こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

残念ながら、時折り雨のふる休日となってしまいましたね。

郷里に帰省されていらっしゃる方も多いかもしれません。

 

台風7号が来ていますので、やむを得ず日程を変更された方もいらっしゃるのでしょうか?

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

image

 

よく質問を受けることに「尿酸値」のことがあります。

 

検診を受けた結果、「尿酸値」が高いと言われたが、どうしたらよいか?・・・というわけですね。

 

「尿酸値」が高い状態を・・・『高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)』と言います。

 

『高尿酸血症』が長期化すると尿酸が結晶化し、全身の臓器に影響を及ぼします。

 

例えば・・・関節に溜まれば、「痛風発作リスク」を高め,皮下組織や関節などに沈着すれば「痛風結節」というコブのようなものを作ります。

腎臓の中に沈着すると,「痛風腎」を引き起こし腎臓の機能を低下させるとされていますし、「動脈硬化」を引き起こすとさえ言われています。

 

では、『高尿酸血症』と診断されるのは、「尿酸値」がどの程度まで上昇したときなのでしょうか?

「 高尿酸血症診断基準」というものがありまして、そこには次のように記載されています。

血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるものを高尿酸血症と定義する。性・年齢は問わない。

 

つまり、性別にかかわらず、採血データで尿酸値(UA)のデータが「7.0」を上まわりますと『高尿酸血症』と診断される・・・というわけですね。

 

『高尿酸血症』と診断されると、すぐに薬物治療が必要となるのでしょうか?

 

実は、尿酸値のデータが「7.0」より高値であるとしても・・・すぐに

薬剤を内服するというわけでなく、「高尿酸血症の治療開始目標値」という基準が定められています。

 

男女を問わず、血清尿酸値が8mg/dl以上を治療開始基準とし、6.0mg/dl以下を治療中の目標値とする。

 

つまり、尿酸値(UA)が「8.0」以上になった場合にはじめて、薬物療法を行う・・・というわけですね。

では、この「7.0以上で、8.0未満」の尿酸値(UA)を指摘された方は、どうすればよいのでしょうか?

 

もちろん、次のようなことは、『『高尿酸血症』に対する薬剤を内服している場合でも併用することが重要になってきます

 

まずは、食事、運動、体重調節、十分な水分摂取(尿量2L/日以上)が必要だとされています。

水分摂取のところで、具体的には・・・尿量が2L(リットル)/日以上となるような水分摂取を・・・とあるのですが・・・
 
軽度の心不全などの他の疾患があるとリスクを伴ったりするかもしれませんので、かかりつけの医師に相談してもらう方が良いかな・・・と個人的には思ったりします。

その他の対策としては、「食事療法」「体重の減量」や適度な「有酸素運動」などが重要とされますね。

 
では、「食事療法」とは、具体的にどのような内容となるのでしょうか?
 
1つ目は、摂取エネルギーの適正化
2つ目は、プリン体の摂取制限
3つ目は、尿をアルカリ化する食品の摂取
4つ目は、アルコール摂取の制限

 

4つ目のアルコール摂取制限は、具体的には以下のようなものになっています。

 

<1日の飲酒量>
日本酒1合、ビール500ml、ウイスキーダブル1杯
禁酒日:2日/週以上

 

お酒が好きな方には・・・若干、厳しい内容なのでしょうか。

 

2つ目のプリン体の摂取制限・・・とはよく聞く言葉かもしれませんが、どのような食品が「プリン体」を多く含んでいるのでしょうか?

 

以下に「プリン体」を多く含む食材、そして、少ない食材の例をご紹介してみたいと思います。

 

 

(図はお借りしました)

 

<プリン体を多く含む食品>

 

1. 内臓類(レバー、ハツ、脳みそなど)

2. 魚介類(イワシ、サバ、アジ、エビ、カニなど)

3. 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)

4. 豆類(大豆、レンズ豆、インゲン豆など)

5.野菜類(ほうれん草、アスパラガスなど)

6. キノコ類(しいたけ、マッシュルームなど)

7.乾物(干しエビ、干しシイタケなど)

 

<プリン体を多く含む飲料>

 

1. アルコール類(ビール、日本酒、ウイスキーなど)

2. ソフトドリンク(特に砂糖が多いもの)

 

これらの食品や飲み物は、「プリン体」が多いため、高尿酸血症の患者は、なるべく避けるべきとされています。

 

ただし、全てを完全に避ける必要はなく、摂取量をコントロールすることが重要とされているのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

--------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>8月15日

 

8月も半ば(なかば)となっていますね。

そして、15日は『終戦の日」でもありますね。

 

今回は「高尿酸血症」の話題とさせていただきました。意識されている方も多いかもしれません。

 

尿酸値を高くしないためには、「プリン体」を含む食材や飲料を少なくすることが重要である・・・というお話を本文内でもさせていただきましたが・・・

 

「プリン体」とは、どのようなものなのでしょうか?

少しだけ、「プリン体」についてのお話をしておきたいと思います。

 

実は・・・「プリン体」は、細胞の核に存在しています。

 

多くの動物と同様に、ヒトの身体にも存在する為、細胞が新陳代謝するたびに「プリン体」が産生されるわけです。

 

ヒトの体内にある「プリン体」の約20%が食材などから摂取したもので、残りの80%は身体の中で作られた「プリン体」だと考えられるのですね。


細胞の新陳代謝に伴い、古くなった「プリン体」は「尿酸」となって排出されます。

 

過剰な「尿酸」は通常、尿として排出されるのですが・・・

「尿酸」の生成が多かったり、または排出が不足すると

血液中の「尿酸」濃度が上昇するというわけですね。

 

この状態が「高尿酸血症」ということになります。

 

では、「高尿酸血症」が慢性的に続くと・・・発症することが多いとされる「痛風(つうふう)発作」は、なぜ起きるのでしょうか?

