音声の絶対レベルを測定する | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

PHONIC PAA3が壊れて買い換える事になり、測定器がない間、代替になる方法は無いかと考えました。
※スペクトラム・アナライザなんてPCベースでいくらでもあるじゃん、とか思われるかもしれませんが、PHONIC PAA3をスペアナとして使用することはほとんどなく、筆者は音声の絶対レベルの測定器として使っています。

 

脳内会議の結果、代替案は2つ考えられました。

 

 

1.デジタルオシロスコープでのピーク値波形測定
2.ポケットテスタでの実効値測定&周波数測定

 

 

1に関しては、あるならそれでいいじゃん、とか思われるかもしれませんが、大きさがあるのが欠点です。良いところは2ch仕様ならば、バランスラインを測定する時にホット側とコールド側の同時測定が出来ることです。※機種によっては周波数測定ができません。
2に関しては、精度に難点があるのが欠点です。でもPAA3をメインとして使っていたなら五十歩百歩かもしれません。

 

正弦波における実効値(V.r.m.s)とピーク値

 

交流の電気の話になると必ずと言っていいほど取り上げられることですが、交流には実効値とピーク値があります。
実効値は、簡単に言うと、「交流電圧を直流換算にした値」で、ピーク値は「波形そのものの振幅幅」です。

 

「交流電圧100V」と言った場合、通常は実効値を指します。
実効値が100Vですと、ピーク値では、

 

100×√2=141.42

 

141.42Vのピーク値を持っており、これが交流になるのでピーク・トゥ・ピークでは

 

141.42×2=282.84

 

282.84Vp-pの振幅幅を持つことになります。

 

これらを踏まえて、測定上の値を覚えておけば音声の絶対レベル測定は簡単です。
※通常測定器はインピーダンスが非常に高く設定されているので、600Ωと10kΩの抵抗を用意しておくと便利です。
※1kHz正弦波で測定するのが前提です。
参考:音の基準レベルについて

 

例:アンバランス・ラインで-10dBV出力を測定する。
-10dBVなので、実効値は0.316V.r.m.s、最大値は0.447Vです。
オシロスコープでは、グランドとホット間を測定し、ピーク値が「0.447Vまたは0.894Vp-p」と表示されればOKです。
ポケットテスタでは、グランドとホット間を測定し、実効値が「0.316V」と表示されればOKです。

 

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▲デジタルオシロスコープでー10dBV=ピーク値が「0.447Vまたは0.894Vp-p」の測定例

 

 

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▲ポケットテスタでー10dBV=実効値「0.316V」の測定例

 

 

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▲ポケットテスタで1kHzの周波数測定例

 

 

例:バランス・ラインで+4dBu出力を測定する。
+4dBuなので、実効値は1.228V.r.m.s、最大値は1.737Vです。
オシロスコープでは、グランドとホット間を測定し、ピーク値が半分の値の「0.869Vまたは1.737p-p」と表示、グランドとコールド間を測定し、ピーク値が半分の値の「0.869Vまたは1.737p-p」と表示されればOKです。
ポケットテスタでは、グランドとホット間を測定し、実効値が半分の値の「0.614V」と表示、グランドとコールド間を測定し、実効値が半分の値の「0.614V」と表示されればOKです。
※600Ωインピーダンス・マッチングを気にする場合は、信号側とグランド間に600Ω抵抗を挟んでください。
参考:バランス接続(伝送)・平衡接続について

 

 

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▲デジタルオシロスコープで+4dBu=ピーク値が「0.869Vまたは1.737p-p」の測定例
※2ch入力でホット・コールドの同時測定

 

 

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▲ポケットテスタで+4dBu=実効値「0.614V」の測定例

 

ちなみにV.r.m.sと最大値の一覧は下記のエクセル表の「最大値実効値一覧」シートに記載してあります。

 

■デシベル計算表と換算表■
http://www.holycater.sakura.ne.jp/zip/db_kansan.zip

 

 

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本記事がだれかの手助けになれば幸いです。