西上州(立岩~荒船山~兜岩山周回)① | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

立岩(1265m)/荒船山(1423m)/御岳山(1350m)/兜岩山(1369m) 群馬県・長野県

 

日程:2019年4月6日

天気:快晴

行程:立岩登山口6:20→8:00立岩8:30→10:25経塚山10:42→11:50御岳山→13:06兜岩山13:41→14:51(2165ピーク)→15:12田口峠→16:30林道終点→17:27立岩登山口

■駐車場(6台程度)/トイレなし(道の駅なんもく利用可)/登山ポストあり

 

≪御岳山直下から望む立岩全景≫

 

こんばんは。ひつぞうです。この週末は西上州の立岩(たついわ)を訪ねました。気圧の谷の影響で晴れても強風の恐れがあったので1500m未満の山を選択したのですが、果たして如何に。詳しくはいつもの山行記録で!

 

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【立岩~兜岩山周回ルート】

(画面をタップすると詳しい地図になります)

 

西上州は藪と岩を愛する登山者の憧れの地。標高差こそ大したことはないが、風化著しい安山岩からなる嶮しいコースが縦横に絡む。安易に入山すると痛い目に遇う。それでも稜線から得られる眺望は日本ではないどこか遠い国を思わせる。この冬に踏んだ毛無岩の山頂からも、立岩を始め、荒船山兜岩山ローなどが居並ぶ羅漢の群れのように見えた。

 

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発達した低気圧の影響から免れた西上州に行くことがまず決まった。となれば「上州のドロミテ」の異名を誇る立岩に想いが馳せる。威怒牟畿不下降点から周回すれば3.5時間。いくらなんでも短すぎる。荒船山最高点の経塚山をへて星尾峠からくだる周回コースだと5時間45分。まあまあか。

 

このときいつもの悪い癖が頭をもたげた。稜線の東には御岳山と兜岩山、ローソク岩など魅惑的なピークが並んでいる。この機会に登らないでいつ登る!?

 

「勝手にお盛り上がりよ」サル

 

問題はどのようにスタート地点に戻るか。地図をみると田口峠から林道が続き、星尾峠からの峠道に繋がっている。だが「山と高原地図」にはコースタイムが記されていない。また道の状態もよく判らない。過去の記録を読むかぎり(多少荒れているようだが)登山道として機能している様子。このルートで周回することにした。ざっと10時間。休憩も含めて11時間。久々のロングだ。

 

★ ★ ★

 

前日慌ただしく帰宅。(当初はテント泊の予定だったので)パッキングをやり直して翌朝四時前に自宅を出た。この睡眠不足が不安材料。二時間かけて南牧村最奥の星尾集落に向かう。最近有志によって星尾温泉が復活した。時間が合えば入浴して帰るつもり。

 

 

景勝地・線ノ滝を過ぎたドン詰りに登山専用駐車場が整備されている。すでに一台停車していた(ただ所有者とは遇うことはなかった)。スタートするとすぐに分岐する。立岩直登コースがある左岸側に向かう。

 

 

橋を越えて暫くすると立岩直登コース威怒牟畿不動コースの分岐。ここを右。

いつも思うのだが「中級」ってどんなレベルを指すのだろう。

 

 

立岩まで緩い斜面の登りが続く。

 

 

洗堀された斜面を越えていよいよ岩にとりつく。乾燥していて土埃がすごいのなんのって。

 

 

足許が不安定になってきた。油断すると簡単に落石を引き起こしてしまう。後続者には細心の注意を。

 

 

こんなだからね。ちょっと触るだけでボロボロ落ちるんだよ。

 

「ゲンコツあられみたいだにゃ♪」サル

 

おサル好きだもんね。

 

 

ずっと鎖場。毛無岩と違って整備は完璧だ。ある程度の登山経験があれば平気だろう。このルンゼを詰めると…

 

 

本日最初の難所「20mの鎖場」が現れる。確かに最初の数歩が狭くて悪い。

 

 

鎖はしっかりしているが、木の根などで滑りやすい。天気の悪い日はちょっと危険かな。この細いバンドを越えると…

 

 

ようやく陽の光を浴びることができた。稜線に出ると予想通りやっぱり風が強かった。

 

 

立岩のコルは広い。休憩にするにはちょうどいい。水分補給して山頂を目指す。

 

 

少し進んで東立岩を見返す。立岩は双耳峰なのだが辿れるのは西立岩だけ。

 

 

こっちが西立岩方面ね。

 

 

しばらく広い緩斜面を登っていく。最後にこの鎖場を越えれば山頂はすぐだ。

 

 

高度感あるね~。星尾の集落が見えるよ。御覧のとおり朝のうちは霞がひどかった。

黄砂かな。

 

