最近、全くのご無沙汰でしたが、今回は久しぶりにトイガンについて書いてみます。
ハートフォードから満を持して発売された二十六年式拳銃(ガスガン)です。
ハートフォードの二十六年式拳銃(発火式モデルガン)が発売されたのは、確か1年以上前でしたでしょうか?
前作の九四式自動拳銃のモデルアップには大変驚いたものですが、まさか旧日本軍の拳銃が立て続けに出るとは思ってもみなかったことです。
そしてモデルガンの発売から1年少々経過し、ついにガスガンバージョンが発売されました。
店頭入荷は7月19日頃、多くの店舗が売り切れの中、26日になんとか入手することが出来ました。
さてここからは実銃の話を少し・・・

二十六年式拳銃は日本陸軍が1893年に正式採用した回転式拳銃です。
設計者は東京砲兵工廠の宮田太郎大佐と言われています。
口径は当時最新の無煙火薬を使用した9mm、乗馬中に片手で射撃できるようにダブルアクションのみの作動となっています。
設計者は東京砲兵工廠の宮田太郎大佐と言われています。
口径は当時最新の無煙火薬を使用した9mm、乗馬中に片手で射撃できるようにダブルアクションのみの作動となっています。
またリボルバーとしては珍しく戦場のどこでもメンテナンスが出来るよう、工具なしでサイドプレートが開放できる点など、当時としては革新的かつ最新の海外技術を導入して設計されたようです。
なお上記の海外技術とは、ベルギーのナガン拳銃やフランスのFagnusリボルバーのことで、機構や構造(サイドプレートの展開)などが瓜二つとなっています。
その後、日本陸海軍では南部麒次郎陸軍中将(最終階級)が開発した南部大型自動拳銃(1907年)、十四年式自動拳銃(1924年)、九四式自動拳銃(1934年)と自動拳銃一辺倒になって行きますが、正式採用から43年も経った1936年の二・二・六事件でも使用されたように、長きに渡り使用され続け、生産終了の1935年頃までに約6万丁生産されました。

そんなマニアック二十六年式拳銃ですが、ガスガンに話を戻しますと、発射方式はタナカワークスが開発したペガサスシステムを導入しています。
ペガサス導入はハートフォードとして、ニューモデルアーミーに続いて第2弾の企画ということになりますでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、このペガサスシステムは一般的にはグリップに設置するガスタンクをシリンダー内に持ってくることで、銃本体のメカニズムを損なうことなくガスガン化することが出来るな独創的な技術です。
そのメリットとしては・・・
1 実銃を模したリアルな機構(メカデザイン)の再現が可能
2 ガスタンクとバレルが直結のため圧力損出が少ない
3 上記理由からオート並の初速と命中精度が出せる
4 シリンダーが金属製のため重量が稼げる
2 ガスタンクとバレルが直結のため圧力損出が少ない
3 上記理由からオート並の初速と命中精度が出せる
4 シリンダーが金属製のため重量が稼げる
などがあります。
しかしデメリットとして・・・
1 リボルバーならではのカートによる装填・排莢のアクションが楽しめない
2 シリンダーの回転が重い(機種もしくは場合による)
3 シリンダー後端がリアルではない
2 シリンダーの回転が重い(機種もしくは場合による)
3 シリンダー後端がリアルではない
等があります。
しかし、従来のグリップ内装型ガスタンクのリボルバーからすれば命中精度は格段に向上するのも事実で、このペガサスシステムはウェスタンアームズのマグナブローバックシステムに匹敵するほど革新的な技術であったことは紛れもない事実かと思います。
また話が逸脱しましたが、この二十六年式はタナカのペガサスシステムを搭載していますので、高い命中精度が期待できるガスガンとなっています。
それにしてもタナカ特許のシステムを使用しているので、多分タナカにroyaltyを支払っているのではないか思いますがモデルガン(ペガサス無)が31,920円に対してガスガン(ペガサス搭載)が29,820円と安価なのは不思議なところです(笑)
モデルガンとエアガンの総販売数の違いが定価に反映されているのでしょうか?
安いことは、消費者の一人としては嬉しい限りですが・・・
安いことは、消費者の一人としては嬉しい限りですが・・・
いつもながら前置きが長くなりましたが、早速インプレ行ってみたいと思います。

まず箱のチェックです。
黒い箱で二十六年式拳銃の構造図が印刷されており、大変渋い箱となっています。
黒い箱で二十六年式拳銃の構造図が印刷されており、大変渋い箱となっています。
内容物は取り扱い説明書、ホップレンチならびに分解治具と一般的なエアガンと大差はありません。
また同社の九四式自動拳銃の時には凝った当時の複製マニュアルが付属していましたが、残念ながら今回はそういった特典はありません。
ただし試射用BBの箱がモデルガン用の箱と同じものが付属するのは嬉し点でもあります。
また同社の九四式自動拳銃の時には凝った当時の複製マニュアルが付属していましたが、残念ながら今回はそういった特典はありません。
ただし試射用BBの箱がモデルガン用の箱と同じものが付属するのは嬉し点でもあります。

