こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

窓を開けて、外の音を聞いていますと・・・さまざまな鳥のさえずり

が聞こえています。

 

My favorite weather is bird chirping weather.

私のお気に入りの天気は鳥のさえずりだ

 

アメリカの作家、ハリエット・アン・ジェイコブズの言葉ですが、まさに休日の鳥のさえずりは、空が曇って(くもって)いても、快適に感じます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

                                            (AIで画像を作成)

 

今回は、善玉コレステロールと呼ばれる「HDL-C(エッチディーエル・コレステロール)』を話題にしてみたいと思います。

 

まず、「HDL-C」は、どのようなものであるかを

整理してみたいと思います。

 

「HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)」は、血中に存在するコレステロールの一種で、よく「善玉コレステロール」と呼ばれています。HDL-Cは血管内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ役割を持っており、「動脈硬化」の予防に役立つとされています。

 

「HDL-C」の主な機能と特徴を見てみますと・・・次のようなものになります。

  1. 血管壁からコレステロールを回収する
  2. 回収したコレステロールを肝臓へ運び、処理・排出する
  3. 抗酸化作用や抗炎症作用により血管を保護する
一般的に、「HDL-C」の値が高いほど心筋梗塞などの心臓疾患や脳梗塞などの脳血管障害のリスクが低くなるとされています。
 
では、「HDL-C」が低地であることは、どのように考えればよいのでしょうか?
 
 

(AIで画像を作成)

 

実は、「HDL-C」の低値は、さまざまな健康リスクと関連していると考えられています。以下にそのメカニズムを紹介したいと思います。

 

1)コレステロール逆転送の低下

 

「HDL」の主な機能は、末梢組織や動脈壁からコレステロールを肝臓へ運搬する「コレステロール逆転送」です。「HDL」の値が低いと、この機能が低下し、動脈壁にコレステロールが蓄積しやすくなると考えられています。

 

2.抗酸化作用の減弱

 

「HDL」には活性酸素を除去する「抗酸化作用」があります。

「HDL」が少ないと、「LDL(低密度リポタンパク質)」の酸化が進みやすくなり、酸化LDLが動脈壁に取り込まれて動脈硬化を促進します。

 

3.抗炎症作用の低下

 

「HDL」には炎症を抑制する作用がありますが、「HDL」が不足すると血管の炎症が進みやすくなります。この「炎症」は動脈硬化の進行を加速させると考えられています。

 

4.血管内皮細胞保護機能の低下

 

「HDL」は血管内皮細胞の機能を保護する作用がありますが、

「HDL」低値ではこの保護効果が弱まり、血管内皮細胞の機能障害を招き(まねき)ます。

 

5.血小板凝集抑制作用の減弱

 

「HDL」には血小板の凝集を抑制する作用があり、「HDL」が低いと血栓形成リスクが高まります。

 

上記にご紹介したように「HDL-C」の低値は、動脈硬化や「血管年齢」の高齢化、血栓形成、そして、「血管内皮細胞」の機能障害を起こす可能性があるのですね。

 

以前のブログ内でもご紹介したのですが・・・

 

「血管内皮細胞」は、一酸化窒素(NO)やプロスタサイクリンなどの血管拡張物質、およびエンドセリンなどの血管収縮物質を分泌して、血管の収縮や拡張を調節しています。

 

また、血液の凝固を抑制し、血栓形成を防ぐ(ふせぐ)という重要な機能を持っています。

 

「HDL-C」の低値は、このような重要な働きを持つ「血管内皮細胞」

も機能不全状態にしてしまうわけです。その他にも、動脈硬化や「血管年齢」の高齢化を起こしてしまうわけですね。

 

ところで、上記の文章内で、「HDL(高密度リポタンパク質)』と書いたわけですが・・・HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)との違いは、どのようなものなのでしょうか?

 

その答えは・・・以下のようなものになります。

 

「HDL」は血液中に存在するリポタンパク質の一種で、タンパク質とさまざまな脂質(コレステロール、リン脂質、トリグリセリドなど)で構成される粒子そのものを指します。

 

これは血液中でコレステロールなどの脂質を運ぶ「運び屋」の役割を果たしています。

 

一方、「HDL-C」は特に「HDL」に含まれるコレステロール成分のみを指します。つまり、「HDL-C」は高密度リポタンパク質によって運ばれるコレステロールの量を測定した値です。

 

医療検査では通常、「HDL-C」の値が測定されます。

 

これは血中の「HDL」が運んでいるコレステロールの量を数値化したもので、心血管疾患のリスク評価において重要な指標となっています。

簡単に言いますと・・・

  • HDL:リポタンパク質の粒子そのもの(運び屋)
  • HDL-C:HDLによって運ばれているコレステロールの量(積荷の一部)

健康診断の結果表では、HDL-Cと表記されることが多いですが、これらは同じものを指しています爆  笑


健康診断のデータでは、「LDL-C(悪玉コレステロール)」や「TG(中性脂肪)」ばかりが注目をされるわけですが、「HDL-C」にも注目していく必要があるのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月22日

 

今回は「HDL-C」について、お話をさせていただきだきました。

 

低HDL-C血症は、血液中の「HDLコレステロール」の値が基準値より低い状態を指します。一般的に男性では40mg/dL未満、女性では

40mg/dL未満の場合に「低HDL-C血症」と診断されます。

本文内でもご紹介したように「低HDL血症」は、心血管リスクを高める重要な因子であり、生活習慣の見直しなどが必要になると考えられています。

 

「低HDL血症」に対しては、まず生活習慣の改善が推奨されます。特に有酸素運動や飽和脂肪酸の摂取制限、オメガ3脂肪酸の摂取が効果的とされています (参考1)

 

 

薬物治療では、以前は、「ナイアシン」や「フィブラート系薬剤」がHDL上昇効果を示すとされていましたが、

大規模臨床試験(AIM-HIGH試験など)が施行された結果、

約3年間の追跡期間中に高コレステロール血症に対して強力な改善作用を持つ「スタチン療法」に「ナイアシン」を追加しても、HDLコレステロール値とトリグリセリド値が著しく改善したにもかかわらず、臨床的利益の増加は認められなかった( AIM-HIGH ClinicalTrials.)

