こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暦の七十二候の「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」になっていますね。

10月が少し寒かった印象があり、皇居周辺のイチョウが黄色くなりかけているので、「今年は早い時期からの紅葉が期待できるかも」と思ってい他のですが・・・

 

既に発表されている2025年の「紅葉見頃予想(こうようみごろよそう」によりますと・・・東日本では、紅葉は多くの名所で平年並かやや遅くなると予想されているそうです。

 

寒く感じたのは、気のせいであったのか・・・と思った次第(しだい)です。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

                 (AIで画像を作成)

 

今回は、「スーパーセンテリアン」の「免疫細胞の働き」が、どのようになっているか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

日本は、世界一の長寿国となった日本ですが、長寿の人の中でも110歳を超える「スーパーセンテナリアン」と呼ばれる存在が注目されています。

 

 

「スーパーセンテナリアン」とは、(110歳以上)の主な特徴は、100歳時点でも自立した生活を送っていることです。これは、認知機能が維持されていること、心血管疾患になりにくいこと、そしてフレイル(虚弱)になるのが遅いことの3つの医学的な特徴として現れていまいるとされています。

 

また、「センテナリアン」とは、百歳以上の長寿者を指す言葉で「1世紀以上を生き抜いた」という意味があるそうです。

 

今回は、「センテナリアン」や「スーパーセンテナリアン」の「免疫力」を構成する細胞の中心である「ナチュラル・キラー細胞(NK細胞」どのようになっているのかをみてみたいと思います。

 

もちろん、総合的な「免疫力」と言いますと以下のように

生まれつき持っている免疫(自然免疫)を構成する以下のような細胞群と

  • NK細胞(ナチュラルキラー細胞) - ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃
  • マクロファージ - 病原体を食べて処理
  • 好中球 - 細菌感染と戦う
  • 樹状細胞 - 病原体を認識し、獲得免疫に情報を伝える

生まれた後に感染の経験やワクチンなど、後天的に獲得した免疫

(獲得免疫)を構成する、以下のような細胞や抗体があります。

  • T細胞 - 感染細胞を直接攻撃したり、免疫反応を調整
  • B細胞 - 抗体を作り出す
  • 抗体 - 特定の病原体を標的にする
総合的な「免疫力」とは、これらのすべての要素がバランスよく機能している状態を指すのですが・・・
加齢とともに「T細胞」と「NK細胞」の活性(攻撃力)が顕著(けんちょ)に低下することが知られています。
 
「NK細胞」は、「がん細胞」だけでなく、「ウイルス感染細胞」や
「老化細胞」までも破壊することが可能なので、その活性の低下は
非常にヒトの身体(からだ)の質(クオリティー)を保つうえで重要
であると考えられています。
 

 (AIで画像を作成)

 

一般的に、年齢を重ねると「免疫力」は低下していきます。これは「免疫老化(イムのセネセンス)」と呼ばれ、NK細胞も例外ではありません(参考1,2)

 

そして、「NK細胞」の活性が低下しますと・・・癌の発生が多くなったり、ウイルス感染に対する抵抗力がなくなり、「老化細胞」は増加していきます(参考3,4)

 

「NK細胞」の数は、加齢により増加するか、或いは、横ばいになることが知られています(参考5)

それなのに、なぜ「NK細胞」の活性(攻撃力」は低下してしまうのでしょうか?

 

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

 

実は、「NK細胞」には、いくつかのグループ(サブセット)が存在することが知られています。

 

どのような集団があるのかと言いますと、次のようになります。

 

「NK細胞」は、主に「CD56」という表面の"目印"があるのですが、この攻撃力の強さによって、大きく2つのグループに分けられます。

1. CD56 bright (ブライト)NK細胞 =「司令塔・サポート役」

 

 特徴: CD56の目印を「明るく(bright)」、つまり「たくさん」持っている細胞です。


 役割: 彼らの主な仕事は、敵を直接攻撃することよりも、**「サイトカイン」**という"作戦指令物質"を大量に放出することです。

これにより、他の免疫細胞(T細胞など)を呼び寄せたり、元気にしたりする「司令塔」や「サポート役」として機能します。

2. CD56 dim (ディム) NK細胞=「攻撃実行部隊・アタッカー」

特徴: CD56の目印が「暗く(dim)」、つまり「少ない」細胞です。NK細胞の大多数(約90%)はこちらです。

役割: 彼らは「実行部隊」であり、生まれつきの「アタッカー」です。がん細胞やウイルス感染細胞を見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いのが特徴です。

では、加齢は上記のような「チーム構成」をどのように変えるのでしょうか?

年を取ると、このNK細胞のチーム構成(サブセットのバランス)が変化することが知られています。

1.一般的に、高齢になると「司令塔」役の「CD56 bright NK細胞」は減少する傾向にあります 。一方で、「実行部隊」の「CD56 dim NK細胞」は増えることが示されています(参考6)。

 

司令塔である「CD56 bright  NK細胞」の減少は、サイトカイン産性能や免疫調節機能の低下をもたらし、免疫応答の初期段階や他の免疫細胞の活性化に影響します(参考7)

 

高齢者では「CD56 dim NK細胞」の増加と「CD56 bright NK細胞」の減少がみられ、NK細胞全体の免疫力は低下する傾向があります(参考8)

 

この理由は、「司令塔」である「CD56 bright NK細胞」が減ってしまいますと・・・サイトカインによる免疫システム全体の調整能力が低下してしまうからなのですね、

 

そのような状態になりますと・・・実行部隊「CD56 dim NK細胞」が多くあっても、適切な指示がなければ効率的に働けないことから、NK細胞のトータルの免疫力(活性)が低下してしまうのだそうです。

 

では100歳以上の長寿者「センテナリアン」や110歳を超える「スーパーセンテナリアン」と呼ばれる方の「NK細胞」は何かしらの変化が

「NK細胞」に起きているのでしょうか?

 

 

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月4日

 

今回は「NK細胞」についてのお話をさせていただきましたが、加齢によって、実は「NK細胞」は増加しているわけです。

 

それにも関わらず、NK細胞の持つ殺傷能力(活性)は、20歳前後が最も高く、その後は低下していくことが知られています。

 

                       (図はお借りしました)

 

このように「NK細胞」の活性が低下していくのとは逆に50歳前後から、癌の発症率が増加していくことも知られています。

 

よく話題になる「免疫老化(めんえきろうか)」ですが、「NK細胞」

も例外ではありません。

実は「NK細胞」といっても、均一な細胞ではなく、グループ分けられます。これを「サブセット」と呼びます。

 

どのような「サブセット」が存在するのかと言いますと・・・、これは、本文内でもご紹介しましたが、次のようなサブセットが新西します。

 

1) CD56dim (ディム) NK細胞=「実行部隊・アタッカー」


 CD56の目印が「暗く(dim)」、つまり「少ない」細胞です。NK細胞の大多数(約90%)はこちらであることは本文内でもお話をしたかもしれません。

 

彼らは「攻撃の実行部隊」であり、「がん細胞」や「ウイルス感染細胞」、そして「老化細胞」を見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いのが特徴です。

2)CD56bright (ブライト) NK細胞=「司令塔・サポート役」

CD56の目印を「明るく(bright)」、つまり「たくさん」持っている細胞です。
彼らの主な仕事は、敵を直接攻撃することよりも、「サイトカイン」という"作戦指令物質"を大量に放出することです。これにより、他の「免疫細胞(T細胞など)」を呼び寄せたり、それらの免疫細胞のパワーアップにしたりする「司令塔」や「サポート役」として機能することが知られています。

 

そして、実はもうひとつのサブセットが存在します、

 

3)CD57陽性NK細胞

 

「がん細胞」などを見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いCD56dim (ディム) NK細胞

がさらに成熟した細胞となりますが、

 