 

「痛風発作」を引き起こす理由は以下の段階で説明できます。

 

1)血液中の尿酸が多くなると、「尿酸」が結晶として沈着し始めます。これらの結晶は特に冷えやすい関節や組織で形成されやすくなる。

 

2)尿酸結晶が関節や関節の周りの組織に沈着すると、体はこれを異物と認識します。

 

3)ヒトの免疫システムは、「尿酸結晶」を排除しようとして白血球を送り込みます。これにより「炎症反応」が生じる。

 

3)白血球と「尿酸結晶」との間の相互作用は、関節の腫れ、熱感、赤み、そして強い痛みを引き起こします。

 

これが「痛風発作」として知られる状態になるわけですね。

 

 

「痛風発作」を発症しなかったとしても、他にもリスクがあることも知られています。

 

例えば、「動脈硬化」が生じる可能性も指摘されています。

そのメカニズムとしては、次のようなものがあるというのですね。

 

1) 酸化ストレスの増加

 

尿酸は体内で生成される過程で、活性酸素を生成します。活性酸素は体内の酸化ストレスを増加させ、これが動脈硬化を引き起こす一因となります。

 

2)炎症反応の促進

 

尿酸結晶が関節や組織に沈着すると、体はこれを異物と認識し、炎症反応を引き起こします。この炎症反応が動脈壁にも生じると、動脈硬化を引き起こす可能性があります。

 

3)血管内皮機能の障害

 

尿酸は血管内皮細胞に対して直接的な毒性を示し、血管内皮機能を障害します。これにより血管の拡張・収縮機能が低下し、血流が悪化するとともに、動脈硬化を引き起こす可能性があります。

 

上に示したように「高尿酸血症」があると、「動脈硬化」が生じる可能性があるとする研究結果がいくつか報告されているのですね。

 

 

実際に・・・「高尿酸血症」の患者さんは動脈硬化性疾患のリスクが高いことは、国内外で行われてきた多くの疫学研究から明らかになってきています。

 

例えば、国内で心血管疾患予防のためのエビテンスを得るために実施された観察研究「EPOCH-JAPAN研究」というがあります。

 

では、3万6,313人(心血管疾患やがんの既往のない35~89歳の男性1万5,628人、女性2万685人)を平均で10年間の追跡をした研究があります。

 

この結果は、次のようなものでした。

 

尿酸値と心血管死リスクとの間に統計的に有意な関係が認められたのだそうです。

 

追跡開始時点(ベースライン)の尿酸値が低い下位20%の人たちに比べて、尿酸値の高い上位20%の人たちは、男性では3割弱、女性は5割以上も、心血管疾患による死亡リスクが高かったと報告されています。

 

さらに最近の基礎研究分野においては・・・

 

「高尿酸血症」は、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂肪肝などの疾患を生じる可能性もあるのでは・・・という話題もあります。

 

これらの疾患の病態には、少なくとも部分的には『サーチュイン1』の活性抑制の結果である可能性があるのではないか?・・・と考える研究グループもいます。

 

『サーチュイン1』といえば・・・7つある「長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)」の1つとなりますよね。

 

この「長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)」からのタンパク活性が低下している・・・といえば・・・

 

その原因は・・・

「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)」の低下が原因である可能性があるというのですね。

 

このため、NMNなどの「NAD+の前駆体」の投与による「NAD+レベル」の増加は、高尿酸血症に関連する代謝機能障害の改善や予防のために有効である可能性がある・・・ということが述べられているわけですが・・・

 

この結果については、さらなる研究結果に注目していきたいと思います。

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1) Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol.2022 May 1;322(5): R347–R359.

Sirtuin deficiency and the adverse effects of fructose and uric acid synthesis

Bemardo Rodriguez-iturbeら

 

2) e-ヘルスネット(厚生労働省)より

 

3) J Arteroscler Thromb. 2016 Dec 1;23(12)

Correction:Serum Uric Acid and Mortality Form Cardiovascular Disease:EPOCH-JAPAN Study

Wen Zhangら

 

 

image

 (筆者撮影)

 

    =================================

 JTKクリニックホームページ

 

 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

 

 

 

image

 

Instagram: jazz_1700

         

         <今宵  聞いてみたい曲>

 

 

=====================

JTKクリニックからのお知らせ

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。

 

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

◯ 新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

==================================

 

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

8月の最初の休日となっています。暦の二十四節気では「大暑(たいしょ)」も明日で終わり、明後日からは「立秋(りっしゅう)」となるようです。

 

「大暑(たいしょ)」といえば、一年でもっとも暑さが厳しく感じられる頃と言われるわけですが・・・なるほど、そのとおりかもしれないなどと思いました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

今回は・・・「幹細胞」と「iPS細胞」に関連した話題にしてみたいと思います。

 

最近は・・・この2つの細胞についての質問を受けることが多くなりました。

 

「幹細胞」については、その特徴を以前のブログ内でもご紹介したことがありました。

 

少しだけ復習しますと・・・「幹細胞」は「自己複製能」と「分化能」を持つという特徴を持っていましたよね。

 

「自己複製能」とは「幹細胞」自身がコピーを作ることができるというものでしたし、「分化能」とは、あらゆる組織に変化することができるということになります。

 

(図はお借りしました)

 

自分自身の脂肪組織から「幹細胞」を採取し、それを培養したうえで

また、自分自身に戻すという「幹細胞療法」も可能になってはいます。

脂肪組織から採取された「幹細胞」は・・・正確に言いますと・・・

「間葉系(かんようけい)幹細胞」というものになります。

 

 

「間葉系幹細胞」は・・骨髄や脂肪組織などに存在する「幹細胞」で、骨、軟骨、筋肉、脂肪、骨髄など様々な組織に分化する能力を持っています。また、損傷した組織を修復し、再生させる能力を持っているとされています。

 

さらに「間葉系幹細胞」は、免疫調節作用を持つことが知られており、慢性炎症や自己免疫疾患の治療に用いられる可能性があ流ともされていますし、炎症を抑制し、疼痛を軽減する作用もあるとされています。

 

では、もし自分自身の脂肪から採取した「間葉系幹細胞」を投与しますと・・・どのようなことが生じると考えられるのでしょうか?

