こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

9月も半ばを過ぎていますね。

今朝は曇り空であったわけですが、今は青空が広がっています。

 

日中の暑さは、相変わらずですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

「紫外線」の強かった夏を過ぎて、皮膚の状態があまりよくない・・・などという話も聞いたりしますし、

 

夏の時期を楽しく過ごしたのはよいが・・・なんだか、老けた(老けた)ような気もすると嘆く(なげく)方もいらっしゃいます。

 

そこで、今回は「皮膚」の真皮層にある「コラーゲン」,「エラスチン」,「ヒアルロン酸」に焦点を当てて、「加齢」による変化を考えてみたいと思います。

 

上に示したのは、皮膚の構造を示しています。

 

皮膚の構造は、表面の「表皮層(ひょうひそう)」の下には「真皮層(しんぴそう)」が存在していて、ここに「コラーゲン」,「エラスチン」,「ヒアルロン酸」が存在しているわけですね。

 

では、「皮膚=肌」が老化する要因は?・・・と言いますと・・・

 

もちろん、時間の経過や紫外線の影響、生活習慣など様々な要因によって引き起こされますね。

 

では「肌」は老化が進行すると、どのような変化が出てくるのでしょうか?

 

「老化」は、肌の主要な構成成分である「コラーゲン」,「エラスチン」,「ヒアルロン酸」にさまざまな影響を及ぼすことが知られています。

 

いったい、どのような影響があるのでしょうか?

以下に詳細をみていきたいと思います。

 

1. コラーゲン

 

「コラーゲン」は、肌の「弾力」「強度」を保つための主要なタンパク質です。

 

老化」に伴い、「コラーゲン」の生成が減少し、またその質も低下します。結果として、肌にしわやたるみが生じることが多くなります。

 

紫外線の影響による「酸化ストレス」は、「コラーゲン」を分解する酵素である「マトリックスメタロプロテアーゼ:MMPs」の活性を高めることが知られており、これにより「コラーゲン」の減少がさらに促進されることがあります。

 

2. エラスチン

 

「エラスチン」は、肌の「弾力」性を保つためのタンパク質です。

「老化」により、「エラスチン」の網状の構造が崩れ、その量も減少します。これにより、肌の弾力性が低下します。

 

この変化は、特に顔のたるみやしわの深さとして現れることがあります。

 

3. ヒアルロン酸

 

「ヒアルロン酸」は、肌の「保湿」を助ける成分で、水分を多く保持する能力があります。

 

老化とともに、皮膚内の「ヒアルロン酸」の量が減少します。これにより、肌の乾燥やしみの形成が促進されることがあります。

 

また、ヒアルロン酸の分子のサイズや質も変化することがあり、これにより肌の水分保持能力やバリア機能が低下するとされています。

 

 

以上をまとめ、少しだけ補足しますと・・・

 

肌の「老化」により、真皮層では「コラーゲン」と「エラスチン」の減少、そして、「線維芽細胞」の機能低下、血管の退化などの変化が生じます。

 

これにより、皮膚の弾力性やハリが低下し、シワやたるみが現れるというわけですね。

 

こんなことは、以前のブログでも書いていたよね。

 

とうとう、ひとちゃんもボケたか?・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

いえいえ、私自身が思うに・・・それほどは、ボケてはいません。

 

なぜなら・・・続きがあるからです。

 

 

サラッと上にあげた「線維芽細胞」は、「コラーゲン」,「エラスチン」,「ヒアルロン酸」を産生する細胞と考えられているのですね。

 

これらの成分は、結合組織の構造と機能に重要な役割を果たしています。 

 

例えば、「コラーゲン」は、主要な結合組織である真皮や軟骨、靭帯、腱などの構成要素であり、組織の強度と柔軟性を提供します。

 

「線維芽細胞」は、「コラーゲン」の合成と分泌を担当しており、その過程ではプロコラーゲンと呼ばれる前駆体が合成され、細胞外に放出されます。そこで、プロコラーゲンは酵素的な修飾を受け、正常なコラーゲン線維が形成されます。 

 

そして・・・「線維芽細胞」は「エラスチン」の合成と分泌を行い、組織内でエラスチン線維が形成されます。

 

「エラスチン」は、肺、血管、皮膚などの組織で特に重要であり、これらの組織の正常な機能を維持するために必要です。 

 

また、「ヒアルロン酸」は、多糖類の一種であり、結合組織の中で水分を保持し、組織の弾力性と潤滑性を提供するわけですが・・・

この「ヒアルロン酸」も「線維芽細胞」は合成を担当しているわけです。

 

この「ヒアルロン酸」は皮膚ばかりでなく、関節、眼球などの組織で特に重要であり、これらの組織の正常な機能を維持するために必要です。 

 

 

以上のように、これまでに話題にしてきた「コラーゲン」,「エラスチン」,「ヒアルロン酸」を産生・調節している「線維芽細胞」こそが重要な可能性もある・・・などと思ったりもする次第です。

 

 

そして、コラーゲンの項目でご紹介した「マトリックスメタロプロテアーゼ:MMPs」は、「コラーゲン」や「エラスチン」などの皮膚の構造タンパク質を分解する酵素で、その活性が上昇すると皮膚の弾力性や強度が低下します。

 

これは、紫外線曝露や炎症などによって引き起こされることが多く、皮膚の老化を加速させます。

 

そして、「線維芽細胞」は、この「マトリックスメタロプロテアーゼ:MMPs」を分泌することがあるのですね。

 

そうしますと・・・やはり、肌の若さを保つためには、「線維芽細胞」にも注目していく必要があるなあ〜なんて思ったりもします。

 

「線維芽細胞」は、美容医療だけでなく、内科医の私にとっても今、最もホットな関心のある話題であったりもします。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>9月19日

 

