あきらめずに工夫すること、繰り返すこと | hkhk123のブログ

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知的の特別支援学校に勤めていました。高等部が長く、進路に関わってきました。お役に立てるような経験をお話していけたらなと思っています。

10年ほど前のことです。

私は知的の特別支援学校高等部が一番長かったのですが、

高等部の授業で重度重複学級の国数の時間に入りました。

国数・・・週4時間(内、私は2時間入りました)

     全体の活動のあと、20分間の個別課題を行います。

 

生徒3人、教員2人です。

そのうちの1人は、発語なし、指示や言葉の理解はあいまいで

意味のある行動、筋道だった活動が難しい生徒さんでした。

 

これまでの中学部の記録を見ても、席に座っていることはできますが、

物を持って箱に入れることはあいまいとの記録。

 

 

①始点→終点  2週間

 全体の活動のあとに20分間の個別課題を行います。

 最初の課題は「始点→終点」の練習です。 

 例えば、物を動かす時に

 置いてある地点が始点

 動かすところが終点

 

 レールについている物を左から右に動かすことはできました。

 (カーテンレールのイメージ)

 

 いくつか、始点、終点の教材は時間かからずにできましたニコニコ

 

 

②いよいよ、物を箱に入れる練習  1ケ月間

                       

 机に置いたビー玉1個を箱に入れます。(始点→終点)

 

 最初は教員が手を添えて、ビー玉を握らせ、箱に入れるのですが、

 

 握ったままにぎにぎと、感触遊びをして離しません。

 ※ビー玉は口に入れる子は他の大きなものにしましょう

 

 予想通りです(笑)

 

 何回も入れる練習をします。

 入れるという動作は

 目で見る→見て手で持つ→もって、視線と手を動かす→手を離して入れる

 (目と手の協応動作)

 

  1ケ月かけても、なかなかビー玉を手から離すことができませんでしたショボーン

 

 

③プラスチックの箱に入れて、コトンという音を楽しむ 1ケ月

 これは学校でよく行うのですが、

 箱の上面は、ビー玉くらいの穴をあけて、入れさせます。

 

 ポイントは 穴がビー玉とピッタシくらいですと、興味をひきます。

 子供は型はめもそうですが、カチっとはまるもの、音がするものが好きです。

  入れる動作に対して「入れて」と言葉をつけて、ラベリングします。

 

 1ケ月くらいで手を離して入れるようになりました爆  笑

 

 


④ペットボトルを用意して、中に入れる練習に入りました 2週間

  音はしなくなりますが、

  ビー玉をちょうど同じくらいの穴に入れる面白さもあります。

  2週間くらいで手を離して入れるようになりました爆  笑

   最初からここまでで、3ケ月かかりましたニコニコ

 

 

 

⑤そして、いよいよ本番です。

 小箱の中にビー玉を入れる練習です。

 上面は何もないので、広くなりました。

 

 

             

 なかなか手から離しません。

 離して落としても、また拾ってにぎにぎします。

  3ケ月かけても、手から離して入れることはできませんでしたショボーンショボーンショボーン

 

 私「小中でもやってきて、定着していないし、違うことにしようか」

 教員A「週4回できるし、今年はこれを続けましょう」

 私「うーん、そうするかなあ???」

           

 

 高等部に上がってきて、「物を箱にいれる」のができていない生徒は

 練習しても、なかなか身につかないのを見てきましたので、

 無理かなと思っていました。

 

 ところがある日、A先生が「先週、箱に入れたよ」と報告してきました。

 4ケ月目になんとできるようになったのですびっくりびっくりびっくり

 最初は1個、、、3個、、、、5個と数を増やしていきましたスター

 

 言葉で書くと簡単にできたように見えますが、実際に3ケ月かかってもできないと、

 無理かなと思ってしまいますね、、、

 生徒さんはその間ゆつくりと理解していったのですね。繰り返してみるものです。

 

 

⑥順調にできてきたので、試しに

 

 給食袋を持たせて歩かせ、

 箱のところにいって、「いれて」と指示すると、 給食袋を箱に入れましたスター

 おー、やったあ びっくりびっくりびっくりびっくりできるんだー

 

 箱に入れるということがわかってきたのでできたのですね。

 ここまでくると教えるコツもわかってきましたおねがい

 

 皿をもって歩き、重ねることもできました。(疑似給食片付け)

 

 他にも、帰りに給食袋をリュツクに入れる

     連絡帳をカゴに入れる

     机の上の物を箱に入れて片付ける

     

 こともできました。

    

 ひとつのことが身につくと、生活の中で様々に広がっていきます。

 

 ゆっくりとやり方を理解していく生徒さんはいます。

 短い時間、工夫して繰り返し行えば、道は開けるのです。