 

それは、次のように考えられてきました。

 

「間葉系幹細胞」は、体内の損傷部位に移動し、そこで新しい細胞を生成する能力を持つと考えられています。

 

その理由は、「間葉系幹細胞」は「ホーミング能力」を持つためでああるとされています。

 

この「ホーミング能力」とは、細胞が体内を移動し、特定の部位に集積する能力のことを指しています。

 

「間葉系幹細胞」が、損傷部位に移動すると、そこで新しい細胞を生成し、組織の修復や再生を促進すると考えられています。

 

また。「間葉系幹細胞」は、免疫調節作用を持つため、損傷部位の炎症を抑制し、治癒過程を助ける可能性もある・・・というわけです。

 

もちろん、各種の条件が整った状況下では・・・という条件つきではあったのですが・・・

 

これで・・・「再生医療」の未来は輝いている・・・と皆が思ったわけですが・・・ここで、思わぬ「伏兵(ふくへい)」が存在することがわかってきたのですね。

 

「伏兵」とは・・・辞書を見ますと・・・1)敵の不意を襲うために待ち伏せ(まちぶせ)している軍勢、2)予期しないときに現れ、立ちはだかる人物や障害・・・という2つの意味が書かれています。

 

では、培養により増殖させた「間葉系幹細胞」が、損傷部位への生着(せいちゃく)することを目指した先にいた「伏兵」とは、どのようなものであったのでしょうか?

 

それは、「伏兵」の意味の2)にあたるもので、文字どおり、予期しないときに現れ、立ちはだかる障害ということになるのですが・・・

 

その正体は、皆さまもよくご存知の「老化細胞」なのですね。

 

細胞分裂を停止したのに死なずに組織にたまっていく細胞が『老化細胞』でした。

 

『老化細胞』は蓄積すると・・・「SASP(サスプ:細胞老化随伴分泌現象/Senescence-Associated Secretory Phenotype)」という現象を引き起こすとされていますよね。

 

ある米国の科学ジャーナリストは、分裂をしないが死にもしない奇妙なこの『老化細胞』を「ゾンビ細胞」と表現したそうです。

 

まるで死体が蘇るように、炎症を起こす物質を出して周囲の細胞の「老化」を加速させて仲間を増やし、組織や臓器の機能を低下させるゾンビのような細胞というわけですね。

 

この『老化細胞』が起こしている「SASP(サスプ:細胞老化随伴分泌現象/Senescence-Associated Secretory Phenotype)」が、幹細胞の生着を阻害するというわけです。

 

簡単にいうと・・・『老化細胞』は、炎症性サイトカインや細胞増殖因子などの異常なサイトカインを放出するのですが・・・これらが、幹細胞が障害部位に生着しようとする試みを阻止するのではないか・・・というわけです。

 

例えば、炎症性サイトカインの過剰な放出は、幹細胞の生着を妨げることがあります。炎症応答は、免疫系の一部として細胞の浸潤や活性化を引き起こすため、幹細胞移植後の炎症応答が亢進すると、移植細胞の生着が妨げられる可能性があります。

 

そのため、現時点では・・・「(間葉系)幹細胞」移植を成功させる重要な要素となるのは・・・『老化細胞』の除去や「サイトカインのバランスの調節」を成功させられるか・・・にかかっていると考えられている・・・というわけですね。

 

『老化細胞』の存在は、60年くらい前から知られていたのですが、過度のSASPが慢性炎症を誘発し、がんや動脈硬化など加齢に伴って増える病気を発症させる・・・ということが近年の研究で分かり、注目を集めるようになった経緯があります。

 

そして、このことが・・・「間葉系幹細胞」の移植における生着率を低下させている可能性があるとは・・・まさに『老化細胞』を侮ること(あなどる)ことなかれ・・・ということでしょうか?

 

もちろん、まったくのお手上げという感じではないのかもしれませんが・・・ねウインク

 

iPS細胞についてのお話は、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

--------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>8月8日

 

今回は、アンチエイジング医療で用いられる「間葉系幹細胞」を培養した後に投与される「幹細胞治療」について、お話をさせていただきました。

 

このような「間葉系幹細胞」を体内に投与しますと、一部の研究では、「幹細胞」が損傷部位や炎症のある部位に移動する傾向があることも示されています。

 

これは、損傷や炎症のある部位が、特定の化学物質を放出し、これが幹細胞を引き寄せる「化学誘導」によるものと考えられています。

 

このような過程を阻害するのが「老化細胞」であり、「幹細胞治療」の有効性を低下させる・・・というわけですね。

 

ここで誤解してほしくないのは・・・「老化細胞」とは老人の細胞というわけでなく、細胞の成長や分裂が停止し、正常な機能を果たさなくなった細胞のことを指します。

 

なので・・・若い方の細胞においても分裂を繰り返し、最終的にテロメアが短くなり、これ以上の細胞分裂ができない時点になると・・・

 

その多くは「アポトーシス(プログラムされた細胞死)」という形で壊れてしまいますが、その一部は「老化細胞」として、分裂を停止した状態で、組織内に残りというわけですね。

 

上記のようなメカニズムから考えますと・・・「老化細胞」は高齢者だけに存在するわけではない・・・ということが推測できると思います。

 

話をもとに戻しますと・・・

 

本文内でもご紹介をしたように・・・「老化細胞」は、「セネッセンス細胞」とも言われ、本文内でもご紹介したように『老化細胞』は蓄積すると・・・「SASP(サスプ:細胞老化随伴分泌現象/Senescence-Associated Secretory Phenotype)」という現象を引き起こすとされています。

