映画「怪物」 | ほくとの気ままなブログ

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映画「怪物」

 

 

2023年 東宝 126分

 

<監督>

是枝裕和

<音楽>

坂本龍一

 

<キャスト>

麦野早織(むぎの さおり)シングルマザー安藤サクラ

 

麦野湊(むぎの みなと)早織の息子黒川想矢

 

保利道敏(ほり みちとし)湊、依里の担任教師永山瑛太

 

星川清高、依里の父でシングルファーザー中村獅童

 

星川依里(ほしかわ より)湊の同級生柊木陽太

 

鈴村広奈保利の恋人高畑充希

 

正田文昭:湊、依里が通う小学校の教頭角田晃広

 

伏見真木子小学校の校長田中裕子

 

 

<内容>

息子を愛するシングルマザーや生徒思いの教師、元気な子供たちなどが暮らす、大きな湖のある郊外の町。

どこにでもあるような子供同士のけんかが、互いの主張の食い違いから周囲を巻き込み、メディアで取り上げられる。

そしてある嵐の朝、子供たちが突然姿を消してしまう。

(シネマトゥディ)

 

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(ロケーション)

ロケーション撮影は2022年3月から8月にかけて長野県諏訪地方(諏訪市・岡谷市・下諏訪町、富士見町)で主におこなわれ、舞台となる小学校は廃校となった旧諏訪市立城北小学校が使用されている。地元では公開に合わせ、フィルムコミッションによるロケ地マップも作成された

諏訪地方をロケ地に選んだ理由について監督の是枝は諏訪湖の存在を挙げて「全体を貫くテーマと湖を重ねてみようと思った」と述べている。

(ウィッキペディア)

 

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公開中ではありますが、大勢の方が記事アップされておりますので、まぁいいかと少々ネタバレも含んでさらりとご紹介です。

6月24日横浜相鉄ムービルにて、遅ればせながら観てまいりました。

 

もっと早くに鑑賞しようとは思っていましたが、他の期間限定の映画や、母親の退院のお祝いで帰省したりで先送りしておりました。

 

前述しているようにこの映画のロケ地は、私の実家の諏訪地方なのです。

先日母親の退院祝いで帰省した時に、この映画の話を妹とすることがあって話をしていたら、ロケ地が地元だとのこと。ありがたいことに、ロケについての地元の新聞記事を保管してくれていたんです。

 

 

いやぁ~ロケ地の数々、少しはわかりました。とにかく全く前知識なしで観るつもりでしたので諏訪がロケ地でビックリ。

 

 

そして私の尊敬する映画ブロガーさんの記事にも

「信州諏訪の澄んだ空気感と坂本龍一・・・」

の文字が目にはいったりして。

これは、現場検証的にも観なきゃとw

 

 

違和感を感じるストーリー展開

 

 

最初想像していた小学校でおきた何やら恐ろしいサスペンス、スリラータッチの犯人捜しの物語なのかと思っておりましたら、全く違っていましたね

最初から登場人物の行動そして言動に、とてつもない違和感があり、なんだろうこの物語はと思いながら観ておりました。

 

 

違和感があったのもさもあらん、じつはこの物語は途中からそれぞれの事象を、登場人物それぞれの視点からフィルムが巻き戻されて再度話が進んでいくのでした。

 

 

それは、早織(安藤サクラ)・保利(永山瑛太)・湊(黒川想矢)の視点を中心に進んで、事件の真相に迫り真実に近づいていきます。

視点が変われば内容も変わる。

 

いやぁ~なかなかの構成です。

先ほどのブロガーさんが書かれていた、一つの事象を複数の人間の視点から眺め直していく「羅生門」スタイルとはこの事だったのかと納得納得。

 

 

ジェンダー問題にも言及

 

また途中からあれれと思ったのが、依里と湊の間に恋愛感情が芽生え始めたようなシーンがでてきたりしました(おいおいこの映画BL(ボーイズラブ)作品かと思ってしまったほどw)。よくよくストーリーを思い返してみると、それぞれの親の言動にも、それを伺えるような事が数多く出ていましたね。

