午前十時の映画祭14
映画「パリ、テキサス」
1984年 147分 西ドイツ・フランス合作
<監督>
ヴィム・ヴェンダース
<キャスト>
ハリー・ディーン・スタントン、
ナスターシャ・キンスキー、
ディーン・ストックウェル、
オーロール・クレマン、
ジョン・ルーリー
<内容>
4年前に妻子を捨てて失踪した兄のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)がテキサスの砂漠で行き倒れていたという連絡を受けたウォルト(ディーン・ストックウェル)は、目を離すと逃げ出そうとするトラヴィスに手を焼きながら、レンタカーで妻とトラヴィスの息子が待つカリフォルニア州ロサンゼルスへと向かう。
当初、全く喋らなかったトラヴィスだが、やがて自分がテキサス州のパリへ行こうとしていたことを明かす。
トラヴィスによると、パリは彼らの両親が初めて愛を確かめ主人公トラヴィスが生を受けた地であり、それ故トラヴィスはパリに土地を買ってあるのだという。
ロサンゼルスで息子のハンター(ハンター・カーソン)と再会したトラヴィスは、ある日、ウォルトの妻で義理の妹に当たるアン(オーロール・クレマン)から、ヒューストンにいる妻のジェーン(ナスターシャ・キンスキー)からハンター宛に月に一度、決まって送金があることを教えられる。
トラヴィスは中古車を買い、ハンターとともにヒューストンへ向かう。
ヒューストンでジェーンと再会したトラヴィスは、放浪の旅に出た理由をジェーンに告白する。再び心が通じた二人。
しかしトラヴィスはジェーンに息子を託して再び旅に出る。
(ウィッキペディア参照、一部表現修正)
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第37回カンヌ国際映画祭
パルム・ドール受賞作品
5月18日トーホーシネマズ上大岡にて初鑑賞。
ヴィム・ヴェンダース作品ということで、今回の午前十時の映画祭14の中でも楽しみにしていた作品のひとつ。
テキサスを一人放浪していた男の、その子どもと妻との再会と別れを描いたロード・ムービー
この作品、若いときに見ていたら作品の良さを多分感じられなかったかと思った。
ストーリーは、放浪していた男がある時ぶっ倒れて、実の弟に引き取られる。そこには自分の息子が、弟夫婦に育てられていた。
そしてその子供の母親、主人公の妻だった女性のいる場所に子どもとともに会いに行くというロードムービーなのですが、物静かに話が進んでいくので途中睡魔がw
当日はこの作品も含めて、延べ6時間映画鑑賞予定だったので、前日はしっかり睡眠を取ったつもりでしたが、やはり春眠暁を覚えずでしょうか。
でも、後半がけこう動きがあったので睡魔はなくなりました。
あまりにも深い愛を感じさせる作品
ヴィム・ヴェンダース監督が小津安二郎を敬愛しているという印象があるため、そのバイアスがかかてしまったせいか、それぞれの人物の内面の描き方がけっこう日本的というか、小津に近いような印象を受けました。
主人公演トラヴィス演じるハリー・ディーン・スタントンは、この役に合っていましたね。
あまり存じ上げてなかったのですが、色々な作品に出演しているよう。
彼にとって、最初にして最後の主演作品です。
この作品の中では、妻のジェーン(ナスターシャ・キンスキー)が働いている場所でのトラヴィスとのやりとりが印象的でした。
彼女の働いている場所を突き止めた父と子。
子どもには外で待っていろと伝え建物の中に入っていく。
彼女が働いている場所は、のぞき部屋だったのです。
そこはマジックミラー越しに彼女の姿をお客は見ることができるのですが、彼女の方からはお客が見えなく、電話越しに話しかける客に女性が応えるという仕組み。
決意をかためたトラヴィスがお客のふりをして、そこで働く女性の中からジェーンをリクエストして話す。
彼は自分にも対峙し、思いの丈を語り始める。
途中からジェーンのほうも彼に気がつく。
このシーンでの二人の会話は、それぞれが抱えていた感情をゆっくり絞り出すように沁みだす、なかなか良いシーンでした。
二人は声とマジックミラー越しに見える姿のみで、会うことさえもしないでそのまま別れていきます。
相手を思う気持ち、愛する気持ちがあまりにも深く高ぶりすぎると、お互いを傷つける事にもなることを教えてくれます。
しかしナスターシャ・キンスキーはお奇麗でしたね。
どこか、映画「PERFECT DAYS」にも相通じるような感覚を覚えました。
5点満点中3.7