今回は、皮膚の真皮層にある「線維芽細胞」を話題にさせていただきました。

 

少し補足をしますと、皮膚の真皮層には、「線維芽細胞」と「細胞外マトリックス(ECM)」と「線維芽細胞」から構成されている。加齢の過程で真皮は大きく変化すると考えられています。

 

 

ヒトにおける「細胞外マトリックス(ECM)」は、いろいろな臓器に存在しているわけですが・・・細胞の隙間(すきま)を埋める

(うめる)単なる詰め物ではなく、細胞の増殖、分化や形質発現を

制御する多くの情報が書き込まれた情報超分子システムである・・・という考え方もあるほど、重要な部分と考えられているのですね。

 

 

皮膚の真皮層に話を戻しますと・・・「細胞外マトリックス(ECM)」は、「コラーゲン線維(collagen fiber)」で、真皮乾燥重量の70%を占めているとされています。

 

そして、この「コラーゲン線維」を産生するのが「線維芽細胞」であるというわけですね。

 

本文内でもご紹介したように・・・「線維芽細胞」が「エラスチン」や「ヒアルロン酸」も併せて、産生するというわけです。

 

皮膚の「老化」に伴い、シワや皮膚のタルミ、弾力性の低下が生じてくるとされるわけですが・・・

この原因は、「真皮層」に大きな変化が起こるから・・・ということになります。

 

「真皮層」に起こる変化とは、どのようなものなのでしょうか?

 

これは、「真皮層」の萎縮が進行した結果であるとされています。

 

その主なメカニズムのひとつは、次のように考えられています。

 

「細胞外マトリックス(ECM)」の主要成分である「コラーゲン」は断片化し、粗く分布するようになり、その総量は減少するからということになります。

 

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

 

その原因は、「マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)」の活性の亢進と、加齢に伴って発生する「活性酸素」によって誘導される「トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)シグナル」の障害によるものであるとされます。

 

「マトリックスメタロプロテアーゼ」という酵素は、「線維芽細胞」から作られたものでしたね。

 

「線維芽細胞」は、コラーゲンを作り出すことができるわけですが・・・同時に「マトリックスメタロプロテアーゼ」の活性を亢進させ、自分の作ったコラーゲンを分解し始める・・・というのですから、ちょっと、驚きますよね。

 

こうした現象には、次のようなメカニズムがある・・・と下に紹介する論文内には、述べられています。

原文のまま、話訳しますと、次のようになります。

 

下線部分に注意して、ご覧になってください。

 

加齢の過程で発生する「活性酸素種(ROS)」は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を活性化し、アクチベーター・プロテイン1(AP-1)や核因子-κB(NF-κB)などの転写因子を誘導する。

 

この活性化は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を増加させ、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)シグナル伝達を阻害し、コラーゲンの断片化とコラーゲン生合成の低下をもたらす。

 

これにより線維芽細胞と細胞外マトリックス(ECM)との間の機械的相互作用が阻害され、その結果、真皮の線維芽細胞のサイズが小さくなる。老化した線維芽細胞は大量の活性酸素を産生し、それがMMPの発現をさらに増加させ、TGF-βシグナル伝達を阻害することで、真皮の老化を加速させる正のフィードバックループが形成される。

 

 

ちょっと難しく書かれている、最初のきっかけは・・

「活性酸素種(ROS)」であるというのですね。

 

では、この「活性酸素種(ROS)」は、どこに由来するのか?・・・と言いますと・・・「線維芽細胞」の老化によるものである可能性が高いということになりますね。

 

では、「線維芽細胞」は、「老化細胞」化するのか?・・・ということを調べてみますと・・・答えは「Yes」となります。

 

「線維芽細胞」も老化(セネセンス)するのだそうです。

 

細胞が増殖・分裂を停止し、さらなる細胞周期の進行が不可逆的に制止される状態を「老化(セネセンス細胞)」と呼びますよね。

 

実際に老化した「線維芽細胞」は、細胞外マトリックスの変化や、炎症を引き起こすサイトカインやケモカインの放出を促進することが知られています。

 

そして、こうした「線維芽細胞」が「老化細胞」することにより、正常な「線維芽細胞」に傷害を与えるばかりでなく「細胞外マトリックス(ECM)」の主要成分である「コラーゲン」などを分解させる・・・という悪循環が生じてしまう可能性があるというわけですね。


つまり、肌では、次のような現象が起きていると言えます。


肌では「線維芽細胞」が真皮内で、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを合成して肌のハリやツヤを保つ役割を果たしている。


また、肌が何らかの障害を受けて傷ついたときには、修復してくれることもある。


ところが、ヒトの加齢により、線維芽細胞は「老化細胞」化する。もちろん、線維芽細胞のすべてではなく、一部と考えられていますがね。


老化細胞化した線維芽細胞は、困ったことに今度は、若い線維芽細胞の邪魔をするように変化してしまう・・・

若い線維芽細胞が作り出すコラーゲンなどを「老化した線維芽細胞は、今度は破壊するようになってしまうわけですね。

そして、若い線維芽細胞に障害を与えて、機能を低下させるわけですね。

 

こうしたメカニズムが分かってきますと・・・肌の老化のメカニズムに逆行するためには、単に「線維維芽細胞」を移植するとか、活性化させればよいというわけではなく、根本的には、「老化細胞」化した「線維芽細胞」をいかに真皮層から排除するか・・・ということに目を向けていく必要がありそうです。

 

他の臓器でもそうであるように「活性酸素(種)でありますので、この「活性酸素」の量を低下させることも重要になってきますね。

 