外観のチェックです。
既に多くの方がレビューしているので、詳細は割愛しますが、実銃写真と比較しても大変よく出来た外観となっています。
バレルと本体はヘビーウェイト樹脂製で、黒というよりも若干グレーかかった色調です。
また、塗装処理はされてなく、樹脂地肌なためガンブルー液によるブルーイングも比較的やり易いように見受けられます。
また、塗装処理はされてなく、樹脂地肌なためガンブルー液によるブルーイングも比較的やり易いように見受けられます。
さらにパーティングラインはほとんど処理されていますが、フロントサイト前側やフレームの一部に若干残ってしまっているのは残念な点です。
金属パーツは黒染処理のようです。
特徴的なサイドプレートとハンマーの両サイドは平面研磨されていますが、仕上げはあまり良くはありません。
特徴的なサイドプレートとハンマーの両サイドは平面研磨されていますが、仕上げはあまり良くはありません。

また非常に細かいことですが、ハンマー上部がR加工/研磨されていますが、手作業なのか後ろから見る削り跡の水平が出ておらず、若干斜めに研磨されている点が気になります。
まあもっとも、当時の拳銃製作は現在のようなコンピュータによるNC加工などあるはずもなく、1丁1丁職人の手作業で研磨摺り合わせしていたことを想像しますと、よく言えばある意味リアルなのかもしれませんね(笑)
まあもっとも、当時の拳銃製作は現在のようなコンピュータによるNC加工などあるはずもなく、1丁1丁職人の手作業で研磨摺り合わせしていたことを想像しますと、よく言えばある意味リアルなのかもしれませんね(笑)

シリンダーは亜鉛合金製で円周上に面取りされているので、リアルです。
しかし1箇所下地の荒れによる小さな膨らみがあるのが、また残念な点の2点目です。
しかし1箇所下地の荒れによる小さな膨らみがあるのが、また残念な点の2点目です。

刻印は右サイドプレートに東京砲兵工廠のマークと「二十六年式」「35108」のシリアルナンバー打刻されています。
ちなみにシリアルナンバーはモデルガンバーションとは異なるようです。
ちなみにシリアルナンバーはモデルガンバーションとは異なるようです。
グリップはチェッカリングの入った茶色のプラグリです。
グリップ下部は金属製でランヤードリングが付いています。
グリップ下部は金属製でランヤードリングが付いています。

二十六年式拳銃の特徴であるサイドプレートの展開ですが、これは簡単です。
トリガーガード後を下に下げれば、先端を持ってサイドプレートを180度大きく展開させることができます。
サイドプレートを開けば中のパーツはすぐにアクセスできるので、リボルバーでありながらコルトM1911のような整備性の高さを持っていることはある意味軍用拳銃として大きなアドバンテージではないでしょうか?
ちなみに、内部のパーツは全くと言っていいほど油は付いていませんでした。
KSCやWAのガスガンは油(シリコンオイル)べったりですが、本製品は乾き切っています(笑)
KSCやWAのガスガンは油(シリコンオイル)べったりですが、本製品は乾き切っています(笑)

ブレークオープンです。
リアサイト部分にあるバレルラッチを引き上げれば、銃身とシリンダーが中折れします。
本来、実銃ならびにモデルガン版であれば、中折れに合わせてエジェクターが迫り出し、空薬莢を排莢することができますが、このガスガン版はガスタンクゆえそういったギミックはありません。
リアサイト部分にあるバレルラッチを引き上げれば、銃身とシリンダーが中折れします。
本来、実銃ならびにモデルガン版であれば、中折れに合わせてエジェクターが迫り出し、空薬莢を排莢することができますが、このガスガン版はガスタンクゆえそういったギミックはありません。

しかしタナカワークスの通常のペガサスリボルバーであれば、真鍮の細長いアダプターがなければガス充填はできませんが、この銃はアダプターがなくてもガスを充填することができます。
銃口から覗くと少々奥まったところにシルバーメッキが施された真鍮バレルを見ることができます。
このバレルはKM企画の精密バレルとのことです。
このバレルはKM企画の精密バレルとのことです。
ブレークオープンタイプのリボルバーはモデルガンであればマルシンのエンフィールドやCAWのスコフィールドなどいくつかのモデルがありますが、ガスガンとしてはこの二十六年式拳銃が初ということになります。
モデルガンだとバレルと本体の嵌合が甘く、ガタつくものも多いですが、本銃はしっかり固定されていますので、剛性感については問題がありません。
さて肝心の実射ですが、初速計測はまだしておりませんが、着弾音を聴く限り多分0.2g弾で70m/sくらいは出ていそうな感じです。
また、0.25g弾を使用して7~8m程度で試射したところ、かなりの集弾性の高さを見ることができました。
そのうち改めて初速計測と集弾について統計を取ってみたいと思います(笑)

モデルガンもガスガン(エアソフトガン)もメジャーなモデルはほぼすべてモデルアップされてしまった昨今のトイガン業界。
二十六年式拳銃や九四式自動拳銃、はたまたボチャードのような超マイナーなGUNに目を向けられたことは、昔からのモデルガン・エアガン好きにとっては嬉しい時代になったものと感じる一方、一部ではこの先どうなるのか心配な面もあります。
最近では老舗であるハドソン産業の休業が記憶に新しいところではありますが、どれだけ売れるか分からないマニアックな銃こそ愛好家としては是非とも購入して少しでも業界を支えていきたいものと思う次第であります(笑)

二十六年式拳銃はお気に入りの一丁となりました(笑)
※写真のカートは8mm南部弾ですが・・・それらしい雰囲気で・・・(笑)