~From.裕~ -101ページ目

ほたる(そして明日へ)完

夏と一緒に終わったんだ。
終われば呆気無く過ぎた8年。
一人思いに更ける…
が、暑い。
8月も後半だというのに…
動いていればたいして気にならないのに、庭で軽く身体を動かしてみた。
『少し遅くなったが、おっばあの家に行くか。今年は裕紀も行けるしな』

去年はギブスだったからな。
心配かけて電話だけだったし、バスケも終わり断る理由もないし

母親の祖母、俺と祐紀にとっては93歳の曾祖母になる。
祖母も健在なので。
大きいばあちゃん「おっばあ」
幼い俺が言い出したらしいが、早い話し言えなかっただけだと思うけど…

2年振りのおっばあの家
かなり現代風の家が増えた。
今となると昔話に出て来るような家並が懐かしく思う。歳とったって…大人の感覚になったんだでもおっばあの住む離れは、変わらない。
おっばあの我が儘(まま)で、村の人に手を借り茅葺き(かやぶ)屋根を保っていたが、今や村のシンボルとして保存されているらしい。
もちろん電気、ガス、水道はあるが…井戸、囲炉裏、マキ。
タイムスリップしたような家だった。

じいちゃんとばあちゃんは、去年俺が目覚める前に会いに来てくれていた。元気な姿に涙で言葉にならず「良かった。本当に良かった」俺の身体を摩りながら言うだけだった。

『なんだかお地蔵さんみたいだな兄ちゃん』
ちょっと俺もそんな気がする… 『生還したんだ、御利益あるかもしれないぞ』
『そっかぁ。全国にも行ったしな…』
どさくさに紛れて触り出す祐紀を気にすると、畑仕事を済ませたおっばあの姿が、
少しずつ小さくなっていくような気がするが相変わらず元気そうだ。
『よう来たな裕紀、祐紀。
何があっても今が元気ならええんじゃよ。
裕紀、一段と男前になったな、男も女もひと山越える度にようなる』

おっばあはいつもそうだった。
何も言わなくても分かっていたかのように話し出し、気付くとすっきりと答えが見えたりした。知らせていなかったみたいだけど、俺の意識が無かった事、もしかしたら楓香との事も気付いていたのかも…
穏やかで優しい、くしゃくしゃな笑顔が全ての物を包み込み、素直に笑えた。

まだ暑いのに陽が沈むと一気に涼しくなる。
車が走る音も人のざわめきも無い風が通る、星が光る、川が流れる、虫が飛ぶ、縁側に座り見つめる庭先。
ゆっくり時間(とき)が過ぎるのを感じながら、この一年を思い出していた。

『俺、もうそんなので喜ぶようなガキじゃないって』

いい感じでいたのに、あのガキ

『そんなつもりは無かったんだけどね…そうだよね祐紀も大人になったんだ。悪い事をしたね』
花火のセットを手にして寂しそうに歩いて来た。
毎年買って置いてくれて楽しみにしてたっけ…
『そんな事ないよおっばあ。
あいつはまだガキだよ、俺も…まだまだガキだよ。おっばあの前じゃ変わらないガキだよ』
『大人にはゆっくりなりゃええ
焦らんでも足を踏み出せばずっとだ、子供の時代を大切に楽しめばええ』
『…おっばあ…
祐紀!花火やるぞー!』

