映画「ラガーン」
2001年 インド 224分
<監督>
アシュトース・ゴーワリケール
<キャスト>
アーミル・カーン、
グレーン・シーン、
レイチェル・シェリー、
ポール・ブラックソーン、
<内容>
1893年、イギリス領インド帝国のチャーンパーネルの小さな村は、干ばつによる被害が続いているにもかかわらず重い年貢を課せられていた。その納められた年貢の一部を藩王ラージャー・プラン・シンはイギリス軍へ納めていた。
とある日、イギリス人将校のアンドリュー・ラッセル大尉は好意を無下にした藩王に対し、年貢を2倍の量を納めるように要求する。この知らせにブバン(アーミル・カーン)率いる村人たちは藩王に年貢のことを直訴しに向かう。
しかし、イギリス軍によるクリケトの試合中だからと待たされてしまう。その試合後、藩王に直訴するも仕方がないと答えるばかり。
共にいたラッセルは、村人がクリケットの試合で部下を倒すことができれば、村だけでなく州全体の年貢を3年間免除することを提案する。
ただし、村人が負けた場合の年貢は2倍ではなく3倍になるという条件付き。村人たちは誰もがクリケットのルールも知らず不利な条件であったが、答えを求められた時ブバンはこの提案を受けいれてしまいました。
(ウィッキペデシア参照一部訂正)
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少し前に、インド映画観たいモードでフツフツとしていますと伝えたところ、ブロ友の「すずめちゃん」さんからお勧めいただいた数作品の中の第一弾です。
持つべき友はブロ友!!
感謝感謝です。
初鑑賞。
ちなみにタイトルの「ラガーン」とは、「地税」のことです。
主演は映画「きっとうまくいく」でも有名なアーミル・カーン。
言わずと知れたボリウッド三大カーン(シャー・ルク・カーン、アーミル・カーン、サルマン・カーン)の一人です。
彼が「きっとうまくいく」の8年前に出演した作品。
物語はごくごく単純。
イギリスVSインド、イギリス将校VSアミ-ル・カーンのように、イギリスの理不尽な制圧のなかで立ちあがる村人との勧善懲悪的なストーリー。
対立軸がはっきりしていますね。
そこに戦争ではなく、クリケットというスポーツでの対決になるスポーツ映画でもあります。
クリケット初心者達が3か月の練習で、イギリス人経験者達に臨むのですが、結果がどの様になるかは最初からわかりますよね。
絶対に勝つってことはw
でもボリウッド映画、わかっていてもそこまでの展開を見るのが楽しみなのです。
また、村の娘ゴゥリは、占い師から
「近いうちに結婚するだろうと」
告げられたことを、ブバンに話します。
ゴゥリはブバンの事が好きなのですが、ブバンはそれに気が付いていない。
そしてそんな二人の間にイギリス人の女性が、これまたブバンに恋するというような男女の恋愛三角関係も見どころ。
お決まりの、歌あり・踊りあり・恋あり・友情ありと、期待通り満載でした。
後半この映画のメインになるクリケットの試合ですが、私はクリケットのルールをあまり知らなかったので少々??的なところがありました。
ですから、クリケットのルールを事前に知っておくとよろしいかと。
もちろん知らなくても、なんとなくは理解でき楽しめますが。
クリケットは世界の競技人口は3億人ともいわれているスポーツ。
イギリスはもちろんですが、インドの皆さんには当たり前のスポーツなのでしょう。
さてそのクリケットの試合ですが、勝てば天国負ければ地獄の彼らにとっては生きるか死ぬかをかけた試合。
そしてなんといっても、村人たちはゲーム初心者ばかり。
キャッチボールすらできないレベル。
これじゃほぼ勝つ見込みはなしの、いささか理不尽な試合でもあったのです。
そんなチームに
情けをかけてくれる人物が登場します。
イギリス人将校ラッセル大尉の妹が、あまりにも不公平だと彼らにルールを教えるのです。
しかしそこが男女の中、先ほども記述したように主人公アミール・カーンに思いを寄せる村人の娘と、イギリス人女性のあいだに恋のトライアングルの様相もおきていきます。
話が良い場面シリアスな展開になってきたかと思うと・・・もちろんそこはインド映画。
無駄にw突然踊りだす集団ダンスは、ここでもお約束。
この集団ダンスに、あの独特の歌声の歌を聴きたくなるのです。
本当にこれにハマルと癖になるのです。
逆に集団ダンスが少ないと、なんだかなぁ?と消化不良になったりもしてしまいますからw
