シリマという女性歌手をご存知でしょうか。
まずはこの動画をご覧ください。
ジャン=ジャック・ゴールドマン (Jean-Jacques Goldman)の「あこがれ」(Là-bas)のPVです。
1'40"辺りから女性の歌声が入ってきますが、これがSirimaです。PVに出演している女性もSirimaです。
素直な歌声と、真っ直ぐで意志の強そうな目が印象的ですね。
Sirimaは1964年、ロンドン近郊で生まれました。父はスリランカ人、母はフランス人です。
1歳のときにスリランカに移住し、ここで聴いた現地の音楽や教会の讃美歌など多様な音楽が、その後の彼女の音楽的素養に影響を与えました。
5歳でイギリスに戻ったあと、8歳で両親が離婚したことで彼女は音楽に没頭するようになり、やがて姉たちとフォーク・グループを結成しました。
18歳で祖父のいるフランスに移り、地下鉄シャトレ・レ・アル駅で歌うようになりました。
ここで、サックス奏者で作曲家のフィリップ・ドレトレス (Philippe Delettrez)の目に留まり、彼から、ゴールドマンのサックス奏者フィリップ・ド・ラクロワ-エルパン (Philippe de Lacroix-Herpin:通称ピンピン)を紹介されました。
ゴールドマンは当時、男女のデュエット曲として書いた"Là-bas"を一緒に歌う女性歌手を探しており、何百もの音源を聴いていました。
ピンピンが彼女の歌をゴールドマンに聴かせたところ、探していた声にピッタリでした。
こうして彼女の採用が決まりました。
"Là-bas"がリリースされたとき彼女は23歳でした。
"Là-bas"は大成功しましたが、彼女はゴールマンのツアーにはほとんど参加せず、アングラの道に戻ることを選択しました。
その後の彼女の詳細な動向は不明ですが、1989年11月に"A Part of Me"というソロ・アルバムをリリースしました。日本盤も出ていました。
そのアルバムから、"I Need to Know"をお聴きください(英語です)。
この曲でバック・コーラスを務めているのはゴールドマンです。
しかしアルバムのリリースから3週間後に悲劇が訪れます。
Sirimaは音楽家のカハトラ・サソリスと交際しており、男児を設けていたのですが、カハトラが彼女を刺殺してしまったのです。彼女がスターになったことで、自分から離れて他の誰かのもとに行ってしまう気がしたことが動機だといわれています。
わずか25歳。1stアルバムをリリースして、「さぁこれから」というとき、さぞかし無念だったことでしょう。
最後に、GoldmanとSirimaの共演映像をご覧ください。