渋々やり出すが、いつしか一番はしゃぎ出す祐紀。ここの空気が時間が、おっばあの存在が、そうさせるのか両親までが楽しんでいた。

『良かったなあじっちゃん。
今年は賑やかな花火だ』
『見えてんのかな』
『見えてるさ。毎年じっちゃんはここに来る。
祐紀達に会いに来る』
『おっばあには分かんの?』
『分かるさ。心(ここ)で見て聞く。
穏やかに優しく、その人を想えば分かる。
誰かを恨んだり怒ったり妬んだり、つまらん意地を張って後悔したり、
真っさらなもんなどいない。  生きてりゃ誰だって多少は醜い心を持つ。
それが人間だ。
でもな、それに気付いて向き合えたもんだけが成長する。
一年に一回、自分に向き合って
真っさらな心になれば
感じられるさ…
そうすれば醜い心を自然に浄化してくれる』
『だから毎年みんなで来てたんだ』
『…』
返事に困る両親
『さすが、深いな』
感心する父親の耳元で
『お盆だから来てただけ、一般的な行事の流れってとこだろ…
無理するなって』
『そこまでハッキリ言わなくても良いだろ裕紀君』
仕方無しに負けを認めるような落ち込み方の父親。肩を何度か叩き
『そんなもんじゃないの。みんな』

ちよっとからかいながらも想っていた。俺も感じることが出来るのだろうか…
『あっ!蛍、蛍がいる!』
まさか、もう8月の末…そんな疑う俺の前を飛んだ。
確かに蛍に見えた。
少し興奮し追い掛ける祐紀を止めるおっばあ
『やめろ祐紀。やっと出て来て会えたんだ。ゆっくり光らせてやれ』
『会えたって誰に?』
『さぁな…裕紀なら心当たりあるだろう』
『俺が?』

おっばあが、懐かしむように眺めていた。

『亡くなった人はな、年にいっぺん蛍になって帰って来るんだ。会いたい人に会いに来る』
『あッ!さっき言ってた。
じっちゃんが毎年来るって、蛍のことか』
『心で見て、想うて、感じてみい。蛍はな、綺麗な水と程よい茂みが無いと来てくれん。純粋なもんだ。想う者同士、真っさらな心でないとな』
『まだ居るよ、あそこ。楓香さんだよきっと。
兄ちゃんを待ってたんだよ』
『そうかもね。
空気も水も綺麗な自然の残るここは、彼女に良く似合うかもね』
『蛍みたいな人だったよね…
ふっと現れるて優しくキラキラしたとこがあって、消えそうで。
綺麗な人だったよね』
『そうね。春の風のような…』
『兄ちゃん?何か言えよ。
兄ちゃ…』
『一人にしてやれ。零れ落ちたのは裕紀の心。
言葉に出来無い想いがあるんだろう。
また一つ大人になるのかね…
ゆっくりでええんだがね』

何となくみんなの声は聞こえていた。聞こえていたから尚更、想い出した。
お墓の前でも同じような想いをしたけど
あの想い出の時がハッキリと蘇った。一緒に見た事、手にした事、一緒にした事
嬉しさ、照れ臭さ、寂しさ、切なさ感じた想い全てが熱く込み上げる。
そして何処かで分かっていた
これが最後なんだろうと。
消えそうな蛍の光に力を与えられたのか

いつしか俺の中で
『やれる所までバスケやってみるのもありかも…』

楓香
君にとってどんな人生だったのだろう
殆ど限られた中での生活に
喜びも哀しみも閉じ込めたままで
それでも君は
優しく穏やかに俺を包んで
力さえ与えてくれた
どんなに手を伸ばそうが
どんなに声を出そうが
どんなに想いが溢れようが
もう君に届くことはない

男だろうが溢れ零れ落ちることだってあるさ
笑う顔が滲みながら浮かぶ

君に何かしてあげられたのか
俺には分からないけど
最後の笑顔と言葉は
忘れない
少しずつ思い出に消えたとしても

『裕紀は生きて。精一杯生きて』

やれる所までやってみる
君のように

楓香
君に与えられた命だから

おわりm(__)m

ほたる(そして明日へ)

『中に入っている紙を見てくれる…もしかして裕紀君が』
ゆっくり紐を緩め小さく折られたノートの切れ端のような紙を出した。

「つらいのも、頑張っているのもお前だけじゃないんだからな
わかっていても
頑張れしか言えなくて
なんにも手伝えなくて
つらくても頑張って応援してんだからな。
だから頑張れよ
待ってるからな   新田より」