彼らは「攻撃の実行部隊」であり、ベテラン中のベテランとなりますが、「疲れ気味のベテラン」などと呼ばれたりもするようです。

 

「免疫老化」は、「NK細胞」にも例外ではないのですね。

 

ひとつは、上にご紹介した「サブセット」の割合が変化する可能性が指摘されています、

このことは、加齢により「NK細胞」の「チーム構成」が変化するなどとも表現されますが、その内容は次のようになります。

 

【1.】「司令塔」が減り、「ベテラン兵士」が増える

「司令塔・サポート役」であったCD56bright (ブライト) NK細胞が減り、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞

が増加するわけです。

 

これは、「NK細胞」の成熟過程なので、仕方がないことなのですが、

「司令塔」不在、「サポート役」不在の「アタッカー」ばかりになってしまうわけです。

 

そして、「サポート役」がいないので、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞は・・・「もう、疲れた」となってしまうわけです。

これが「疲れ気味のベテラン」と呼ばれるCD57陽性NK細胞というわけですね。

しかも、加齢により、「NK細胞」全体の動きが悪くなってしまうそうです。

「NK細胞」の基本的な性質は、血管内を自在に動き回り、「癌細胞」

などを破壊する「パトロール細胞」であるわけですから、動かないと話にはならない・・・というわけですね。

 

 

では、100歳を超えるような健康長寿(センテナリアン)の方々はどうなっているのでしょうか。

彼らのチーム構成が「若い頃に戻っている」のではないか?・・・と想像したりもするわけです。

つまり、一般の人よりもCD56brightNK細胞(=司令塔、ヘルプ役)が、多いのではないか?・・・ろ考えたわけです。

 

その答えは、そういった単純な"若返り"の証拠は限定的なのだそうです。

ここが最も重要な点ですが、彼らの特徴は「割合」という"量"よりも、細胞一つひとつの「機能」という"質"が若いことにあります [2]。

たとえチーム構成がベテラン兵士であるCD56dim (ディム) NK細胞になっていても、その兵士一人ひとりが持つ「攻撃力」や「仲間と連携する力」がしっかり保たれているのだそうです。

つまり、「健康長寿」の秘訣は、サブセットの「数」のバランスが若いことよりも、その「機能の質」を高く維持している点にある可能性が、最新の研究で示唆されているのですね、

 

健康長寿(センテナリアン)の方は別として・・・「NK細胞」の活性が加齢とともに低下するのは、、皆が、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞になり司令塔やサポートは必要ないと、己の身ひとつで戦いの出かけて・・・やがては、疲れてしまい

腰掛けながら、剣を振り回している「疲れ気味のベテラン」である

CD57陽性NK細胞が多くなっていくからなのですね。

 

それなら、これらの「NK細胞」を取り出し、ある環境下で培養したら、どうなるの?・・・という疑問が湧いてくるのですが、この話題は、またの機会の話題にしたいと思います

 

今回も、最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1) Cells. 2022 Mar 17;11(6):1017.

Aging of the Immune System: Focus on Natural Killer Cells Phenotype and Functions

Ashiey Brauningら

 

2)Aging(Albany NY). 2025 Mar 26;17(3):798-821.

Decreased surface receptors, function, and suboptimal osteoclasts-induced cell expansion in natural killer (NK) cells of elderly subjects

Kawaijit Kaurら

 

3)Aging Res Rev. 2013 Sep;12(4):1069-78.

The impact of ageing on natural killer cell function and potential consequences for health in older adults

Jon Hazeldineら

 

4)Front Immunol. 2025 Apr 4:16:1565278.

Senescence, NK cells, and cancer: navigating the crossroads of aging and disease

Marina Gergessら

 

5)Anal Cell Pathol.. 2018 Aug 2:2018:7871814.

Effect of Aging on NK Cell Population and Their Proliferation at Ex Vivo Culture Condition 

Sellamuthu Subabanna Gounderら

 

6)Hum Immunology. 2010 Jul;71(7):676-81.

Variation of human natural killer cell phenotypes with age: identification of a unique KLRG1-negative subset

Richard P G Hayhoeら

 

7)Immuno Ageing. 2006 Nov 29:3:10. doi: 10.1186/1742-4933-3-10.

Ageing is associated with a decline in peripheral blood CD56bright NK cells

Shivani Chidrawarら

 

8)J innate Immun. 2011;3(4):337-43. 

Immunosenescence of human natural killer cells 

 Immaculada Gayosoら

 

 

 

 

 (雨の夜のBarの風景 ;レヴィータ&ザ・バー イルミード
/ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町)
 (筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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<秋に聞いてみたいJazz リスト> 

曲を更新しました

 

<今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯Zoomを用いた遠隔医療相談を始めました(内科関連疾患)

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

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<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

10月最後の休日の午後になっています。

相変わらずの雨模様なのですが・・・明日からは寒くなりまして

「木枯らし(こがらし)」が吹く地方もあるとか。

 

「木枯らし」に相当するものは、海外では、どのように呼ばれるか?を以前に調べたことがあるのですが、

日本が特別なのは、風の名前の数が他の国と比較して、格段に多いそうで、日本語には風を表す言葉が2000以上あり、季節や場所、吹き方によって異なる名前があるそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

                                       (AIで画像を作成)

 

今回は「白髪(しらが)」のお話をしてみたいと思います。

 

「白髪(しらが)」とは、「白髪(しらが)」とは、色素が失われて、白くなった髪の毛を指し(さし)ますね。

 

もっと、医学的にお話をするとすれば・・・

 

「白髪(しらが)」とは、髪に色をつける「メラニン色素」がほとんど入らないまま生えてきた状態を指します。

黒髪が後から脱色されたわけではないわけですね。

髪の色は、毛根にある「色素細胞(毛包メラノサイト」)が作る「メラニン」で決まります。白髪は、このメラニンが作られない、あるいは髪に取り込まれなかった結果、光が乱反射して白く見えるようになるとされています。

 

つまり、「白髪(しらが)」は、毛が作られる段階で「メラニン」が

入らなかった「色素欠落毛(しきそけつらくもう」であるということになります。

これは主に「加齢」による生理現象ですが、発生時期や進行速度は個人差が大きく、遺伝的要因が強く影響します(参考1)

 

例えば、家族歴がある場合、白髪の発症や進行が早まる傾向があり、双子研究では白髪の進行速度の約90%が遺伝的要因で説明できるとされています(参考2)

 

 

 (AIで画像を作成)

 

もちろん、「遺伝的」な要因だけが「白髪(しらが)」の原因というわけではありません。

 

以下の要因も「白髪(しらが)」の発症要因になると考えられています。そして、「白髪(しらが)」の原因は一つではありません。

1.加齢(老化)

 

 最も基本的な原因です。毛包には色素細胞の"予備軍"である白髪の原因は一つではありません。

1.加齢(老化)

 

加齢により毛包内の「メラノサイト幹細胞(MSC)」が徐々に枯渇・機能低下し、色素供給が絶たれることで白髪が生じます(参考3)


 

「メラノサイト幹細胞(MSC)」の減少や機能低下の理由には、DNAダメージの蓄積や酸化ストレスなどがあります 。

 

一般的な話として、「幹細胞」は、加齢とともにDNA損傷が蓄積し、修復能力の低下や細胞老化、機能喪失につながることが報告されています。これは「メラノサイト幹細胞」にも当てはまりるということになりますね(参考4)。


 

2.酸化ストレス

 

「メラニン」を作る過程で生じる「活性酸素」を中和する力(抗酸化力)が低下すると、「幹細胞が傷つきます。「白髪(しらが)」の毛包では過酸化水素(H2​O2​)が多く、「抗酸化酵素(カタラーゼ)」が少ないことが報告されています(参考5)。

 

 