心に信念と勇気を持つものが、最終的に勝利をものにする
さて、なんやかんやで話が中盤になってくると、最初はブバンの意見に反対していた大勢の村人たちが、彼の行動に賛同していきます。
チームに入ることを希望する者、また応援する者とだんだん一丸となって村に絆がうまれてきます。
ただし村人の中に、イギリスのスパイになり、足を引っ張る者がチームに加わりました。
その彼はブバンに恋するゴゥリに好意をよせている。
でも彼女の気持はどうにも揺るぎがたい。
だから試合が負けて、ブバンに恥をかかせたいために仲間を売ったのでした。
ただしその彼は、これまたおきまりのように真の友情に目覚めるのですが・・・。
イギリス側も、ひと悶着ありました。
この試合はラッセル大尉の独断で決めた事だったので、上層部からお咎めがありました。
もしイギリスが試合に負けた場合、ラッセル大尉の私財で年貢を納めること、そしてアフリカの砂漠への左遷がが条件となってしまっていたのです。
ですから双方とも本気モードです。
少々試合までの話が長かったのですが、試合が近づきぐっと話の展開が盛り上がってきます。
試合当日は、大勢の村人が観客として見守り最高潮に達していきます。
試合の展開は予想だにもしなかった、息詰まる展開に。
ラスト一点差でインドチームが劣勢に立ち、インドチームの最後のバッターが打った球が、空高く上がって延びていきます。
それを捕球しようと、ラッセル大佐がバックバックバック・・・。
捕球できなければインドチームの勝ち、捕球すればイギリスチームの勝ち。
結果はいやぁ~~~残念無念。
無残にも彼が捕球してしまうのです。
しかし審判の判断は、・・・・・・結果は観てのお楽しみです。
この映画の中でわたしが一番感動した場面。
メンバー10人は決まっているのですがまだもう1名が決まらない。
そんななか、仲間たちが練習をしている。
村人たちがその練習を見に来ていた。
練習で打ったボールが、見物人のところに転がっていく。
ブバンが、ボールを投げ返してくれと、転がったボールの近くにいたカチュラに伝える。
右手が不自由な彼が、その手にボールを持って投げ返す。
そのボールの軌道がなんと曲がったのでした。
それを見たブバンはカチュラを、
「11人目は君だ」
と仲間に入れる。
誘いにとまどうカチュラ。
しかし他のメンバーからは、彼をメンバーに入れるなら、チームを止めたいと言う者が続出する。
その理由は彼が障害者であり、カーストの違う者だからということ。
村長までも、村の体制を乱すなとブバンを諫めます。
しかしブバンは、ラーマ神の故事になぞらえ、差別はおかしい事を村人に説きます。
身分や制度、そして身体的な欠陥などで人を差別することが正しくないことを訴えます。
彼に恋心を頂くゴゥリの父である医者イサルに、
「医者が患者を治療するときに、カースト制度を理由に診断しないことはないだろう。もしそのようなことがあったらそれこそが罪だ」
と力説します。
結果、チームの者そして村人たちもカチュラがメンバーになり、試合に臨む事を決意しました。
彼が力説する場面では、またしてもウルウルしてしまったのであります。
さすが、アミール・カーン、日頃から社会的弱者の向上に尽力を注いでいますから、言葉に気持が入っていました。
またこのチームは、カースト制度で身分の低い者、障害者、そしてイスラム、ヒンズー、はたまたシーク教徒などごちゃまぜな混成チームというのが魅力的。
カチュラを入れてチームのメンバーがそろったときに、横一列に彼らが並び、彼らの視線の先にはイギリス人将校の姿が映し出されたそのカットはしびれました。
雑草軍団がエリート軍団に立ち向かう、ヒーローそのままでしたね。
まるでマカロニウエスタンの、闘いの場面を見ているよう。
スポーツドラマの熱い感動もありましたが、まさかこの映画が宗教の垣根を越え、はたまたカースト制度や障害者にも目を向けたヒューマンドラマでもあり、社会派ドラマであったとは思いもよらなかったですね。
もちろんボリウッド特有の、コミカルなところも満載だったことはいうまでおありません。
224分の長編ですが、時間を気にせず楽しめた作品でした。
(画像すべてお借りしました)
*この作品を観た後、すずめちゃんさんから紹介の他のインド映画作品を続けてみました。もぅ感動の嵐の作品でした、それはまた近々記事アップしたいと思います。
5点満点中3.8