 

「SASP」で放出されるのは、「炎症性サイトカイン」や「細胞増殖因子」などの「異常なサイトカイン」であることが知られています。

 

例えば・・・炎症サイトカインには、「インターロイキン-6(IL-6)」,「トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)」「,インターロイキン-1β(IL-1β)」,「インターロイキン-8(IL-8)」

「腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)」などであることが知られています。

 

これらのサイトカインは、通常のレベルであれば、細胞間の相互作用やシグナル伝達を調節する役割を果たすことが知られていますが、

過剰な放出や異常なサイトカイン産生は、周囲の正常な細胞を障害するわけです。

 

さらに「幹細胞」の「生着」や「機能」に影響を与えると考えられているわけですね。

 

(この問題を解決するには、どのような方法により解決できるかという話は、あと回しにするとして・・・)

 

それでは・・「iPS細胞」であれば、組織の損傷部位に生着できるのか?・・・という質問をよく受けます。

 

おそらくですが・・・「iPS細胞」でも同様の現象が生じるのではないかと考えられます。

 

もっとも、現段階では「iPS細胞」を投与して、損傷した部位を修復したり、新しい組織を作り出すことは難しいと考えられているようです。

 

その理由は、「iPS細胞」があらゆる細胞に分化する能力を持つため、制御が難しく、不適切な細胞に分化するリスクや奇形腫などが発生するリスクがあるから・・・というのが理由のようです。

 

そのために・・・現時点では、「iPS細胞」を「間葉系幹細胞」のように直接体内に投与する方法は選択されずに

「iPS細胞」を用いて必要な細胞種(例えば心筋細胞や神経細胞など)を実験室で作り出し、それを損傷部位に移植するというアプローチが一般的であるそうです。

 

もし、近い将来に「iPS細胞」が直接体内に投与する時代がくるとしますと・・・「iPS細胞」そのものが、損傷のある組織や炎症の存在する部位に生着し、新しい組織を作り出すということも可能となってきたとしても・・・組織内に残る「老化細胞」をどうするか?という

問題が浮かびあがってくるのだと思います。

 

「老化細胞」を確実に消しさるような効果の安定した技術や治療法がポピュラーなものになれば、別ですが・・・ね。

 

実は・・・「NK(ナチュラル・キラー)細胞」も「老化細胞」を破壊できるとされています。ただし、細胞数が少ないのが問題ですし、なんらかの薬剤を用いて、「NK細胞」を活性化できるようになったとしても、その後、「NK細胞」のパワーが維持されていますと・・・

今度は、投与された「幹細胞」さえも破壊してしまうという矛盾が生じてしまうことになるのですね。

 

「老化細胞」の問題を克服するには、もう少しだけ時間がかかるかもしれませんね。

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

1.PLoS One. 2015;10(11):e0138623.

Natural Killer Cells Improve Hematopoitic Stem Cell Engraftment by Increasing Stem Cell Clonogenicity In Vitro and in a Humanized Mouse Model

Michelle Escobedo-Cousinら など

 

 (以前のphoto:筆者撮影)

 

    =================================

 JTKクリニックホームページ

 

 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

 

 

 

image

 

Instagram: jazz_1700

         

         <今宵  聞いてみたい曲>

 

 

=====================

JTKクリニックからのお知らせ

 

◯ 8月11日〜15日は、休診とさせていただきます。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。

 

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

◯ 新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

==================================

 

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

7月最後の休日の午後は、まさに「灼熱( しゃくねつ)の太陽」という言葉がアタマに浮かんでくるような感じがしました。

 

明日からは、8月となりますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

「健康寿命」を伸ばしていくために「免疫力」を高め、BMI を「22」程度にし、悪玉コレステロール「LDL-G」を低下させ、適度に運動することにより「筋肉の量」を維持する。そして、「癌」の早期発見を心がけていく。

 

もちろん、こうしたことで・・・「健康」に生活できる時間は、かなり、伸びていくことと思います。

 

しかしながら・・・「寿命」を伸ばそうとすることで、目立ってくる疾患も出てくることが予想されます。

 

例えば・・・「老人性痴呆(ちほう)」などは「アルツハイマー病」を含め、その診断や新しい治療も登場したりしていますね。

 

また、高齢化しても「筋肉」を保つなどの健康状態を保つには「タンパク質」を積極的に摂取する必要がある・・・などの栄養学分野からの方針も示されています。

 

個人的には、少しレベルは違うかもしれませんが・・・もうひとつ、解決されないだろうか?・・・と思っていた問題があります。

 

それは、高齢者の膝の関節症である「変形性膝関節症(knee osteoarthritis:膝 OA)」です。

 

膝の痛みにより、歩行に不便を感じている方はどのぐらいいるのかと言いますと・・・次のような統計があります。

 

日本における「変形性膝関節症」の有病者数は約 2,530 万人,その中で関節の痛みなどの症状のある有症状患者数は約 800 万人と推定されているのだそうです。

 

健康寿命 の維持や生活の質(quality of life:QOL)向上 など社会生活にかかわる幅広い観点からも,「変形性膝関節症」の診断・治療の重要性は増しつつあると考えられているようです。

 

「変形性膝関節症」とは、どのような疾患なのでしょうか?