という結果がありました。(参考2)。

 

「フィブラート系薬剤」についても同様の結果であり、 近年は

「HDL-C」の量よりも、質・機能が注目されるようになりました。

 

また、Madsenらの研究(2017)では、「HDL-C」が高くても、「LDL-C」値が高い場合には心血管疾患のリスクは減少しないことが明らかにされました (参考3)

 

 

一方で、「HDL-C」の値が高ければ、常に「動脈硬化」のリスクが低いとは限らないという認識も重要です。研究対象者は心血管疾患の既往歴や重篤な合併症がな合計631,762人を対象としたもので、

HDL-C」 値が高い人 (男性では 70 mg/dl 以上、女性では 90 mg/dl 以上) は、非心血管疾患による死亡の危険性が高まったことか分かった(参考4)というのですから、この結果には少し驚きます。

 

この理由は「HDL-C」のすべてが「LDL-C」の運び屋ではないため「HDL-C」が多すぎても逆に「動脈硬化」が進むという理由や以下のような理由があるのだそうです。

 

1.機能不全のHDL-Cの存在

 

 高HDL-Cを持つ患者は、機能不全のHDLを持っている可能性があります。これは、HDLが通常の保護機能を果たさず、逆に心血管疾患のリスクを高める可能性があることを示唆しています。

2.非従来型のリスク因子

 

高HDL-Cを持つ人々は、従来のリスク因子では認識されない非従来型のリスク因子を持っている可能性があります。これにより、心筋梗塞などの「虚血性心疾患(IHD)」のリスクが高まることがあります

 

3.コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性の低下

 

高HDL-Cを持つ人々は、LCAT活性が低いことが多く、これも「虚血性心疾患(IHD)」関連しています。LCATはHDLの機能に重要な役割を果たしており、その活性が低いとHDLの保護効果が減少する可能性があります(参考4)


 

なんのこっちゃ・・・となるわけですが、上記に記載してきた内容から、「低HDL-C血症」は心血管リスクを高める重要な因子であり、生活習慣の見直しや全身性の代謝改善が求められるのは事実です。

 

しかしながら、「HDL-C」は「高ければ良い」という単純な指標ではなく、その質や他の脂質パラメータ(特にLDL)と合わせて総合的に評価する必要があるということが、最新の国際的な知見となるそうです。

 

実際に・・・LDL-C-C/HDL-C比率は、冠動脈疾患や脳卒中の予後、心血管疾患の重症度評価において重要な指標です。特に高い比率は、心血管疾患のリスク増加と関連しており、予防や治療の指標として有用である可能性があると考えられています。

 

軽い気持ちで、善玉コレステロールである「HDL-C」のお話をしようと思ったわけですが・・・それをまとめるのは、案外(あんがい)、

難しいものでしたえーんえーんえーんえーん笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

ここから、「NMN」や「NAD+」の投与が「HDL-C」のバランスを保つという話にもっていきたかったのですが・・・

興味深い文献がありました。その内容は、以下のようなものです。

 

複数の研究によると、NAD+前駆体(NAD+を体内で生成するための物質)の投与は、HDL-コレステロール値を有意に増加させる効果があることが示されています。2021年2月までに実施された40件の臨床試験のメタ分析では、NAD+前駆体の補充はHDL-C値を顕著に増加させることが示されたというものです。

 

これらのお話は、また、別の機会にお話をしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

【参考文献】

 

1)Rev Cardiovasc Med. 2021 Dec 22;22(4):1523-1533.

Effects of aerobic, resistance, and combined exercise on metabolic syndrome parameters and cardiovascular risk factors: a systematic review and network meta-analysis

Minyu Liangら

 

2)New Engl J Med. 2011 Dec 15;365(24):2255-67.

Niacin in patients with low HDL cholesterol levels receiving intensive statin therapy

William E Bodenら

 

3)J Am Coll Cardiol. 2016 Nov 8;68(19):2073-2083.

High-Density Lipoprotein Cholesterol and Cause-Specific Mortality in Individuals Without Previous Cardiovascular Conditions: The CANHEART Study

Dennis T Kgら

 

4)Clin Chem. 2010 Jul;56(7):1128-37.

High pre-beta1 HDL concentrations and low lecithin: cholesterol acyltransferase activities are strong positive risk markers for ischemic heart disease and independent of HDL-C

Amar A Sethiら

 

image

(メズム東京 デッキからの風景)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

4月半ば(なかば)近くの休日の午後となっています。

朝から、シトシトと雨が降っています。

 

今日4月13日(日)は満月だそうで、また、4月の満月は英語圏の国々では、「ピンクムーン」と呼ばれるそうです。

 

「ピンクムーン」は、『恋愛運を上げる』や『好きな人と結ばれる』といった、恋愛にまつわるジンクスがあるそうですが、残念ながら

関東では、それを見ることができなさそうですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

(AIで画像を作成)

 

今回の話題は「老化細胞」の除去(じょきょ)について、お話をしてみたいと思います。

 

「老化細胞(senescent cells)とは、細胞分裂を永久的に停止し、特殊な表現型へと変化した細胞でしたね。

細胞分裂を永久的に停止した理由は、「テロメア」がある一定の短さに達すると分裂は起こらなくなるという理由がありましたね。

 

最近では、「テロメア」の短縮の進行には外的要因も影響することが分かっています。

例えば、過剰栄養が「高コレステロール血症」等を起こして「動脈硬化」を増悪させることにより、寿命を短くするは知られていますが、

 

「テロメア」に関しても、細胞分裂が短時間に起こるためにその短縮が早まることが確認されています。生活習慣(高コレステロールの食事等)を改めることで、元の細胞の寿命をある程度維持できると考えられています。

 

他にも「老化細胞」が産生されるケースがあります。

テロメア短縮がなくても老化細胞は生成されるわけですね。

 

では、どのような場合にテロメア短縮なしで「老化細胞」が作られるのでしょうか?