「活性酸素」を低下させるには、高濃度ビタミンC点滴や白玉点滴といった方法があるわけです。


そして、「線維芽細胞」に注目すれば、「老化細胞」化するまでの時間を伸ばす方法も考えられますよね。


それには、線維芽細胞内にあるミトコンドリアを活性化するとともに、このミトコンドリアのDNAが障害されるのを防ぐ方法も有効ですよね。


ミトコンドリアの産生する「活性酸素」によって、ミトコンドリア自身のDNAを障害し、さらに活性酸素を増加させるわけですからね。


こうしたことには、「 N M N」が有効であることが予想されます。


「線維芽細胞」の状態を長い期間、老化細胞にならないようにするには「エクソソーム」や「幹細胞培養上清液」が有効である・・・ということに大きな矛盾はないと言えそうです。


そして、老化細胞化した線維芽細胞を強制的に排除するには、かなりの荒技かもしれませんが・・・


癌の発生の予防をかねて、自分自身の「NK細胞」を用いて、破壊してしまうという考え方も矛盾はしないということになりますね。


 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1. Int J Mol Sci. 2019 May; 20(9):2126.

Molecular Mechanisms of Dermal Aging and Antiaging Approaches

Jung-Won Shinら

 

2.J Invest Dermatol. 2021 April

Connective Tissue and Fibroblast Senescence in Skin Aging

Meinhard Wlaschek ら

 

 

 

(以前のphoto: 筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨日の9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」でしたね。
 

陰陽思想では、奇数が陽でめでたい数字とされ、陽の数字で最も大きい9が重なることから重陽(ちょうよう)と呼び、古代中国では大変めでたい日とされていたようです。

 

平安時代初めに中国から伝わったとされています。家族の無病息災や不老長寿 を願い、祝いの宴を開いたのが起源なのだとか。

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

前回の話題は、「ハダカデバネズミ」でしたね。

今回は、私たちヒトの健康を維持するための基本の話題に立ち返ってみたいと思います。

 

なぜ、塩分の多い食事は、健康を害するのか?・・・を考えてみたいと思います。

ふだんから塩分控えめを心がけている方には、「釈迦(しゃか)に説法」かもしれませんね。

 

塩分と言いますと・・・化学式では「NaCl (塩化ナトリウム)」となります。

 

これを摂取することを完全に避けるべきか?・・・というと、そうでもありません。

 

塩分、特にその主成分である「ナトリウム(Na)は、人間の体にとって重要な役割を果たします。

以下にその主なメリットをいくつか挙げてみたいと思います。

 

1.体液バランスの維持

 

ナトリウムは、体内の水分バランスを維持するのに重要な役割を果たします。これは、細胞内外の液体量を調節し、血液の容量と血圧を維持するのに必要です。

 

2. 神経伝達

 

ナトリウムは神経細胞が電気信号を伝達するのに必要な電解質です。これにより、筋肉の収縮や心臓の機能、脳の活動などが可能になります。

 

3. 栄養素の吸収

 

ナトリウムは、腸での栄養素の吸収を助けます。特に、グルコース(糖)やアミノ酸(タンパク質の構成要素)の吸収に重要です。

 

4. 筋肉の機能

 

ナトリウムは筋肉の収縮を助け、筋肉のけいれんを防ぎます。

 

 

それなら、多く塩分を摂取した方がよいのでは・・・と勘違いする方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、そんなことはなくて・・・塩分の過剰摂取は、「高血圧」や「心臓病」、「腎臓病」のリスクを高めるため、適量を守ることが重要です。

 

では・・・塩分の適量とは、どのぐらいの量を示すのでしょうか?

 

世界保健機関(WHO)は、塩分摂取目標を1日「5g」としています。米国では心血管疾患の予防のためのガイドラインは、塩分の最大摂取量の目標を1日「3.8~6.0g」としています。

 

WHOの試算によれば・・・

 

成人の塩分摂取量が 1 日 「5 g未満」であれば、血圧を下げることができ、心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心臓発作のリスクを減らすのに役立つ。

 

そして、世界の塩分摂取量を推奨レベル「5 g未満」まで減らせば、毎年 250 万人の死亡を予防することができると推定しているのですね。

 

一方、日本国内における1日の塩分摂取量の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、男性「7.5g未満」、女性「6.5g未満」とされています。

 

また、日本高血圧学会では、1日「6g未満」としています。

 

では、実際の食生活において、私たちはどの程度の塩分を摂取しているのでしょうか?

 

近年はライフスタイルの変化からファーストフードや外食・加工食品などを利用する人が多く、塩分を多く摂取しがちなのだそうですが・・・


では、どのぐらいの塩分を1日に摂取しているのでしょうか?

このデータは、厚生労働省の平成30年「国民健康・栄養調査」に具体的な数字が挙げられています。

 

<実際の1日あたりの平均塩分摂取量>

男性 ・・・・・ 11g

女性 ・・・・・ 9.3g

 

調べていて・・・私もその結果に驚きました。

 

N M N(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)から増加するサーチュイン遺伝子の話や、免疫細胞の強化、遺伝子以上の話も

もちろん、重要であるわけですが・・・

 

基本に立ち返って、健康を維持するためのベースになる事実を忘れないことも、とても重要ですよね。

 

「塩分」の摂取が多いとなぜ、高血圧などの疾患が生じるのか?・・・については、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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< ブログ後記  > 9月12日

 

今回は「塩分」を話題にさせていただきました。

こんなことは、常識だ・・・と思われた方も多いかもしれませんね。

 

「塩分」とは、化学式「NαCl(塩化ナトリウム)」の「塩(salt)」ですよね。


この「塩(salt)」は、ヒトの歴史と深く結びついていると言われています。

 

塩は、古代から食物の保存に使われてきました。「塩(salt)」には抗菌作用があり、肉や魚を腐敗から守ることができたそうです。また、塩は風味付けにも使われ、食事をより美味しくするために重宝されたそうです。

 

中世のヨーロッパでは、「塩(salt)」は、非常に貴重な商品であり、一部の地域では「通貨」として使われることもあったそうです。

 

これは「salary(給料)」という言葉が「salt(塩)」から派生したという説があるほどなのだとか。

 

近代になると、「塩(salt)」の生産技術が発展し、塩はより広く利用されるようになりました。また、塩が体液のバランスを維持するために必要であることが科学的に理解されるようになり、塩は健康維持にも重要な役割を果たすことが認識されのだそうです。

 

そして、現代では「塩(salt)」は依然として食事の風味付けや保存に使われていますが、過剰な塩分摂取が高血圧や心臓病などのリスクを高めることが科学的に明らかになってきたというわけですね。

 

「塩(salt)」には、なんとも壮大な歴史があるようです。

 

医学的な話題に戻しますと・・・

 

塩分を摂取しすぎると、どのような理由で「血圧」が上昇するのでしょうか?