 

簡単に言いますと・・・

 

関節のクッションである軟骨が、加齢や筋肉量の低下などによりすり減って、痛みが生じる病気です。軟骨がすり減った分、膝関節の骨と骨のすき間が狭くなって内側の骨があらわになり、骨のへりにトゲのような突起物(骨棘:こつきょく)ができたり、骨が変形したりすることを示します。

 

関節の軟骨組織の損傷や変性によって引き起こされる慢性的な疾患であるとされています。

 

実は、「変形性関節症(OA)」は最もよくみられる関節疾患であり,40代および50代に症状が出現することが多く,80歳までにはほぼ普遍的にみられるとされるのですね。

 

ただし,必ずしも症状が現れるわけではなく、症状が現れるのは半数に過ぎないともされています。

 

40歳から70歳の年齢層では、女性の患者数が優勢になり,その後は男女に等しく発生するとされています。

 

治療としては、ある程度は確立していると言ってもよいかもしれません。

 

治療法は、非薬物療法(リハビリテーションなど)と薬物療法になります。

 

「リハビリテーション(理学療法)」も次のような有効性が示されています。

 

例えば・・・過体重の患者では、体重の減量によって疼痛が軽減することが多く,変形性膝関節症の進行が遅くなることさえあるとされています。

 

「リハビリテーション」は障害が発生する前に開始するのが最もよい。

 

その目的は、関節可動域を維持し,腱および筋肉が関節を動かす際に応力を吸収する能力を増強することにありまして、

運動によって,変形性股関節症および変形性膝関節症の進行がときに停止することがあり,回復することさえある・・・というのですから、いかに「リハビリテーション」が重要であるかがお分かりいただけるかと思います。

 

薬物療法については、最近、ある薬剤が有効なのではないか?・・・

という報告がありました。

 

これは、ちょっと驚いたのですが・・・現在の薬物療法と併せて、後日の話題にしたいと思います。

 

くれぐれも水分補給などを心がけ、熱中症にならないようにお気をつけくださいね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

---------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>8月1日

 

8月となりましたね。

英語で8月を「August(オーガスト)」というわけですが、この言葉は

ローマ帝国の初代皇帝のオクタウィアヌスの尊称にあたる

「アウグストゥス(Augustus)」の名に由来する言葉なのだとか。

 

今回は「変形性膝関節症」について、お話をさせていただきました。

 

本文内でもご紹介させていただきましたが・・・

 

「変形性膝関節症」は、加齢などが原因で膝関節の軟骨が弾力性を失い、使いすぎによるすり減りや関節の変形が起こる疾患とされています。

 

もちろん、変形性関節症(OA)の手の病変というものもあります。

 

関節リウマチが第2関節(PIP関節)の痛みが多いのに対して、変形性関節症(OA)は、第1関節(DIP関節)の痛みや腫れが多いとされています(もちろん、例外はあります)。

 

下の図の矢印に示したように変形した第1関節(DIP関節)の腫れた部分を「ヘバーデン結節」と呼び、「変形性関節症(OA)」の典型的な所見とされるのですね。

 

         (図は一部をお借りしました)

 

もちろん、関節痛などが生じた場合には、採血検査や画像検査によって、「関節リウマチ」などの自己免疫疾患の可能性をきちんと除外しておく必要があります。

 

「変形性膝関節症」に話を戻しますと・・・最近、新しい知見がいくつか発表されました。

 

それまでは、その詳細な発症のメカニズムは解明されていなかったのですね。

 

1つ目は、名古屋大学の飯島弘貴YLC特任助教らの国際共同研究グループにより、変形性膝関節症は加齢に伴い硬くなった関節軟骨が

長寿タンパク質」を抑制することで発症することが明らかになった。研究には、米国のハーバード大学、ピッツバーグ大学、メイヨ―クリニック、カリフォルニア工科大学、および京都大学が参加しているそうです。

 

研究グループは「α-Klotho(クロトー)」と呼ばれる長寿タンパク質に着目し、加齢によって発現が減少する「α-Klotho(クロトー)」の関節軟骨における機能解析を進めてきた。その結果、加齢に伴い硬くなった軟骨組織が「α-Klotho(クロトー)」を低下させ、変形性膝関節症を誘発することが判明したというのですね。

 

「α-Klotho(クロトー)」とは・・・老化を抑制して寿命を延長する作用のある「抗老化ホルモン」であるとされ、研究が盛んに行われているものになります。

 

2つ目は、変形性膝関節症(膝OA)に対する「ヒアルロン酸関節内注射(関節内補充療法)」は、プラセボと比較して痛みの軽減効果はわずかであり、両者間の臨床的意義のある差はごくわずかであるというエビデンスが示された・・・というのですね。

 

カナダ・St. Michael’s HospitalのTiago V. Pereira氏らが、解析の結果を報告しています。

そして、「関節内補充療法」はプラセボと比較して重篤な有害事象のリスク増加と関連することも示されたとしています。

(BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告)

 

3つ目は、2000年以上前から抗炎症薬として使用されてきた「コルヒチン」が、「変形性膝関節症」の関節変形のスピードを遅くして

膝関節などの人工関節置換術が必要となる状態を遅らせるのに役立つ可能性が示されています。

 

低用量の「コルヒチン」を使用していた高齢者では、プラセボを使用していた高齢者と比べて、その後2年間に膝関節や股関節の人工関節置換術を受けた人の割合が低かったとする研究結果を、シント・マールテン・クリニック(オランダ)のMichelle Heijman氏らが、「Annals of Internal Medicine」に2023年5月30日発表しています。

 

「コルヒチン」は、聞き慣れない薬剤であるかもしれません。

 

痛風発作の緩解と予防に用いられている薬剤となります。

副作用も多いので、慎重に使う必要はありますが・・・低容量であれば、服用を継続するのは不可能ではないかもしれませんね。

 

「変形性関節症」の治療薬は痛みの緩和には有効だが、現状では、痛みの原因となっている関節の破壊を遅らせる薬はない・・・とするのが、これまでの常識でした・・・なので、現状においては「リハビリテーション(理学療法)」が重要とされているわけですが・・・

 

今後、これに加えて、新しい薬剤や治療法が出てくる可能性は高いような気がします。

 

個人的には、老化を抑制して寿命を延長する作用のある「抗老化ホルモン」である「α-Klotho(クロトー)」に関連するものであればよいなあ〜と思っています。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

1.ケアネット内の記事より

2大学ジャーナルONLINE 内記事より

3. HealthDay News 内記事より

 

 (以前のphoto:筆者撮影)

 

    =================================

 JTKクリニックホームページ

 

 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

 

 

 

image

 

Instagram: jazz_1700

         

         <今宵  聞いてみたい曲>

 

 

 

=====================

JTKクリニックからのお知らせ

 

◯ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。

 

◯線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

==================================

 

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨日、関東は「梅雨明け」したというニュースがありました。

いよいよ、「夏本番」ですね。

 

夏と言いますと・・・次のような言葉が思い浮かびます。

 

 Summer passes and one remembers one’s exuberance.