 

それには、以下のようなメカニズムがあります。

 

1) DNA損傷(放射線、化学物質など)

2)酸化ストレス(活性酸素種の過剰生成)

 

3) 代謝ストレス(栄養過多など)

4)がん遺伝子誘導性老化(OIS: Oncogene-Induced Senescence): 

 

4)は、RAS遺伝子やRAF遺伝子などの「発がん遺伝子」の異常な活性化によって誘導されます。これは『癌の抑制機構(よくせいきこう)として機能するわけです。

 

つまり、「老化細胞」は、テロメア短縮、DNA損傷、酸化ストレス、発がん遺伝子の活性化などの様々な要因によって誘導されるわけですね。

癌細胞の約85-90%では『テロメラーゼ(テロメアを伸長する酵素」が活性化しています。正常な体細胞ではテロメラーゼは基本的に不活性ですが、癌細胞では「hTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)遺伝子」の発現が再活性化し、テロメアの長さを維持・延長します。

 

ならば、正常細胞に「hTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)遺伝子を導入して、それを活性化させれば「老化細胞」はなくなるんじゃないか?・・・とおっしゃる方がいるわけですが・・・これでは、DNA損傷やがん遺伝子が活性化され「癌細胞」になる可能性のある細胞までも甦らせて(よみがえらせて)しまうわけですから、

「老化細胞」は消滅(しょうめつ)させる方がよい・・・ということになるわけですね。

 

「老化細胞」は、若い時には組織修復やがん抑制に重要な役割を果たしますが、加齢とともに蓄積し、周囲の健康な細胞や組織に悪影響を及ぼします。

これは主に老化細胞が分泌する「SASP」が慢性炎症を引き起こし、組織の機能低下や様々な老化関連疾患(関節炎、動脈硬化、糖尿病など)の発症・進行に関与するとされているのですね。

 

 

(AIで画像を作成)

 

近年は、老化細胞を選択的に除去する「セノリティクス」と呼ばれる治療法の研究が進んでおり、老化関連疾患の新たな治療戦略として期待されているのですね。

 

では、「老化細胞」が除去された後、その組織は、どのような変化が起きると考えられているのでしょうか?

 

多くの組織では、周囲の健康な「幹細胞」や「前駆細胞」が活性化され、失われた細胞を補充するプロセスが自然に始まると考えられています。

また、「老化細胞」の除去により、「SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype)」と呼ばれる炎症性因子の分泌が減少し、周囲の微小環境が改善されることで、組織の自然な再生能力が促進されることが多いと考えられています。

 

しかし、これは、細胞密度が高く、少数の老化細胞が除去されても、残りの健康な細胞が機能を維持できる場合に限るということになります。

 

ただし、大量の「老化細胞」が一度に除去された場合や、再生能力が低下した高齢者の組織では、細胞の「補充メカニズム」が十分に機能しない可能性が出てくるわけです。

 

以前のブログでもお話をしましたが・・・

 

大量の「老化細胞」が一度に除去され、かつ再生能力が低下した高齢者の組織で細胞の補充メカニズムが十分に機能しない場合、以下のような問題が生じる可能性があると考えられています

 

1)組織構造の脆弱化

 

老化細胞は組織内で構造的な役割を果たしていることがあり、急激な除去により組織の構造的完全性が損なわれる可能性があります。

特に高齢者では新しい細胞による置換が遅いため、この問題が長期化することがあります。

 

2) 機能的細胞の減少

十分な補充がなければ、その組織や臓器の機能細胞総数が減少し、機能低下につながります。

 

3)創傷治癒の遅延

老化細胞は炎症性であるものの、組織修復プロセスの初期段階で一定の役割を果たします。高齢者の再生能力低下と相まって、創傷治癒(

そうしょうちゆ)が遅延する可能性があります。

 

4)免疫監視の変化

老化細胞の急激な除去は局所的な免疫環境を変化させ、特に高齢者では免疫バランスの乱れを引き起こす可能性があります。

 

組織特異的な障害を見てみますと・・・

  • 肝臓:肝再生能力の低下による肝機能不全
  • 皮膚:表皮の薄化や皮膚バリア機能の低下
  • 骨:骨量減少や骨折リスクの増加
  • 血管:血管壁の弱体化とそれに伴う出血リスク

このような問題があるために、現在の「老化細胞除去(セノリティクス)研究」では、これらのリスクを最小化するために、急激な除去ではなく段階的・選択的な除去や、組織再生を同時に促進する併用療法などが検討されています。

 

組織再生を同時に促進する併用療法が、「(間葉系)幹細胞」の投与

や間葉系幹細胞由来のエクソソームの投与と考えられているのですね。

 

本当に「(間葉系)幹細胞」の投与や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の投与が「老化細胞除去」の細胞補充に機能するのでしょうか? 

答えは「Yes」なわけですが、続きは次回の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月15日

 

今回の話題は「老化細胞」を破壊する際のお話をさせていただきました。

 

もちろん、ヒトにおける大規模な臨床研究はまだ限られていますし、

長期的な有効性のデータが不足しているのも事実です。

 

しかしながら、「老化細胞」を完全に消滅させることができる日は、それほど、遠い未来ではないと考えられています。

そして、仮に(かりに)それが実現すると、次のようなことが起こることが予想されています。

  • 慢性炎症の減少(炎症性サイトカインによる「炎症老化」の軽減)
  • 組織の線維化の抑制
  • 幹細胞機能の回復促進
  • 組織の再生能力の改善

そして、マウスなどの動物モデルでは、「老化細胞除去」により「健康寿命」などが延長することが示されているばかりでなく、

加齢に伴い発症する疾患(糖尿病、心血管疾患、神経変性疾患など)の発症や進行スピードを抑制することが報告されています(参考1)。

 

こうした分野は、急速に発展しており、ヒトへの応用も可能である可能性が高いと考えられているのですね、

「セノリティクス(老化細胞を標的とした薬剤)」の開発や臨床応用が進められているというのが、現状となります。

 

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、老化細胞表面の異常な分子パターンを認識(にんしき)するとされています。

 

ちょっと難しく感じるかもしれませんが・・・具体的には、主に「NKG2D受容体」が、老化細胞上の「ストレス誘導性リガンド(MICA、MICB、ULBPsなど)」や「老化細胞」に特有のDAMP(Damage-Associated Molecular Patterns)を認識し、老化細胞を破壊することが分かっています(参考2)

 

「NKG2D受容体」は、NK細胞のみに発現しているわけではない・・・というと話がややこしくなるので、やめておきますね。

 

では・・・「老化細胞」を破壊した後に組織障害を起こさないために

どうするか?・・・ということになるのですが・・・これは、本文内でも触れた(ふれた)ように・・・自分自身の脂肪から採取した「間葉系幹細胞」の補充(ほじゅう)や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」がよいのではないか・・・という報告が多いのですね。

 

老化細胞の除去において、「間葉系幹細胞(MSC)」が存在する場合、いくつかのメリットがあります。特に、「間葉系幹細胞(MSC)」による若返りや「老化細胞」の除去が、再生医療における治療効果を高める可能性があることが報告されています。

それは、次のような理由があげられています。

 

1.再生能力の向上

 

 「間葉系幹細胞(MSC)」は、多能性を持ち、自己再生や分化能力があるため、老化細胞の除去後に組織の再生を促進することができます(参考3,4)

 

2.免疫調節効果

 

MSCは免疫調節機能を持ち、炎症を抑制することで、老化細胞の除去後の組織環境を改善します(参考5)

 

3) 老化細胞の除去と若返り

 

老化したMSCを除去または若返らせることで、治療効果を向上させることができます。例えば、CD26の抑制により、MSCの老化を遅らせ、治療効果を高めることが示されています(参考6)

 

というように・・・細胞の除去において、間葉系幹細胞(MSC)が存在する場合、いくつかのメリットがあります。特に、MSCの若返りや老化細胞の除去が、再生医療における治療効果を高める可能性があることが報告されているのですね。

 

間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームについても、また、違った機序で、老化細胞の除去と併用することの有用性が報告されているのですが、これは、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Nature Med.. 2018 Aug;24(8):1246-1256. 