 

これには、2つのメカニズムが働くと考えられています。

 

1.体液量の増加

 

塩分は体内で水分を保持する性質があります。したがって、塩分の摂取が多いと、体内の水分量が増え、これが血液の量を増やします。血液の量が増えると、血管内の圧力(つまり血圧)が上昇することになります。

 

2. 血管の収縮

 

塩分の過剰な摂取は、血管を収縮させるホルモンの働きを強めることがあります。血管が収縮すると、血液が流れるスペースが狭まり、これが血圧を上昇させます。

 

腎臓から「レニン」というタンパク質が分泌されます。

この「レニン」は、血液中の「アンジオテンシノーゲン」から「アンジオテンシンI」という物質をつくります。

 

「アンジオテンシンI」は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)」により、「アンジオテンシンII」に変換されます。

 

 

この「アンジオテンシンII」は、全身の動脈を収縮させるとともに副腎という臓器から「アルドステロン」を分泌させます。

 

「アルドステロン」は、「ナトリウム(Na)」を体内に溜める働きがあり、これにより循環血液量が増加して心拍出量と末梢血管抵抗が増加します。

 

 

さらに・・・高濃度の塩分摂取は、「血管内皮細胞」の機能障害を起こすことが知られています。

 

「血管内皮細胞」は「一酸化窒素(NO)」を産生し、血管を拡張させる働きがあります。

 

しかし、高塩分摂取により「血管内皮細胞」の機能が低下すると、「一酸化窒素(NO)」の産生が減少し、血管収縮が促進されます。これにより、血管抵抗が増加し、血圧が上昇するというわけですね。

 

 

かなり、複雑な仕組みがあり、高濃度の塩分の摂取などで、血圧が上昇していくことは・・・ほぼ、確実と言えるのですね。

 

これらの状況では、健康寿命を極端に短くしてしまいそうです。

 

 

ヨーロッパ(?)の諺(ことわざ)であったか・・・と思いますが、

 

「忍耐(にんたい)という塩は、すべての人を鍛える(きたえる)」

 

というものがあります。

 

「塩(salt)」が、人格形成に関与した言葉となっている・・・という話題の中で教えてもらったような気がします。

 

人格の形成に役立つのは、もちろんGoodなわけですが、病気を引き寄せる「塩(salt)」は、遠慮したいものですね。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1.European Heart Journal. Volume 34,  April 2013, 1034–1040

Salt intake and cardiovascular disease: why are the data inconsistant?

M.J.O' Donnellら

 

 (以前のphoto: 筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

9月になったわけですが・・・残暑が厳しい日が続いていますね

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

本日からは、七十二候で「禾乃登(こくものすなわちみのる)」となっていますね。

 

意味を調べてみますと・・・田に稲が実り、稲穂が色づきついてくる頃。稲穂はこぼれるように垂らして揺れることなのだとか・・・。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

今回も話題は、「ネズミ」をとりあげてみたいと思います。

ちょっと、変わった話題になるわけですが・・・ね。

 

ところで・・・「ネズミ」の寿命は、どの程度あるかをご存知でしょうか?

 

ネズミの種類や環境によって異なりますが、約1~3年ほどが一般的な「ネズミ」の寿命なのだそうです。

 

                                 (写真はお借りしました)

 

思っていたよりも、短い・・・と感じた方もいらっしゃるかもぢれませんね。

 

ところが、例外もありまして・・・

 

アフリカのサバンナの地下に掘ったトンネルを巣穴として生息する齧歯(げっし)類である「ハダカデバネズミ」は、飼育下で37年以上も生きている個体がいるなど、長寿命であることが知られています。

 

(ハダカデバネズミ:写真はお借りしました)

 

なぜ、「ハダカデバネズミ」は、他のネズミの10倍以上も長く生きることができるのでしょうか?

 

「ハダカデバネズミ」の長寿の原因として、以下のような要素が挙げられます。

 

1.低酸素耐性

 

「ハダカデバネズミ」は、地下で生活するため、低酸素環境に耐えられるように進化してきました。これが「抗酸化能力」を高め、老化を遅らせる効果をもたらしていると考えられています。

 

2.低代謝

 

「ハダカデバネズミ」は、他の同じ体重の哺乳類に比べて基礎代謝率が低いです。これにより、体内の「酸化ストレス」が少なく、細胞の損傷が少ないとされています。

 

3. 癌になりにくい

 

「ハダカデバネズミ」は、他の哺乳類と比較して癌になりにくいという特性を持っています。これは、「ヒアルロン酸」という物質が豊富に存在し、細胞の異常増殖を抑制するためと考えられています。

 

4. 遺伝子の修復能力が高い

 

「ハダカデバネズミ」は、DNAの修復能力が高いとされています。これにより、細胞の損傷が修復され、老化が遅れると考えられています。

 

5. 長寿遺伝子の存在

 

「ハダカデバネズミ」には、長寿に関連する遺伝子が存在するとされています。これらの遺伝子が活性化することで、老化を遅らせる効果があると考えられています。

 

