こんにちは、内科医 ひとちゃんです
昨夜が雨の降っておりましたので、雨の休日と思っていました。
そんな予想に反して、青空の広がる休日となりました。
少し蒸し暑い(むしあつい)のには変わりないのですが、窓からは気持ちのよい風が入ってきます。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
(筆者が人工知能 AIで作成)
今回は「幹細胞(かんさいぼう)」についての話題にしてみたいと思います。
「幹細胞」とは、どのようなものであったでしょうか?
幹細胞には、いくつかの特徴的な性質がありましたね。
主な特徴を詳しく見てみたいと思います。
1)自己複製能力
「幹細胞」は自己複製する能力を持っていましたよね。
これは、同じ性質を持つ細胞を無限に生成し続ける能力を意味します。
これにより、幹細胞は長期間にわたって細胞源として存在し続けることができます。
2)分化能力
「幹細胞」は特定の条件下で、異なるタイプの細胞に分化する能力があります。
例えば、「造血幹細胞」は赤血球や白血球など、さまざまな血液細胞に分化することができますし、「神経幹細胞」であれば神経系の細胞のみに分化できることになります。
この性質により、「幹細胞」は組織や器官の修復、再生に不可欠であると言えます。
3)ニッチ依存性
「幹細胞ニッチ(stem cell niche)」と呼ばれ.「幹細胞」が各組織中に局在する場,もしくは微小環境.細胞外シグナルや細胞接着の場,酸素,栄養素等の供給を介して幹細胞の維持,機能制御に深くかかわるとされています。
4)再生能力
「幹細胞」は損傷した組織の修復や、病気の治療に利用される可能性があると考えられています。
例えば、心筋梗塞後の心臓組織の修復や、糖尿病に関連する膵臓のインスリン分泌に関与する「β細胞(ベータさいぼう)の再生に幹細胞が使用されることなどが、研究から明らかにされつつあるのですね。
これらの「幹細胞」の持つ特性が明らかになってきたことより、「幹細胞」は、再生医療の分野で、現在でも非常に重要な役割を担っていると考えられているのですね。
では・・・「幹細胞」は、血管内の投与されると・・・本当の損傷が激しい臓器に到達することができるのでしょうか?
それとも・・・損傷した臓器に到達することなく、無駄になってしまうのでしょうか?
損傷した臓器に到達すれば、すんなりと幹細胞は、その臓器に分化することは可能なのでしょうか?
・・・といろいろな疑問が出てきますが・・・続きは、後日の話題にしたいと思います。
素敵な1週間をお過ごしください
それでは・・・また
<ブログ後記>6月18 日
1日中降り続いた雨も止み(やみ)、窓からは涼しい風が入ってきます。あと、数日で梅雨(つゆ)に入るのだとか。
今回は、「幹細胞」の移植のお話をさせていただきました。
通常の「幹細胞」の移植という言葉は、大袈裟(おおげさ)であるかもしれませんね。
それは、どのようなものになるのか?・・・について、少しお話をしてみたいと思います。
まず、患者さんの脂肪組織から、「幹細胞」を採取します。
脂肪組織から採取された「幹細胞」は、「間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)」となるわけですが、この「間葉系幹細胞」は、損傷した組織の修復に重要な役割を果たすことが知られています。
どのような役割か・・・と言いますと・・・「間葉系幹細胞」は、損傷した組織に移動し、損傷した組織の細胞を置き換えたり、組織の修復を促進する因子を分泌することが知られているのですね。
治療としては・・・脂肪組織から採取された「間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)」は、培養・増殖した後に・・・患者さん自身に点滴投与されるわけです。
では、「幹細胞」は、点滴された後(あと)に・・・本当に損傷の激しい組織に優先的に到達することができるのでしょうか?
