一緒にアメリカ横断をした男性の話 | 日韓年の差夫婦☆バイリンガル育児☆脱ステ

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元ホステス、その後ハワイへ。同じ大学だった、12歳年の違う韓国人旦那と結婚。子供をおうちでバイリンガルにすることを成功しました。『相手の好きに触れる』このテクニックがホステスも育児も同じだな~と思う今日この頃。独自の育児法や家庭学習のことなどを綴ったブログ

Aloha

ホステスを20年間してきた私が、37歳の時にハワイへ留学するまでの話を書いています。

ルート66を走りシカゴからカリフォルニアまで、車でアメリカ横断をした私。今回は一緒に旅をした男性、拓巳くんのお話です(仮名)。

旅に誘われる2年くらい前に、夏祭りの日だったかな。外までお客様をお見送りに行った時に、店の前を通りかかった彼らと目があいました。すごく個性的な5人。

一人はエルメスのバッグにグッチのシャツで、自分のことが大好きそうな男。一人は路上でギター弾いてそうな、子柄なかわいい感じ。一人は落ち着いていて、笑顔の可愛いルパン三世の次元のような。一人は派手なアロハシャツを着て、はしゃいだ明るい人。で、もう一人はキャンディキャンディのアルバートさんに似たすごく無口な男。


若い人は知らないね、アルバートさん


ルパン三世の次元

次元似の彼に話しかけたれたので、挨拶を交わし、お店にお誘いすると飲んで行ってくれて、その後もよく来てくれるようになりました。

2回目に来店してくれた時。

ホステスのいるお店が好きではない拓巳くんが行こうと言い出し、来てくれたそうで。皆がなんでだ〜?と彼に問いただしていると、彼が私に向かって『 俺は君と話しがしたかった 』と。

なるほど。私を気に入ってくれたのね。

あとから仲間達から聞いた話し、拓巳くんは半年前に29歳のクリスマスに出ていた長身の女優さんに本気で恋をし(彼はアーチストなのでどこかの展示会でお会いしたらしい)、あの手この手でアピールをしたものの、まったく相手にされずで、仲間内でその話しは拓巳くんの前ではタブーとされていました。

彼は時々お店に来てくれましたが、本当に無口で私がいつも会話をリードしていました。でもちゃんと目的があり来店してるんですね。例えば、薪を焚いての真冬のBBQ、しし座流星群鑑賞、お台場の自由の女神を見に行こうなどなどのお誘いや提案。

軽く誘っているのではなく、誘う前にちゃんとプランしてくれてるのがわかります。しかもそのプランにはいつも仲間達も入っているので一対一のデートではないんです。そしてうちのお店の女の子も連れてきてねと言ってくれる。

彼は独身でしたがオシャレな大きな家を持っていて、リビングには暖炉があり、Cafeでも経営できるような広さでした。そこでギターを弾いて皆で集う。まさにそんな感じの場所。

そして彼の演出がこれまたすごい。

しし座流星群は懐中電灯があっても怖くて歩けないような所へ見に行ったんですが、キャンプ用の分厚い毛布用意してくれていて、朝になると火をおこし、温かいハムチーズマフィンを作ってくれる。この人、キャンプの達人なの?と驚きましたね、私の周りにいないタイプだったので。

お店が終わった後にお台場の自由の女神を見行った時も、外でちゃちゃっとバーナーみたいのでお湯を沸かし、コーヒーを入れてくれたり。

私の誕生日には、お店のドアが開いたと思ったら、ギターを持ち、本格的なスーパーマンのコスチュームを着た拓巳くんが登場。そんな格好なのにほぼ無言で飲みながら、私が席にくるのをまっていて、私が付くとギターを弾きながらオリジナルのBirthday songを唄ってくれました。

そしてギターの先についていた、くす玉の紐を引くように言われ、引くとお誕生日おめでとうの文字と一緒に沢山の紙吹雪が!!!