 夏は過ぎ去り、人はその活力を思い出す

ビートルズのジョン・レノンの妻、オノ・ヨーコさんの名言とされていますね。

 

この「活力」のある夏をあなたは、どのように過ごしますか?

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか? 

 

 

 

さて、とても興味深いニュースがありましたので、ご紹介したいと思います。

 

7月上旬にシンガポールで開催された国際皮膚科学会議の1つである「世界皮膚科学会(WCD2023)」において最新の皮膚の若返り研究の成果が発表されたそうです。

 

発表したのは、「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」社のナディーン ペルノデDr.です。

 

同社のことを調べてみますと・・・高品質のスキンケア、メイクアップ、フレグランス、ヘアケア製品をお届けする世界有数の製造・販売会社であっるようですね。

 

では、どのような研究成果が発表されたのでしょうか?

 

「長寿タンパク質」は、皮膚細胞の形状と強度を高め、皮膚の力学的性質をサポートするという研究結果を発表した・・・というのですね。

 

「長寿タンパク質」とは、「サーチュイン遺伝子」から作られたタンパクですから、皮膚細胞を活性化させ、より長く健康に保つためには、「サーチュイン遺伝子」が不可欠であることが示されたということになりますね。

 

「サーチュイン遺伝子」が皮膚細胞の重要な働きをサポートし、皮膚細胞の若々しさに役立つというわけです。

 

この研究に対して、カリフォルニア大学バークレー校の代謝生物学、栄養科学、毒性学の教授である ダニカ チェン(Danika Chen)博士は、次のようにコメントをしています。

 

「サーチュイン」の研究は老化に関連する症状の治療、ヒトの健康の改善に役立つ可能性がある。『エスティ ローダー』の研究は、皮膚における特有の「サーチュイン」または、他の組織と共有される「サーチュイン」の活性を特定することにより、サーチュイン生物学を進歩させている。

 

また、目に見える形で皮膚の老化を遅らせたり若返らせたりするアプローチを開発することで、老化に関する生物学の理解を深めている」と述べているそうです。

 

ヒトの「サーチュイン遺伝子」は、SIRT1〜7の7つの遺伝子がありましたよね。

 

何番目の「サーチュイン遺伝子」が、皮膚の老化を遅らせるのか興味があるところです。

 

もし、1番目の「SIRT1」であるとすると・・・今後の展開が興味深いものになりますね。

 

その理由は次のようなものになります。

 

「サーチュイン1(SIRT1)」は、「NAD +」を補酵素として利用し、

細胞の生存能力や老化プロセスに関与しています。

 

例えば・・・「サーチュイン1(SIRT1)」の活性化によって、損傷DNAを修復することができるという報告もあります。

 

また、「サーチュイン1(SIRT1)」は・・・「ミトコンドリア」の機能を改善し、「酸化ストレス」やミトコンドリアDNAの損傷を防ぐことが報告されています。

 

現在、「サーチュイン1(SIRT1)」については、最も研究されていますし、細胞の健康維持や老化の進行を制御する重要な分子として注目されているからですね。

 

 そして、JTKクリニックにも導入しておりますが・・・

「サーチュイン1(SIRT1)」を測定する検査システムが、既に(すでに)存在している・・・ということも重要です。

 

 

「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」社のナディーン ペルノデDr.の研究成果を読みとくと・・・

 

「サーチュイン遺伝子」から作られたタンパクが少なくなると・・・

皮膚細胞の形状と強度は弱くなり、皮膚の力学的性質をサポートできなくなる・・・とも考えられますからね。

 

では・・・「サーチュイン遺伝子」を活性化するには、どうしたらよいのでしょうか?

 

そうですね。言わずと知れた「◯M◯」もそのひとつになりますね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

-------------------------------------------------------------------

< ブログ後記 >7月25日

 

夏の暑い日が続いていますね。

 

今回は、「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」社のナディーン ペルノデDr.のサーチュイン遺伝子の活性化から作られる「サーチュイン蛋白」が、皮膚細胞の形状と強度を高め、皮膚の力学的性質をサポートするという研究結果についてお話をさせていただきました。

 

サーチュイン遺伝子を活性化する働きを持つのは、「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」でしたね。

 

少しだけ復習しますと・・・以下の表で示すように体内の「NAD+」の量は、加齢とともに減少していくことが知られています。

 

 

「NAD+」は、下の図に示すようにミトコンドリアでの「ATP産生」を増加させ、「サーチュイン遺伝子」を活性化し、サーチュイン蛋白を増加させますよね。

 

 

体内の「NAD+」の量が減ってきますと・・・どのようなことが生じるのか?・・・

 

言うまでもないことですが・・・ミトコンドリアでの「ATP産生」は低下し、また、「サーチュイン蛋白」の産生量が低下していくことが予想されますね。

 

皮膚については、「ATP産生」が低下すると、次のような状態が引き起こされると考えられています。

 

1)肌のハリやツヤを失う

 

2)肌の乾燥、乾燥小ジワを生じる

 

3)皮膚のターンオーバーが遅れる

 

などの現象が生じるとされています。

 

すべてを詳細にご紹介するのは、またの機会としますが・・・

 

例えば、3)のターンオーバーの問題は、次のように説明することが可能です。

 