これらの要素が組み合わさることで、ハダカデバネズミは他の哺乳類と比べて長寿であると考えられているのですね。

 

6.老化細胞が破壊されるメカニズムがある

 

さらに最近になり・・・熊本大学の三浦恭子教授らの研究グループは、老化した「ハダカデバネズミ」の細胞内では、「老化細胞」を殺す毒素を出していること明らかにしたというのですね。

 

ここでのキーワードは「セロトニン」となるわけですが、詳細は後日の話題にしたいと思います。

 

「ハダカデバネズミ」の死亡率が、年齢とともに増加しないという、他の哺乳類とは異なる特性があるわけですが・・・確かに長寿につながる有利なメカニズムを持っていることがお分かりいただけると思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>9月5日

 

暦の二十四節気では、暑さもおさまるとされる「処暑(しょしょ)」であるわけですが・・・やはり、日中の暑さは相変わらずのように思います。

 

今回は「ハダカデバネズミ」の長寿の秘密がどこにあるのか?・・・というお話をさせていただきました。

 

私たちヒトは、同じように他のヒトの10倍の生命を持つ者がいたのか?・・・答えは「No」ということになりますね。

 

これまでに近代、現代の時代に生きた、少なくとも数十億人以上の人の中で123年以上生きたという記録は存在していないと言われているそうです。

 

なぜ、「ハダカデバネズミ」は長寿を実現できているのか?・・・については、本文内でもご紹介したのですが・・・少し補足をしてみたいと思います。

 

まずは、長寿を実現させている遺伝子には、どのようなものがあるのか?・・・を見てみたいと思います。

 

それは、次のような遺伝子が挙げられます。

 

1. p16/ Ink4a 遺伝子

 

この遺伝子は、細胞の老化を制御する役割を持っています。

「ハダカデバネズミ」では、この遺伝子が活性化すると、細胞の分裂が停止し、老化が防がれると考えられています。

 

2. TP53 遺伝子

 

この遺伝子は、細胞のDNA損傷を修復する役割を持っています。

「ハダカデバネズミ」では、この遺伝子が活性化すると、DNAの損傷が修復され、癌の発生が防がれると考えられています。

 

3. SIRT6 遺伝子

 

この遺伝子は、いつも話題にしているサーチュイン(長寿)遺伝子

のひとつでして、7個あるサーチュイン遺伝子の6個目(SIRT6)となります。

 

この遺伝子は、DNAの修復と寿命を延ばす役割を持っています。「ハダカデバネズミ」では、この遺伝子が活性化すると、細胞の老化が遅れ、寿命が延びると考えられています。

 

これらの遺伝子が、「ハダカデバネズミ」の長寿に寄与していると考えられているのですが・・・ヒトは、これらの3つの遺伝子のうち、

どれが欠けているのでしょうか?

 

答えは・・・すべての遺伝子をヒトのDNAの中に持っています。

 

例えば・・・ヒトの「p16/Ink4a遺伝子」は、癌を抑制する機能を持っています。

 

この「p16/Ink4a遺伝子」は、細胞の老化(セネセンス)や、細胞の成長が制御不能になると発生する癌の形成を防ぐために重要とされているのですね。

 

その反対に「p16/Ink4a遺伝子」遺伝子の異常や欠損は、細胞の制御機能が失われ、無制御な細胞分裂を引き起こすため、多くの種類の癌と関連があります。

 

こうした理由から、この「p16/Ink4a遺伝子」は、癌の抑制遺伝子(タンパク質)と考えられているわけですね。

 

また、「ハダカデバネズミ」の研究から、この「p16/Ink4a遺伝子」が活性化すると、細胞の老化が防がれ、寿命が延びることが示唆されています。これらの知見は、ヒトの老化や癌の研究にも応用される可能性があると考える研究者もいるそうです。

 

 

そして、「TP53遺伝子」ですが・・DNA損傷の修復や細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)を制御します。

 

TP53遺伝子」から産生されたタンパク「p53」タンパクは、「ガードマン・オブ・ザ・ゲノム」とも呼ばれ、DNA損傷が発生した際に細胞周期を停止させて修復を行うか、修復が不可能な場合には細胞をアポトーシス(プログラム細胞死)に導く役割を果たします。

 

したがって、p53の機能が強化されれば、癌を引き起こす可能性のある細胞の異常を早期に検出し、修復または除去することで、癌の発生を防ぐことが期待できます。

 

「ハダカデバネズミ」では、これらの遺伝子の活性化が強化されていると考えられているとされているのですね。

 

「ハダカデバネズミ」の遺伝子修復能力の向上に最も重要な変化は、DNA修復酵素の活性化とその効率性にあり、このことが「ハダカデバネズミ」の長寿に関与している可能性が高い・・・と考えられています。

 

さらに「活性酸素」や「老化細胞」に対するシステム・・・とまだまだ、続いていくわけですが・・・これらの話題は、またの機会にお話をしていきたいと思います。

 

やはり、当たり前のことですが・・・「ハダカデバネズミ」が他の

ネズミ の10倍も長く生きることができるのは、それなりの確固とした理由があるからなのですね。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 (筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

8月最後の休日となっていますね。

 

相変わらず日中は蒸し暑い日もあるわけですが、夕方になりますと

これまでに聞こえていた蟬(せみ)の声はなく、秋の虫の声に変わっていることに気がつきました。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

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今回は、『血管内皮細胞(けっかんないひさいぼう)』についてのお話をしてみたいと思います。

 

『血管内皮細胞』は、全身をめぐる血管の最内層にある細胞で、血管の健康状態を維持するのに非常に重要な役割を果たしていることが知られています。

 

では、『血管内皮細胞』とは、どこに存在する細胞なのでしょうか?