「男らしくしなければ」

とか、依里の父親が

「依里はふつうではない、豚の脳が入っている」

と息子の事を言う。

そして湊も、依里に対しての自分自身の感情を自分も普通ではない

豚の脳が入っていると

思いこむようになる。

このようなことが、ジェンダー問題にも関係していたのではないでしょうか。

 

やはり犯人を捜す物語、サスペンス、スリラーというような単純な物語ではなかった。

 

 

 

目頭が熱くなってしまったラストシーン

 

嵐の夜、湊と依里が家からいなくなってしまった。

二人は嵐の夜を秘密基地で過ごす。

 

 

泥だらけになりながら、被害を受けてしまったその場所から脱出する。

「生まれ変わったのかな?」

「いや前と何も変わっていないよ」

二人は会話する。

 

 

基地跡のトンネルを抜けると、青空が迎え入れ青々と繁草のなかを駆け巡るシーンで終わる。

 

このシーンはこみ上げるものがあり、目頭が熱くなってしまいました。

 

 

そのシーンでふと思ったのが、先日ブログアップしている、映画「大人は判ってくれないのラストシーンに似た感じだとも。

 

結末を観る者に委ねているのではなかろうかと・・・・。

 

 

 

単にものの見方・考え方が異なることで、それが相手に良い影響を与えることも、また逆に悪い影響を与えてしまう事も。そして人間だれしも持っている天使と悪魔(怪物)、内面の物語だと思った次第。

 

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(おまけ)

諏訪市限定のロケ地のいくつかをご紹介。

 

*平湯温泉付近、ロケ地の中で二人が自転車で緑色の外観の建物の前を通ります。その建物は共同浴場「平湯温泉」で実家のすぐ近くです。映画「テルマエロマエⅡ」でもロケ地になって、このお風呂場は撮影されています(お相撲さんが入浴していましたよ)。

 

*小学校の職員室・保健室は城南小学校、妹が通った小学校。この小学校は校内に温泉風呂があるんですよ。水泳の後などに温まったりするみたいです(上諏訪は温泉の町ですからね)。ちなみにエキストラの子供たちは、城南小学校の生徒を中心に参加しているようです。

 

*城北小学校。まるごと撮影で使われていました。この小学校は、私が通った小学校から生徒が多くなり分離してできた小学校。今度は生徒が少なくなって統合され2021年に廃校になってしまったのでした。

 

*諏訪赤十字病院、湊がCT検査を受けた病院、先日私の母もこの病院で手術を行いました。

 

*上諏訪駅前、保利先生と広奈が家事の時にいた場所。この駅のホームには温泉の足湯ができるスペースがあります(昔は風呂もありました)。

 

*向田橋付近湊と依里がマンホールの音を聞いていた場所、わりと実家のそばで親戚の家が数秒のことろにありますw

 

*立石公園、湊と依里が宇宙について語っていた場所、ここからの諏訪湖付近の夜景は奇麗に見えますね。アニメ『君の名は。』に出てくる景色に似ていると言われている場所。

 

 

*手長神社、湊と依里が階段でグリコ、パイナッツプルをやっていた階段のロケ地。私が通っていた小学校のすぐ隣にありました。ちなみに「足長神社」も少し離れたところにありますよ。

 

*藤森ビル、上諏訪駅すぐの火災があったビルです、ガールズバーなんかあったかな?w

 

*そして諏訪市ではないのですが、劇中気になってしまったのが水門のシーン。水門のシーンが幾度となくで出てきます。ラスト近くでも校長先生がその水門の場所にいました。あの場所は地元の人が見ればすぐわかる、岡谷市にある釜口水門です。

 

昔は雨が降ると氾濫していた諏訪湖に人工的に水位を変える治水工事の一つでできたものです。そして諏訪湖は天竜川の水源なのです。何かのメタファだったのでしょうか?気になりました

 

諏訪湖周辺の夜景のシーンが何度か映し出されましたが、けっこう奇麗でしたね。

諏訪湖周辺の夜景をわざわざ見に行ったことはありませんがw

 

なかなかの作品でした。

 

5点満点中3.9

 

(画像全てお借りしました)