『まともな紙に書けないのかね』
『確かにあなたの字ね。小学校…4、5年生の頃かな?』
『へぇ~こんな字書いてたんだ
俺の』
『比べるの悪いわよ。男の子にしては綺麗な字。性格が出るのよね』
『本当よね。性格出るのよね』『まるで俺が、字の汚い雑な性格って』
『そんなに卑下しないの。あなたも性格は良い子よ』
『性格はね』
『あ、ありがとう…でもなんか引っ掛かる…』

俺の両側から覗き込み言いたいことを言ってくれる事
『お前は勝手に引っ掛かってろ』
『酷い!冷たい!』
わざとらしく左腕にしがみつく祐紀を完全無視して
『終わりましたかね?笑え無い小芝居…』
恥ずかしそうにおとなしくなる二人。
『えッ?俺は?置いて行かないでよ』
更に俺に縋(すが)る祐紀を二人で離し、話そうとする口を塞ぎ謝るような顔をした。

そんな姿を背後に感じながら溜め息をひとつ…

『確かに俺が書いた物です』
『やっばり…』
『だけど違います!…なぜ彼女が持っていたのか…
これは、小5の時だったかな…
バスケの試合がきっかけで仲良くなった他校の奴が、入院が長くなって焦ってたんです。
何人かで会いに行ったんですけど、ろくな会話も出来なくて。
おばさんの姿とか見てたら
母さんの入院とかで、何と無く気持ち分かる気がして…つい…』
『そのお友達は?』
『大学病院に移って、元気になりました。
今もいいライバルです。
…そういえば…
いきなり謝られた事があった…
もしかしたらこれか?』
『そうか…』
『良かったのかしら、そんな大切な物だったのに』
『良かったじゃん。単なるゴミにされなくてさ。
そんな端切れを良く、楓香さんも拾ったよね。あッ、やべッ…』

また余計な事を言ったと、俺に一発貰うかもと身構える祐紀
『珍しくヒットだな』
頭に手を乗せると、除けようとしながらホッとした顔でまた話し出そうとするのを瞳(め)で止めた。

『あの娘(こ)が明らかに前向きになったのは、裕紀君の言葉
友達を想う優しさだったのね。
明るくなったし、夏美ちゃんと外出もするようになって…
ありがとうございました』
『俺は何も…頭を上げて下さい』
『花園さん…楓香さんが生きる力にしてくれて、そして裕紀を 助けてくれた。
私達の方がお礼を言わないと…
ありがとうございました』
お互いに手を握り会い、頭を下げ合ながら涙が零れていた。

『娘に彼氏を合わせられた時はこんななのかね』
『危ないよ。兄ちゃん、大丈夫かよ』
離れた所に居たはずの花園さんの言葉に驚き、足を踏み外しよろめいた。
『君に、娘を取られたような気がするよ。
あの娘は、私達に味合わせてくれた。
君の存在でね』
『年頃の子供がいれば親は楽しみで心配で、寂しいけど期待して…どんな人を好きになるのか
いつ紹介するのか、なんてね。
無いと思っていたから私達には
そんな事より少しでも楓香と過ごす時間の事だけを思っていたから。
だから…
良かったですねお父さん
楓香が好きになった人が裕紀君のような人で』

『ありがとう』

俺の手を握った
ゴツイ父親の手、軟らかい母親の手からゆっくりと伝わる温もりに、心の奥まで温かくなり言葉の代わりに涙が零れ落ちた。

楓香が言ってた
俺に教えてもらった生きる事…
もしかしてこの紙切れの言葉だったのか?
あの頃ちゃんと出会っていたら
言ってやったのにな…

「うそばっかり。裕紀は言わないでしょ。
特に女の子には言えないくせに。
ありがとう…裕紀…」

楓香に言われたような気がして、ひとり想いながら静かに見上げた空は青く、何処までも広く太陽は眩しく
気持ちが良かった。

翌日

ボールが弾む音、バッシュで走る音が懐かしく感じる。
たった一日離れていただけなのに走り出したい気持ちを抑え一人音を聞いていた。
『何一人格好付けてんだよ』
『先輩のポジション狙ってたのになぁ』
『何でお前なんだよ!その言葉は俺を抜いてからにしろ』
『俺には、新田先輩しか見えないんです』
『良くも俺と言う偉大な先輩を前に、お前は~』
『子供なんだから先輩はぁ~。
新田先輩待ってましたよ~』
『早く来いよッ!絶対勝つからな俺達…だろ』

