高等部就労の取り組み⑥ 現場実習から、やる気・考えさせる授業への取り組みへ | hkhk123のブログ

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知的の特別支援学校に勤めていました。高等部が長く、進路に関わってきました。お役に立てるような経験をお話していけたらなと思っています。

実習を通して、大切だと感じたこと

・自分で考える

・生徒自らやる気を出し、成長する

そんな授業をどう作るか、なかなか始めた頃はうまくゆかず、

試行錯誤しました。

そもそもが、自分は昭和教育で考える授業というものを受けたことが

なかったことも、時間がかかつた原因かも、、、(笑)

数年かかって、やっと形になりました。

 

 

〇高等部数学授業「電卓技能検定に向けた練習と小数」

                         

ポイント 

電卓練習でそれぞれ自分で考えた課題に取り組む時間を設ける

 レベルアップできるように工夫のヒントを与え、考えて行わせる

                            

教員の話の内容

   生徒一人ひとりの良さを伝え、磨くことを求める

 今の姿が将来の姿であることを理解させる、今を変えれば、未来も変わる

 1時間の授業でレベルアップを目指す、1回、1回が勝負

 やるか、やらないかは本人自身の問題(やらないなら本人の責任)

 大人扱いする

 卒業生の努力したことが仕事につながっている例を示す

 などやる気を起こすような内容を短く、本人たちが考える余地を残すように

 

電卓練習

 5,6,7級の加減法、乗法、除法の一つを練習する

 次の時間までに採点して返す 点数とコメント入り

 5,6,7級の場合、基本的には十分満点がとれるので、満点を目指す(合格点ではない)

 6週連続で満点の場合は、上の3,4級の練習に入る

 返す時に満点の生徒は発表する

  ※苦手な生徒は個別にがんばりを評価し、1本指法などを教える

 

後半の授業

 生活や仕事に役立つ数学

 給料計算、小数、お金計算と家計、リットル、距離、速さなどの単位、

 部屋広さ 畳、坪、平方メートルなどなど

 

 

 

〇実際の授業 50分

 

〇3分間の自由練習

 各自で課題を考えて、取り組みます。あえて短い時間にして、集中させます。

 もっとやりたいという声はでますが、家で練習しとなさいと伝えます。

  すると、授業前から電卓を箱からもってきて練習するようになりました。

 (検定前や家で練習したい時には貸し出します。)

 

 

〇挨拶 声をそろえて、はっきりした声で行います。

  礼「よろしくお願いします」

 最初の1、2回目は練習しましたが、それ以降強制したことはありません。

 ※挨拶で声がでることは、やる気のバロメーターです。

  授業のやる気をださせてこそ、挨拶もしっかりしてくるのです。

 

                           

  

 

〇3~5分の教員の話

 例 電卓は直接仕事に結びつかないが、がんばってレベルアップすることが大切。

   そのがんばった姿勢と会社で同じようにできれば、立派に通用する

   入学時に数学が苦手だつた生徒がコツコツ努力して3年生で90点をとった。

   その子は会社で活躍している。

   今の姿が未来の姿。今を変えれば、未来も変わる。

  

   短くやる気がでる話をします

 

 

〇前回の電卓プリントを採点して返す、満点の生徒は発表する

 ・返す時に間違いの傾向を指摘するやがんばりを評価することも。

 ・返した後に電卓の使い方でヒントを与え、全体で考えさせることも。

 ・電卓の力を上げるには、正確性をあげる、無駄をなくす、そして最後が

  スピードです。そこに考え、工夫する余地があります。

                             

 

〇電卓練習 15分

 ・満点、合格点をめざして、加減法、乗法、除法を検定のプリントで練習します。

 ・時々、正確性の練習やスピード練習や無駄を省く操作法の練習をします。

 

                           

 

〇後半の数学授業 20~25分 

  最初はピシッとやらせていたのですが、50分集中しすぎて

  次の授業でぼーっとする子がでてきたので、

  時に柔らかく、笑いもいれながら行うようになりました(苦笑)

  前半の電卓練習こそが集中、やる気の時間なのです。

 

        

 

 

 

※指導で変わったこと、生徒の変化

 

・この授業をはじめた年に、家庭環境が変わって、授業が落ち着かない生徒が

 年度途中にいました。ほかの授業では机にふせたりしていました。

 数学の時に「やりたくないなら、やらなくてもいい。自分でどうするか考えなさい。

 責任は自分」 とだけ言って、電卓練習を始めると、

 机にふせ気味だつた生徒は黙って練習をはじめました。

 

 その生徒の気持ちを想像すると、

 あーかつたるい。だけど置いていかれたくない。やらなければ、自分はここで終わる

 という感じではなかったでしょうか。気持ちを聞く場面はクラスで。

 授業は取り組みを崩す習慣をつけないことです(仕事も同じです)

 日頃の姿勢作り、意識作りこそが大切なのです。

 

・1年間の授業を通して、叱ったのは1回だけ。強制してはいないのです。

 やる気をださせるようにしむけています。

 前半の電卓練習は特に皆集中し、緊張感があります。

 

 

・大人扱いします。「○○さん」と呼びます。

 大人は自分のやることに責任をとることを伝えています。

 レベルアツプするも、しないも自分の責任。

 

 

・基本的にはがんばりを認めます。

 検定に2回落ちた子に「だれがどう思おうが、○○さんのがんばりを認めている、

 よくがんばった。」と励まします。

 結果がすべてではないのです。

 がんばる今の姿こそが未来の姿なのですから。

                              

 

・電卓が伸びるのは、ゆっくりでも地道に正確に行う生徒です。

 スピードはあとからゆっくりつけていくと、ミスも少なくレベルアップしていきます。

 仕事の仕方そのものと言えます。正確性こそが、一番に大事であることを伝えます。

 基本的な打ち方はありますが、人それそれの打ち方があるのが、面白いところです。

           

 

最後に

長く生徒を見てきましたが、

・授業で集中できない→仕事も同じ

・学校を遅刻する→しばらくすると、仕事も遅刻がはじまる

というように

学校でできていること、できないことは

就職後にも仕事場で現れてきます。

よって、学校で力をつけてこそ、働けるのです。

 

 

さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。