小学校4年生の

秋か冬

だったと思う


近所のコインランドリー

に洗濯機とは違う

派手なデカい箱

が置かれた


スペースインベーダー


当時も

テレビゲーム

といえば

ブロック崩し

は存在した


エアホッケーと

大差ない感じが

あまり刺さらなかった


スペースインベーダーは

自分の主導で

自分の好きなように

動かして

撃つ

動かして

逃げる


全てが自分の意思で

思うように動いた


ブロック崩しの


待って

打ち返す

待って

打ち返す

とは

明らかに違った


 仮想現実

 バーチャルリアリティ


そんな言葉

1978年

当時は存在しなかった

でも

小学4年生

の僕は

瞬時に理解した


これは凄い事が起きる

と思った


・・・


同じこの頃

社会人だったり

大学生だった人達は

ゲーム機を自身で開発し

その後

大成功した人が

たくさん居る


僕はまだまだ

子供だったから

その

「大波」には

乗れなかった



小学5年生のとき

ラジカセを買ってもらった


あとから思い返すと

母子家庭だった

当時の生活からすれば

それは高い買い物

だっただろう

でもそれは

枝葉のはなし


毎日のように

カセットテープ

で音楽を楽しんだ


友達から

ダビングしてもらった

カセットテープ


レンタルレコード

を借りて

友達のお家で

ステレオコンポを貸してもらい

カセットテープ

に録音させてもらう


・・・


友達がこれまた

機械オンチで

レコードの録音で

ステレオコンポを

使い終わって数日後

「お前、ウチのステレオ、

 壊しただろう!」

と言われた


んな事あるかい

と思い

友達の家で

カセットテープを再生する


すると確かに

右側の音が聞こえない


ぼくは

おもむろに


「綿棒ちょうだい」


カセットデッキ

の磁気ヘッドを

綿棒でやさしく

こする


すると

ちゃんと音が出る

ようになった


磁気ヘッドに

小さなゴミが付いた

それだけで音が出なくなる


「磁気ヘッドとは何ぞ」


これが分からないから

 お前 壊した

になる


友達は

「なあんだ、すぐ治るのか」

と下を向いた


僕を

勢いよく非難した

ものだから

実は簡単に治って

バツが悪そうだった


・・・

カセットテープの磁気ヘッド


薄く磁性体が塗られた

カセットテープ


テープのリールを巻いて

「川の流れのように」

磁気ヘッドの上で滑らせる


そのことを「走行」と言います


磁気を帯びたものを

鉄の上で動かすと

(走行)

鉄には電力が発生します


電磁誘導です


水の流れに

水車を付けた

モーターで発電できる

同じ原理です


カセットテープは

磁気テープを走行させ

さまざまな周波数で

テープを磁化させることで

音楽が記録されます


逆にいうと

テープを走行させて

様々な周波数の磁力を

検出すると

元の音が聞こえてきます


カセットテープが

保持できるのは

非常に微弱な磁力ですから

検出する磁気ヘッドに

些細なゴミが乗っかった

それだけで

磁力は検出不能になります


まぁ

普通の小学5年生には

何のことやら

でしょう


これは大昔の話。


ぼくが

付き合っていた彼女に

逃げられた


という情報を聞き付けた

後輩の女の子が

ウチにやってきた


その子も

「彼氏

 どうにもあやふやな

 付き合い方しか

 してくれないし

 たぶんあいつ

 浮気してるんだよねー」

という

愚痴から会話が始まった


過去の家庭内の問題

浮気な彼氏の問題

仕事の不安


色々

話してくれた


「うん、うん。」


僕は聞き役に徹し

彼女の言葉を

否定しなかった


いろんな話を聞いた


共感する気持ちを

もって接した


そうこうしている

うち

その子が

泣き出した


辛くて誰にも

言えない

わだかまりが

たくさん

あったのだろう


ぼくも

逃げられてしまった

彼女に

僕なりの全身全霊で

頑張ったんだけど

ダメだった


他にいい男が

出来たようだ

凄まじい喪失感


だから

その子の言葉が

どこまで真実を

表現出来ているかは

問わず

つらさに共感できた

うなづいてあげた

ひたすら


ぼくは、会社の先輩

その子は、違う部署の後輩


お互い

顔は知っているけど

他愛のない挨拶だけ


それだけの

関係だった


けど今

僕のリビングで

その彼女が泣いている


・・・


「ひよわくんが

 彼氏だったら

 よかったのにな」


その子は

ふいに

そう言うと

ぼくに

もたれかかってきた


ぼくはそのまま

その子に

襲われた


男が襲われた

って変だけど


そうしたい

と思うほど

切羽詰まっている

その子の気持ちを

考えたら

拒否は出来なかった


「えへへー

 襲っちゃった」


はにかみながら

笑っている


薄明かりに

うっすらみえる

彼女が

ぼくの上にいる


・・・


それから

その子とは

あまり連絡は

取らなくなった


他愛の無い挨拶だけ

数回交わした


新しい彼氏も

出来たようだった


幸せに

してるのかな


そう思って

深く追求しなかった

前出の「勘違い」の続き



僕は基本的に

人を信用しないというか


裏切られても仕方ない

と思うように

なっている


10代前半の多感な時期に

親が亡くなり

いじめられた経験から


「誰も救ってくれないんだ」


人生にあきらめ感

を持っている


だから

「いつ死んだって

 べつに構わない」

とも思う


積極的に死にたい

という

衝動ではなく

生きることに対する執着心

が無いので

あきらめているに近い


あきらめの思いが

精神の根底にあるから


「どうせ自分なんて意味がない」

「生きてるほうが迷惑をかける」

「誰の迷惑にならない方法で存在が消えるなら本望」


とまで思うことが常である


だから


誰かが優しく

自分を受け入れてくれる

なんて

自分の通常ルートでは無い

別ルートのクエストなのだ


優しく接してくれる女性

(=自分を受け入れてくれる女性)

に簡単に惚れてしまうのは


こういった精神の

「想定外」

が引き起こす錯覚なのだろう






女性と会話するのが

苦手


いっそのこと

あまり優しくしないでほしい


なんで

そんな優しくするの

会社だから

もっと事務的で

いいじゃないの

って思う


距離感を

つかむのが苦手

特に女性は・・・


近くまで

踏み込まれると

いとも簡単に

好きになってしまう


というか

何度も

女性から

「好きになった」

と言われた事が

ある


そうなるのが

面倒なので

そっけない態度で

済ませてしまう


色々な女性と

色々な事がある

小室哲哉さんの

気持ちが

なんとなくわかる


でも

僕はもう

おじさんになったから

心配いらないのかも