 

 

         (図はお借りしました)

 

上に示した図は、動脈の断面を示しています。

 

『血管内皮細胞』は、血管の最も内側を覆う(おおう)ように存在していることが、ご理解していただけると思います。

 

では・・・なぜ、『血管内皮細胞』に注目するのかと言いますと・・・『血管内皮細胞』の重要な機能を持っているから・・・ということになります。

 

では、その重要な機能とは、どのようなものなのでしょうか?

 

以下に、『血管内皮細胞』の主な機能を詳しく説明してみたいと思います。

 

 

 1. 血管壁のバリア機能

 

『血管内皮細胞』は、血管壁のバリアとして機能し、血液成分や細胞の浸透を制御します。

 

これにより、血管内の環境を一定に保ち、組織や臓器への適切な栄養や酸素の供給を確保します。

 

 

 2. 血管拡張・収縮の制御

 

『血管内皮細胞』は、血管の平滑筋細胞に対して血管拡張・収縮の信号を送ることにより、血管の直径を制御します。

 

これにより、血圧や血流量を調節し、組織や臓器への適切な血液供給を維持します。

 

 3. 血液凝固の制御

 

『血管内皮細胞』は、血液凝固因子や抗凝固因子を産生し、血液凝固のバランスを維持する働きがあります。

 

また、『血管内皮細胞』の表面には、血小板が付着することを防ぐための「抗血小板作用」があることも知られています。

 

 4. 炎症反応の制御

 

『血管内皮細胞』、炎症反応の制御にも重要な役割を果たしています。

 

炎症刺激が生じますと・・・『血管内皮細胞』は、「炎症性サイトカイン」などを産生し、白血球の接着や移動を促進します。

 

これにより、炎症部位への免疫細胞の集まりを調節し、炎症反応を制御します。

 

 5. 血管新生の調節

 

『血管内皮細胞』、血管新生(angiogenesis)の調節にも関与しています。

 

血管内皮細胞は、血管内皮増殖因子(VEGF)などの分泌により、新しい血管の形成を促進します。これにより、組織や臓器の再生や修復を助けるのですね。

 

 6. 血管透過性の制御

 

『血管内皮細胞』は、血管透過性の制御にも関与しています。

 

『血管内皮細胞』の細胞間には、「タイトジャンクション」と呼ばれる接着タンパク質が存在し、血液成分の漏出を防いでいます。

 

しかし、炎症や組織損傷などの刺激が生じますと、血管透過性が亢進することもあります。

 

 7. エンドセリンの産生

 

『血管内皮細胞』は、「エンドセリン」という強力な血管収縮物質を産生します。

 

「エンドセリン」は、血管平滑筋細胞を収縮させることにより、血管の直径を狭めます。この機能により、血圧の調節や血流の制御に関与します。

 

 以上のように『血管内皮細胞』が、血管の健康維持や循環系の正常な機能に不可欠な役割を果たしていることがお分かりいただけると思います。

 

この『血管内皮細胞』の機能を障害する疾患が、いくつか存在するわけですが・・・どのような疾患があるのでしょうか?

 

そして、『血管内皮細胞』が障害されると、血液検査などの臨床検査に、どのような変化が出現するのでしょうか?

 

お話の続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1. Nature Review Immunology.  2007 Oct;7(10):803-15. 

Evolving functions of endothelial cells in inflammation 

Jordan S Poberら

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< ブログ後記  >  8月29日

 

8月も残りわずかとなりましたね。

まだまだ、蒸し暑い日が続きそうです。たと

体調管理には、まだまだ、気をつけなければいけませんね。

 

今回は、『血管内皮細胞』を話題にさせていただきました。

 

ヒトの身体に張りめぐらされている血管には、動脈、静脈、そして、毛細血管があります。

 

1人の人間の血管を繋いで(つないで)みると・・・

 

その総距離は10万キロになるそうです。この距離は、地球を約2周半した時と同じであるというのですから、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

 

そして、『血管内皮細胞』は、動脈、静脈、毛細血管にまでも存在します。

 

(余談ですが・・・毛細血管壁は、単層の『血管内皮細胞』と、その周囲の壁細胞で構成されています)

 

血管壁の最も内側の、血液に触れる位置にある『血管内皮細胞』であるわけですので、血管を良好に保つためには・・・

 

『血管内皮細胞』をよい状態に保つことが重要である・・・と言えるわけですね。

 

では、『血管内皮細胞』を傷害するものには、どのようなものがあるでしょうか?

 

例を挙げますと・・・次にようになります。

 

1.高血圧

高血圧は、血管壁に継続的な圧力をかけることで、『血管内皮細胞』に物理的なストレスを与えることが知られています。

 

2.喫煙

タバコの成分、特にニコチンや酸化物質は、『血管内皮細胞』に有害で、炎症や酸化ストレスを引き起こします。

 

3.糖尿病

高血糖は、『血管内皮細胞』に傷害を与える可能性があり、その結果、動脈硬化やその他の循環器疾患のリスクが高まることが知られています。

 

そのほかには・・・

 

4.高LDL-C血症

5.酸化ストレス

6.内臓脂肪型肥満    

 

などとなります。

 

 

このうち、ひとつの例として、高 LDL-C(低密度リポタンパク質コレステロール)血症が『血管内皮細胞』に傷害を与えるメカニズムの詳細を見てみたいと思います。

 

高 LDL-C(低密度リポタンパク質コレステロール)血症とは、血中の

LDL-Cの濃度が異常に高い状態を指します。

 

この状態は、動脈硬化や冠状動脈疾患などの心血管疾患の主要なリスク因子とされていますよね

 

これを『血管内皮細胞』の 傷害という観点から考えると、どのようなメカニズムとして説明できるのでしょうか?

