サルヒツの温泉めぐり♪【第167回】
星尾温泉 木の葉石の湯
℡)090-4733-4939
往訪日:2024年1月14日
所在地:群馬県甘楽郡南牧村星尾1162
源泉名:星尾の湯
泉質:ナトリウム・カルシウム‐炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉
泉温:(浴槽)約42℃(源泉)14.6℃
匂味:無味、ほのかに鉄分臭あり
色調:無色透明(褐色沈殿物あり)
pH:6.09
湧出量:23.7㍑/分
その他:自然湧出、加温、かけ流し
■営業時間:11時~18時(金土日・祝日のみ営業)
■料金:一般1000円 小学生以下500円(税込)
■アクセス:上信越道・下仁田ICから約35分
■駐車場:約8台
《奇蹟の復活》
ひつぞうです。この一月に西上州の秘湯・星尾温泉を訪ねました。立岩、毛無岩など西上州の秘峰の基地として登山愛好家には知られた場所にあります。逆に言えばハイカー以外「星尾」の地名を知る人はいないのではないか。そう思わせるほど過疎化が深刻な集落でした。その危機感から内外の有志によって温泉復活プロジェクトが始動。2018年9月に星尾温泉として開業しました。以下、往訪記です。
★ ★ ★
2019年4月6日に立岩、荒船山、兜岩山を周回する日帰り登山を計画した。季節は今時分。へつり道に残雪が残るなど嫌らしい箇所もあったが、手応え十分な好ルートだった。その登山口を少し下った処に、若いスタッフが忙しく働く日帰り施設があった。訊けば半年前に有志一同で“復活”に導いたという。これは行きたい。帰路の車中で盛り上がった。しかし、その後のコロナ騒動、また登山熱も冷めたこともあり、気持ちの上で西上州は遠い場所になった。
「登山行かなくなったにゃ」 カップ麺とか食べなくなったからよかったけど
それでも星尾温泉は行きたい場所リストに載せていた。片時も忘れたことはない。この日、未明に自宅を出発。朝一番風呂を得るために下仁田ICで降りて南牧村を目指した。
前日の寒波の影響で、南牧村最奥の地は一部粉雪が覆っていた。見慣れた集落が視界に入ると心躍らせている自分がいた。かつて養蚕や蒟蒻栽培、林業などで生計を立ててきたが、時代と共に一次産業は衰退し、今では子供は一人もない高齢率日本一の限界集落となっている。だが、この景色をみれば誰もが無くなって欲しくないと思うはず。
施設は溶結凝灰岩の天然の大岩の上に立っていた。
「よく建てたと思うよ」
築200年の古民家を手作業でリフォームしたそうだ。
建物の裏山に塩水冷鉱泉の源泉があり、昭和25年頃まで集落の共同浴場として利用されていたという。こうした村の歴史を南牧村民俗資料館で観ることができる(金曜・土曜限定の事前予約制だったため、今回は見送ることにした)。
建物の下の専用駐車場とスロープ下にも止められる。
実は開業時間を10時と思い込んでいたが11時だった。
「相変わらず詰めが甘い!」
ということでおサルはまたまたジョギング。僕はあたりを徘徊。薪造りに忙しい若いスタッフには目障りな存在だったかもしれない。
不憫に思われたのだろう。少し早いけれどどうぞと言われたので甘えさせて頂いた。
フロントに食事処と囲炉裏の間が続き、その奥に浴場があった。
民具はここにも展示されている。
煤けた天井だけは元の部材だろう。殆どはスタッフの手作業で仕上げたそうだ。
では暖簾を潜って浴場へ。
「おぅ!うつくしい!」
真新しい檜の香りがたまらない。浴室の構造は男女一緒のようだ。
ちょうど午前の斜光線が湯船に反射していた。
湯船はやや深い。そのため、出入りの補助として脚立が設えてある。
鉄分が沈殿しているだけで無色透明。
洗い場は二箇所。アメニティ完備。まずは汗を流そう。
ほのかに鉄分と炭酸の臭気が立ち昇る。
「温まゆー♪」
何といってもヴァージン湯。泉質の良さは十分伝わってくる。暫くするとお客が二組やってきた。テレビ番組で特集されたせいだろう。間もなく開業6年だが、客足が鈍る懸念はなさそう。いいことだ。湯上がり後に食事を頂戴しようと思ったが、(コロナ禍の影響だろうか)当面休業なのだとか。電話でいろいろ確認したつもりだったが。
「ダメだのー」
(成分分析表)
泉質は炭酸泉、塩化物泉。さほど塩味は感じなかったが、データから言えば疲労回復、保温効果に効果がありそうだ。
1時間ほどゆっくりさせてもらい、お暇することにした。
南牧村ドライブの弱点は飲食店の数。おサルがスマホでにちり始める。
「なんかココよさげ」 カレーだにゃ
カレーか。いいね行こう♪ ←カレーだったらどんな店でも好いタイプ
南牧村役場の入り口に近いカフェ《Big Mom》でランチすることにした。
店内もポップな感じでおしゃれ。
自家製コッペパンとカレーが売りらしい。時間が早かったので店内に人の姿はなかったが、暫くすると地元の若いお客が訪れ始めた。その殆どはテイクアウト。役場職員と思しき若い男性ふたりが、登山道整備の進捗について言葉を交わしている。そうか。こういう人たちが西上州の山道を守っていたのか。
選んだのはタイの人気軽食ガパオライス。ナンプラーが効いている。ひよこ豆と鶏挽肉もジューシー。
おサルはパキスタン・チキンカレー。パキスタン人直伝らしい。
「たしかに辛いね」 もきゃー
よせばいいのに期間限定の文字に我慢できず、ビッグドッグを頼んでしまった。通常の2.6倍らしいけれど詰まりのないコッペパンなので美味しく平らげた。加齢とともにできないことも増えたが、食べることに関してはまだ不可能の文字はないようだ。
「自慢にならんよ」
愉しい日帰り温泉の旅だった。まだ時間はある。一箇所寄り道することにした。
(つづく)
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