「抗酸化酵素(カタラーゼ)」の活性低下により、過酸化水素(H2​O2​)に分解されず蓄積し、メラニン合成酵素(チロシナーゼなど)の機能障害や「メラノサイト」の損傷が進み、結果として「白髪(しらが)」が促進されると考えられてい流のですね(参考2)。

 

3.精神的ストレス

 

マウスを用いた研究で、「急性ストレス」が交感神経を活性化し、毛包の「メラノサイト幹細胞(MSC)」ニッチにノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を大量放出させることが示されています。

 

この刺激により、通常は休止状態にある「メラノサイト幹細胞(MSC)」が、急速に増殖・分化・移動し、結果として幹細胞がニッチから永久的に枯渇し、白髪化が不可逆的に進行することが分かっています(参考6)。

 

このようなメカニズムは、ヒト毛包のモデルでも、ノルアドレナリン投与により「メラノサイト幹細胞(MSC)」の異常分化と枯渇が観察され、マウスと同様のメカニズムが示唆されています(参考7)。

 

4.栄養・全身状態

 

タンパク質・カロリー不足やビタミンB12、鉄、銅などのミネラル欠乏は、毛包の構造異常や色素細胞の機能低下を引き起こし、「白髪(しらが)」のリスクを高めることが報告されています(参考8)

 

他にも「サイトカイン」などの異常によっても「白髪(しらが)」が進行するなどの報告もあるのですが、続きは・・・

の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>10月28日

 

冷え込みは、一時的なものかななどと思っておりましたが、どうやら

このまま、冬の季節に入っていく気配(けはい)を感じます。

先ほどは、自宅の前を「焼き芋」を売る軽トラックが過ぎて行きまして、少し時期が早くはないか・・・とカレンダーを確かめました。

 

さて、今回は「白髪(しらが)」の話をさせていただいたわけですが、内科医がどんな理由で、そんな話をするのか・・・と不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

「白髪」は「「メラノサイト幹細胞(MSC)」の機能障害で起こるわけですが・・・実は、髪の毛ばかりでなく、 体内の多くの幹細胞(例:間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞など)は、無限に分裂できるわけではなく、一定回数の分裂後に「複製老化(senescence)」に至ります。これは主に「テロメア短縮」や「DNA損傷」の蓄積によるものとされています(参考9)

 

例えば、「間葉系幹細胞(MSC)」は約30~40回の分裂で増殖が停止し、老化細胞となると考えられているわけです。

 

「間葉系幹細胞(MSC: Mesenchymal Stem Cell)」とは、骨、軟骨、筋肉、神経、そして、血管内皮細胞などの多様な組織に分化できる

成体幹細胞の一種ということになります。

 

 

そして、これらの「幹細胞」の老化は、ミトコンドリア機能障害、酸化ストレス、慢性炎症、エピジェネティック変化など多因子で進行し、分裂限界を超えた細胞は不可逆的な機能不全状態(老化細胞)となると考えられているのですね。

 

つまり、「間葉系幹細胞(MSC)」を含めた「幹細胞」も他の体細胞と同様に、分裂回数に限界(ヘイフリック限界)があり、これを超えると「老化細胞(senescent cell)」となり、増殖能を失うというので鵜から、驚きます(参考10)

 

そして、「幹細胞」の分裂が、途中で止まってしまったりなど、その寿命を縮めて(ちぢめて)しまうのは、本文内でもご紹介をした「

抗酸化力」やタンパク質・カロリー不足やビタミンB12、鉄、銅などのミネラル欠乏、そして、「炎症性のサイトカイン」ということになります。

 

ここまでくると、「メラノサイト幹細胞(MSC)」と通常の「幹細胞」

がまったく同じではないものの、非常に性質が似ているのではないか

と思えてきます。

 

少し話は脱線するかもしれませんが・・・「白髪」になることは、「癌」になることを予防したわけなので、とても良いことなのだ・・・という意見があるのですが・・・さらにこの話が発展して、

無理に「白髪」にならないようにすると・・・癌になるリスクが高くなるのではないか?・・・という話を聞いたことがありました。


私には、しっくりと理解できないこともありまして、少しの間、調べておりました。

 

実は「白髪(加齢による毛髪の色素消失)」「とメラノーマ(悪性黒色腫)」などの癌発生リスクには、直接的な因果関係は証明されていません。

 

しかしながら、毛髪の色素細胞(メラノサイト)やその遺伝的制御が、「発癌リスク」に影響する可能性が示唆(しさ)されているそうです。

 

話を今回のテーマの「白髪(しらが)」に戻しますと・・・「メラノサイト幹細胞」の減少や機能不全が「白髪」の主な原因であるわけですが・・・この「メラノサイト幹細胞」は、毛包(もうほう)の

「バルジ領域」に存在し、毛髪の色素細胞(メラノサイト)を供給する役割を担っています。

 

しかしながら、この「メラノサイト幹細胞」も先にあげた通常の

「幹細胞」と同様に枯渇・機能不全が生じます。

 

繰り返しになりますが、「加齢」や「ストレス」、「遺伝的要因」、活性酸素などによる「酸化ストレス」、「DNA損傷」などにより、

「メラノサイト幹細胞」が枯渇したり、未熟な状態(分裂可能な状態)を維持できなくなりますと、色素細胞の供給が途絶え、「白髪」が生じていくということが分かっています(参考11)

 

これ以外の原因として、「異所性分化」というものがあります。

このメカニズムは、以下のようなものになります。

 

本来は未分化状態で維持されるべき「メラノサイト幹細胞」が、毛包内で異常に分化(異所性分化)し、「幹細胞プール」が減少することgが、白髪の原因となることも分かっています (参考12)。

 

さらに・・・

「メラノサイト幹細胞「の機能不全による白髪発生には、複数の遺伝子が関与していることが報告されています。

 

どのような遺伝子かというと、次のようなものです。

 

主な関連遺伝子とその役割

 

| 遺伝子名 | 主な機能・役割 | 白髪発生との関連性 |

 

【1】 MITF 遺伝子| メラノサイト分化・生存のマスター転写因子 | 機能低下で幹細胞の維持障害・白髪促進 |

 

【2】MITF遺伝子 | メラノサイト分化・生存のマスター転写因子 |

 

【3】SOX10 遺伝子| メラノサイト系譜の維持・分化制御 | 過剰発現や欠損で幹細胞枯渇・白髪 |

 

 【4】BCL2 遺伝子| 幹細胞のアポトーシス抑制 | 欠損で幹細胞の早期消失・白髪 | 

 

【5】BMI1 遺伝子| 幹細胞の自己複製・酸化ストレス抑制 | 欠損で幹細胞減少・白髪 | 

 

【6】 Dicer遺伝子 | miRNA産生酵素、細胞移動・分化制御 | 欠損で幹細胞枯渇・白髪 | (参考14)

 

【7】ATM 遺伝子| DNA損傷応答のキナーゼ | 欠損で幹細胞の異常分化・白髪 | 

 

【8】 KITL/HGF/ET3 遺伝子| メラノサイト成長・分化促進因子 | 発現低下で幹細胞維持障害・白髪 | 

 

【9】 EDNRB遺伝子 | エンドセリン受容体、幹細胞維持に必須 | 発現低下で幹細胞減少・白髪 | 

 

【10】 IRF4, MC1R遺伝子等 | メラノサイト機能や色素合成に関与する他の遺伝子 | 多様な遺伝的背景で白髪リスクに影響 | 

 

上記のように、白髪の発生には、メラノサイト幹細胞の維持・分化・生存に関与する複数の遺伝子(MITF, SOX10, BCL2, BMI1, Dicer, SASH1, ATM, KITL, EDNRBなど)が重要な役割を果たしています。

 

これらの遺伝子の機能不全や発現異常が、幹細胞の枯渇や異常分化を引き起こし、「白髪」の発生に直結します。

 