待たせたのは二度目。
変わる事の無い空気で迎えてくれる仲間達。
今はこいつ等に応えよう。
こんな俺を必要としてくれるこの中で、精一杯楽しんで、必死に頑張ってみよう。

我が家は夏祭りと決戦が続き大騒ぎだった。
あの勢いのままの応援だ…知らない人の振りしたくなるほどで。
でもそのお陰か、他の応援の人達とも全員が一つになれ、勢いで突っ走れたのかもしれない。

そして俺達は
念願の優勝
全国への切符を手にした。

喜びは半端じゃなかった。
その後の集中力も頑張りも、応援も全てが全力だった。
一瞬一瞬が全て全力だった。
そして
俺の、俺達のゲームセットのホイッスルが響き渡った。

2回戦68Vs65
悔しかった。
仲間達と初めて泣いた。
だけど
後悔は無くスッキリしていた。
全てが俺達の全力だったから
誰もが輝いていた。
応援席の先輩も仲間も、家族も
そして
花園さんと一緒に来て居てくれた楓香も言ってくれるよな

「最後まで精一杯頑張ったね」

ほたる(そして明日へ)

時間(とき)は過ぎる。
想いを残しながらも、刻む時間の流れには逆らえない。
刻み込む暇も無いほど押し寄せる
様々な出来事、その中で感じる喜怒哀楽をコントロールしながら、本当の自分を探していた。

精一杯生きる

ずっと俺の中で彷徨っていた。


ラスト一年と決めていたバスケ
今の仲間と出来るのは僅か。
キツイ練習でさえ自然に力が入った。
今までも決して力を抜いていたわけじゃない。
誰に言い訳してんだ、俺は……

俺の復帰を待っていてくれた仲間と、先輩達から託された目標を目指した。
それ以外考えることを拒否していたのかもしれない。
とにかく俺にはバスケしか無いと思っていた。

そして遂にラスト試合になるかもしれない大会が始まる。
…が…
自然に思い出す事になる季節
7月になった。

どんなにバスケに集中しようと
ふと、心の隙間をチクリと刺す傷み。
決して後悔とかをしている訳じゃない。吹っ切って決意して来たはずなのに
蘇る、彼女が生きることが出来無かった今を
…精一杯、生きているのか…

俺の迷いのようなものが、ごまかしきれなくなっているのが仲間にも分かったのか。
『明日休め!お前の迷いを話して答え聞いて来い。
スッキリして来いよ。
俺達の、先輩達の夢が掛かってんだ、全員が迷い無く一つにならねぇと勝てねぇだろ。
悔いは残したくねぇからな』

家族もその日が近づくごとに、俺の変化を感じていたらしい。
母親と祐紀も一緒に、夏美ちゃんに案内してもらい花園家のお墓参りをさせてもらった。
そこは森林公園の中にあった。
天気が良く気温も高かったからか、噴水の水が陽射しを受け輝いて涼しそうだった。それよりも輝いていたのは子供達の笑顔だ。
噴水の間を潜ったり、足で繁吹き(しぶ)を上げたり。
眩しかった。
迷い無く遊ぶ事で、今を精一杯生きているから…
考えると胸が熱くなった

霊園の近くに行くと、連絡をしてくれていたらしく彼女の両親が待って居てくれた。
一年ぶりに会った挨拶をして、お墓に向かった。
どこのお墓も新しい作りで整っていて、テレビなどで肝試しに出て来るようなイメージがまるで無く、綺麗だった。

花園家のお墓は周りの家と比べ真新しかった。当たり前だが、刻まれた名前は…ひとり

楓香…享年18歳

心静かにそれぞれの想いで手を合わせた。
そして俺…

楓香。
俺はこのままで良いのかな?
精一杯生きているのかな?

