映画「シャイニング」北米公開版 | ほくとの気ままなブログ

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午前十時の映画祭11 

 

映画「シャイニング」

北米公開版 

 

 

1980年 アメリカ 143分北米公開版 

 

<監督>

スタンリー・キューブリック

<キャスト>

ジャック・ニコルソン、

シェリー・デュヴァル、

スキャットマン・クローザース、

ダニー・ロイド

 

<内容>

スティーブン・キングの小説をスタンリー・キューブリック監督が映画化した名作ホラー。冬の間は豪雪で閉鎖されるホテルの管理人職を得た小説家志望のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は、妻のウェンディー(シェリー・デュヴァル)と心霊能力のある息子ダニー(ダニー・ロイド)とともにホテルへやってくる。

そのホテルでは、かつて精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、当初は何も気にしていなかったジャックも、次第に邪悪な意思に飲みこまれていく。

 

主演のジャック・ニコルソンがみせる狂気に満ちた怪演は見どころ。高い評価を受けた作品だが、内容が原作とかけ離れたためキングがキューブリック監督を批判したことでも知られる。

 

(映画COM:一部修正)

 

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7月10日午前十時の映画祭11にて鑑賞。

過去なんども観ている作品ではありましたが、北米公開版とのことで、楽しみにしていました。

 

もう有名な作品ですので、内容をご存知の方もいると思いますが簡単に説明すると、冬の豪雪で閉鎖されたオーバールック・ホテルで管理人として雇われたジャックとその家族。

 

 

しかし日ごとに精神的異常をきたし、ついには家族を殺害しようとしたジャックが、息子ダニーを追いかけ、ホテルの敷地内にある雪が降りしきる迷路の中で凍死してしまう。

そして最後にはあの謎めいた写真

 

 

 

1921年7月4日と刻まれた紳士淑女が集まるオーバールックホテルでの「舞踏会の記念写真」が、なんとも優雅な曲「真夜中に星々と君と:アルボウリーとレイノーブル楽団)が流れる中、映し出されます。

その写真の中央にはジャックらしき人物がにこやかな顔をして鎮座しています。

というような物語です。

 

この写真が色々な憶測をよび、原作をほとんど無視したキューブリックが独自に描いているので、さらに内容を難解にしてしまっている作品でもあります。

 

 

 

さて、トリビア的な事も踏まえ&個人的見解も踏まえ&思うままに書き進めてまいります!!

この作品を観ていない方は、なんの事だろうと思うかと思いますが、ご勘弁下さい。

 

いやぁ~久しぶりの鑑賞でしたが、やはり面白かったです。

結末や途中の名場面などもインプットはされていますが、あっという間の143分楽しめました。

 

そしてやはりジャック・ニコルソンの怪演、

また奥さん役のシェリー・デュヴァルと子役のダニー・ロイドも素晴らしかった。

 

 

ほとんどこの3人の演技で成り立っていますが、表情の変化なども良かったです。

 

 

子役として出演していたダニー・ロイドは、この映画の続編と言われている「ドクタースリープ」でカメオ出演していましたね。

ただ、映画出演はその2本だけ。

現在は大学教授で生物学を教えているようです。

 

 

この作品、記憶に残る印象的なシーンやカットは数多くありますが、次のシーンもそのなかのひとつです。

 

 

管理人として家族で滞在を始める、ジャックは早々に新作にとりかかります。

しかし思ったようにはなかなか事が運ばない。

ストレスも溜まってくる。

 

 

そのような中、なかなか原稿が進まないジャックの様子がおかしい事を感じる妻ウエンディ。

また息子ダニーが、何者かに首を絞められた出来事があったりと、不安になっていました。

 

 

そんなある日、広いロビーにおかれているデスク。

その上のタイプライターにセットされた原稿を覗き込むウエンディ。

ジャックが一心不乱に打ち込んで書いていた小説の原稿。

それは、無数の同じ文字の羅列。

 

 

「All work and no play makes Jack a dull boy」

「All work and no play makes Jack a dull boy」

「All work and no play makes Jack a dull boy」

「All work and no play makes Jack a dull boy」

 