また、最近、ロート製薬は、日本人2,186人を対象とした大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS解析)を実施し、白髪関連遺伝子として「Plexin-A1(PLXNA1)」を世界で初めて特定したことを報告しています。

このような異常に対抗できる手段として、報告されているものが、次のようなものになります、

 

メラノサイト機能不全に対する「間葉系幹細胞エクソソーム」、「NMN/NAD+」投与の有効性も報告されています。

 

「間葉系幹細胞エクソソーム」、の効果としては

酸化ストレス(H2O2)によるメラノサイトのアポトーシスや老化を抑制し、増殖とメラニン産生を促進することが報告されています。特に白斑(ビチリゴ)などの治療戦略として有望とされています (参考15)。

 

 

上記のように「白髪」に関与する遺伝子は明らかになっていますので、これらの遺伝子に作用する方法があれば、

「メラノサイト幹細胞」の機能不全による白髪発生を抑制できる可能性があるかもしれません。

 

一方、通常の「幹細胞」では、テロメアに関与する遺伝子ぐらいしか、分かっていませんにで、自分の脂肪組織から取り出した「間葉系幹細胞」を培養し、移植するのが有効であるとされることも

納得できることですね。

 

今回も最後まで、お付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Ageing Res Rev. 2023 Aug:89:101977. 

Genetics of hair graying with age 

Sifan Wangら

 

2)J Med Sci. 2019 Nov 14;7(22):3762-3764. 

Risk Factors Associated with Premature Hair Greying of Young Adult

Dwi Rita Anggrainiら

 

3)Biol Rev Camb Philos Soc. 2021 Feb;96(1):107-128.

The biology of human hair greying 

James D B  O' Sullivianら

 

4)Front Cell Dev Biol. 2021 Oct 8:9:729136. 

DNA Damage-Induced Inflammatory Microenvironment and Adult Stem Cell Response 

Davide Cinatら

 

5)PLos One. 2014 Apr 2;9(4):e93589. 

Premature graying as a consequence of compromised antioxidant activity in hair bulb melanocytes and their precursors   

Ying Shiら

 

6) Nature. 2020 Jan;577(7792):676-681. Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells

Bing Zhangら

 

7)Exp Dermatol. 2021 Apr;30(4):578-587. 

Stress-associated ectopic differentiation of melanocyte stem cells and ORS amelanotic melanocytes in an ex vivo human hair follicle model

Inbal Rachminら

 

8)Indian Dermatol. 2017 May-Jun;62(3):304-308. 

Demographic Characteristics and Association of Serum Vitamin B12, Ferritin and Thyroid Function with Premature Canities in Indian Patients from an Urban Skin Clinic of North India: A Retrospective Analysis of 71 Cases  

Sidharth Sonthaliaら

 

9)Front Cell Dev Biol. 2020 May 5:8:258. 

Senescence in Mesenchymal Stem Cells: Functional Alterations, Molecular Mechanisms, and Rejuvenation Strategies 

Jing Liuら

 

10)Antioxidants(Basel). 2025 Apr 8;14(4):446. 

Replicative Senescence in Mesenchymal Stem Cells: An In Vitro Study on Mitochondrial Dynamics and Metabolic Alterations

Beatrice Casoratiら

 

11)J Cosmet Dermatol. 2023 Jun;22(6):1720-1723.

Melanocyte stem cells and hair graying

Xiaojiao Zhangら

 

12)Clin Transl Med. 2024 May;14(5):e1720.

Melanocyte stem cells in the skin: Origin, biological characteristics, homeostatic maintenance and therapeutic potential

Luling huangら

 

13) Science. 2005 Feb 4;307(5710):720-4

Mechanisms of hair graying: incomplete melanocyte stem cell maintenance in the niche

. Emi K Nishimura

 

14)J Invest Dermatol. 2024 Mar;144(3):601-611.  

Loss of Dicer in Newborn Melanocytes Leads to Premature Hair Graying and Changes in Integrin Expression

Juliette U Bertrandら

 

15)Clin Cosmet Investig Dermatol. 2024 Mar 18:17:683-695. 
Human Mesenchymal Stem Cell-Derived Exosomes Promote the Proliferation and Melanogenesis of Primary Melanocytes by Attenuating the H2O2-Related Cytotoxicity in vitro
Yexiao Wangら

 

            (雨のあとの東京タワー)

            (筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

秋の貴重(きちょう)な休日の時間なのですが、先ほどまでは雨が降っておりました。

しばらくして、雨は止んで(やんで)おり、窓を置けると、これまでとは違うヒンヤリとした風が入ってくるのに気がつきました・

 

誰の言ったかは忘れましたが・・・

「秋の雨は静かに降って、静かにあがる」という言葉を思い出しました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 (AIで画像を作成)

 

前回は「動脈硬化」のリスク因子として、「LDL-C」ばかりでなく、「中性脂肪(TG)」「リポプロテイン・エー Lip(a)」な「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」などがあることなどをお話しさせていただきました。

 

さっそく、JTKクリニックでは、これらの値が測定できるようにいたしました。

 

「動脈硬化」の進行は、「血管老化」も進展(しんてん)させてしまうわけです。

加齢に伴う「動脈硬化」は、全身の血管に影響を及ぼしますが、皮膚の健康を支える「微小循環系(びしょうじゅんかんけい)」も例外ではありません。

 

皮膚の「微小循環系」とは、表皮直下にある「真皮上層」に毛細血管のループ(乳頭下血管叢)が存在しているのですが、主に真皮深層により太い血管網である「網状層(もうじょうそう)」を指します。

 

「動脈硬化」が皮膚の「微小循環系」に生じますと・・・真皮層に存在する「線維芽細胞」に悪影響を与えることが知られています。

 

 

その理由は、まさに「微小循環系」が張り巡らされている場所に「線維芽細胞」が存在するからということになります。

 

           (AIで画像を作成)

 

この皮膚の「微小循環系」は、加齢とともに著しく低下します。ある研究によれば、皮膚血流量は20歳から70歳の間に40%減少し、70歳時の血流量は20歳時のわずか40%にまで低下することが報告されています(参考1)。

 

「線維芽細胞」は、周囲にある毛細血管から拡散(かくさん)によって酸素、グルコース、アミノ酸、ビタミンなどの栄養素を受け取りますし、老廃物や二酸化炭素は逆に毛細血管へ排出されます。

 

さらに線維芽細胞は以下の物質を産生するため、十分な栄養供給が必要です:

  • コラーゲン(肌の弾力性)
  • エラスチン(肌の弾性)
  • ヒアルロン酸(保湿)
  • その他の細胞外マトリックス成分

                        

         (図はお借りしました)

「動脈硬化」の進行により、「微小循環系」の血流が低下すると「線維芽細胞」の機能も低下し:コラーゲン産生量の減少

  • 肌の老化促進
  • 創傷治癒の遅延
  • 肌のハリや弾力の低下

などを起こすというわけです。

 

つまり、加齢により「線維芽細胞」の機能が低下することの原因の

ひとつには、「動脈硬化」の進行により、皮膚の「微小循環系」の血流が低下していくこともあるのですね。

 

そして、この「線維芽細胞」の機能低下が、シワやたるみの原因になるというわけです。

 

さらに・・・皮膚の「微小循環障害」や他の動脈硬化の進行に伴い、IL-6の発現や血中濃度が上昇し、全身性炎症や血管障害に引き起こす可能性も報告されています。

 

ではなく、「動脈硬化」の進行による「血管内皮細胞」の機能不全は、「一酸化窒素(NO)」の産生低下を招き、血管の拡張能を損なうだけでなく、酸化ストレスを増大させます(参考2)。

 

 

また、多くの研究で、加齢に伴い全身性の慢性微弱炎症(low-grade systemic inflammation)が進行し、血中のIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインが上昇することが示されています(参考3)

 

 

それと同様に皮膚の「微小循環」の動脈硬化とIL-6など炎症性サイトカインの関係は強く示唆されています。

 

このような「血管老化 → 皮膚老化」という連鎖を断ち切れる新たな治療として、「間葉系幹細胞」が分泌する「細胞外小胞エクソソーム」が注目されているのですが、どのようなメカニズムが働くのか?

