自宅で出来るヘッドフォン測定を考える | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

趣味でSONY MDR-CD900STの修理や改造をやっているのですが、ここ数年かけて考えているのは、自宅でどこまでの測定が可能なのか?と言う点です。

 

参考リンク:

 

 

そもそも、ヘッドフォンを測定すると言った場合何が一番必要とされるでしょうか?
ざっと考えると以下の3点だと思います。

 

 

1.f(周波数)特性
2.周波数別インピーダンス
3.ユニット左右の差異(コンペア)

 

 

自作ではないので、チャンネルセパレーション(ケーブルやグランド共有が原因のクロストーク)測定は除外します。
f特性ですが、ヘッドフォンそのもののf特性を測定をしようと言うのは自宅では無謀なので除外です。
※無響室でダミーヘッド測定が定石なんですかね?

 

 

という事で、「自宅で出来る」と言う条件では「周波数別インピーダンス」と「ユニット左右の差異(コンペア)」この2点のみに絞る事にしました。
※今後、劇的に効果を実感できる何かが増えるかもしれませんが・・・

 

 

 

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「周波数別インピーダンス」と「ユニット左右の差異(コンペア)」を測定するために道具を用意します。筆者が使っている道具は以下。

 

 

 

・Panasonic TOUGHBOOK CF-C2C(ノートパソコン)
・Rational Acoustics Smaart V.8(ソフトウェア)
・Rational Acoustics Smaart I-O(USBオーディオI/F)
・NTi Audio M4260(測定マイク)+自作アダプタ
・NTi Audio MR-PRO(音響ジェネレータ)

 

 

 

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こちらがNTi Audio M4260用途に作った測定用アダプタです。

 

 

 

 

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刺して使用します。反射防止で表面にフェルトを貼っています。

 

 

 

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静かな場所でイヤーパッドに密着させて使用します。この状態でRational Acoustics Smaart V.8でトランスファ測定をします。注意すべき点は、イヤーパッドを握力で押しつぶしてしまわないようにすることです。あくまで通常のヘッドバンドが与えるであろうクランプ力で押さえます。

 

 

 

 

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これを左右両ユニット測定すると上記のような結果が得られます。自作アダプタを使用するだけでコヒーレンスがほぼ100%になります。こちらでは「ユニット左右の差異(コンペア)」がフェーズとf特性別に測定できます。繰り返しますが、ここで得られる周波数特性はヘッドフォンそのものではなく、あくまで「ユニット左右の差異(コンペア)」を調べるためのものです。

 

 

 

 

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こちらはNTi Audio MR-PROを使用して行う「周波数別インピーダンス」測定です。NTi Audio FX100では一瞬で行える測定ですが、MR-PROでは地道に周波数をステップアップして行って測定します。こちらは特に理由はないですが、1Vを基準としています。

 

 

 

 

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上記で得られた「周波数別インピーダンス」と「ユニット左右の差異(コンペア)」のデータをExcelで表にします。
このように左右の差がないと気持ちがいいですね。と言っても、左右に差が出た場合でも聴感上、そこまで気にならないのも事実です。測定結果から何を得るかは今後も課題です。

 

 

 

 

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SONY MDR-CD900STの周波数別インピーダンス測定の結果をヘッドフォン個体10本分(20ユニット)重ねたグラフ。

 

 

 

数を繰り返すうちに、個体によってインピーダンスは結構差があるという事が分かりました。
個人的にこの差の傾向は掴んではいますが、サンプル数をもっと増やさないと確証が持てません。

 

 

以上、趣味でやっているヘッドフォン測定でした。誰かの参考になる気はしませんが、ここに残します(笑)