映画「関心領域」 | ほくとの気ままなブログ

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映画「関心領域」

 

関心領域』公式アカウント (@ZOI_movie) / X

 

2023年 アメリカ、イギリス、ポーランド共同制作 105分

 

<監督>

ジョナサン・グレイザー

<原作>

マーティン・エーミス:関心領域『The Zone of Interest』

<キャスト>

クリスティアン・フリーデル、

サンドラ・ヒューラー

 

<内容>

タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。

 

(映画com)

 

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アカデミー賞国際長編映画賞受賞

トーホーシネマズ上大岡にて5月25日鑑賞。

上映中ですので、できるだけネタバレしないで記事アップしたいと思いますが無理かな?

 

 

アウシュビッツ収容所の横で暮らす家族の物語、そしてアカデミー賞受賞作品くらいの感じで観たものだから、あの実在の人物ルドルフ・ヘスの名前が出てきておぉ~といった感じでした。

しかしよくよく調べてみると、ナチス・ドイツ副総裁のルドルフ・ヴァルター・リヒャルト・ヘスではなくルドルフ・フランツ・フェルディナント・ヘスだったのでした。

でももちろん実在の人物で、戦犯として絞首刑になっています。

私は原作は読んでおりませんが、まずこの小説の主人公パウルとハンナのドール夫妻、彼らはアウシュビッツ強制収容所で最も長く所長を務めたルドルフ・ヘスとその妻をモデルにしていたという。

グレイザー監督は架空のキャラクターの代わりに実在の人物、その小説のモデルになったルドルフ・ヘス夫妻を映画で取り上げることにしたよう。だから、よりリアリティがあったのですね。

 

 

 

この作品は内容のところにも書いたように、収容所と壁1枚隔てたところに住む家族の日常を描いているだけの作品。

とくに劇的に何かが起こる等はなく、淡々と物語は進むのですが、なぜか見えない緊張感に囚われるのです。

 

 

冒頭からの真っ黒な画面

 

そのように、今作品は何か普通ではないことをオープニングから痛感させられます。

スクリーンに映し出される真っ黒な画面のみのオープニング。

不協和音のような音が流れるだけ。

1分2分経過しても変わらず。

映写機(表現が古いかな)の不具合かと思ってしまうほど。

 

 

 

そして数分経過したところで、突如色鮮やかに花々など自然に囲まれたなかでピクニックをしているような、穏やかなシーンが映し出されるのです。

 

 

 

映し出される映像は、強制収容所の隣で生活するヘスの家族の様子がほどんどなのですが、収容所の中で起きている出来事は一切描写されずに進行します。

時折その収容所から聞こえる音は、

 

何やら叫ぶ人の声、

犬の吠える音、

そして銃声。

 

 

映画『関心領域 The Zone of Interest』オフィシャルサイト 2024 ...

 

この家族はそのような状況の場所で、妻が考える理想の生活を送るがごとく優雅に暮らしているのです。

その様子がこれまたとてつもない違和感を覚えるのです。

 

彼女に希望を託したのか?

 

 

 

 

またあまり理解できていなかったのですが、暗視カメラで撮影されているかのような映像が時折挿入されます。

どうやらポーランドの女の子が林檎を収容所に置きに行っているのか・・・・。

 

関心領域』公式アカウント (@ZOI_movie) / X

 

そんなある日ヘスに移動の命令が下される。

しかし妻はこの場所を離れたくないという。

それはナチスの東方生存圏の思想を具体化している彼女にとっての理想郷、この場所を離れるわけにはいかないという自負の現れでしょうか。

 

 

ちなみに東方生存圏とは、ドイツ民族がより反映していくためには過剰人口を移住させるために土地を要求する、東方へ領土獲得をすべきであるという考えです。

 

家族の生活や、ヘスを含めたナチの将校たちがユダヤ人の輸送計画などを打合せしている様子などが映し出され、これまたラストでは唐突にポーランドにある「アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館」でしょうか?

いきなりその施設に場面が切り替わります。

大量の遺品が展示されている中で淡々と働く従業員。

 

 

そして

冒頭と同じ真っ黒な画面に切り替わり、エンドロールが流れるエンディング。

不気味な不協和音。

そこまでこの作品を観てきた観客は、冒頭とは違ったいたたまれない何かを感じることになるでしょう。

私は不協和音が亡霊たちの叫び・呻き声にも聞こえてなりませんでした。

 

関心領域とは・・・・。

 

ブロガー、ジェーン・ドゥさんの言葉をお借りするならば、ナチスドイツを扱った作品として、「薄ら怖い作品」でした。

 

5点満点中3.8

(画像すべてお借りしました)

 

 

 

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(おまけ:ウィッキペディア参照)

 

 

映画に登場するポーランド人の少女はグレイザーが調査中に出会ったアレクサンドリアという女性にインスパイアされている。

12歳の頃にポーランドの抵抗運動員だった彼女は飢餓に苦しむ囚人のためにリンゴを置くため収容所まで自転車で通っていた。

映画と同様に彼女は囚人が書いた音楽を発見した。その囚人はユゼフ・ウラー(Joseph Wulf)と名付けられ、戦争を生き延びた。

アレクサンドリアは、グレイザーと90歳の時に面会し、その後まもなく亡くなった。

映画で使われている自転車も女優が着ている衣裳も彼女のものである。