Senolytics improve physical function and increase lifespan in old age 

MIng Xuら

 

2)Aging(Albany NY). 2016 Feb;8(2):328-44.

NKG2D ligands mediate immunosurveillance of senescent cells

Adi Saglyら

 

3)Front Cell Dev Biol.. 2020 Jun 3:8:364.

Mesenchymal Stem Cell Senescence and Rejuvenation: Current Status and Challenges

Xueke Zhoulら

 

4)Front Cell Dev Biol.2021 Nov 25:9:772476.

Editorial: Mesenchymal Stem Cell Senescence and Rejuvenation

Yuelin Zhangら

 

5)Biology (Basel). 2022 Nov 18;11(11):1678.

Aging and Mesenchymal Stem Cells: Basic Concepts, Challenges and Strategies

Maria Fraileら

 

6)Front Cell Dev Biol. 2020 May 5:8:258.

 Senescence in Mesenchymal Stem Cells: Functional Alterations, Molecular Mechanisms, and Rejuvenation Strategies

Jing Liuら

 

(桜の季節の東京タワー)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

先ほどまで、雨が降っておりましたが、それも止んで、明るい陽射し

が戻っています。

 

雨の後の桜や木々の緑は、とても鮮やか(あざやか)なものに感じますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    


 

(AIで画像を作成)

 

4月に入り、新しい生活にやる気が満ち溢れ(あふれ)ている・・・方も多いかもしれませんね。

 

その反対に・・・春が来たというのに仕事や生活にやる気が湧かない(わかない)という方もいらっしゃるかもしれませんね。

そのような方は、まず、「肥満」を解消してみる・・・というのは、いかがでしょうか?

 

「肥満」と「うつ傾向」になぜ、関係があるのか?・・・と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、国立精神・神経医療研究センターの研究によると、うつ病群ではBMI30以上の肥満の割合が1.61倍も多いという結果があるそうです。

 

というわけで、今回の話題は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化は、「肥満」の解消につながる可能性がある・・・というお話をしてみたいと思います。

 

実は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化と「肥満」の予防効果については、「可能性」というよりは、かなり、そうであることが証明されていることなのですね。

 

では、なぜ、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化が「肥満」を解消するのでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

 

その理由には、複数の重要なメカニズムが関与していると考えられています。

 

1. 脂肪代謝の促進

  •  脂肪酸酸化(脂肪燃焼)を促進します
  •  PPARα(脂肪酸代謝の調節因子)の活性化を介して脂肪分解を増加させます
  •  肝臓での脂肪合成を抑制します
 
「脂肪酸酸化」とは、体内で脂肪酸をエネルギー源として分解・利用するプロセスです。一般的に「脂肪燃焼」とも呼ばれるこの代謝過程は、主にミトコンドリア内で行われます。
「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化がないとしても、絶食や低炭水化物食時や長時間の有酸素運動でも「脂肪酸酸化」は起こるのですが、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化している状況では、同様の状況になりやすくなるということになりますね。

 

 

2. ミトコンドリア機能の向上

  • PGC-1αの活性化によりミトコンドリアの数と機能を増加させます
  • エネルギー消費量(基礎代謝)が上昇します
  • 褐色脂肪組織の活性化により熱産生が増加します

PGC-1αは、ペルオキシソームプロリフェレーター活性化受容体γ共役因子1αというものでして、エネルギー代謝に関わる遺伝子の発現を調節する転写コアクベーターというもので、ミトコンドリアの生合成を促進し、筋繊維の分化を調節する役割を担って(になって)いるとされています。

 

3. インスリン感受性の改善

  • インスリンシグナル伝達を強化します
  • 筋肉や肝臓での糖取り込みを促進します
  • 血糖値の安定化に寄与します

インスリン感受性の低下とは、体の細胞がインスリンホルモンの作用に対して反応が鈍くなる状態のことですので、「糖尿病」になりやすくなりますね。そして、インスリン感受性の増加は「糖尿病」の状態改善につながります。

 

4. 脂肪細胞の分化調節

  • 白色脂肪細胞の分化を抑制します
  • 褐色様脂肪細胞(ベージュ細胞)への変換を促進します
  • 内臓脂肪の蓄積を減少させます
白色脂肪細胞と褐色様脂肪細胞の違いは、以前にブログ内でお話をしたかもしれませんが・・・白色脂肪細胞の機能は、エネルギー貯蔵が主な役割で、アディポカインを分泌することが特徴であるのに対し、

褐色様脂肪細胞では、熱産生が高く、エネルギー消費型の代謝に関与していることが知られています。

 

「アディポカイン」とは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称で、肥満や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に関わっていましたよね。

 

5. 炎症反応の抑制

  •  肥満に伴う慢性炎症を軽減します
  •  炎症性サイトカインの産生を抑制します
  •  マクロファージの活性化を調節します

6. 食欲調節

  • 視床下部での食欲調節系に影響を与えます
  • レプチン感受性を改善し、満腹感を強化します
 
レプチン感受性とは、脳(主に視床下部)や末梢組織が、「レプチン」のシグナルにどれだけ適切に反応できるかという能力を指しますね。
 
正常なレプチン感受性を持つ人では、体脂肪が増加するとレプチン濃度が上昇し、それが脳に食欲を抑え、エネルギー消費を増やすよう指示します。
肥満者の多くは血中レプチン濃度が高いにもかかわらず、その作用が十分に発揮されない「レプチン抵抗性」の状態にあります。これをレプチン感受性の低下状態と呼びますね。

 