「ATP」は、細胞の栄養をとり込んだり老廃物を排出したりするのに使われるエネルギーであると考えられています。

 

このため、表皮細胞の「ATP」が不足して、これが正常に行えなくなると、ターンオーバーの速度が落ち、古い細胞が表面に蓄積されていくことになるとされています。

 

問題は「NAD+」の低下を原因とする「サーチュイン蛋白」が皮膚にどのような影響を与えるのか?・・・ということになりますね。

 

これまでの考え方は、次のようであったかもしれません。

 

 

一般的な話としては・・・サーチュイン遺伝子群は、エネルギー代謝、DNA修復、細胞周期、細胞の生存、および寿命に関与していると考えられています。また、彼らは細胞ストレス応答にも関与していて、これらすべては組織の健康と直接関連しているとされています。

 

皮膚においては、「サーチュイン遺伝子・蛋白」を皮膚のアンチエイジングに関連させると・・・「コラーゲン」や「エラスチン」ではないかという考え方がありました。

 

「コラーゲン」や「エラスチン」は、皮膚、骨、腱、リガメント、血管などの組織を構成する主要な構成成分で、それぞれが独特な物理的特性を持っているとされています。

 

「コラーゲン」は、強度と構造を作り出し、「エラスチン」は弾性と柔軟性を作りだすとされています。

 

これらのタンパク質の生産と分解は細胞の活動によって調節され、「アンチエイジング」に大きく影響すると考えられてきたのですね。

 

では、ここに「サーチュイン遺伝子」が関与させるとすると・・・

 

ひょっとして・・「サーチュイン1(SIRT1)」ではないか・・・と考えられていました。

 

その理由は、「サーチュイン1(SIRT1)」は、多くの生理学的プロセスを調節する重要な分子であり、「酸化ストレス」と「炎症応答」を調節するとされています。

 

加齢により「サーチュイン1(SIRT1)」活性が低下すると、「酸化ストレス」と「炎症」が増加し、これが結果的に「コラーゲン」と「エラスチン」の分解を促進する可能性があるとも考えられていたのですね。

 

もちろん、これらは仮説にすぎなかったのですが・・

 

先に述べたように・・・「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」社のナディーン ペルノデDr.によって、「サーチュイン遺伝子・蛋白」が、皮膚の老化を遅らせるという事実を科学的に証明されたことは、今後の「アンチエイジング」を根本から変える可能性もありますよね。

 

体内の「NAD+」を増加、或いは、高値に保つ手段は、「NAD+ブースター」と呼ばれ、そのひとつが

「N M N (ニコチンアミド モノクレオチド)」ということになります。

 

「NAD+ブースター」は、現在世界中で行われている「老化研究」の柱のひとつになっているのですね。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

image

 (以前のphoto:筆者撮影)

 

    =================================

 JTKクリニックホームページ

 

 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

 

 

 

image

 

Instagram: jazz_1700

         

         <今宵  聞いてみたい曲>

 

 

 

=====================

JTKクリニックからのお知らせ

 

◯ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。

 

◯線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

==================================

 

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

7月も半ばを過ぎ、梅雨の時期も終盤と考えてよいのでしょうか。

 

「梅雨前線」が東北地方にあり、大雨を降らせているわけですが、

その南に位置するのが、夏の暑さをもたらす「太平洋高気圧」になるわけですね。

 

「梅雨」は明けていないわけですが・・・

東京や名古屋、福岡などで35℃以上の猛暑日となっているようで、

「熱中症」による救急搬送も増えているのだとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか? 

 

 

 

さて、今回は「NK(ナチュラル・キラー)細胞」をある糖尿病薬が活性化する・・・かもしれないという話題を取り上げてみたいと思います。

 

「NK細胞」の重要性は、このブログ内でも強調してきていますよね。

 

なぜなら・・・「NK細胞」は、ウイルス感染細胞、癌細胞、老化細胞などの異常細胞を破壊することができる免疫細胞であるからですね。

 

「NK細胞」は、生まれつき備わっている「自然免疫」に含まれる細胞でしたよね。

 

この「NK細胞」が重要と考えられるのは・・・

 

先にあげたように「ウイルス感染」や「がん細胞」に対する「初期防御機構」としての重要な働きを担っています。

 

それらの細胞があることを確認すれば・・・すぐさま、破壊することが「初期防御 」ということになりますよね。

 

ところが・・・このような「NK細胞」の免疫の力である「活性」が、加齢やストレスなどにより低下してしまうことが知られています。

 

「NK細胞」の活性の低下は、高齢者が「感染症」の重症化や「癌」を発症しやすくなる原因のひとつと考えられているわけです。

 

このため、「NK細胞」の活性の低下に対して、どのような方法を選択すれば、それを回復させることができるのか?・・・は、多くの研究者の長年の課題であったとも言えますね。

 

驚くことに・・・糖尿病の治療薬のひとつである「GLP-1受容体作動薬」の注射製剤を週1回 6ケ月の投与を続けたところ、「NK細胞」の活性が回復したというのですね。

 

こうした報告をしたのは、アイルランドの医療サービスHSEのドーナル・オセア教授です。

 

ドーナル・オセア教授は、次のように述べているそうです。

 

「今回の研究結果は、GLP-1受容体作動薬による治療を受ける肥満症の人々にとって、非常な朗報となるものです。これらの一連の治療法の効果が癌のリスク減少にまで及ぶ可能性を示している」

 

 

「GLP-1受容体作動薬」という糖尿病薬は、体重減少効果がある糖尿病薬となりますね。

 

巷(ちまた)では、「痩せ(やせ)ることができる」として、糖尿病ではない方にも人気があるのだとか・・・

 

オンライン診療でも気軽に処方するクリニックもあるとかで、「糖尿病学会」でも問題視をしていますよね。 

 

JTKクリニックでは、「ダイエット漢方」がありますので、「GLP-1受容体作動薬」は、体重の減量目的には処方を行なってきませんでした。

 