 

痩せ尾根が続く。籔で判りにくいけれど両サイドすっぱり切れ落ちている。安心して休憩できないよ。

 

 

「なにか見えたにゃ」サル

 

山頂についたようだ。

 

 

絶景が待っていたよ。そのうえ貸し切りだった。

 

 

わ~。すごいパノラマ。ほらおサル。ぴょこんと頭を出している山が左の方に見えるでしょ。

 

「小さいのと一緒に並んでるにゃ」サル

 

あれがローソク岩だよ。三つあって一番大きいのが大ローソク(P3)って言われているんだ。あそこを越えて行くんだよ。

 

「え~っ!ほんとに行けるのち?」サル

 

 

東の方角には初冬に登った毛無岩。ここから見ると鶏冠のように扁平だね。イデミから1245m峰を経て立岩分岐に至る区間は登山道が崩壊して通行止め。縦走する猛者は今もいるけれど死亡事故も発生しているらしいから。

 

さて先は長いので出発しよう。

 

「もきゃ」サル

 

 

大屋山方面を見やりつつ鎖場の下降が続く。

 

 

快調快調。

 

 

あれ~?ここが威怒牟畿不動への分岐?ずいぶん近かったなあ。てな訳で迷うことなく右に進んだが籔がどんどんひどくなる。でも踏み跡はかなり明瞭。変だなあと思いつつ、それでも進むと明らかに方角がおかしい。そうか。これ皆が誘い込まれて出来てしまった道だよ!

 

大慌てで戻った。

 

 

まだ分岐はずっと先だった。

 

 

だってこの上州のジャンダルムを左に巻いていく筈だし。巻き道のあとも痩せ尾根の上を歩き続ける。ほんとに切れ落ちているのでふざけて歩くのは止そうね。

 

「なんか道がなくなった」サル

 

なになに?あ~。登るんだよここ。鎖がついてるよ。第二の難所七メートルの登だね。

 

「これ登れるのー?」サル

 

 

あれ左側に巻き道がついているみたいだね。おサルこっちに道あったよ。

 

「もう登っちゃったじゃん!」サル

 

岩の上に道あるかい?

 

「自分の眼でお確かめよ!」サル

 

はいはい。

 

 

二本の古い鎖が松の幹に緊縛されて下がっていた。比較的登りやすかった。登りあがると先まできちんと整備されていた。

 

 

振り返るとジャンダルム(手前)と西立岩(右奥)。なかなか良い眺めじゃん。こっちに来て正解だったね。

 

「…」サル

 

「こいついつか殺しゅ」と云いたいらしい。

 

 

荷物が軽いせいか、この日のおサルはまだまだ余裕があった。

 

 

広尾根なってきた。このあと威怒牟畿不動への分岐があった。ただし標識は壊れていて、かろうじて読める筆跡で「イヌムギ不動」と手書きで上書きされていた。

 

 

分岐のコルから本格的な登りが始まる。ずっとカラマツ林が続き…

 

 

楢の仲間の疎林になる。正面に大きな岩壁が聳えるが、当然直登はなく、左手に巻いていく。周辺はガスが抜けた孔でアバタになった溶岩の礫が無数に散らばり、足許が掬われやすい。

 

 

再び稜線に乗り上げてゆっくりゆっくり進む。気がつけば細い尾根に逆戻り。西上州らしい変化がつづく。

 

 

まだまだ先かと思っていたらぴょこんと立岩分岐に出てしまった。つまり黒滝山から兜岩山に至る長い縦走路に取りついたわけだ。しかしおサルが向いている毛無岩方面には人為的に横木が積み重ねられていて実質的に通行止めになっていた。

 

 

僕らはあの経塚山を目指す。この先細い巻き道になるんだけどかなり滑る。チェーンスパイク装着がお勧め。

 

 

右手後方の樹幹から1245ピークが見える。行ってみたいなあ。ね。おサル?

 

 

つれないひと。

 

 

25分ほどで巻き道分岐につく。経塚山をへずに星尾峠に直進するルートはコース表示されていなかった。「山と高原地図」にはただ「崩壊」とだけ書いてあるが事実上の廃道なのだろう。

 

さあ、この登りさえ我慢すれば山頂だよ。

 

 

ついた!荒船山最高点の経塚山(行塚山)だ。予想したとおり内山峠からのハイカー数名が休憩していた。もう五年前だ。僕らも春の荒船山に内山峠から登った。エイザンスミレが殊のほか美しかった。残念ながら曇天の山行だったが、こうして快晴のなか再訪を果たせた。

 

いい山は何度訪れてもいい。できればおサルと一緒で。

 

「疲れるだよ。ひつぞうの山歩きは」サル

 

(つづく)

 

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