これらの作用により、SIRT1の活性化は脂肪燃焼の促進、脂肪蓄積の抑制、インスリン感受性の改善、そして肥満関連の慢性炎症の軽減に寄与します。レスベラトロールなどのSIRT1活性化物質やカロリー制限が肥満対策として注目される理由はここにあるのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月8日
 

都内の桜は、ほぼ、満開になっているようです。

今回は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」を活性化させることが、肥満の解消につながる可能性がある・・・というお話をさせていただきました。

 

そして、その作用は「肥満」の解消だけではない・・・というお話もしておきたいと思います。少し整理をしますと、次のようになります。


「NMN(ニコチンアミド モノヌクレオチド)」や「NAD+(ニコチンアミドジヌクレオチド)」の投与を行うと、「サーチュイン遺伝子」が活性化され、ミトコンドリアでの「ATPの産生」が高まりますね」。

 

サーチュイン(Sirtuin)遺伝子は、「長寿遺伝子」と呼ばれるもので
7つある「サーチュイン遺伝子」から作られる「サーチュインタンパク(SIRT1-7)」は、細胞内のさまざまな生物学的プロセスに関与していることが知られています。

 

例えば、酸化ストレスに対する応答、エネルギー代謝、老化、細胞の生存と死、DNA修復、炎症応答など、多岐(たき)にわたる機能を持っているのですね。

また、最近では次のようなことも知られています。

「サーチュイン遺伝子」は、細胞内の酸化ストレスと抗酸化シグナルの重要な調節因子として機能します。

 

例えば、SIRT1、SIRT3、SIRT5は、活性酸素種(ROS)から細胞を保護し、SIRT2、SIRT6、SIRT7は酸化ストレスに関連する遺伝子やメカニズムを調節することが分かっています。

このなかでも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」最も注目されていると言ってもよいかもしれません。

以前にもブログ内でご紹介したことがあるかもしれませんが、「サーチュイン1遺伝子(SIRT 1)」は、「サーカディアンリズム(概日リズム)の調節において中心的な役割を果たし、「時計遺伝子」の発現を調整していることが知られています(文献1)。

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、癌の増殖を抑制するという報告もあります。

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性化されますと、「Th17細胞」という種類の細胞が減少し、腫瘍内の血管新生が抑制される・・・が働くと考えられてるのですね。
腫瘍内に新しく作られる血管は、癌組織に栄養を運ぶ血管ですので、これが減少すれば、癌細胞の増殖が抑制されるというわけです(文献2)。

 

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化すると、癌に対する「細胞障害性 T 細胞(CTL)」の浸潤の免疫効果が増加するという報告もあります(文献3)。

 

癌以外にも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、代謝、内分泌機能、免疫反応などのさまざまな生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしており、さまざまな疾患における薬理学的および自然な調節の有望なターゲットとなっていることも報告されています(文献4)。

例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、DNA損傷応答の調節において多面的な役割を果たし、この機序として、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、ヒストンと非ヒストンの両方の標的を「脱アセチル化」することで DNA 修復に重要な役割を果たすことも報告されています(文献5).


また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」血管内皮細胞の機能維持において多面的な役割を果たし、酸化ストレスの抑制、血管の老化防止、血管新生の調節、血管の弛緩促進、炎症反応の抑制を通じて、心血管の健康を支えています。

 

これらの機能は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」心血管疾患の予防や治療において重要なターゲットとなる可能性を示しています。

 例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、他の分子を調節して相互作用することで血管の老化を防ぎ、血管機能を促進し、心血管疾患を促進する内皮細胞の老化を防ぐ上で重要な役割を果たすことが報告されいます(文献6)

その逆に、動物実験ラットによる報告ではありますが・・・「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性を低下させると・・・

その結果は、「血管内皮細胞」の機能障害を引き起こし、血管壁における 「活性酸素種( ROS )no産生を増加させて、血管老化の病態を引き起こすと報告されています(文献7)

 

このように「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、「肥満」を改善させるばかりでなく、DNAの修復、免疫力の向上、内分泌機能の調整、「血管内皮細胞」の機能改善などによる「動脈硬化」の改善にもつながる可能性があるものと考えられるわけですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)
1)Cell. 2008 Jul 25;134(2):317-28.
 SIRT1 regulates circadian clock gene expression through PER2 deacetylation
Gad Asherら

 

2)Cell Rep. 2017 Apr 25;19(4):746-759.
Sirtuin-1 Activation Controls Tumor Growth by Impeding Th17 Differentiation via STAT3 Deacetylation
Emeric Limagneら

 

3.)Br J Dermatol. 2025 Feb 18;192(3):481-491.
Spatial proteomics reveals sirtuin 1 to be a determinant of T-cell infiltration in human melanoma
Jan-Malte Plackeら

 

4)4)Front Cell Dev Biol. 2020 Nov 19:8:589016.
 The Versatility of Sirtuin-1 in Endocrinology and Immunology
Fahmida Rashaら

 

5)Int J Mol Sci. 2019 Jun 28;20(13):3153.
The Role of SIRT1 on DNA Damage Response and Epigenetic Alterations in Cancer
Débora Kristina Alves-Fernandesら

 

6)Cells. 2024 Sep 1;13(17):1469.
The Multifaceted Role of Endothelial Sirt1 in Vascular Aging: An Update
Roberto Campagnaら

 

7).Biochem Pharmacol. 2013 May 1;85(9):1288-96.
SIRT1 inhibits NADPH oxidase activation and protects endothelial function in the rat aorta: implications for vascular aging
María José Zarzueloら

 

 

(東京ガーデンテラス紀尾井町の桜)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

3月最後の休日の午後になっています。

暦をみますとその七十二候は「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」となっています。

その意味は、冬の間鳴りを潜めていた雷が春の訪れを告げるように遠くの空で鳴り始める頃なのだそうです。

 

「春雷(しゅんらい)」とは、ひょっとして、今頃からの季節の雷(かみなり)をそう呼ぶのか?・・・と調べたところ、「春雷」は、

「立春(りっしゅん)」から「立夏(りっか)頃までに発生する雷で、「春雷」は、春の到来を伝えるともいわれるそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

(AIで画像を作成)

 

今回は「動脈硬化(どうみゃくこうか)」は、改善するか?という話題をとりあげてみたいと思います。

 

「動脈硬化」とは、動脈血管壁が厚く硬くなり、弾力性を失っていく慢性的な病態を指しますよね。

 

さらに細かく言いますと

 

1.内膜の肥厚

血管内膜にコレステロール、脂質、細胞残骸などが蓄積(ちくせき)する。

 

