焼損した基板

 

 

製品の不良ではなく、ほっとしましたが、この電源ディストリビュータ、底板は隙間だらけで虫の侵入を許すのですよね・・・