サイレント映画「狂った一頁(いっページ)」 | ほくとの気ままなブログ

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サイレント映画

「狂った一頁(いっページ)」

 

 

1926年(大正15年) 日本 70分(現存59分)

 

<監督>

衣笠貞之助地獄門でカンヌ映画祭グランプリ受賞

<原作>

川端康成

 

<キャスト>

小間使:井上正夫

妻:中川芳江、

娘:飯島綾子、

踊り子:南栄子

 

<内容>

元船員の老いた男は、自分の虐待のせいで精神に異常をきたした妻を見守るために、妻が入院している精神病院に小間使いとして働いている。

ある日、男の娘が結婚の報告を母にするため病院を訪れ、父親が小間使いをしていることを知る。

 

娘は自分の母が狂人であることを恋人に悟られないよう懸念している。

娘の結婚を知った男は、縁日の福引きで一等賞の箪笥を引き当てる幻想を見る。

男は妻を病院から逃がそうとするが、錯乱した男は病院の医師や狂人を殺す幻想を見る。今度は、男は狂人の顔に次々と能面を被せていく幻想を見る。

(ウィッキペディアより抜粋)

 

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大正モダニズム恐るべし!!

日本芸術映画の夜明け的作品!!

 

少し前にブロ友の虫一さんが紹介していた作品です。

紹介いただいた虫一さんには感謝でございます。

 

今作品はまったく知らず、初めて鑑賞しましたが、いやぁ~凄いの一言。

 

 

大正時代に、このような作品を製作していたとは・・・。

フラッシュバック、多重露光、明暗法、オーバーラップなど当時としては斬新な映像表現を試みた、日本初のアバンギャルド映画とのこと。

ドイツ映画「カリガリ博士」や、ソビエト映画「戦艦ポチョムキン」に触発されているのがよくわかります。

 

 

海外の評価が高く国内では興行的には成功しなかったのは、やはりまだ観客がこのような作品にはついていけなかったのでしょう?

この作品、現代でも充分通用すると思うほど。

 

 

精神科の専門病院と知られている、松沢病院を見学して精神病院を舞台とするプロットが決まったようでもあります。

また、サイレント映画によくある観客がストーリーを理解できるように挿入された字幕を、監督はまわりからの意見を取り入れ、映像の純粋性を保つためにあえて無字幕にての上映にしたよう。

たぶん弁士も排除したと思われるので、観客はもうすべて想像するしかない状態です。

それと、踊り狂うダンサーは、すごいのなんのって、もろアバンギャルドのダンサーですね。

大正時代にあのようないでたちで踊り狂うとは、まさに大正モダン&衣笠監督はすごいと再認識!

ただし、観る側にとっては精神病院や監獄的な描写もなかなか身近にない存在だろうし、何しろ前衛的な描写のこの作品はめっちゃ難解だったと思われます。

ですから、海外での評価のほうが高かったようですね。

 

松竹のフイルム倉庫が火災になって、長らく現存しないと思われていたものが1971年に偶然にも発見されたよう(ただし監督が再編成した59分に短縮されたもの)。

 

このような日本映画史に残る記念作品が発見されて、本当に良かったと思います。

 

 

カツベン付きの映像もみあたりませんでしたので、映像とけっこうマッチングされている音楽(BGM)が流れる映像をご紹介いたします

誰にでもお勧めできる作品ではないですが、興味のある方は鑑賞してはいかがでしょうか。

 

 

 

まさに日本の映画がチャンバラ時代の作品から、世界に通用するであろう芸術作品へ扉を開いた作品だったのではないかと思いました。

 

そうそうこの作品の助監督は、あの「円谷英二」でございます。

 

敬意も込めて・・・5点満点中3.9

 

フル動画