2.中膜の変性

血管壁の弾性繊維(エラスチン)が減少し、硬化する

 

3.プラーク形成

脂質コア、炎症細胞、平滑筋細胞などからなる隆起性病変の形成

 

4.石灰化

進行した病変では血管壁にカルシウム沈着が起こる

 

などのことが生じるとされています。もちろん、これらのことが改善せずに進行すれば・・・冠動脈閉塞による「心筋梗塞(しんきんこうそく)」、脳動脈の閉塞(へいそく)や破綻(はたん)による「脳梗塞(のうこうそく)」や脳出血が生じるリスクが高くなりますよね。

 

もちろん、「動脈硬化」の初期(しょき)には、無症状であることが多いものの、進行すると重篤な(じゅうとく)な循環器疾患や脳血管障害の原因となります。

 

この「動脈硬化」を改善することは、可能である(かもしれない)・・・と聞くと驚く方もいらっしゃるかもしれません。

 

なぜなら、これまでの常識(じょうしき)では、飽和脂肪酸や精製炭水化物を減らし、不飽和脂肪酸、食物繊維、抗酸化物質を含む食品を増やす(地中海式食事など)食事療法や

週に150分以上の中等度有酸素運動(ウォーキング、水泳など)を定期的に行うこと、そして、禁煙、内臓脂肪型肥満の解消、アルコール摂取の制限が必要と言われてきたからですね。

 

これらを守ることが「動脈硬化」の進行を食い止めることができる・・・というわけです。

もちろん、これらのことは重要であることに変わりはありません・

 

(AIで画像を作成)

 

しかしながら、進行を食い止める・・・と言われても、漠然(ばくぜん)としており、心のモヤモヤ感が残っていたのは、私だけではないはずです。

 

最近になり、「動脈硬化」を改善することは可能なのではないか?・・・という考え方が出てきているのですね。

 

どのようにして、「動脈硬化」を改善することができるのでしょうか?

それは、「血管内皮細胞」の機能を改善することで、動脈硬化を改善することは可能ではないか・・・とする考え方なのですね。

 

(図はお借りしました)

 

確かに血管の内側を覆って(おおって)いる「血管内皮細胞」の障害(内皮機能不全)は動脈硬化の進行において極めて重要な役割を果たして(はたして)いることが知られています。以前にもブログ内でご紹介したかもしれませんが・・・

「血管内皮細胞」の障害が動脈硬化を進行させるメカニズムは、次のようになります。

 

  1. バリア機能の喪失:
    • 健常な「血管内皮細胞」は、血液成分と血管壁の間のバリアとして機能し、この障害により、LDLコレステロールの血管壁への侵入と蓄積が促進される
  • 血管調節機能の障害:
    • 一酸化窒素(NO)産生の減少により血管弛緩能が低下し、内皮由来収縮因子(エンドセリンなど)の産生増加する。このことが、血管トーヌスの異常をもたらし、高血圧を悪化
  • 炎症反応の促進:
    • 接着分子(VCAM-1、ICAM-1など)の発現増加
    • 単球/マクロファージの内膜への侵入と泡沫細胞化
    • 炎症性サイトカインの産生増加
  • 血栓傾向の亢進:
    • 抗血栓性表面の喪失
    • 組織因子などの凝固促進因子の発現
    • 血小板活性化と凝集の促進
  1. 血管平滑筋細胞への影響:
    • 平滑筋細胞の増殖・遊走を制御する因子のバランス崩壊
    • 中膜から内膜への平滑筋細胞の移動と増殖促進
  2. 酸化ストレスの増加:
    • 活性酸素種(ROS)の産生増加
    • LDLの酸化修飾促進
    • 抗酸化防御機構の機能低下

これらの変化が相互に作用し合って、動脈硬化プラークの形成と成長を促進します。そのため、「血管内皮細胞」の機能保護と改善は動脈硬化予防の重要な治療標的となっています。

 

では、どのような方法が「血管内皮細胞」の機能を改善する可能性が指摘(してき)されているのでしょうか?

 

現在、注目されている方法は、次のようなものです。

 

A)運動療法

 

特にストレッチング運動は、「血管内皮細胞」機能を改善し、動脈硬化の予防に寄与することが示されています..

 

B)薬物療法と栄養補助

 

ビタミンCや抗酸化物質、l-アルギニンなどの栄養補助は、内皮機能を改善し、動脈硬化のリスクを低減する可能性が指摘されています。

 

C)サーチュイン1(SIRT1)遺伝子の活性化

 

サーチュイン1(SIRT1)遺伝子は、多様な生物学的機能を持つNAD+依存性脱アセチル化酵素をコードしていますが、一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化により、血管内皮細胞の機能改善すると考えられています。

 

D)幹細胞療法

 

「幹細胞療法」は、「血管内皮細胞」の修復を促進し、血管の機能を回復させる可能性があることが報告されています。

血管内を循環する「間葉系幹細胞」が血管の損傷を修復し、「血管内皮細胞」の機能を改善することが示されています。

 

とくにD)の幹細胞治療が「血管内皮細胞」の機能を改善させる・・・という話には、驚く方も多いと思うのですが、「血管内皮細胞」を正常化させる手段として、最も有望(ゆうぼう)と考えられているのですね。

 

続きは・・・後日の話題にさせていただきたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月1日

4月になったわけですが、関東甲信地方の平野部では冷たい雨が降り、東京都心では真冬並みの厳しい寒さとなっていますね。

今回は「動脈硬化」は改善するかもしれない・・・というお話をさせていただきました。
以前のブログでご紹介したことがありますが、「動脈硬化(どうみゃくこうか)」は、加齢とともに進行する血管の状態変化です。
どのような変化が起こるのか?・・・と言いますと、血管の内壁に脂質(特にコレステロール)が蓄積し、血管が硬く狭くなる状態ということになりますね。

加齢によって起こる血管の変化は、以下のようなものになります。

1)血管の弾力性の低下
2)細胞修復機能の低下
3)慢性的な軽度の炎症状態
4) 酸化ストレスの増加


「血管」は、皮膚の真皮層や各臓器に網(あみ)の目のように広がっていて、1人のヒトの血管の総延長距離は約10万キロメートル(約100,000km)と言われています。これは地球を2周半近く回れる距離に相当するわけですね。

・・・と考えますと、各種の臓器細胞を再生が可能になったとしても、「血管」が年齢相応に老化して、「動脈硬化」を起こしているとしますと・・・その効果は半減してしまうかもしれませんよね。