 

そのメカニズムは、以下のような過程によって引き起こされます。

 

 まず、高LDL-C血症により血中のLDL-C濃度が上昇すると、LDL-Cは『血管内皮細胞』の表面のLDL受容体に結合します。

 

この結合により、LDL-Cは『血管内皮細胞内』に取り込まれます。

 

LDL-Cは『血管内皮細胞』内でリソソームに蓄積され、酸化ストレスや炎症応答を引き起こす「酸化型LDL」に変化します。

 

「酸化型LDL」は、『血管内皮細胞』の細胞膜を損傷し、細胞内の

「酸化ストレス」を増加させます。

 

この「酸化ストレス」は、細胞内の酸化的ダメージや炎症応答を引き起こし、『血管内皮細胞』の機能を極端に低下させます。

 

これに加えて、上に示した炎症応答が引き起こされることになります。

この炎症応答とは、炎症性サイトカインやケモカインの産生が促進されることを示しています。

 

さらに、高LDL-C血症も『血管内皮細胞』の炎症応答を活性化させます。

 

これらのことにより、『血管内皮細胞』は、炎症性細胞接着分子(ICAM-1、VCAM-1など)の発現を増加させ、白血球の接着や浸潤を誘導します。

 

この白血球の浸潤は、炎症性細胞が『血管内皮細胞』に接触し、さらなる酸化ストレスや炎症応答を拡大させることになるわけですね。

 

 さらに、高LDL-C血症は、『血管内皮細胞』の一酸化窒素(NO)合成を抑制することが知られています。

 

一酸化窒素(NO)は、『血管内皮細胞』から放出される重要なシグナル分子であり、血管の拡張や血小板凝集の抑制など、血管の正常な機能を維持する役割を果たしていますので、これらの機能が喪失することになります。

 

上にあげたようなメカニズムで、「高LDL-C血症」は『血管内皮細胞』の機能低下や損傷を引き起こします。この結果、血管内皮細胞のバリア機能が低下し、炎症性細胞の浸潤や血小板の凝集が促進されるわけです。

 

が、・・・これで終わりではありません。

 

さらに続きがありまして、『血管内皮細胞』の損傷は、血管壁の線維化や平滑筋細胞の増殖を誘導し、動脈硬化を進行させていく・・・ということになるわけですね。

 

やれやれ・・・という感じで・・・とても長い、ややこしいストーリーではあるのですが・・・

 

高LDL-C血症は、『血管内皮細胞』の障害や機能不全を引き起こす多くのメカニズムを持っており、これが心血管疾患のリスクを増加させる主要な要因となっている・・とイメージを持ってもらえたら・・・と思います。

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

2. atherosclerosis. 2008 Mar;197(1):1-11.

Endothelial dysfunction:a key to the pathophysiology and natural history of peripheral arterial disiase?

Gregorio Brevettiら

 

3.Nature Review Immunology. 2006 Jul;6(7):508-19.

The immune response in atherosclerosis: a double-edged sword

Goran K Hannsonら

 

 (筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

あと10日余りで8月も終わるわけですが、残暑が厳しくなっていますね。

 

天気予報を見ますと、太平洋高気圧の勢力が強く、9月に入っても広い範囲で厳しい残暑が続く見込みなのだとか・・・。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

今回の話題は・・・癌細胞と正常な細胞の「テロメア」の違いについて、お話をしてみたいと思います。

 

その前に「テロメア」とは、どのようなものかを復習しておきたいと思います。

 

 

「テロメア」とは、染色体の末端に存在する繰り返し配列のことでしたね、

 

一般的には「TTAGGG」という6塩基の配列が数千回繰り返された形で存在しています。

 

「テロメア」は、染色体の安定性を保ち、細胞分裂時に染色体の情報が欠失することを防ぐ役割を果たしているとされています。

 

 

 

(図はお借りしました)

 

通常の場合、 細胞は有限の回数しか分裂することができません。

何回か細胞分裂を繰り返しますと・・・それ以上は分裂できないのですね。

 

この分裂回数の制限は、何が原因なのか?・・・と言いますと・・・

「テロメア」の長さが短くなることによって引き起こされるわけですね。

 

細胞が分裂するたびに「テロメア」は短くなります。「テロメア」がある程度短くなると、細胞は分裂を停止し、老化現象が起こります。

 

このように、「テロメア」の短縮は細胞の寿命を制限する要因となっているわけですね。

 

これを「ヘイフリックの限界」と呼びます。

 

これは、1965年に「ヘイフリック」という科学者が、ヒト正常細胞の分裂回数は有限であると発表したからということになります。

 

DNAは細胞分裂ごとにその末端にあるテロメア配列を約50から100 bp ずつ短くし、ヒトではその長さが5-6 kbp の長さになると分裂ができなくなります。

 

ヒト体細胞の場合、生まれたばかりのときの「テロメア」DNAの長さは8~12Kbp(bpは1塩基対)ほどあるわけですが、年齢が高くなるにつれその長さは短縮する傾向があり、また、テロメアDNAが5Kbpほどになると、それ以上の分裂はできなくなるのですね。

 

 

 

細胞分裂が停止した細胞は、「老化細胞」になったり、「細胞死(アポトーシス)」を起こすわけですね。

 

いずれにしても、正常な細胞機能は、喪失(そうしつ)してしまうわけです。

 

  これらのことから・・・「テロメア」は「命の回数券」などと呼ばれたりもするわげです。

 

それでは、癌細胞の「テロメア」は、どのようになっているのでしょうか?