両膝を着き手を合わせ瞳(め)を閉じた時
心地良い風がひと吹き通り過ぎた

『いつか壊れるんじゃなかって思うくらい、走って来たでしょ
楓香さんと向き合うことを避けるようにしてた。
だから心配だった。自分を追い込み過ぎてしまうんじゃないかって…
あなたは自分には妙に厳しくて、頑固な所があるから
今日まで我慢して来たけど…』
『兄ちゃんは頑張ってるよ。
あれからずっと…今のままだと大切な最後の大会前にOverHeatするからな。
楓香さん、そんな頑張り嬉しくないと思うけど』

体勢を崩すことなく母さんと祐紀の言葉を背中越しに噛み締めた
心配掛けまいと自分の中で、吹っ切って乗り越えて来たつもりだった。
祐紀にまで悟られていたとは…
俺もたいしたことのない男だ。
何故か肩から力が抜けた

「やっと裕紀らしい顔になった。辛い時でも小さな楽しみに、笑っていてほしい。精一杯楽しみ、笑って、ちょっと無理もして、生きて行って…」
瞳を開け思わず
『楓香…』
今度は風が俺を包み込んだかのように感じるくらい優しく吹いた。

『お姉ちゃん…だったのかな…』
『そうかも』
『裕紀に喝!入れてくれたのかもね。妙な思い込みで自分を縛るなって』
『楓香さんの喝って、優しくって良いなあ』
『あら?誰かと比べているのかな?祐紀君?』
『そんなことは…ただ、たまには優しく』
『君はお兄さんとは違って、自分に甘いからでしょ!』

相変わらずの仲の良さに自然と和らいだ。
『夏美ちゃんには勝てそうにねぇな』
『わざと負けてんだよ』
『俺達に見栄張ってどうすんだよ。バァカ』

振り向くと安心したようなみんなの顔に、ちょっと照れた。

『良かった。裕紀君がすっきりできて。夏美ちゃんから何となく話しは聞いていたから。
日記なんかを読ませてしまって、裕紀君に楓香の想い背負わせてしまった。重い荷物を与えてしまったのではないかって、気にしていたの』
『…すみません…俺…自分が思っていたよりちっちゃい男で』
『色んな経験をしてデカイ男になればいい。デカイ奴は響きにくく、感じにくい、だから成長しにくいもんだ。
それに判断をするのは自分じゃない。
君は自分で思うほど小さくも、弱くもないさ。
勿体ないと思うよ。楓香が居たなら君ともっと長く付き合えたかもしれない』
『楓香さんが居たら、兄ちゃんは楓香さんの彼氏って事になるから…おじさんには嫌われていたかもよ』

それは言える…女三人頷きながら楓香の父親を見る。それに気付き「そうかもしれない」気まずそうな顔で俺をチラッと見ると視線を反らした。
「だよな…」
俺もそう思う。

『痛いって!』
分からないように祐紀の頭を一発
『お前が余分な事言い出すからだろ…妙な雰囲気になっただろうが』

わざとらしく咳払いをしながら少し離れる後ろ姿を、ごまかし笑いする彼女の母親。
鞄から白い封筒を出すと俺に手渡した。
『それを楓香に渡したのは君か』
娘の彼氏…まだその言葉を引きずっているのか、明らかに今までと違う態度にちょっと妙な気持ちで戸惑う俺。
周りにはウケているんだろう明らかに笑いを耐えている。

『いつも枕元に置いてあって、あの娘の手作りのお守りなんだけどね』
封筒を逆さにするとピンクのフェルトに「お守り」と赤い糸で書いてあった。