日系カナダチーム来日、NAKスクールin久留米、各地でのスクール活動でしばらくブログをお休みさせていただいておりました。フォローいただいている方々には申し訳ありませんでした。カナダに戻りやっと落ち着いてきましたので、執筆活動頑張ります!
さてさて、ブログ復活の第一弾はNz(ニュートラルゾーン)トラップを書いていこうと思います。トラップ、すなわち「罠」ですね。相手Az(アタッキングゾーン)にどんどんプレッシャーをかけるフォアチェックと違い、Nzに罠を仕掛けて相手のパックを奪うというのがトラップです。
日本もカナダ人コーチを招聘するようになり、カナダ十八番の「ダンプ&チェイス」つまり「放り込んで追っかけろ!」ホッケーを目指すようになりました。
でもそれではどうあがいてもカナダには勝てない!そう思ったヨーロッパでさかんに取り組まれたのがこのトラップでした。
だってフォアチェックにいったって、身長2mの人間を体で潰しパックを奪うなんて荒技では対抗しきれないですもんね。
格上の相手に対して1人、また1人おいて行かれては、カウンターで何点はいるかわかりません。
ましてや今では懐かしいセンターラインパスの廃止(昔はセンターラインをまたぐパスを禁止していた)に伴い、大きなエリアで相手のブレイクアウト(攻め出し)を阻止しなくてはならないわけですから、守りの5人が分散するような守り方では格上チームにはとうてい勝てないですよね。
まあ前置きはこのへんにしておいて・・・
トラップも今では色々なスタイルがあるんですが、まずは一番オーソドックスな1-2-2について解説していきましょう。
あ、ただこれはあくまでもナカジ流です。色々な本も読みましたがケースbyケースを考え、自分なりにアレンジしたものですのでご理解くださいね!
まずトラップを解説する前に・・・
フォアチェックも同じですが、このシステムが毎回相手のパックを奪うわけではありません。
諦められることが肝心です。
つまり「あ、今回は追い込みが甘いから下がる方が良い!」という決断力です
トラップは相手がNzからダンプ(放り込む)するのであれば合格点です。
無理にパックを奪おうとすると大ピンチを招きます。
ローリスク、ローリターンを心がけてください。
以上のことをしっかり頭に置いといてくださいね!
ではでは1-2-2の解説です
ポジション
FW1はリンク中央、ブルーラインから2m
FW2と3はリンクを縦に3等分した両端レーン担当、担当レーンの中央、ブルーから1m
DF1と2はレッドとブルーの間
セットした時点でちょうどきれいな5角形になるかと思います。
但し!
ポジションはあくまでも相手のポジションによって流動的に変わりますので注意!
上の図では相手Dがゴール裏でセットした時点でよくあるポジショニングにしてみました。もしも相手Dが周りの状況を見ず、定番の45度にパスを出したならば、FW2とFW3は「しめた!」と言いながら、アグレッシブに詰めちゃってください。そのフォローはインサイドからFW1の仕事です。
トラップに対してよくあるブレイクアウト、XD2とXF1がサイドにダブルスイングするパターンですね。
さてDFですが
自分のサイド、つまり
ライトDFなら相手のレフトウイング、
レフトDFなら相手のライトウイングの動きをよく見ておきましょう。
XF2のように低い位置でミドルに入ってくるならばDFは距離を縮める、XF3のようにストレッチしてくる相手FWに対しても同様にパスを簡単に通すことの無いようにマークしながらポジションを移動します。
この動きから推測できるかと思いますが、相手FWの動きによってはDFのポジションは右と左が入れ替わりますね。
注意
下の図のように相手DFがすでにブルー付近までパックを持ち上がってきているときにDFが不用意にポジションをスイッチすると、タイミングによってはがら空きのサイドができてしまい相手に大チャンスを与えてしまうので要注意です。
あくまでもパックが相手ゾーン奥深くにある時だけポジションチェンジが可能です。
この1-2-2トラップの理想の形としては・・・
素直にダブルスイングする両サイドの選手にパスをつないでくれた場合ですね!