翌年の誕生日には、自分で作った木の....なんて言うんだろ、表札を大きくしたようなもので、大きくて分厚い木の板に油絵でひまわりの絵と You are my sunshineの文字が描いてあるものをプレゼントしてくれました。自分で木の板からすべて自分で作ったそうで、とても素敵な絵で今でも持っています。

お店の若い女の子たちはそんな彼の演出に『 きゃー拓巳さん素敵!! ママ、拓巳さんいいじゃないですか♪ なんで駄目なんですか?』とよく言っていました。

なんでだろうね...

当時は、嘘のない拓巳くんの気持ちが重かったんです。純粋すぎて、彼と話していると自分の黒い部分が浮き彫りにされて苦しいような気持ちになった。私のことを一途に思ってくれるのに、1mmたりともトキメかない自分への焦りも感じたし。こんな私をなんで好きなんだろう?と言う気持ちもあったし。

5年間同棲した彼と終わり、傷ついていたんですね。寄りは絶対に戻さないし、未練もないはずなのに、時々電話をかけてくる元カレの声を聞くと心がうずくというか。あの時はそれらの感情がなんなのかがわからなくて戸惑い、どんどん哲学的に考えていました。

今はあれがなんだったのかわかります。

私が思うにそれは、魂の傷がうずいているんですね。頭では理解しているし、気持ちももう彼にはないんだけど、身体の中にある見えない魂の部分に傷を負っているんです。その傷が完治しておらず時々うずいて苦しくなるので、私はまだ彼が好きなんだと錯覚を起こしそうになる。

もう好きじゃないんです、でも魂が覚えているの。彼が私を大好きだった頃の心地よさや喜びを。そして悲しかった出来事の衝撃とかも魂が覚えていて、それが傷のようになって心が反応してしまう。でもそれだけ。まだ好きなわけではない。

その証拠に魂の傷が癒えた後は、彼はただの過去の人でめったに思い出すことはないし、今の私なら絶対に好きにならないタイプだし。あの頃、なんで彼を好きったんだろう?って不思議なくらい。あ、彼の前の彼も、その前の彼も、なんで付き合ってたんだろって思いますね。それくらい、よき過去として処理できている。



ある日、一人の男性がお店に勢い良く入って来ました。そしてカウンターに座りビールをオーダーし『 君がほうじ茶ちゃん? 』と強い口調で尋ねてきました。そうだよって答えたと同時に言われた言葉が

『 君は拓巳の財産狙ってるの? 』って。

は?って感じで思わず笑っちゃったんだけど、その人は怖い顔して本気で聞いてるんです。

『 財産狙いって!!! 彼は財産持ちなの?それすら知らないしっ 』そう答えると隣にいたホステスの子が笑いながら『 拓巳さんがママに熱あげてるだけじゃーん。拓巳さんの片思いだけど〜? 』と言ってくれて。

てか、あなた誰?って感じ。聞くと拓巳くんのお兄さんのような存在の従兄でした。

とにかく、私は一度もお店に呼んだこともないし、金銭目当てでもないこと。想っていてくれているのは嬉しいが、全く気はないことをはっきり告げると、少し安心したようで柔らかな口調になってくれましたが。

その後あとですね、拓巳くんからルート66の旅でに誘われたのは。

拓巳くんは多くの人から慕われてました。ご両親もとていい人で、彼の仲間も熱い人が多かった。でも彼はもうこの世にはいません。

私がハワイにいたときに、40代の若さで病気で亡くなりました。日本に一時帰国した時に、もう長くないと聞き、母とお見舞いに行きましたが、彼のお父さんが今の拓巳の姿をみたら元気な頃と大違いでショックをうけるだろうからと、会うことを賛成してくれずで。

数年後、また一時帰国した時に、彼の仲間から拓巳くんが昨日亡くなったと一報が入り、お葬式に参列させていただきました。一時帰国と言ってもどちらとも2週間の日本滞在、まさか葬儀に行けるなんて思ってもいなかった。すべては偶然ではなく必然だなと思いました。

長くなってしまったので続きます。

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