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<10月21日>プログ後記


 夜になると、冷え込む・・・というと大袈裟(おおげさ)に思われるかもしれませんが、なんとも身体(からだ)がついていかないなあ〜などと思ったりもします。

 

今回は、皮膚真皮層にある「線維芽細胞」を栄養する「微小循環」でさえも「動脈硬化」の影響を受けるというお話をさせていただきました。

 

日本国内の医学的な論評(ろんぴょう)などを見ますと・・・たまに

「エクソソーム」という不確かな物質などとされているようですが、

海外の論文を見ますと・・・「エクソソーム」をどのように臨床応用していくか?  ・・・と論じる(ろんじる)文献が多く見うけられます。

ただし、海外の論文の多くが、エクソソームの表面にある「CD63」という分子を標識に用いて、「フローサイトメトリー」という手法を用いて、「エクソソーム」を分離しています。それと比較しますと

日本国内の中で、同様の基準を満たすものは、どれだけあるのか? ・・・とも思います。

 

先に「線維芽細胞」を栄養する「微小循環」でさえも「動脈硬化」の影響を受けるというお話をしたわけですが・・・

 

「動脈硬化」は、「微小循環」に限らず、すべての血管疾患の根幹(こんかん)をなす「慢性炎症性疾患」であり、世界的な主要死因の一つであると言えます(参考4)。

 

これに対して、現在の治療の中心は、「脂質代謝」の改善や「抗炎症療法」であるわけですが、血管壁そのものの恒常性(こうじょうせい)を再生する根本的な治療の方法と言いますと・・・これは、限られていると言わざるえないかもしれません。

 

そのような状況の中で、近年、「間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells: MSCs)」の分泌する「エクソソーム(MSC-exosomes)」に注目が集まっているわけですね。

 

この間葉系幹細胞から放出される「エクソソーム(MSC-exosomes)」は、安定性に優れ(すぐれ)、腫瘍化リスクを伴わないため、「細胞を使わない再生医療(cell-free therapy)」として期待されているわけですね(参考4,5)。

 

ところで、「間葉系幹細胞」由来の「エクソソーム」とは、いったい、どのような物質なのでしょうか?少し、まとめてみたいと思います。

「エクソソーム」は、直径30〜150nmの脂質二重膜小胞を指します。

「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」はmicroRNA(miRNA)やlong non-coding RNA、VEGFやTGF-β1などの成長因子を豊富に含み、血管修復や抗炎症作用を担うことが分かっています。(参考6,7)。

 

特に、「血管内皮細胞」や「線維芽細胞」の機能を活性化させる因子群が多く含まれており、動脈硬化巣で損なわれた細胞間シグナルの再構築を可能にすると考えられているのですね。

 

さらに「動脈硬化」の進行は、どのように進行するかを考えてみると「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の有効である可能性

が見えてきます。

 

「動脈硬化」が、どのように進行するのかを整理すると、次のようになります。

 

「血管内皮細胞」の障害に始まり、「マクロファージ」の浸潤、平滑筋細胞の遊走、線維化、石灰化といった過程をたどる・・・

かなり、ざっくりとした大まかなストーリーですが、このように

「動脈硬化」は進行していくわけですね(参考8)

 

上記のような「動脈硬化」の病変形成には、「酸化ストレス」が中心的に関与し、おなじみの「活性酸素種(ROS)」の過剰産生が、

NF-κB(エヌ・エフ・カッパー ビー)経路というものを活性化し、「炎症性サイトカイン」分泌を促す(うながす)ことが知られているのですね、(9,10)。

 

また、最近の研究では、「間葉系幹細胞由来エクソソーム(MSC-exosome)が「炎症性細胞死「パイロトーシス」」を抑制することが報告されています。

この機序は、NLRP3/Caspase-1/GSDMD経路を抑制し、IL-1βやIL-18の産生を低下させることで、動脈硬化進行を緩和する(参考文献 略)。

 

この作用は、単なる「抗炎症」ではなく、「細胞死様式の制御」という新たな治療概念を示しているとも考えられています

 

では、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、本当に内皮細胞機能の改善と血管新生を促進するのでしょうか?

 

  「血管内皮細胞」は、血管の恒常性(こうじょうせい)維持で、最も重要であると考えられておりまして、その障害が「動脈硬化」の初期段階を引き起こす。「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、血管内皮細胞の増殖・遊走・血管新生を促進し、血管修復を支えることができるというのですね。

 

特に、エクソソーム内の「miR-512-3p」という物質は、酸化ストレス応答を担うNrf2経路を活性化し、「血管内皮細胞」を「活性酸素種(ROS)」から保護することが報告されています(参考11)

 

そして、最後に真皮層にある「線維芽細胞」への栄養効果と組織再生作用について、お話をしてみたいと思います。

 

  皮膚に存在する「線維芽細胞」は、コラーゲン産生や組織構造の維持に重要であるわけです。「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、これらの細胞に対し、遊走・増殖促進作用を発揮することが報告されています(参考12)。

 

また、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、「線維芽細胞」を栄養する「微小循環」だけではなく、「線維芽細胞」にも取り込まれ、MMP-9やTGF-β、VEGFAの発現を誘導することで、バランスの取れた組織修復を促ことも報告されています(参考12)

 

いかがでしたでしょうか?

 

「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の秘めた(ひめた)能力が、ご理解いただけたと思います。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1 )Med Sci(Paris) 2020 Dec;36(12):1155-1162. 

Functional integrity of aging skin, from cutaneous biology to anti-aging strategies[Article in French]

Julie Rorteasら

 

2) Circ Res. 2017 Feb 17;120(4):713-735.

Roles of Vascular Oxidative Stress and Nitric Oxide in the Pathogenesis of Atherosclerosis

Ulrich Forsetermannら

 

3) Flont Immunol. 2024 Mar 1:15:1330386. 

Level of IL-6, TNF, and IL-1β and age-related diseases: a systematic review and meta-analysis

Anna Tylutkaら

 

4)Biomed Pharmacother. 2023 Jul:163:114817.

Mesenchymal stem cell-derived exosomes in cardiovascular and cerebrovascular diseases: From mechanisms to therapyYanhang Panら

 

5)Oncotarget. 2017 Jul 11;8(28):45200-45212. 

Mesenchymal stem cells release exosomes that transfer miRNAs to endothelial cells and promote angiogenesis

Min Gongら

 

6)J Transl Med.. 2020 Nov 27;18(1):449. 

Mesenchymal stem cell derived-exosomes: a modern approach in translational medicine

 

7)Oncotarget. 2015 Jan 20;6(2):715-31.

Cancer exosomes trigger mesenchymal stem cell differentiation into pro-angiogenic and pro-invasive myofibroblastsRidwana ChowdhuryらSepidenh Nikfarjamら

 

8)Int J Mol Sci 2022 Jan 17;23(2):1002.

Exosome-Based Treatment for Atherosclerosis

Jeongyeon Heoら

 

9)Stem Cell Res Ther. 2025 Jan 23;16(1):16. 

Mesenchymal stem cells derived exosomes: a new era in cardiac regeneration

Hossein Rayat Pishehら  

 

10)Mol Cell Biochem. 2021 Apr;476(4):1691-1704. 