実際にその具体的な影響は、次のようなものになると考えられています。

A)組織の壊死リスクの増加
 極度の血流制限により、せっかく再生された組織が虚血状態となり壊死する可能性があります。

B)機能低下 
臓器は構造的には再生していても、血流不足により本来の機能を十分に発揮できません。

C)線維化の促進(そくしん)
慢性的な血流不足は組織の線維化を促進し、臓器の柔軟性と機能をさらに低下させると考えられます。

そうしますと、今の血管の「動脈硬化」の進行を抑制させるか、あるいは、それを改善していく方法があるのか?・・・という疑問が各国の研究者たちに出てくるのも、当然なのかもしれませんね。

加齢に伴う「動脈硬化」はある程度避けられないプロセスと言えるわけですが、本文内でも、ご紹介をしたように・・・「生活習慣」の改善(かいぜん)によって、「動脈硬化」の進行速度を大幅に遅らせることが報告されています。

しかし、もう少し欲張って(よくばって)、この生活習慣の改善以上の効果を上げられるものはないのか?・・・と皆が考えたというのは、自然な流れなのかもしれません。


きっかけのひとつは、ハーバード大学のデビット・A・シンクレア教授の著書『LIFE SPAN 老いなき世界』の中に書かれている多くの驚くべき研究結果が紹介されたからでしょうか?

それまでは、ヒトには寿命(じゅみょう)というものがあり、加齢に伴い、活動力が低下し、気力を失い、一定の期間が経てば(たてば)、ヒトの一生は終わっていく・・・という考え方が主流(しゅりゅう)であったわけです。

ところが・・・「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」や「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」を補充し、各種臓器の細胞のATP産生を増加させて、


「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の活性を高く保つことで、ヒトは120歳まで生きることが可能だ・・・とデビット・A・シンクレア教授などが示したことで、皆が健康で長生きをする「ウェルビーイング(Well-being)」を目標にするような気もします。

そんな傾向が強くなるなかで・・・血管の老化」つまり「動脈硬化」については、生活習慣の改善が重要という主張は、少し「ナマぬるい」と感じていた研究者が多くなったような気もします。

「幹細胞治療」が「血管」の「老化」のプロセスを逆転させる・・・という主張は、いかにも「夢物語(ゆめものがたり)」に思えます。

しかしながら、いくつかの論文や報告の中では、次のようなことが報告をされています。

例えば、「(間葉系)幹細胞」が、広範囲に失われた「血管内皮細胞」を修復する能力を持っていることが示され、「幹細胞療法」が血管疾患の治療の有望な選択肢であり、将来的には組織再生、つまり動脈の内側を覆う内皮を修復して血管系の機能を回復するのに役立つ可能性があることを示していますし、
さらに「動脈硬化」による血管内皮細胞の障害に対する「(間葉系)幹細胞(MSC)」の投与が有効であることを示しています(文献1).


また、別の論文でも「(間葉系)幹細胞(MSC)」が動脈内皮細胞を横断する能力を持ち、化学誘引物質やせん断応力の影響を受けることが示されています。これにより、間葉系幹細胞(MSC)が動脈硬化のような炎症性疾患において治療的に利用できる可能性が示唆されています(文献2)

また、脂肪由来の「(間葉系)幹細胞(MSC)の投与が動脈硬化の治療において安全で効果的であることが示され、治療後、患者の脂質プロファイルや動脈硬化の指標が改善したと報告しています(文献3)

 

これらを見ますと、「(間葉系)幹細胞」の投与は、「血管内皮細胞」の機能低下を改善することで、「動脈硬化」を改善させる可能性は

大いに(おおいに)ある・・と言えそうですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

(参考文献)
 1)Trends Cardiovasc Med. 2007 Oct;17(7):246-51.
 Stem cell therapy for vascular disease
Benjamin Adamsら

 

2)PLoS One. 2011;6(9)
Mesenchymal stem cells exhibit firm adhesion, crawling, spreading and transmigration across aortic endothelial cells: effects of chemokines and shear
Giselle Chamberlainら

 

3)Stem Cell Res Ther.2020 Dec 11;11(1):538.
Autologous adipose mesenchymal stem cell administration in arteriosclerosis and potential for anti-aging application: a retrospective cohort study
Hiroki Ohtafら
 

 

(以前のphoto:千鳥ヶ淵の桜)

(筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

「春分の日」を過ぎてからの休日の午後は、よく晴れています。

本州付近は高気圧に覆われ(おおわれ)ており、各地で20℃を超えているようです、

桜の開花は、すでにしているのかもしれませんが、満開までの時間は、今後の天候に左右されるにだとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

今回は「睡眠(すいみん)」についてのお話をしてみたいと思います。

 

では、「睡眠」はどのようなものでしょうか?

 

「睡眠」って、眠る(ねむる)ことだよね・・・と思われた方も多いのではないでしょうか。

 

「睡眠」の重要な目的は、「大脳(だいのう)」に休息(きゅうそく)を取らせる意味が大きいとされています。

「大脳」は、毎日、絶え間ない精神活動や運動制御 を行なうため、たくさんのエネルギーを費やし(ついやし)ながら活発に働いています。 
そのために、「 休息」する時間を必要とします。
それが「睡眠」の大きな意味なのではないか・・・と考えられているのですね。
とはいえ、「睡眠」で「脳全体」が完全に休むわけではありません。 

「大脳」は休んでも、生命維持活動を司る(つかさどる)「脳幹部(のうかんぶ)、および「大脳」の一部は働きを続け、昼間とは違ったモードで活動をするのです。

 

少し話題は変わるのですが・・・「脳幹部」には重要な機能がありまして・・・呼吸、循環、血圧などの生命維持に関わる機能を制御意識や覚醒(かくせい)レベルを調整する働きがあるのですね・

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

「睡眠中」の「大脳」活動モードは2種類ありまして、それが「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」となるわけですね。

「レム睡眠」は、体が眠っていながらも、「大脳」は 活発に働いており、記憶の整理や定着が行われますが、体はもっとも休まる時間です。 一方、「ノンレム睡眠」では、「大脳」も休息していると考えられ、脳や肉体の疲労回復のために重要とされています。

 

脳は活発に働く「浅い眠り」でして、「ノンレム睡眠」は大脳の活動がほとんど停止する深い眠りでして、後者が「大脳」の真の休息ということになります。

「夢」をみている時には、「レム睡眠」の時間帯でして、まぶたの下で眼球が急速で動くと聞いたことがある方も多いと思いますが、この眼球の動きを「眼球運動 (Rapid Eye Movement) 」と呼びまして、この頭文字(かしらもじ)をとって、「レム(REM)睡眠」と呼ばれるわけですね。