「All work and no play makes Jack a dull boy」

仕事ばかりで遊ばない。今にジャックはバカになる)の文字。

 

タイプライター横に置かれた分厚い原稿の山。

そこにも同じ文字が書き連なっていました。

夫ジャックにただならぬ事がおきていることをとっさに感じ、恐怖に陥ったウエンディ。

 

と、突然ジャックが現れ

「今回の作品は気に入ったかい?」

 

 

と声をかけるシーンは、初めて観た時は衝撃的でしたね。

もう完全にこれから何かがおきることを、決定づけた瞬間でした。

 

今回の上映作品は、北米公開版ということで143分

 

通常の上映版が119分ですので、けっこう追加されているシーンが多いのですが、どこが追加されていたかあまり気がつかなかったかも。

 

 

ただ骸骨がテーブルを囲むシーンは気が付きましたが、あまり内容には重要でもなかった気もしますw

 

ただ今ではもう見ることができない、146分のプレミア公開版というものが、この作品にはあったのです。

それはとても重要なシーンが盛り込まれていましたが、何故かキューブリックがぶった切ってしまったそうです。

ということで、現存するものとしては北米公開版は貴重なのかも。

 

 

 

撮り直しが多い事でも有名なキューブリック監督、そのぶった切ったシーン次のようなものでした。

 

幻のシーン

 

ジャックからの難を逃れた二人の親子。

ラストシーンで入院しているウェンディーとダニーをホテルの支配人が見舞い、ダニーに黄色いボールを投げ渡して去っていく。

このシーンを、キューブリックによってカットされてまた、フィルムも破棄されてしまっているよう。

いまではスチールが数枚が残っているだけなのだとか。

 

またボールを渡すそのシーンでは132テイクが費やされ、1シーンとしてはギネス記録になっています。

それだけ苦労して撮影したシーンがカットされてしまうなんて、なんていうことだ!w

 

黄色いボールは、映画を観た方ですとわかりますよね。

ホテル内でダニーの前に突然現れたボールです。

たぶんホテルからの贈り物でしょうか?

 

そのシーンは、この映画の解釈をするのにけっこう重要だと個人的には思えるのですが、どうなんでしょうかね。

 

ただ今回映画も観て切り取られたシーンの記事を書いてはいるのですが、夢かまぼろしか前に観た時に、そのシーンを観たような気がするのです。私の単なる思い違いでしょうかね?それとも何か違う映画(ドクタースリープとか)でのシーンと混乱しているのか??

まぁいいですが・・

 

カットされてしまったひとつ、病院でのシーンで3枚のポラロイド写真を載せているサイトがありましたので、写真お借りしました。

 

 

 

 

 

この映画を解釈するうえでのポイント。

 

 

劇中の会話の中に「かつてここはインディアンの墓地だったが、反対を押し切って建設した」という文句が出ています。

「アメリカ人がインディアンに行ってきた悪業への報復」であるという事も考えられるでしょうか。

 

ホテルホールでの、亡霊デルバート・グレイデイとの会話の中で「ジャックはずっと昔からホテルで管理人をしていた」という会話が出てきましたね。

 

 

ですから邪悪な意思をもつホテルの管理人として、輪廻転生を続けているとも考えられます。

 

ということは、前の管理人で双子の娘を殺してしまったチャールズ・グレイデイこそがジャックだったとも考えられるのか?

 

また最後に映し出される、1921年7月4日と刻まれた紳士淑女が集まるオーバールックホテルでの「舞踏会の記念写真」

 

1921年の頃は禁酒法の時代、そんななかで酒が飲めるパーティとは、掟破りのパーティだったのか?

