旧岡田家住宅
往訪日:2024年2月10日
所在地:兵庫県伊丹市宮ノ前2‐5‐20
開館:10時~18時(月曜休館)
料金:無料
アクセス:JR伊丹駅から8分
■国指定重要文化財(1992年)
《清酒誕生の地》
ひつぞうです。市立伊丹ミュージアム往訪のついでに岡田利兵衞の実家でもある17世紀に建てられた町家および酒蔵遺構を見学しました。以下往訪記です。
★ ★ ★
伊丹ミュージアムとは敷地は同じでも棟続きではない。一度外に出て再入場。
店舗の築造は延宝2(1674)年、奥の酒蔵は正徳5(1715)年頃。松屋与兵衛の建立と言われている。
その後、鹿島屋清右衛門、明治時代に安藤由松、岡田正造と所有者が変わった。昭和59年の廃業まで岡田酒造(大手柄酒造)の酒蔵として実際に酒造りが行われていたそうだ。
「酒蔵ってオーナーが変わるものなんだ」
創業●百年という蔵もあるけどね。
伊丹ゆかりの菰樽が並ぶ。続いているのは白雪と松緑、伊丹諸白。いずれも小西酒造。そして伊丹老松。因みに灘の銘酒・黒松剣菱も昭和初期まで伊丹で酒造りしていた。
手前が店舗。奥が酒蔵となっている。
店舗部分。
おなじみの酒造りの道具。
もちろん、酒造りに欠かせない井戸の遺構も。
こちらは発掘調査された釜屋兼洗い場。何度も作り替えられていることが判る。上層部の煉瓦造りは明治時代の遺構。大竈は酒米を蒸すため、小竈は湯沸かしのためのもの。廃業まで使用された。
ここがかつての酒蔵。
「イベントホールかの」
そんな感じ。貸出しもやっている。
小西酒造寄贈の酒槽(さかふね)。戦後量産化が進むに従って酒槽は廃れていったが、1990年頃から生酛造りに回帰する蔵が増えたのはご存知のとおり。確かに量産には向かない。
「手間がかかるもん」
その代わり、質の好い酒ができるのも間違いない。
「好き好きだね」
そういうこと。お酒の好みに絶対はない。
伊丹老松酒造の酒蔵跡から発掘された搾り機の男柱。
店舗を建設する際につける棟札。
こちらは鑑札。近衛家の焼印が入っているね。
小西屋新右衛門(小西酒造)に許されたもので、酒造米高二百石(ただし元米掛米糀共)と厳しく規定されている。石高に応じて正しく税を課するためで、それは今でも変わっていない。そもそも特定名称酒も税金の等級のために制度化されたようなもの。本来酒の質を計るためのものではない。そのため、そうした呼称を使いたがらない(良心的な)蔵もあるんだね。
「知ってるよ」 何回聞かされたことか!
改めて伊丹が酒と関わりの深い街だということが理解できた。充実した一日だったよ。
(おわり)
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