これは、多くの方が疑問に思われることかもしれませんね。
実は・・・「幹細胞」は、ほぼ正確に損傷した部位に到達(とうたつ)することができるとされています。
「幹細胞」が点滴投与された際に「損傷した組織」に優先的に到達するメカニズムは「ホーミング」と呼ばれています。
このメカニズムは、次のようなものであるとされています。
組織に損傷がありますと、「炎症」を示すシグナルとして「サイトカイン」や「ケモカイン」という物質が放出されます。
これらの分子は、「幹細胞」の特定の受容体に結合し、「幹細胞」を誘導することが知られています。
そのほかに「血管内皮細胞」は、活性化や幹細胞が血管壁に接着した後、細胞は血管の壁を越えて、組織間質に移動する仕組みなどが存在することも分かっています。
問題は、損傷する部位にたどり着いた後・・・ということになります。
いったい、どのような問題が生じるというのでしょうか?それは、次のようなものになります。
もちろん、「間葉系幹細胞」は、先にも述べたように・・・損傷した組織に移動し、損傷した組織の細胞を置き換えたり、組織の修復を促進する因子を分泌したりします。
しかしながら、この「損傷」の多い組織には「老化細胞」が蓄積していると考えられているのですね。
そして、いつものお話になりますが・・・「損傷」の多い組織の「老化細胞」は、他の組織の「老化細胞」と同様に「炎症性サイトカイン」などの「老化関連分泌表現型(SASP)」を分泌することが知られています。
そして、「SASP」は損傷の多い組織の中でさえも、周囲の細胞を「老細胞」化をしていくというわけです。
実は・・・このように「炎症性サイトカイン」などの「SASP」が多く存在する部位には、「幹細胞」は付着(ふちゃく)できない可能性が高い可能性が指摘されているのですね。
仮に付着できたとしても、その「幹細胞」は、分裂できない可能性が高いと考えられてます。
あたり前のことですが・・・「幹細胞」が「損傷」のある部位に付着できなければ、当然のことですが・・・「幹細胞」の持つ組織修復力を発揮できないということになりますね。
もちろん、「老化細胞」を除去できるワクチンなどが既にあれば問題はないのですが・・・残念ながら、現時点では市場に出ていません。
・・・としますと、どうすればよいか?・・・ということになります。
現時点で、ひとつの考えられる方法は、自分自身の「NK細胞」を用いる方法です。癌の予防治療として施行されるものですね。
以前にもお話をしましたが、「NK細胞」は「老化細胞」を破壊することができます。
「炎症性サイトカイン」などの「SASP」を放出する「老化細胞」がなくなれば、その後に投与した「幹細胞」は何の問題もなく損傷部位に付着し、分裂を開始できることが想像できます。こうした議論は、海外の論文でも散見(さんけん)されます。
もうひとつの方法としては、何らかの方法により、損傷部位に存在する「炎症性サイトカイン」などの「SASP」の量を減少させ、その再増加が起こらないうちに「幹細胞」を付着させ、分裂を開始させてしまうという考え方です。
これは、「炎症性サイトカイン」などの「SASP」をアフェレーシス療法を用いて、除去しようとするもので、いくつかの研究開発が進んでいるのだそうです。
「幹細胞」治療にリスクがないわけではありません。施行する際には、担当医師から充分な説明を受け、メリット・デメリットを確認していく必要がありそうですね。
今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございました
参考)
1.Gerontology.2022 Mar; 68(3): 339–352.
Aging and Mesenchymal Stem Cells: Therapeutic Opportunities and Challenges in the Older Group
Huan Chenら
2.Front Immunol.. 2022 Sep 29:13:940577.
Characterization of age-related immune features after autologous NK cell infusion: Protocol for an open-label and randomized controlled trial
Xiaofeng Tangら
3.Int J Mol Sci.2016 Jul; 17(7): 1164.
Senescence in Human Mesenchymal Stem Cells: Functional Changes and Implications in Stem Cell-Based Therapy
Valentina Turrinettoら
(以前のphoto: 筆者撮影)
=================================
理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
新潟大医学部卒
<JTKクリニック・アンチエイジング治療>
⇧<内科医ひとちゃんが選んだJazzの曲>
<今週、なんとなく聞いてみたい曲>
JTKクリニックからのお知らせ
◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。
◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。
◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)
|
◯ 新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)
<JTKクリニック 所在地> 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階 電話 03-6261-6386 |
==================================