 

そして7月4日とはアメリカの独立記念日

ただしそれは、昔からいたインディアンにとっては先住民族が迫害されてきた歴史の上に成り立った7月4日なのでしょう。

前述しましたインディアンの墓地の後に建てられた今ホテル、また違法なことなども行ったり、殺人事件もあったりと・・・。

 

だからこそ残虐な歴史が繰り返すのかもしれません。

原作ではこのホテルで過去にあったことなどがより色々書かれているようです。

 

その写真の中央にジャックらしい人物がにこやかな顔をして鎮座しています。

あの満面の笑みは、酒が飲める幸せな表情なのかもと思ったりもしました(本当にお私の勝手な解釈です)。

なんといっても、ジャックはアルコール依存症で問題を起こし、禁酒しているという設定でしたからね。

 

 

これまた前述していますが、ラストに流れるダンス曲、アル・ボウリー・アンド・レイ・ノーブル楽団の『真夜中、星々と君と』という曲ですが、とっても印象的で耳に残る選曲でした。

 

カルマは「過去(世)での行為は、良い行為にせよ、悪い行為にせよ、いずれ必ず自分に返ってくる」

 

カルマ(業)の世界。

 

あの写真から考えられるラストは、ずっと管理人だったジャック、時を経ても生まれ変わり輪廻転生をホテルの力で繰り返させられる。

 

もう一つは邪悪な意志を持ったホテルの力で、彼の死によってあちらの世界の住人に取り込まれたとういう考え。

その他の解釈もあるかとは思いますが、映画を観た方はがどのように感じるのか、謎解きの映画としてもおもしろいでしょう。

 

何度見ても新鮮に映ります。

 

 

印象的な鏡の使い方

 

 

「レッドラム、レッドラム、レッドラム、レッドラム、REDRUM!」

 

いたるところで鏡が有効に使われていました。

 

ダニーが寝室のドアに「REDRUM]と書きます。

この文字が鏡越しに「MURDER(殺人)]と映ります。

 

裸の美女をジャックが抱きしめる場面。

 

しかし鏡に映りだされたその姿は、身体が腐乱しかけた老婆でした。

こちら側とあちら側を示唆しているのでしょうか。

 

 

その他、鏡が有効に使用させているシーンがありましたね。

 

 

(おまけ)

 

 

ジャックが斧でドアを打ち破るシーンは、なんと2週間もかけて撮影されたよう。だからでしょうか、製作に5年もかかったのでしょうか。

 

 

巨大な雪の迷路のシーンは、約900トンもの塩が使われたとか。転んだときはしょっぱかったでしょうねw

 

ステディカムのカメラ撮影 特徴ある撮影

映像のスティディカムの導入(カメラにアームをつけることで手振れによる振動を極力抑えることで、滑らかな安定した映像を撮影することができる)。

ダニーが載った三輪車のシーンはホテル内を縦横無尽に走り回るシ―ンや、あの迷路での追いかけかたや、逃げるシーンなどに、その撮影が、生かされていました。

 

監督が好むシンメントリー(左右対称)の構図

 

左右対称の幾何学的模様のカーペットに突如として現れる双子の姉妹、ホテルの床をはじめ、いたるところにそのこだわりの構図が出てきますね。

 

237号室は、原作では217号室。

 

ホテルに訪れる観光客などが、217号室を使用しないことを懸念して、実存のホテルには存在しない237号室にしたよう。

 

キューブリックはこの作品と同時に「エクソシスト2」の依頼を受けて、こちらの作品を選びました。

 

映画ブレードランナー初期劇場公開版でのエンドロール空撮映像は、シャイニングのオープニングの別テイク映像を借用した。

 

映画でオーバールックホテルの外観のイメージとして使われたのは、オレゴン州に実在するティンバーライン・ロッジだそう。

そして原作ではおなじくオレゴン州に実在するスタンレーホテルだそうですよ。

 

オーバールックホテルの、ラスト「シーンなども原作とは大違いのよう。

これは続編(ドクタースリープ)では原作の扱いで処理されていましたね。

 

 

この映画はやはり、名作のひとつとして残されていく作品でしょうね。

 

スティーブン・キングが奇抜な演技をするジャック・ニコルソンの起用に反対して、ジョン・ヴォイドを推薦していたようですが、今となってはジャック・ニコルソンで大正解。

そして彼の代表作にもなりましたしね。

原作無視のようですが、ホラー映画の金字塔の作品でした。

 

5点満点中4.3