Weidmüller PZ 10 HEXの紹介と各種フェルール圧着工具の比較 | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

Weidmüller PZ 10 HEXを会社で購入しましたので紹介するのと、この辺で圧着ダイス構造による仕上がり形状・メリットデメリットをまとめます。フェルール圧着総決算の記事と言う事です。

 

Blog内参考リンク:

 

 

 

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Weidmüller PZ 10 HEX 0.14~10.0㎟

 

 

 

こちらがワイドミュラー社製のPZ 10 HEXです。ネットで探すと、同型のフェニックスコンタクト社製工具に比べて安価でした。

 

 

 

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この6枚絞りダイス、カッコイイです!!

 

 

 

 

と言うことで、私物含め比較できるだけのフェルール圧着工具が揃いました。
筆者はワイドミュラー派ですが、4枚ダイスはフェニックスコンタクト社製の物しかないので、こちらで代用します。まぁ、似たような物かと思っています。

 

 

 

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4種のフェルール圧着工具

 

 

・Weidmüller PZ 6/5
0.25~6.0㎟ ダイスが5つ 台形断面

 

 

・Weidmüller PZ 6 Roto
0.14~6.0㎟ ダイスが90°回転 台形断面

 

 

・Weidmüller PZ 10 HEX
0.14~10.0㎟ 6枚ダイス 六角断面

 

 

・PHOENIX CONTACT CRIMPFOX 10S
0.14~10.0㎟ 4枚ダイス 四角断面

 

 

以上がフェルール圧着工具の主流4種類です。
これらを使い、圧着の仕上がりを比較してみました。まずは写真、その下にメリットデメリットのコメントを付けました。※一つのダイス穴で全てのサイズに対応する事はメリットとして記述しません。

▼Weidmüller PZ 6/5 0.25~6.0㎟ ダイスが5つ 台形断面

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・Weidmüller PZ 6/5 0.25~6.0㎟
圧着形状は基本的に台形だが、サイズが小さくなると平型に圧着される。

 

 

●デメリット
ダイスが5つあり、各種サイズによって圧着ダイスを変える必要がある。
小サイズの場合は平型圧着形状になる為、ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がある
※詳細は後述します

 

 

●メリット
自動リリース構造ではないので、確実な圧着が行える。

 

 

Weidmuller PZ 6/5圧着ペンチとスリーブを参考にしてください。

 

 

 

▼Weidmüller PZ 6 Roto 0.14~6.0㎟ ダイスが90°回転 台形断面

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・Weidmüller PZ 6 Roto 0.14~6.0㎟
圧着形状は基本的に台形。

 

 

 

●デメリット
圧着ダイスの下側の形状がω型で、小サイズの圧着時はどちらかの溝にフェルールを合わせる必要があり、合わせ損ねて斜めに圧着をしてしまうミスが発生する可能性がある。
小サイズの場合は平型圧着形状になる為、ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がある
※詳細は後述します

 

 

●メリット
ダイスが90°回転する。

 

 

Weidmuller PZ 6 Roto圧着ペンチを参考にしてください。

 

 

 

▼Weidmüller PZ 10 HEX 0.14~10.0㎟ 6枚ダイス 六角断面

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・Weidmüller PZ 10 HEX 0.14~10.0㎟
6枚ダイス構造で小サイズはほぼ円形、大サイズは六角形の断面になる

 

 

 

●デメリット
小サイズのフェルールを圧着する際、わずかに誤差がある場合は圧着が不十分になる場合がある。
※小サイズ時のみ、円形圧着はフェルール全体が変形しないので発生する症状

 

 

●メリット
仕上がりが円、または六角形になるので、ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がない。
仕上がりが円、または六角形になるので、あらゆる締め込み端子に対して単線と同じ扱いが出来る。
※詳細は後述します

 

 

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六角断面圧着は円形に近いため、あらゆる締め込み端子に対して単線と同じ扱いが出来る
※写真はPanasonicのタフキャップです

 

 

▼PHOENIX CONTACT CRIMPFOX 10S 0.14~10.0㎟ 4枚ダイス 四角断面

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・PHOENIX CONTACT CRIMPFOX 10S 0.14~10.0㎟
4枚ダイス構造でほぼ全てのサイズが四角断面になる。

 

 

●デメリット
特になし(小サイズの場合は平型圧着形状にはなるが、他2種に比べるとそれほどでもない)

 

 

●メリット
小サイズのフェルールを圧着する際、わずかに誤差があっても問題なく圧着出来る。
仕上がりが四角形になるので、ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がない。

 

 

 

平型圧着の欠点

上記で「ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がある」とした平型圧着形状ですが、写真を見て頂ければ一目瞭然です。

 

 

 

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平型圧着の欠点はユーロブロック差し込み時に「縦」に噛んでしまう事

 

 

 

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平型圧着形状はユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がある

 

 

 

 

カナレ電気 L-2B2AT 電線サイズ0.18㎟に0.25㎟フェルール圧着を行う場合、上下のダイスで潰すタイプの圧着ペンチでは平型に仕上がります。
平型に仕上がると、ユーロブロック端子への締め付けを行う際に稀に縦に挟まった状態で締め込まれてしまいます。そのまま保持出来れば問題が無いのですが、何かの拍子で縦に挟まっていたフェルールが倒れると、クランプの力不足で線が外れ接触不良を起こします。

 

 

 

 

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断面が四角・六角の場合は「向き」を考える必要が無い

 

 

 

繰り返しますが、Weidmüller PZ 10 HEXに代表される6枚ダイスは仕上がりが円、または六角形になる為、ユーロブロックへの接続時に縦横の向きを気にする必要がなく、あらゆる締め込み端子に対して単線と同じ扱いが出来ると言うわけです。また、PHOENIX CONTACT CRIMPFOX 10Sに代表される4枚ダイスは仕上がりが全て四角に近くなる為、ユーロブロックに対しては同様です。

 

 

 

総合評価としては、4枚ダイスの四角断面圧着工具が一番失敗がないと筆者は考えています。特に複数人で作業を行う場合は、フェルール圧着ミスが想定される工具の使用は控えたいですね。作業者が一人で適切な圧着を熟知している場合に限っては6枚ダイス構造に軍配が上がります。
ただ、個人的な感想を言うなら、Weidmüller PZ 6/5が一番カッコイイ構造・デザインで、一番気持ちの良い動作をすると思います。(自動リリース構造でない為、従来の圧着工具の様に扱える。自動リリースはぬるっと圧着をするので手ごたえがない)これは比べなければ見えてこない感覚の問題です。

 

 

 

本記事がどなたかの参考になれば幸いです。