アニメ映画
「ラーマーヤナ ラーマ王子伝説」
1992年 インド・日本合作 135分
<監督>
酒向雄豪、佐々木皓一、
ラーム・モハン
<原作>
ヴァール・ミーキ「ラーマーヤナ」
インドが世界に誇る古代叙事詩がアニメとなって蘇る!
日本人ジャーナリストとインドの出会いが生んだ異色のアニメ。インドの神話と日本のアニメ技術が融合した奇跡のコラボ。
世界中の映画祭で絶賛されながらもさまざまな要因で公開に恵まれず。
製作から25年。
着想から35年。
試行錯誤が続いた奇想天外な製作物語。
企画、製作を牽引してきた総監督の酒向氏は他界。2018年には85歳を超えたインドのラームモハン監督は語る。(ラームモハン監督も2019年に他界)
「神話の豊かなインドと優れたアニメ技術を持つ日本が共に作り上げた奇跡の最高傑作!」
インドが驚愕した美しいアニメ。
いまだにインドではこのアニメを超える作品はない。
この美しい作品をもっと多くの人たちに知ってほしい!
今再び、日印交流に貢献したインドと日本の奇跡をスクリーンで上映する。
(劇場HPより)
<内容>
古代インドのコーサラ国の都アヨーディヤのダシャラタ王には3人の王妃と4人の王子がいた。
ラーマは第1王子として生まれたが、実は魔王ラーヴァナを滅ぼし、この世を平和に導くために天より降りたヴィシュヌ神の化身であった。
ラーマは別の王妃の嫉妬により王宮を追放され、シータ姫、弟ラクシュマンと14年間にわたり森で放浪する。
ある日森に潜む羅刹女を追い払ったことにより、ランカに住む魔王ラーヴァナの怒りをかい、シータ姫を誘拐される。
鳥王ジャタユによりそれを知ったラーマは、猿王スグリーヴァ、その部下ハヌマーンたちの助けをかりて海の上に橋を築き、ランカ城に攻めこむ。
ハヌマーンは自由に大空を飛行し、自在に体を伸縮して大活躍。 しかし、ラーヴァナの軍勢と戦闘中、ラクシュマンは瀕死の重傷を負う。
このときハヌマーンは天駆けてヒマラヤに飛び、薬草が生えた山を、山ごと担いで運び、クシュマンの命を救う。
両軍激戦の末、ラーマは「神の武器」を使って10の頭と20の腕をもつラーヴァナに戦いを挑む……。
(劇場HPより抜粋)
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3月23日ジャック&ベティにて鑑賞。
いやぁ~なかなか面白かったです。
インドの2大叙事詩「ラーマヤナ」「マハーバーラタ」の事は学生時代の歴史の教科書で知っているくらい。
詳しくその内容は知らなかったので、とっても参考になりました。
物語はインド神話の世界の英雄伝。
その英雄ラーマが妻シータを魔王から奪還する物語。
アニメーションなのですが、まず第一印象は画がひと昔ふた昔の感じでビックリしました。
その画像のタッチで最初に思い浮かんだのが、日本初カラー長編漫画映画1958年製作の「白蛇伝」の雰囲気。
今の時代のアニメの作風とはだいぶ異なりますが、逆に良い味わい雰囲気を出していました。
インドの方々ではもしかしたら常識かもしれませんが、この「ラーマヤナ」の内容を知っておくと、インドの色々な映画作品を観る際に役立つ事があるかもしれません。ギリシャ神話、旧約聖書の内容を知っていると、それがベースになっている作品の関係と同じですね。
その最たるものですぐ思いついたのがインド映画「RRR」。
主人公ラーマとその奥さんシータ、なんとこの物語の主人公そして奥さんの名前と同じです。
そしてRRRのもう一人の主人公ビーム。
ビームはどうもこの「ラーマヤナ」に出てくる「ハヌマーン」をモデルにしているとか(ラーマを助ける英雄です。
そのハヌマーンは孫悟空のモデルとも言われているようです)。
劇中ではラーマの弟が傷を負う、その治療のために薬草を探しにハヌマーンが身体を何十倍にも大きくして空を飛び、薬草探しヒマラヤまでひとっ飛び。
その薬草を塗るとあれまぁ、傷が治ってしまうのです。
RRRでもそんな場面があったような!
そういえば過去に号泣したインド映画「バジュランギおじさんと、小さな迷子」のなかにも、やたら猿の神様ハヌマーン信仰としてのハヌマーン様がけっこう出てきたのを思い出しました。
その時はたんに猿神ということだけで、「ラーマヤナ」の物語の中の登場人物とはまったくわからずでしたが。
ということで、やはりインドの色々な物語のベースになっている神話の物語で、ノスタルジーを感じる作品であり大活劇であったことは言うまでもありません。
魔王ラーヴァナの住むランカは、セイロン島(現在のスリランカ)との説があるようです。
この島での戦いの場面はなかなか見応えありですよ。
ただ言語が英語だったのですが、字幕がついていたのでどうせならタミール語とかヒンディー語で音声を入れてほしかったです。
ちょっとそこが残念でした。
5点満点中 3.6
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(おまけ)
●ラーマヤナ成立は紀元3世紀頃で、詩人ヴァールミーキが、ヒンドゥ教の神話と古代英雄コーサラ国のラーマ王子の伝説を編纂したものとされる。
この叙事詩は、ラーマ王子が、誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率いて、ラークシャサの王ラーヴァナに挑む姿を描いている。ラーマーヤナの意味は「ラーマ王行状記」。
(ウィッキペディア参照)
ラーマはインド神話最大の英雄
●ヒンドゥー教は、この世は創造・維持・破壊の無限の繰り返しであると言う。 創造の神はブラフマン、維持の神はヴィシュヌ、破壊の神はシヴァ。 ヴィシュヌは地球の危機には、救済のために化身としてこの世に顕れる。 「ラーマーヤナ」の主人公ラーマは ヴィシュヌの化身である。
●「ラーマーヤナ」とは 「マハーバーラタ」と並ぶ古代インドの二大叙事詩のひとつである。サンスクリット語で書かれている。
●この物語は、インドのみならず、東南アジアにも広範に伝えられ、アンコールワットやタイの舞踊、インドネシアの影絵芝居など絵画、彫刻、建築、音楽、舞踏、演劇、映画のテーマとなっている。中国では「西遊記」に形を変え、日本にも平安時代に漢訳仏典により伝えられた。桃太郎もこの物語が元になっているという説もある。
(劇場HP参照)
(トラブル)
インディアン・エクスプレスは『The Ramayana Relics』をドキュメンタリー番組ではなく、「日本人が新しい『ラーマーヤナ』を作ろうとしている」と誤った形で報じ、これに反応した世界ヒンドゥー教会は「インドの国家的遺産である『ラーマーヤナ』を外国人が勝手に映画化することは許されない」とする抗議文をデリーの日本大使館に送付した。
誤解が解消された後、酒向は世界ヒンドゥー協会とインド政府に映画のキャラクターデザインを提出し、「日本ではアニメーションは真剣な芸術形式であり、世界の人々に『ラーマーヤナ』を広めるのに役立つ」と説明した。
当初、インド政府は彼の意見に同意したものの、後に「『ラーマーヤナ』は非常にセンシティブな題材であり、アニメ化することはできないとして協力を辞退している。
最終的に映画は日本で製作され、日印のスタッフ450人が参加した。(ウィッキペディア参照)
(画像すべてお借りしました)