建築家長沼幸充ブログ -246ページ目

体にいい椅子でした


昨年秋に、腰痛がひどくなってしまいました。
事務所で椅子に座りっぱなしで仕事をしているせいか、
なかなか良くならずに困っていました。


そんなときにアスクルから来た新しいカタログを見ていると、
なんだか気に入ったデザインのものが!

それはジロフレックスというスイス製の椅子だったのですが、
あまり日本にはないデザインで、すっかり気に入りました。

よく解説を読むと、人間工学に基づいたデザイン、なんて書いてあります。
これは仕事をする姿勢にもいいのでは、と自分を説得して購入。
本当は、単純にデザインが気に入っただけですが(笑)。


後日椅子が届いてから、座ってみると確かにいい。
数日後、気付いてみたら腰痛が治まっていたんです!

デザインから入った椅子でしたが、
人間工学の力のすごさを実感しました。


柳宗理展に行ってきました


東京国立近代美術館で開催している「柳宗理」展に行きました。

柳宗理展

柳宗理(1915-)は、インダストリアル・デザイナーとして活躍しています。
今でもそのデザインは人気があり、
ヤカンやフライパンなどの日用品のデザインに素晴らしいものがあります。

どのデザインもシンプルで、余計なものがありません。
機能的で美しいデザインを目指したものばかりでした。

展示会場の入口に、今回の趣旨文が書かれていましたが、
「日常の美」という思想が根底にあった、という指摘にすごく納得しました。

特にヤカンのデザインが気に入ってしまい、欲しくなってしまいました(笑)。


no.4 サヴォア邸

今回は、建築史上20世紀最高の作品とも言われる
ル・コルビュジエ設計のサヴォア邸を紹介します。

ル・コルビュジエ(1887-1965)は、フランスの建築家で、
近代建築の巨匠と言われた人です。


19世紀まで、様式(スタイル)という決まり切った建築の形があり、
その公式にそって建築が作られてきました。

しかしそのスタイルを捨て、新しい時代に相応しい新しい建築を
生み出そうと、いくつかの活動がありました。

その中でも最も影響力を持った建築家が、ル・コルビュジエでした。


彼がその考えを最もよく表現しているとして、
有名であり評価されているのが、サヴォア邸です。

場所はフランス・パリの郊外にあります。

まず敷地に入ると、真っ白な外観が見えてきます。

サヴォア邸01

アール・ヌーヴォーという、植物を模したデザインの自然美を賞賛する時代に、
このような幾何学的な形を作り出したことは、驚くべきことでした。

またル・コルビュジエは、「近代建築の五原則」というものを発表しましたが、
このサヴォア邸にすべて表現されており、
1階をピロティにして建物を持ち上げることも含まれていました。

ちなみに、その五原則は、
「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「水平連続窓」「自由な立面」でした。
これらが改まって宣言されたということは、
当時はまだ受け入れられていないものであったということです。

ピロティの下には、自動車が通れるようになっており、
車という移動手段が生活に欠かせないことになることを見通していたかのようです。


中に入ると、らせん階段とスロープが見えてきます。
家にこんなに長いスロープがあるというのも、面白いですね。

サヴォア邸02

サヴォア邸03


五原則にもあった「水平連続窓」によって、室内は開放的です。
当時のレンガを積んで家を建てていた時代には、水平に長く開口を取ることは出来ません。
これを鉄筋コンクリートという、新しい材料で実現しました。

サヴォア邸04


このように幾何学を用いて、きっちりと作られた住宅ですが、
一部曲線を使った面白いものがあります。浴室です。

サヴォア邸05

見学している多くの人が、曲がった椅子(?)に座っていました。
私も座ってみましたが、タイル張りで硬く、座り心地は良くありませんでした(笑)。

しかし部屋の一部に、カーテンで仕切っただけの浴室を作ったり、
新しい試みであったことは確かです。


ル・コルビュジエの提唱した新しい建築とは、「モダニズム建築」と呼ばれましたが、
世界中に影響を与え、今でもその力は生きています。

昔は木造で畳に瓦屋根を使っていた日本の住宅でさえ、
今では鉄筋コンクリート造の真っ白な建物が増え、受け入れられています。

これも、建築の長い歴史にある1つの形(スタイル)なのです。