〇自閉症のお子さんは優れた素質、可能性をもっています
自閉症の優れた点は何回かブログで書かせていただいたり、コメントさせて
いだいたりしています。
その優れた点は
・こだわりゆえの正確性
・繰り返しに強い
・細かい作業、製作に向く
・計算や文字への強さ
・記憶力
・絶対音感
・絵画的な構図
実際に教員時代にいろいろなところで上の場面を見てきましたが、
神様の贈り物かなと思うほど、とても優れています。
コミュニケーションの苦手さ、環境の変化に弱いなどの特性があっても、
それにもましてこの優れた素質は素晴らしいです。
これらは高等部卒業後の進路でも発揮します。
・事務PCの正確性や作業の正確性
・工芸、刺繍、裁縫の細かい出来上がり
・流れ作業、繰り返し作業への粘り強さ
・よくTVで流れる絵画、デザインの才能
実際に自閉症の生徒さんは、高等部卒業後にいろいろなところで活躍しています。
将来、力を発揮できるように育っていってほしいと思っています。
〇自閉症のお子さんに注意してほしいこと
今までに多くの自閉症のお子さんを見てきました。
線の細いお子さん、図太いお子さんといろいろなタイプの子がいますが、
2点の注意があります。
①自閉症の線の細い無お子さんに強い指導や無理じいをすると、自信をなくしたり、
抵抗感が強くなる可能性が高くなります。
自信をなくして教室にはいらなくなったり、その場がいやになったりする例を
見てきました。
いやな場面を視覚的に記憶することもあります(フラツシュバツクをおこす)
まずは無理強いをせず、スモールステップで行うのがよいですが、
万一抵抗感が強くなってしまったら、
良く行った対処法として
・その子の頭の中はいやだという感情でいっぱいだったりしますので、
切り替えが必要です。
入る前に手遊びや好きな遊びを行い、感情をプラスの方にむかせます。
これがある程度できるようになったら、次に進みます。
・スモールステップでゆっくりと教室に入れていく
よく行うのは教室にパーテイションを入れて個室を作ります。
すると、視覚情報が減りますから、場所に対する抵抗感が減ります。
クラス、給食、特別教室の場面でよく使いました。
そして、パーテーションの隙間を徐々に開けていき、慣らしていきます
最終的には、パーテーションをなくしていきます。
これまでに半年くらいかけて行いました。焦らずにゆっくり、ゆっくり時間を
かけていきます。
②失敗経験をすると、認知の歪みを生じる
失敗にたいするとらえ方は健常の方とは違います。
自閉症の生徒さんは全員がこうなるというわけではありませんが、
何例か見てきたケースです。
例1 近くにいた友達の奇声が苦手になった
通常は教室で離れる行動になりますが、その教室やその階にはいらなくなったケースが
あります。認知の歪み(理解の歪み)によるものです。
例2 事務で働いていたが、空いている時間が苦手でやめた
通常は得意なPC仕事で適度に忙しい事務の会社に移りますが、事務の仕事自体が
イメージとしていやになつてしまったのです。説得しても、次も事務で働かない
と言います。これも認知の歪みによります。
自閉症の仲間のアスペルガー(高次自閉症)にも表れますが、
グレーゾーンがない、白か黒しかない世界に思えます。また、
その会社→事務系の会社
その場所→その教室、その階
というように認知されていったりします。
この対処法は、早いうちに対処して解決するに限ります。
上の例で言えば、
席をすぐに離す、パーテーションをして徐々に慣れさせる
会社にお願いして空き時間に仕事をつくってもらう
などです。
以上、紹介したケースは私が特別支援学校の何校かで見てきた例です。
一般的にあまり知られていないかもしれませんが、今も学校ボランティアに行った時に
経験として教員に伝えているのです。
優れた点をたくさんもっている自閉症のお子さん、大切に大切に育って、社会で
その能力を発揮して活躍してほしいと願っています。