しかしながら・・・もし、患者さんに「内蔵脂肪型肥満」があり、data上は「糖尿病境界域」であって、3ケ月程度の「ダイエット漢方」の服用でも改善がなければ・・・

 

「GLP-1受容体作動薬」の「内服」療法も検討しようかな〜と考えたりもしていたのですが・・・一旦、このプランを白紙にしようかと考えています。

 

ドーナル・オセア教授の話が本当であるとすれば・・・NK細胞の活性を回復させることを可能にしたのは・・・「GLP-1受容体作動薬」の「注射薬」であって、「内服薬」ではありません。

 

しかしながら、「GLP-1受容体作動薬」の注射薬までいきますと・・・低血糖などのリスクが高くなるかもしれませんからね。

 

「NK細胞」などの免疫細胞の活性を高める・・・ということは、JTKクリニックの医療のひとつの柱になるものですので・・・すぐさま、飛びつきたくなるような話題なのですが・・・

 

この話題については、今後、論文や研究報告を詳細に見ていく必要があるのかもしれないと思っています。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ 

 

参考)

BANG SHOWBIZ内の記事より

-----------------------------------------------------------------

<ブログ後記  >7月18日

 

ここ数日、気温の高い日が続き、体調を崩された方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

天気予報によれば、あす19日(水)と20日(木)にかけては、再び梅雨前線が本州付近を南下するため、広い範囲で雨となるそうで、猛烈な暑さは収まる・・・ということでした。

 

つまり、この暑さでウンザリなわけですが・・・まだ「梅雨(つゆ)」の時期であり、本格的な「夏の季節」はまだなのかもしれませんね。

 

今回は・・・ドーナル・オセア教授の研究成果・・・「GLP-1受容体作動薬」の注射製剤を週1回 6ケ月の投与を続けたところ、「NK細胞」の活性が回復したという話題をご紹介させていただきました。

 

「GLP-1受容体作動薬」とは、どのようなお薬なのかを少しだけ説明してみたいと思います。

 

これは、いわゆる「インスリン製剤」とは異なる作用を持っています。

 

食事をして、ブドウ糖やアミノ酸が小腸に到達すると、小腸から「インクレチン」という消化管ホルモンが分泌されます。

 

「GLP-1(glucagon-like peptide-1)」は、インクレチンのひとつで、膵臓のβ細胞にある「GLP-1受容体」と結合して・・・

インスリン分泌を促し、血糖値を下げる働きがあります。

 

ただし、ここで問題なのは・・・この「GLP-1」は、体内にある

「DPP-4 」という酵素によって、すみやかに分解されてしまいます。

 

つまり、「GLP-1」には、「インスリン分泌」をうながす働きがあるわけですが、すぐに分解をされてしまうので、効果が持続しないわけです。

そこで・・・この「GLP-1」の働きが持続するように工夫して創られた薬が「GLP-1受容体作動薬」ということになります。

 

また、「GLP-1受容体作動薬」は、、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの発症を抑える効果が認められていたり、腎臓を保護する作用もあると報告されている薬剤なのですね。

 

中枢神経に対しては、「視床下部」という部分に直接作用して食欲を抑える作用がありますし、また、胃の蠕動(ぜんどう)運動を抑えて、胃の内容物が小腸へ排泄されるのを遅らせて、血糖値が急に上昇するのを防ぐ効果があるのですが・・・

 

逆を返せば・・・消化器系のトラブルが生じるリスクも高くなるとも言えるわけです。

 

このように見てみますと・・・免疫細胞である「NK(ナチュラル・キラー)細胞」を活性化するのは、どのような理由なのか?・・・

という疑問が出てきます。

 

私自身は、少し冷静に考えてみますと・・・以下のように間に・・・⓶  (   ?  )という別の出来事が入りますと・・・「NK細胞」は活性化していくのでは・・・と思ったりもします。

 

⓵「GLP-1受容体作動薬」の投与(0.5年)

→⓶  (   ?  )

→⓷NK(ナチュラル・キラー)細胞」を活性化する

 

⓶  (   ?  )が何であるかを明かすのは、またの機会にしたいと思いますが・・・

 

もし、そうであるとしますと・・・これは、注射製剤ではなく、内服薬でも効果を示すはず・・・ということになりますね。

 

 

メディカルトリビューン誌の記事によれば・・・

 

現在、米国で肥満、糖尿病の治療薬として、1分子でグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1、グルカゴン(GCG)の3つの受容体に作用する「トリアゴニストretatrutide(RETA」)週1回皮下注射製剤の開発が進んでいるのだそうです。

 

実際に・・・高用量群での既存インクレチン薬(GLP-1受容体作動薬を含む)を上回る優れた減量、血糖改善効果に加えて、糖尿病管理で重要性を増す「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」併存例での肝脂肪代謝改善効果を認めるというのですね。

 

2型糖尿病を伴わない肥満・過体重の成人338例を対象に、RETAを週1回皮下注射したところ、48週後には高用量群で20%超の減量効果を示したと発表されたそうです。

 

さて、この「トリアゴニストretatrutide(RETA)」製剤を投与しますと・・・やはり、同じように「NK細胞」は、活性化されるのでしょうか?

 

もしかすると・・・サイトカイン等を産生する「内蔵脂肪」などが減っているために、NK細胞に「活性化」が認められるのかもしれませんねウインク

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

2.メディカル・トリビューン内記事より

 

 

      (以前のphoto:筆者撮影)

 

    =================================

 JTKクリニックホームページ

 

 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

 

 

 

image

 

Instagram: jazz_1700

         

         <今宵  聞いてみたい曲>

 

 

=====================

JTKクリニックからのお知らせ

 

◯ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。

 

◯線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

 

新型コロナウイルス後遺症外来を行なっています。 (オンライン相談も可)

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

==================================