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西川材見学1/6

先日、住宅の柱・梁に使用する木材の産地に見学に行った。
今回訪問した先は、埼玉県飯能市にある「フォレスト西川」。
担当の方に、人工林の山から原木センター、製材所などを案内して頂いた。
http://www.forest-nishikawa.com/

見学は木が育てられてから、住宅の建設現場に出荷されるまでの
一連の流れを追う形で行われた。

1. 木々の産地となる山
2. 原木センター
3. 製材所
4. ストックヤード
5. プレカット工場

見学の模様を6回に分けてレポートします。
今回は、最初に訪れた人工林の山についてです。

建築家長沼幸充ブログ-人工林01

狭い山道を登って行き、途中に車を止め歩いていくと、
整然と木々が立ち並ぶ山に入る。
まっすぐに立つ木は、一目で杉と分かる。

建築家長沼幸充ブログ-人工林04

入り口にはこんな看板もある。

建築家長沼幸充ブログ-人工林05

これは推定樹齢150年の杉。
周辺にある杉とは幹の太さが異なり、さすがに迫力がある。

建築家長沼幸充ブログ-人工林02

木の足元には、樹齢を感じさせる苔。

建築家長沼幸充ブログ-人工林03

この山は、しっかりと手入れされた人工林である。
定期的に間伐や枝打ちが行われ、真っ直ぐな杉や檜が生育している。
苗を植えてから製材にするための太さに育つまで約50年。
(一般的な柱を取るために、杉で樹齢40~50年の太さが必要)
ということは、山を管理する方は次もしくはその次の代のために、
苗を植えて準備をしなければならない。

これは現代の経済サイクルとはまったく異なるため、コストなどで、
外国産材などに負けてしまうのかもしれない。

ただコストだけでなく、住んでいる場所の近くで取れるもので家をつくるという、
最も自然なスタイルでの家づくりを考えていけば、東京から近い飯能で取れる杉を使うことは、
最も理にかなっていると言えると思う。
こういった流れに、私も設計者として少しでも取り組んでいきたい。

杉・檜を育てることの大変さを山で知った我々は、次に山で伐採された木々が取引される、
「原木センター」を訪問した。

箱根プリンスホテルに行く

箱根見学レポートの最後は、「箱根プリンスホテル」。
日本近代建築の巨匠の一人である、村野藤吾設計。
1978年に竣工していて、2007年に一部改装したようである。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~damika/map/hakone_prince_hotel_01.html

http://www.princehotels.co.jp/the_prince_hakone/

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル03

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル04

箱根プリンスホテル(現在ではザ・プリンス箱根に改称)本館が、村野藤吾設計。
村野氏といえば曲線を多用した有機的なデザインが特徴。
箱根もバルコニーの形状や、窓、平面形状まで、とても個性的である。
当日は、現代的なポーラ美術館の後に見たため、余計にその個性が際立って見えた。

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル01

エントランスホールを入ると、宿泊棟(最初の写真の建物)に向かうために通るロビーが、
上の写真の場所。
壁が整然と並び、その間には椅子とテーブルが並ぶ。
とても静かな空間で、それでいて、天井など曲線を用いた個性的なデザイン。
このロビーには何時間もいられそうな、気持よさがある。

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル02

宿泊棟の窓のデザイン。
水切りの形などが、現代にはないデザイン。

現代建築には曲線を用いる人は少ない。
どちらかといえば直線を多用した、すっきりとしたデザインが好まれている。
しかし今回の箱根プリンスホテルのように、うまく曲線を使うと、
包まれているような、柔らかい空間が出来る。
曲線を使うことには非常に高度な技センスが必要で、下手に使うと悲惨な空間になる。
それだけに見習いたいが自分には取り込みにくいデザイン手法だと思う。

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル05

ホテルの目の前は、芦ノ湖が広がっている。
優雅に進む遊覧船。

建築家長沼幸充ブログ-箱根プリンスホテル06

簡単な船着場も見える。
ホテルの宿泊客が、小さなボートで湖に出ることもあるのだろうか。

宿泊客には、外国人が多くいた。
美しい自然の中に、日本特有のデザインがされたホテル。
その個性に、外国人も惹かれているのかもしれない。

ポーラ美術館に行く

箱根見学レポート第三弾は、「ポーラ美術館」。
ポーラ美術館の設計は、組織設計事務所最大手の日建設計。
2002年に竣工している。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%A9%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8

http://www.polamuseum.or.jp/

建築家長沼幸充ブログ-ポーラ美術館01

敷地が国立公園内にあることから、景観に配慮して、大部分は地下に埋めれており、
アプローチの地上から見ると、森の中にひっそりとあるように見える。

建築家長沼幸充ブログ-ポーラ美術館02

正面の渡り廊下から、建物に入る。

建築家長沼幸充ブログ-ポーラ美術館03

建物内に入ると、まずは斜めの壁がガラスでできたホール。
高層ビルなどで用いられるガラスカーテウォールが、斜めに使われていて、
ガラスをガラスの方立で支えているために、透明感が実現されている。

建築家長沼幸充ブログ-ポーラ美術館04

ホールからは、エスカレーターで地下に下がる。
下がっていくと、美術館の受付があり、チケットを購入して入場する。
受付のある階の右側の壁も、ガラスで出来ている。
ガラスの内側は設備スペースになっており、空調などの設置・配管スペースになっている。

建築家長沼幸充ブログ-ポーラ美術館05

一番地下からホールを見上げた写真。
ガラス張りのホールはとても明るく、開放的。
箱根の豊かな自然も見ることが出来、美術館そのものが美しいと思う。

前回の吉村順三氏の住宅と、まったく異なる建物であった。
現在の技術を結集して作られた、透明感のある現代建築。
こういった建物も、やはり気持ちの良い場所であった。
ただこの雰囲気を住宅で実現するには、難しいのかもしれない。