MSC exosome-mediated cardioprotection in ischemic mouse heart comparative proteomics of infarct and peri-infarct areas

Rajshekhar A Koreら

 

11)Int J Mol Sci. 2022 Jan 17;23(2):1002.

Exosome-Based Treatment for Atherosclerosis

eongyeon heoら

 

12)Front Bioeng Biotechnal. 2020 Mar 3:8:146.

Extracellular Vesicles Derived From Mesenchymal Stem Cells (MSC) in Regenerative Medicine: Applications in Skin Wound Healing

Antonio Casado-Diazら

 

                       (六本木ヒルズからの東京タワー)

         (筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

10月も半ば近くになり、3連休の中日(なかび)となっていますね。

夏は過ぎて、「秋本番」というところですが、昨日、そして、スッキリとしないお天気になっています。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

        (AIで画像を作成)

 

今回の話題は「動脈硬化(どうみゃくこうか)」にしてみたいと思います。

 

「動脈硬化(どうみゃくこうか)」というと「LDL-C」を思い浮かべる方が多いですよね。いわゆる「悪玉コレステロール」と呼ばれるものになります。


基準値は、日本人間ドック学会では、60〜119𝑚𝑔/𝑑𝐿としていますが、動脈硬化学会は、140mg/d l以上を「脂質異常症」の診断基準としています。

 

もちろん、頸動脈や心臓の冠動脈などにプラークや狭窄(きょうさく)があれば、LDL-C値を70~80mg/day程度まで下げることが推奨(すいしょう)されていますので、そのために食事療法の指導や

スタチン系薬剤など、その効果が強めの薬剤の内服を勧められることもあります。

 

それで・・・「LDL-C」を下げることができれば・・・やっと一息つくことができて、これで「安心」だと思う方は多いと思います。

 

では・・・「LDL-C」の値を低下させることができれば、本当に安心なのか?・・・ということになります。

 

 (AIで画像を作成)

 

実は、その答えは「No (ノー)」ということになります。

 

たしかに、「LDL-C」を下げるのは動脈硬化を防ぐうえでとても大事なわけです。

しかしながら、それだけでは十分ではないことも、最近の研究でわかってきているのですね。

 

そこで、最新の研究から見えてきた「LDL-C対策のその先」について、お話をしてみたいと思います。

 

先にお話をしたように「LDL以外のコレステロールの粒子」も心臓や血管の病気に関わっていることが知られています。

このなかで、特に注目されているのが「レムナント」という粒子ということになります(参考1)。

 

「レムナントコレステロール」とも呼ばれる、この粒子は、血液中の脂肪分が分解された後の「残りかす」のような代謝産物を指すのですが・・・


主に以下のリポ蛋白の残存物(remnant)に含まれるコレステロールであることが分かっています。

詳しく見てみますと・・・

  • VLDLレムナント(超低比重リポ蛋白の残存物)
  • IDL(中間比重リポ蛋白 - intermediate-density lipoprotein)
  • カイロミクロンレムナント(食事由来の脂質を運搬したカイロミクロンの残存物)
などがあることが知られています。

ちょっと、難しいのですが・・・これらは「リポ蛋白リパーゼ」という酵素で分解されるのですが、

その残った代謝産物の「レムナントリポ蛋白」が動脈硬化の原因と考えられる・・・という研究結果が発表されています。

 

この「レムナントリポ蛋白」は、高いコレステロール含有量や特異なアポリポ蛋白組成により、動脈壁に蓄積(ちくせき)しやすく、マクロファージによる泡沫細胞(ほうまつ)細胞形成を強力に誘導(ゆうどう)して、「動脈効果」を促進(そくしん)することが示されているのですね(参考1,2)

 

また、「レムナントリポ蛋白」は、LDL-Cと同等かそれ以上に「動脈硬化」を促進(そくしん)する作用が大きいとされており、

特に糖尿病や高トリグリセリド血症患者でそのリスクが顕著(けんちょ)であるとも報告されています

(参考3)。

 

では、「レムナントリポ蛋白」の量をどのように測定すればよいのか?

そして、どのように治療していけば、よいのか?

というお話は、次回の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>10月14日

 

ずいぶんと夜は、気温が下がるようになりましたね。

今回は「動脈硬化」を進行、そして増悪させる「レムナント粒子」についてお話をさせていただきました。

JTKクリニックでは、さまざまな「抗老化医療(アンチエイジング医療)」を実践(じっせん)しているのですが、その中でも「血管」の年齢を若く保つということに力を入れています。


ヒトひとりが、身体(からだ)の中に持つ「血管」のトータルの長さは、地球を約2周半するぐらいの長さを持っています。
 

この血管が、各種の臓器、皮膚のコラーゲン、エラスチンを作り出す「線維芽細胞」など、まだ、脳などにも「動脈硬化」が進展しやすい環境を放置(ほうち)したままでは、マズイんじゃないか?・・・という考えるからです。

それでは・・・「動脈硬化」をどのように抑制し、進行しないようにしていくのか?・・・ということになりますね。

もちろん、「動脈硬化」の進展予防や増悪させないためには、「 LDLーC(悪玉コレステロール)」の値を低下させることは、とても重要であることは、よく知られています。

例えば、心筋梗塞後や狭心症があり、心臓の冠動脈病変が存在したり、狭窄病変が存在する場合には、「 LDLーC(悪玉コレステロール)」を正常値上限の半分程度まで低下させることが推奨(すいしょう)されています。


例えば、「 LDLーC(悪玉コレステロール)」のあたいは、〜139ng/dLまでが正常範囲ですので、その値を70~80mg/dLまで低下させてくださいね・・・と担当の医師から、アドバイスをされるはずです。


「食事療法」は、もちろん行う必要があるわけですが・・・それでも難しい場合には、「スタチン系薬剤」を内服しましょうね・・・と主治医から、方針が示されることになります。


もちろん、「スタチン系」という薬剤は、「 LDLーC」を強力に低下させることができるのですが、

こうした薬剤でも「リポプロテイン(a):Lip(a)」という特殊なリポ蛋白粒子を低下させることは、

不可能なのですね。


ちなみに、この「リポプロテイン(a):Lip(a)」というリポ蛋白粒子は、今回の話題とした「レムナント粒子(TRL)」ではありません。

「レムナント粒子(TRL)」とは、ちょっと難しいのですが・

 

「カイロミクロン」や「VLDL(超低比重リポ蛋白)」が
「リポ蛋白リパーゼ(LPL)」という酵素により部分的に脂質分解を受けた後の「残存粒子(remnant = 残り物)」を指します。

データを例に示しますと・・・スタチン系薬剤などで「 LDLーC(悪玉コレステロール)」の値まで下がっても、

non-HDL-Cや中性脂肪(TG)がまだ高めという人がいます。

 

このパターンは割と多いのですが、このような時には「レムナント粒子」が血液中に残っている可能性が極めて(きわめて:高いと考えられています。

例えば、たとえば「中性脂肪(TG)」が、150〜499 mg/dLの範囲の高値が続く方は、

食後に増える「レムナント粒子」の影響も受けやすく、「高LDL-C」の治療なとの対策に加えて、

さらに上乗せをする形で、「レムナント粒子」に対する対策が必要か?・・・を主治医と相談してみる必要があると論文内では述べられています(参考1,4)。

このような動脈硬化に関係がある。「レムナント粒子」は、「動脈硬化の残余(ざんよ)リスク」とも呼ばれています。


では、「レムナント粒子」は、どのように評価をすれば良いのでしょうか?