このタイミングは見逃してはいけません!読みと反応、そして相手スイングの位置によって自分のポジションを上げ下げしつつ、ベストなタイミングで詰める。
ミドルのFWにパスをつないでくれるのも、理想の形ですね。1-2-2が威力を発揮する場面です。
狙いはあくまでもこれらのパスですが、自分たちの思惑通りに相手が動いてくれるはずがありませんので、考えられるシチュエーションすべてをシュミレーションしておく必要があります。
サイドへのパスや見え見えのミドルパスについては1-2-2は素晴らしい罠になります。
じゃあセットした相手XD1が自ら持ち上がってきたら・・・
FW1は向かっていってはいけません。向かってくる敵を交わすことほど簡単なことはありません。
しかもFW1が抜かれてしまった後の悲惨な1-2-2の末路は下記の通りです
ゴールまで一直線、どでかい穴が空いてしまいました。
FW1の役目、それはすなわち「
中央分離帯」の役目です。
パックが進む方向を
1/2にしてあげることで、残る4人が格段に守りやすくなります。
FW1の役目はパックを奪うことにあらず!というわけです。
更にFW1が中央分離帯の役目を全うした上で、相手選手をサイドに追いやることができたならば、つまり相手選手のプレーエリアを
1/3、1/4に減らすことができたならば、このトラップの成功率は格段に上がるでしょう。
ただ、追いやることに集中しすぎて逆サイドに展開されてしまうと上の図の結果、つかり最悪の結果になってしまいますので、あくまでも
中央分離帯の役目を全うした上でのエキストラワークだということを理解してくださいね!
また相手DFが持ち上がってくるのに対して自分が棒立ちだと簡単にスピードで置いて行かれます。相手がスピードをつけて来るのであれば自分たちも
下がりながら守る形になります。
ただしFW1の追い込みがよく、見え見えのパスをサイドに出す場合は、FW2とFW3は下がりながらも
「ここがチャンス!」と詰めてかまいません。相手との距離が大きく、詰めてもインサイドに抜かれる可能性がある場合は下がってかまいません。
色々なシチュエーションについて解説しなければと思うと、膨大な情報量になりますねえ。書きながらリンク上以外での説明がいかに難しいか実感してます・・・
頑張ります!
この1-2-2トラップですが、やはり狙い所はサイドへのチェックです。
色をつけるとわかりやすいですが、この1-2-2はサイドに罠を仕掛けておき、そこに追い詰めていくのがベストなパターンです。DFは相手FWの動きによってポジションを変えることがありますが、FW3人は基本的に3角形を崩さずポジションを取ります。
相手がパックを自ら運んできてくれることで、瞬間的にNzに味方相手合わせて10名がこの狭いエリアにひしめき合うわけです。よってパスカットの成功率がみんなばらばらにいるよりも格段に上がるわけです。
絶対的なチャンスになる可能性があるのは上の図のシチュエーションです。
前方に人が混み合っている場合、往々にして選手の目は確実につながるサイドにいくものです。このクロスアイスパスはトラップ側にとって最大最高のチャンスになる可能性があるので、見逃せないですね。読みと反応「リード&リアクト」で是非狙ってください!
とまあチャンスになることばかり書くと、全シフトチャンスを取りに行ってしまいがちなので、最後にもう一度口うるさいですが言っておきます。
毎回チャンスになるわけではありません。
だから無理をせず、諦めることも大事です。
ダメなら・・・5人が下がることです。ほらっ!相手がダンプした
合格点じゃないですか!
実はまだまだ弱点もたくさんあります。
パスの上手なチームに5角形の中にタイミング良くパスを入れられ、5角形を一瞬小さくされた上でサイドにワンタッチパス、サイド展開されるケース。
もしくは足の速い選手がトップスピードでゴール裏のパックを持ち上がるケース。トラップ側はNzで足を止めがちなので、トップスピードで持ち上がられるとパニックになる場合があります。
これらの対策は次に書くことにします。
すでにかなり長くなってしまったので・・・