 

以下では、癌細胞と老化細胞のテロメアに関する違いについて詳しく説明してみたいと思います。

 

 1. テロメアの長さ

 

 癌細胞では、テロメアは通常、正常な細胞よりも長く保たれています。これは、癌細胞が無制限の細胞分裂能を持ち、不死化しているためです。

 

癌細胞は「テロメア」の短縮を防ぐために、『テロメラーゼ』と呼ばれる酵素を活性化させ、テロメアを延長することができます。

 

一方、正常細胞では、「テロメア」は、細胞分裂の回数が増えるにつれて、テロメアが減少していくためであることは、先にお話をしたとおりです。

 

2. テロメアの損傷応答

 

癌細胞では、「テロメア」の損傷に対する応答に異常が起きていると考えられています。

 

通常の細胞の場合は、「テロメア」が損傷すると、細胞は細胞周期の停止やアポトーシス(細胞死)を引き起こす防御機構を持っています。

 

しかし、癌細胞では、これらの防御機構が欠如しているため、「テロメア」の損傷が細胞の増殖や生存に影響を与えません。

 

3. テロメアの制御機構

 

癌細胞では、『テロメラーゼ』と呼ばれる酵素が、「テロメア」を延長する役割を果たしています。

 

『テロメラーゼ』は通常、正常な細胞では発現が抑制されていますが、癌細胞では『テロメラーゼ』の活性化が見られるわけです。

 

 

つまり、癌細胞は『テロメラーゼ』と呼ばれる酵素の活性化があることから、無限の増殖能を持ち、テロメアの延長によって不死化するというわけですね。

 

ならば、正常細胞の『テロメラーゼ』を活性化させて、「テロメア」が短縮するのを防げば・・・細胞レベルの若返りが可能となるのではないか?・・・と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

答えは「No」なのですが・・・その理由については、後日の話題にしてみたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記 > 8月22日   

 

今回は、「命の回数券」とも言われる「テロメア」について、お話をさせていただきました。

 

テロメアが短くなり、それ以上の分裂が不可能となった細胞がどうなるのか?・・・を少しだけ、正確にお話ししますと・・・以下のようになります。

 

それ以上の分裂ができなくなった細胞は、「セネセンス」と呼ばれる状態に移行します。

 

「セネセンス細胞」は、「セネセンス関連分泌型(SASP: Senescence-Associated Secretory Phenotype)』と呼ばれる一連のサイトカイン、ケモカイン、成長因子などの分泌物を放出することは、以前のブログ内でもご紹介したとおりです。

 

「セネセンス細胞」とは、「老化細胞」のことでしたよね。

 

 

どうして、「老化細胞(セネセンス細胞)」の状態になるのかを詳細に見て見ますと・・

 

「テロメア」がある臨界点(ヘイフリックの限界)よりも短くなると、細胞はDNA損傷のサインを検知し、これを修復しようとします。

 

しかし、「テロメア」が十分に短くなった場合、この損傷は修復されず、細胞は分裂を永久に停止していくというわけですね。

 

ちょっと、「テロメア」の話題から、ちょっとそれてしまいますが・・・「老化細胞(セネセンス細胞)」がどのような運命をたどるかについて、お話をしておきたいと思います。

 

これには、以下の3つの運命をたどることになります。

 

1)そのまま、体内にとどまる

2)アポトーシス(プログラムされた細胞死)によって死滅する

3) 免疫系によって除去される

 

1)のパターンでは、「老化細胞(セネセンス細胞)」として、セネセンス関連分泌型(SASP)となり、近隣の細胞に障害を与えることになります。

 

3)では、「NK(ナチュラル・キラー)細胞」などの免疫細胞などによって、破壊されます。

 

 

「テロメア」に話を戻しますと・・・本文内でもご紹介したように「癌細胞」では、テロメアの長さを維持するための酵素「テロメラーゼ」が存在しています。

 

「癌細胞」では、「テロメラーゼ」の活性が高まることで、「テロメア」が短縮されるのを防ぎ、無限に細胞が分裂を続けることができるというわけですね。

 

下に示す図は、「癌細胞」の性質を示していますが・・・この中の

「無限増殖」や「細胞死(アポトーシス)回避」などの性質の一部は、癌細胞の「テロメアーゼ」の活性が高まっていることに関連があると考えられます。

 

       (癌細胞の特徴;図はお借りしました)

 

では、正常な細胞に「テロメアーゼ」が存在しないのかというと・・・そうでもなくて、「生殖細胞」や「幹細胞」においては、「テロメアーゼ」が活性化されていることが知られています。

 

それならば・・・正常細胞に遺伝子導入をして、「テロメアーゼ」を活性化することができれば、細胞レベルからの「不老不死」を実現できるのでは?・・・なんて、考えが浮かんだりしませんか?

 

実際には、このようにはならない・・・ようです。

 

「テロメアーゼ遺伝子」を「老化細胞」に遺伝子導入することで「テロメア」の長さを維持または再伸長させることは、技術的には可能であるように思います。

 

そのようにすれば、、細胞の分裂寿命は確かに延長される可能性があるのではないか・・・とも考えられています。

 

しかしながら・・・突然変異が累積(るいせき)しやすくなり、最終的には、癌化のリスクが高まる可能性が指摘されているのですね。

 

さらに・・「テロメア」の短縮は老化の一因ではあるのですが、細胞や組織の老化には他にも多くの要因(細胞内の蓄積物、ミトコンドリアの機能低下、酸化ストレスなど)が関与しているとされているのですね。

 

したがって、現時点では、「テロメア」の長さだけを修正しても、全体の「若返り」を達成するのは難しいと考えられているのですね。

 

 

たった、8~12KbpのDNA「テロメア」に運命を左右されているのは、少し悔しい(くやしい)感じも致しますが・・・ね爆  笑

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

1.Nature Medicine. 2006 ;12(10):1133-8

Telomeres and telomerase: the path from maize, Tetrahymena and yeast to human cancer and aging

Elizabeth H Blackburnら

 

2. Nature Review Genetics. 2019 May;20(5):299-309. 

Telomeres and telomerase: three decades of progress

Jerry W Shayら  など

 

 

 (筆者撮影)

 

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