近年になって、リポ蛋白(カイロミクロンや種々のコレステロールの総称)の中で

「カイロミクロン」と「VLDLコレステロール」が「リポ蛋白リパーゼ」という酵素で分解されて・・・残った代謝産物が「レムナントリポ蛋白」であることが報告されています。


ただし、この代謝産物は速やかに(すむやかに)血中から消失するので測定が困難であることが知られています。


その代わりに「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」を測定して評価する方法があります。

血液中の脂質は食後の時間と共に変化するものと変化しにくいものがありますが、こ「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」は、健常者では食後増加は少ないのですが、「虚血性心疾患」の患者さんや「糖尿病」の患者さんでは、食後増加し、なかなか低下しないとされています。
 

基準値は、空腹時で「7.5mg/dL以下」とされています。

 

しかし、「糖尿病」や「冠動脈疾患」の既往がある患者さんでは、5.2mg/dL以上でも「動脈硬化」を進行させる高リスクになりうることが知られています。

 

また、「内臓脂肪型肥満」のある患者群や「メタボリック症候群」のある患者群では、「LDLコレステロール値」が基準内であっても、「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」が高値になっていたという報告もあります。


当院では、動脈硬化リスク因子として、「LDL-C」「TG」「Lip(a)」などを測定していたのですが、今後は「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」値の測定が実施できればと考えています。

アフェレーシス療法(LDL-C吸着療法)は、最近、他の多くの施設でも施行されているわけですが、実際の臨床研究では、上に示した「RLP-C(レムナント様粒子コレステロール)」の値の低下が、

 

アフェレーシス療法(LDL-C吸着療法)の施行直後では、

50-70%低下することが報告されています

(2重膜濾過法では、膜の穴が小さい場合には一部のみ有効)。


もちろん、「アフェレーシス療法(LDL-C吸着療法)」は、

「RLP-C(レムナント様粒子コレステロール)」の値ばかりでなく、「LDL-C」「TG」「Lip(a)」などの値を全て低下させます。


JTKクリニックでは、10月15日から、検査をできる体制を整えましたが、保険診療での検査では、

これらのすべてのデータを一部の項目しか、確認できないのは、とても残念なことです。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Eur Heart J 2021 Dec 14;42(47):4791-4806.

Triglyceride-rich lipoproteins and their remnants: metabolic insights, role in atherosclerotic cardiovascular disease, and emerging therapeutic strategies-a consensus statement from the European Atherosclerosis Society

Henry N Ginsbergら

 

2)Cirr Opin Lipidol. 2020 Jun;31(3):132-139. 

Remnant lipoproteins: are they equal to or more atherogenic than LDL?

Carlos A Aguilar Salinasら

 

3)Clin Res. 2016 Feb 19;118(4):547-63.

Triglyceride-Rich Lipoproteins and Atherosclerotic Cardiovascular Disease: New Insights From Epidemiology, Genetics, and Biology

Borge G Nordestgaardら

 

4)J Am Coll Cardiol 2021 Aug 31;78(9):960-993.
2021 ACC Expert Consensus Decision Pathway on the Management of ASCVD Risk Reduction in Patients With Persistent Hypertriglyceridemia: A Report of the American College of Cardiology Solution Set Oversight Committee
Salim S Viraniら

 

 

      (東京タワーが見える小道の風景)

         (筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

10月に入りまして、最初の休日の午後になっています。

つい先日までの蒸し暑さがなくなり、クーラーなしでも快適に過ごせていたのですが・・・今日は少しだけ蒸し暑かったですね。

 

今朝(けさ)は、これまでに聞いたことがない美しい鳥の声で、目を覚まし(さまし)ました。

なんとも贅沢(ぜいたく)な休日の朝なのだろうと思いました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

           (AIで画像を作成)

 

今回の話題は「変形性関節症(Osteoarthritis)」にしてみたいと思います。

加齢により、膝(ひざ)の痛みや指の第一関節、また、股関節に

痛みが出てくることは、少なくありません。

 

ときに「痛み」が激しいために「関節リウマチ」と診断され、抗リウマチ薬」を最初から処方されることもあるそうです。

 

「関節リウマチ」の診断は、血液検査、画像的な検査などが必須(ひっす)であり、慎重(しんちょう)に行うべきものなので・・・受診当日に「抗リウマチ薬」を処方されたという話を聞きますと、強い違和感(いわかん)を感じます。

 

「変形関節症(OA)」に話を戻しますと・・・2020年時点で世界の変形性関節症患者数は5億9500万人(全人口の7.6%)が「変形関節症(OA)」罹患しているとされています(参考1)

日本では,複数の研究により、国内の変形性膝関節症の患者数は2,530万人(男性860万人、女性1,670万人)という数値が、複数の医学文献で確認されています。

 

かつて、「変形性関節症(OA)」は・・・加齢に伴い、機械的な刺激(

関節の使い過ぎなど)で「関節軟骨」がすり減ってしまうことが原因

であると考えられていました。

 

軟骨の消失により、関節と関節の間である「関節裂隙(かんせつれつげき)」が狭くなってしまうことから、

骨どうしの間に摩擦(まさつ)が生じるなどして、炎症が起きたり、痛みが出る・・・と考えられていたわけですね。

 

           (図はお借りしました)

 

実際に「変形性関節症(OA)」は、以下のX線レントゲン画像のように進行性の疾患であり、最終的には「歩行障害」をきたす可能性もあります。 

以下の写真の図を見ていただくと、右に方が進行し、関節の隙間(すきま)が狭くなっていくのがお分かりいただけると思います。 

 

                                 (図はお借りしました)


先にお話をしたように「変形性関節症(OA)」は、単なる関節の「使い過ぎ」による「軟骨」の摩耗であるとされてきました。

 

しかし、現在では、免疫成分のひとつである「補体系」の活性化、老化細胞の蓄積とSASPの産生、炎症性サイトカインネットワーク、NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)/MARKなどのシグナル伝達異常が相互の絡み(からみ)合う「全関節性の低度慢性炎症」であることが示されています(参考2,3)。

 

 

 (AIで画像を作成)

 

 

これに伴い、「変形性関節症(OA)」の治療は、大きく変化しています。主な変化は、次のようになります(参考4,5)。

 

以前の「変形性関節症(OA)」治療アプローチ(1990年代頃まで)は、以下のような特徴がありました。

  • 対症療法が中心:痛み止め(NSAIDsなど)と安静が主な治療
  • 手術への早期移行:症状が進行すると比較的早い段階で人工関節置換術を検討
  • 限られた選択肢:保存療法の選択肢が少なかった
  • リハビリの軽視:運動療法の重要性があまり認識されていなかった

これに対し、現在では「変形性関節症(OA)」に対するアプローチは、以下のように変化をしています(参考6,7)。


1.保存療法の充実

運動療法・リハビリ
陸上運動、水中運動などは痛み・機能・生活の質(QOL)を改善し、高齢者にも有効とされています。

2.体重管理


体重管理・減量 | BMI>28の場合、減量で症状の改善が得られる可能性が高いとされています。

3.内服治療


NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は痛みのコントロールに有効ですが、長期使用や高齢者では副作用に注意が必要であるとされています。

4.注射療法


ヒアルロン酸注射は安全性が高く、症状改善効果が持続します。ステロイド注射は短期的な痛み緩和に有効ですが、長期使用は推奨されません。


親指や膝の「変形性関節症(OA)」では装具が痛み軽減に役立つことがありますが、機能改善効果は限定的とされています。

これらの変化の中で、最も大きな変化は、最も大きな変化は・・・

 

「症状が出たら手術をする」から

「できるだけ関節を温存し、機能を維持する」

 

という考え方への転換であると考えられています。

 

予防的アプローチと長期的な関節保護が重視されるようになったわけですね。

 

しかしながら・・・これらの「薬物療法(NSAIDs、アセトアミノフェン、コルチコステロイドなど)」は、主に痛みや炎症の緩和が目的であり、進行を止める(とめる)わけではなく、

 

また、リハビリなどの物理療法などでも、関節の構造的な進行(軟骨の破壊や変性)を完全に止めることはできないと考えられています。

 

グルコサミンやコンドロイチン硫酸など一部のサプリメントは進行抑制効果が示唆されていますが、効果は限定的であり、進行を完全に止めるエビデンスはないとされています。

 

では、「変形性関節症(OA)」の進行を抑える有効な治療というものは、現時点では存在しないのか〜と私も考えていたのですが・・・

 

最近、いくつかの論文を読んでいて・・・とても驚きました。

 

実は、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」を関節内腔内に投与することで。「変形性関節症(OA)」が進行することを抑えられる(おさえられる)のではないか・・・という報告が多くなっているのですね。
 

いったい、どのような原理で、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」が「変形性関節症(OA)に対して、有効性を示すというのでしょうか?