実際の睡眠中は、長い「ノンレム睡眠」の間に、短い「レム睡眠」が現れ、それは一晩に4~5回繰り返されるのが通常とされているのですね。

 

長くなってしまいましたが・・・ここまでが、これまでの常識ということになります。

 

現代の睡眠医学研究によって、睡眠には、さらに重要な役割があることが明らかになってきているのですね。

 

この続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ後記>3月25日

 

本格的な春の季節がやってきたようです。ポカポカな陽気になんとなく幸せな気持ちになりますよね。

 

「春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)」は、中国の唐代の詩人、孟浩然(もうこうねん)の詩「春暁(しゅんぎょう)」の冒頭部分に由来しているそうですが・・・夜の時間も過ごしやすく感じてしまいます。

 

「春眠暁を〜」の意味は、春の夜が眠り心地よく、朝が来たことに気づかず寝過ごしてしまうという意味ですね。

今回は、「睡眠」を取ることの重要性について、お話をさせていただきました。

 

「睡眠」は、健康と認知機能(にんちきのう)において重要な役割を果たすと考えられていますが、その具体的な機能は完全には理解されていません。
しかしながら、近年のさまざまな研究は、「睡眠」が記憶の統合(とうごう)や健康維持に大きな役割を果たすことを示しています(参考1)。
例えば、「短期記憶」が「長期記憶」に変換(へんかん)されるプロセスは「記憶の固定化(こていか)」と呼ばれています。

そのシステムを見てみますと、以前にブログ内でもご紹介したように
 初期段階では「海馬(かいば)」が中心的役割を果たし、その後時間をかけて「大脳皮質(だいのうひしつ)」に記憶が転送・再構成されます。

さらに 情報の繰り返しや定期的に思い出すことにより、記憶は

長期化していきます。

では、この記憶のメカニズムに「睡眠」は、どのように関与してくるのでしょうか?

睡眠中、「ノンレム睡眠」のうち最も(もっとも)深い眠りの時を「徐波睡眠(じょはすいみん)」というのですが、このときは、「副交感神経系」が優位になり、その反対に「レム睡眠中」は「交感神経系」の活動が高まるとされています。
これらの自律神経系の状態変化は、異なるタイプの記憶の処理と固定化に影響します

ちょっと、難しいのですが・・・例えば、強いストレスや恐怖を経験した後、その夜の睡眠中に「交感神経」系の活動が過剰(かじょう)になると、情動記憶(特に恐怖記憶)が過度に強化される可能性があります。

一方、リラックスした状態での睡眠では、「副交感神経」の活動が適切に働き、バランスの取れた記憶処理が行われやすくなるそうです。

「自律神経(じりつしんけい)」は、現在、非常に注目されているわけですが・・・単に身体機能を調節するだけでなく、「記憶」の質と種類を選択的に強化する役割も果たしていることは驚からされます

(参考2)。

では、「睡眠」が充分(じゅうぶん)に取れていないと、どのような影響があるのでしょうか?

「睡眠不足」は、認知機能の低下を引き起こし、また、学習した情報の保持が困難になります(参考3)
また、それ以上に 睡眠不足や睡眠障害(不眠症、睡眠時無呼吸症候群など)は、心血管疾患や代謝疾患のリスクを高めることが知られています。
心血管疾患へのリスクとは、次のようなものが報告されています(参考4)。
具体的には、以下のようなものが報告されています。

1)血管内皮機能障害

睡眠障害は血管内皮機能を低下させ、動脈硬化の進行を促進します。
 

2)炎症マーカーの増加

「睡眠不足」は全身性の軽度炎症状態を誘発し、CRPやIL-6などの炎症マーカーが上昇します。これらは心血管疾患の独立したリスク因子となります。

また、代謝疾患へのリスク増加もあり、次のように報告されています。

3)インスリン抵抗性の増加

短期間の睡眠制限でさえもインスリン感受性を低下させ、血糖コントロールを悪化させます。


4)食欲調節ホルモンの変化

「睡眠不足」は、「レプチン(満腹感を促進)」の減少と「グレリン」(空腹感を促進)の増加をもたらし、過食と体重増加につながります。


5)脂質代謝異常

 「睡眠障害」は、脂質プロファイルを悪化させ、特に「LDLコレステロール」と「トリグリセリド(TG)」の上昇に関連します。


6)メタボリックシンドロームとの関連:

7時間未満の睡眠は、メタボリックシンドロームのリスクを約1.5〜2倍に増加させるという研究結果があります。

 

高齢者の「睡眠不足」は、さらに大きな影響がありそうです。

高齢者の「睡眠不足」は、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病、心臓病、脳卒中といった多くの健康問題のリスクを高めることが確認されています。

さらに、記憶障害や認知機能の低下、免疫機能の低下、転倒や事故のリスク増加にもつながる可能性があり、全体的な生活の質を大きく損なうことがわかっているそうです(参考5,6)

どうやら「眠れない」という「睡眠障害」は高齢者にとっては、より深刻なものであるようです。

 

昔、眠らなくて死んだ人はいないわけだから、明日までにこの2つの論文を読んできてね・・・とか、朝まで遊んで、仕事に行けばいいじゃない・・・こともあったような気もしますが、どうやら、これは、時代的にも、医学的にもNG (エヌ ジー)であるようですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

<参考>

1) Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Nov;119(44)
  The functions of sleep: A cognitive neuroscience perspective
  Katharine C Simonら

 

2)Brain Res.. 2000 Dec 15;886(1-2):208-223.
   Why do we sleep?
   T J  Seinnowskiら

 

3)Am J Respir Crit Care Med. 2019 Mar 15;199(6):P11-P12.
   What Is Sleep Deprivation?
   Anuja Bandyopadhyayら

 

4)Sleep Med Clin. 2021 Sep;16(3):485-497.
 Sleep and Cardiovascular Risk
Lyudmila Korostovtsevaら
   
5)Clin Geriatr Med. 2018 May;34(2):205-216.
Sleep Disorders in the Elderly
Kathleen Yaremchukら

6)Sleep. 1995 Jul;18(6):425-32.
Sleep complaints among elderly persons: an epidemiologic study of three communities
D J Foleyら

(夜の東京タワー )

(筆者撮影)

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○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

 

 

 

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