英語力は簡単に身につかない | 異文化交差点

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長年、数十カ国を遍歴した経験を生かして、日本人には日本語と英語、米人には英語を使って異文化研修を日本語と英語で提供しています。

英語コーチングのプロを紹介する『英語コーチングプロ』
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網際(internet)に溢れる英語学習事業者の多くは、「英語は簡単に身につく」式の表現で生徒を募っています。私も、英語教育をやっていますが、こういった表現で生徒を獲得しても、彼らは長続きしないという事が分かっています

 

英語を身につけるのは、至難の業ではできない事を言明すべきだ、と反省しております

 

そもそも私が言う「英語を身につける」とは何なのかを説明します

1.英語で論文が書ける
2.壇上に立ち、英語を使って最低2時間、特定題目に関する講演や研修をすることができる
3.国際会議に出席し、居並ぶ英語人知識人らと英語で意見交換をすることができる
4.英語論争ができる
5.日常的に英語を使った仕事を最低1時間している

 

巷に溢れる英語教育者のほとんどは、前記した能力を持っていません。だから彼らは、楽しく英語を学びましょう、最低これだけ知っていれば英語は出来る、・・・などの甘い言葉を使って、生徒を募集するのです

 

多くの日本人は、英語を使った仕事は一体どういうものなのか、についてあまりよく知らないようです。だから、簡単に釣られてしまうのです

 

前記した5項目の英語を日本語に替えてみましょう

1.日本語で論文が書ける
2.壇上に立ち、日本語を使って最低2時間、特定題目に関する講演や研修をすることができる
3.会議に出席し、居並ぶ知識人らと日本語を使って意見交換をすることができる
4.日本語で論争ができる
5.日常的に日本語を使った仕事を最低1時間している

 

さてどれだけの日本人がこの5項目を満足させることができるでしょうか

 

私はこの5項目を日本語でも英語でもできます。それが私の日常の仕事でもあります

 

今まで私は、英語を学びたい人達に迎合し過ぎていました。態度を改めます

 

5項目の能力を獲得するためには、そんじょそこらの努力ではなし得ません。生爪を剥がすような、血の汗をかくような痛みを伴いつつ英語を勉強し続ける事により、ようやく英語の入り口に立てるのです

 

英語の入り口は、英検準1級合格です。その後、更に約2年間の努力を続け、英検1級合格、それから更に5年間ほど努力し、国連英検特A級合格を狙います。これに合格したら国際世間で英語を使った仕事ができる入口に立つことができます

 

まだ先に述べた5項目を完全にやり遂げる事はできません。国連英検特A級に合格してから10年後にようやく出来るようになります

 

私は、一時期、米国国務省が関与するJapan-US Forumに参加し、英語で日本擁護の論陣を張っていました。かなりの英語人知識人から叩かれました。それは覚悟の上です。しかし、天皇陛下から勲章が授与されたある大物親日家(JAさん)から連絡があり、来日するので、米軍が経営する山王ホテルで会いたいと打診して来ました。彼は元米国国防総省にいた高官で、レーガン大統領の日本担当補佐官でした

 

もちろん喜んで行きました。ホテルに行くと、彼は政治学を学ぶ大学の学長であることが分かり、日本から高名な官僚達がそこに学びに来ていて、その卒業生達も集まったのです。公安関係者もいました

 

JAさんは、私を彼のすぐ隣の席に着くように依頼しました。そして、そこに参加した高名な日本人官僚達に、私が如何に優れた日本人であるか、と説明してくれたお陰で、全員が私に敬意を表してくれました

 

まさに青天の霹靂とはこのことを言うんじゃないか、と思ったほどです

 

私は日本的に謙遜し、My English is not as good as JA-san's English, but his evaluation on my English posts about Japan and US relations is highly appreciated.と言ったら、彼がなんと答えたか、こう言ったんです。Chris, Don’t say your English is not good. I invited you to this place because you have a tremendously good command of English, and I want all these Japanese people here regard you as a model cosmopolitan Japanese.

 

私は何も返答できませんでした。そして心から彼に感謝しました。これは今から15年ほど前の出来事です。私はまだ57~58歳でした

 

この時、「そうかやっと俺の英語力は、こうした素晴らしい米国知識人から尊重されるまでになったんだ」と思うことができました

私が英語を本格的に勉強し始めてから、30数年後の事でした。苦節30年、いや長かった。血を吐くほどに英語を勉強し続けた甲斐がありました

 

私はもう「簡単に英語が身に付く」とは言いません。生爪を剥がす、血の汗をかくように勉強して初めて英語が身につくということを強調して、この稿を終わります