 

続きのお話は・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>10月7日

 

今回は、「間葉系幹細胞」由来のエクソソームが「変形関節症」

を改善する、または、進行を抑制する可能性がある・・・というお話

をさせていただきました。

 

間葉系幹細胞(MSC)とは、骨、軟骨、脂肪、神経などの様々な細胞に分化できる体性幹細胞の一種で、骨髄や脂肪組織、へその緒などに自然に備わっています。再生医療分野で注目されているのですね。


「変形性関節症(OA)」が単なる「関節の使い過ぎ」ではないことは、本文内でお伝えしたとおりです。

関節軟骨の変性・摩耗を主体とし、軟骨下骨の硬化、骨棘形成、滑膜炎などを伴う進行性の関節疾患が「変形性関節症(OA)」であるとされていましたが・・・さらに現在の病態には以下の要素が関与することが報告されています。


1)軟骨基質の変性: プロテオグリカンの減少、II型コラーゲンの断裂
 

2)軟骨細胞の機能異常: アポトーシスの亢進、代謝バランスの崩壊
 

3)炎症性サイトカインの産生: IL-1β、TNF-αなどによる軟骨分解酵素(MMPs)の活性化
 

4)軟骨下骨の変化;: 硬化、微小骨折、骨嚢胞形成

などが報告されています。

膝関節、股関節、手指関節:DIP間接(第1関節)、PIP関節(第2関節)などが好発部位ですが、
脊椎(椎間板・椎間関節)なども「変形性関節症(OA)」にも生じることがあり、進行性であると考えられています。

では、「変形性関節症(OA)」に対し、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、どのような効果を示すのでしょうか?

動物実験を含む多くの報告の中で、以下のようなことが報告されています。
 「間葉系幹細胞(MSC)エクソソームを関節内投与すると、軟骨破壊の抑制、炎症の軽減、痛みの緩和、軟骨・骨の再生促進が認められています(参考8,9,10,11)

また、ヒト胚性間葉系幹細胞由来のエクソソームの関節内注射は、骨軟骨の再生と修復を促進することや
コラーゲンII型やアグリカンなど軟骨成分の発現を増加させ、MMP-13やADAMTS5など分解酵素や炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α, IL-6)を抑制することも報告されています。

 

さらに、痛みの軽減や骨リモデリングの正常化、マクロファージの抗炎症型(M2)への誘導なども報告されています(参考12,13,14,)

間葉系幹細胞由来のエクソソームの関節内注射は、「抗炎症」および「抗酸化マーカー」を強化することにより、変形性関節症の症状および進行を効果的に軽減する可能性も報告されています。

 

難点は、ヒトでの大規模な試験というものは、実施されていないところですが、個別の症例報告では有効性が示されていますし、

実際に治療を行なった方では、痛みなどの症状が軽減したという声が多く聞かれます。
 

一部の論文では、iPS細胞由来のエクソソームの方が効果が強いのではないかとする報告もあるのですが・・・まだまだ、論文が少ないのが現状です(参考15)

いかがでしょうか?・・・かなりの「期待」を持ってしまうのは、私だけでしょうか?

 

もちろん、なにがなんでも・・・「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の関節内注射がよいのだと強調するつもりはありませんし、

 

さらに「iPS細胞由来のエクソソーム」が、さらに有効かもしれないというつもりは、ありません。

 

なぜなら、「変形関節症(OA)」の治療方針というものが、ある程度は確立しているからですね。

しかしながら、それらの方法では「進行」を止められないという厳しい(きびしい)現実もあります。

 

近い将来、ヒトでの大規模な試験で良好な治療成績が出て、

「間葉系幹細胞」や「iPS細胞」由来のエクソソームが治療薬となった・・・などという日がやってくるのかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

【参考】

1)Lancet Rheumatol. 2023 Aug 21;5(9):e508-e522.
Global, regional, and national burden of osteoarthritis, 1990-2020 and projections to 2050: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021
GBD 2021 Osteoarthritis Collaborators 

 

2)Bone Res. 2022 Sep 20;10(1):60.

Current understanding of osteoarthritis pathogenesis and relevant new approaches 

 Liping Tongら 

 

3) Int J Mol Sci. 2021  Aug 26; 22(17): 9208. 

Cytokines and Chemokines Involved in Osteoarthritis Pathogenesis 

Vilim Molnarら 

 

4)Signal Transduct Target Ther. 2023 Feb3; 8(1):56.

Osteoarthritis: pathogenetic signaling pathways and therapeutic targets

Qing Yaoら 

 

5) Int J Mol Sci. 2021 Mar 5;22(5):2619.
Recent Updates of Diagnosis, Pathophysiology, and Treatment on Osteoarthritis of the Knee
Sunhee Jangら

 

6) J Clin Med.2020 Apr 18;9(4):1167. 

The Role of Physical Activity as Conservative Treartment for Hip and Knee Osteoritis in Older People: A systematic Review and Meta-Analysis 

Biagio Zampognaら

 

7) World J Orthop.2022 Mar 18; 13(3):212-229. 

Consective treatment of Knee osteoarthritis: A review of the literrature.

Wei Boon Limら

 

8)J Cell Mol Med. 2021 Oct;25(19):9281-9294.
Therapeutic effects of bone marrow mesenchymal stem cells-derived exosomes on osteoarthritis
Yi Jinら


9)Cell Tissue Res. 2020 Jul;381(1):99-114.
 Exosomal miR-9-5p secreted by bone marrow-derived mesenchymal stem cells alleviates osteoarthritis by inhibiting syndecan-1
Zhe Jinら

10)Stem Cell Res Ther. 2017 Mar 9;8(1):64.
Comparison of exosomes secreted by induced pluripotent stem cell-derived mesenchymal stem cells and synovial membrane-derived mesenchymal stem cells for the treatment of osteoarthritis
Yu Zhuら

11)Osteoarthritis Cartilage. 2016 Dec;24(12):2135-2140.
Exosomes derived from human embryonic mesenchymal stem cells promote osteochondral regeneration
S Zhangら

 

12)Stem Cell Res Ther. 2020 Jul 10;11(1):276.
Bone marrow mesenchymal stem cell-derived exosomes protect cartilage damage and relieve knee osteoarthritis pain in a rat model of osteoarthritis
Lei Heら

13)Biotechnol J. 2020 Dec;15(12):e2000082.
Mesenchymal Stem Cell-Derived Exosomes for Effective Cartilage Tissue Repair and Treatment of Osteoarthritis
Young Guk Kimら

14)Discov Med. 2024 Jul;36(186):1420-1429.
The Role of Intra-Articular Delivery of BM-MSCs-Derived Exosomes in Improving Osteoarthritis: Implication of _circYAP1_/ _miRNA-21_/ _TLR7_ Axis
Shimaa Saad El-Dinら

 

15)Stem Cell Res Ther. 2017 Mar 9;8(1):64.
Comparison of exosomes secreted by induced pluripotent stem cell-derived mesenchymal stem cells and synovial membrane-derived mesenchymal stem cells for the treatment of osteoarthritis
Yu Zhurら

 

                 (アマン東京近くにある大手森の風景)

            (筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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